プロジェクトマネジメント

▶PMBOKとは?7版の概要やパフォーマンス領域をわかりやすく解説

はじめに

「PMBOKとは何をまとめたものなの?」
「7版では何が変わったのか分からず、6版との違いも整理できない」と感じたことはありませんか。

プロジェクトマネジメントを学び始めたり、PMP試験の勉強を進めたりする中で、知識エリアやパフォーマンス領域、原理といった似た言葉が多く、どこから理解すればよいのか迷ってしまうことがあります。

この記事では、PMBOKの基本的な概要をはじめ、7版の特徴やパフォーマンス領域、6版との違いまでを順を追って説明していきます。

PMBOKとは?

PMBOKは、プロジェクトを進める際に必要となる考え方や原則、実務で役立つ知識を体系的に整理したガイドです。

ここでは、PMBOKという名称の意味と作成された目的、ガイドを策定している組織、プロジェクト管理の現場で活用される理由について順番に解説します。

PMBOKは何を示したガイドなのか

PMBOKは「Project Management Body of Knowledge」の略称で、日本語では「プロジェクトマネジメント知識体系」と訳されます。

プロジェクトを進めるうえで必要となる知識や考え方、管理手法を整理したガイドで、実務で活用できる基本的な指針としてまとめられています。

特定の業界や進め方に限定されず、さまざまなプロジェクトで役立つ考え方を学べる点が特徴です。

PMBOKガイドは誰が作成しているのか

PMBOKガイドは、アメリカに本部を置くProject Management Institute(PMI)が策定しています。

PMIは1969年に設立されたプロジェクトマネジメントの専門団体で、世界中の実務者から得られた知識や経験をもとに、PMBOKガイドの内容を定期的に見直しています。

そのため、時代の変化やプロジェクト管理の考え方の変化にも対応しながら更新されています。

なぜPMBOKはプロジェクト管理で使われるのか

PMBOKは、プロジェクトの立ち上げから計画、実行、管理、完了までに必要な考え方を体系的に整理したガイドです。

共通の基準として活用することで、プロジェクトに関わるメンバー同士が目的や進め方を共有しやすくなります。

判断基準をそろえながら進行できるため、複数の関係者が関わるプロジェクトでも円滑に管理しやすくなります。

PMBOK第7版とは?押さえておきたい特徴

PMBOK第7版では、従来のプロセス中心の考え方から、プロジェクトの目的や価値を重視する考え方へと大きく見直されました。

ここでは、第7版で変わった考え方や価値提供の重視、テーラリングの考え方、さまざまな開発手法への対応について順番に解説します。

手順よりも原理・原則や成果を重視する考え方へ変化した

PMBOK第7版では、これまでのように49のプロセスを順番に進める考え方から、12の原理・原則をもとに判断する考え方へ変わりました。

決められた手順をそのまま当てはめるのではなく、プロジェクトの目的や目指す成果を実現するために、状況に合わせて適切な行動を選ぶことを重視しています。

プロジェクトで生み出す価値を大切にしている

PMBOK第7版では、単に成果物を完成させることだけではなく、プロジェクトを通じてどのような価値を生み出せるかを重視しています。

完成した成果物が関係者や組織にどのような良い影響を与えるのかを考えながら、プロジェクトを進めることが大切とされています。

状況に合わせて進め方を変えるテーラリングを重視している

PMBOK第7版では、すべてのプロジェクトに同じ管理方法を当てはめるのではなく、状況に応じて進め方を調整するテーラリングの考え方を重視しています。

プロジェクトの規模や目的、チームの状況に合わせて必要な手法を選ぶことで、より実情に合った管理がしやすくなります。

予測型・アジャイル・ハイブリッドに対応している

PMBOK第7版では、従来の計画を重視する予測型だけでなく、変化に柔軟に対応するアジャイルや、それらを組み合わせたハイブリッドにも対応しています。

一つの方法に限定するのではなく、プロジェクトの特徴や目的に合わせて適した進め方を選択できる点が特徴です。

状況に合った管理方法を取り入れることで、より柔軟なプロジェクト運営につなげられます。

PMBOK第7版を構成する12の原理・原則

PMBOK第7版では、プロジェクトを成功に導くための考え方として、12の原理・原則が示されています。これらは個別の作業手順ではなく、状況に応じて適切な判断を行うための基本的な指針です。

ここでは、12の原理・原則の概要と一覧、8つのパフォーマンス領域との関係について順番に解説します。

12の原理・原則とは

12の原理・原則は、PMBOK第7版で示されたプロジェクトマネジメントの基本的な考え方です。

決められた手順をそのまま実行するためのルールではなく、プロジェクトの状況に合わせて適切な判断を行うための指針として位置付けられています。

プロジェクトを進める中で迷ったときに、どのような考え方をもとに行動すればよいかを判断するための土台になります。

12の原理・原則の一覧

PMBOK第7版では、プロジェクトマネジメントで大切にすべき考え方として、以下の12の原理・原則が示されています。

これらは具体的な作業手順ではなく、状況に応じて適切な判断を行うための基本的な考え方です。

原理・原則内容
1. スチュワードシップを示す責任を持ってプロジェクトや関係者、組織の価値を守りながら行動する
2. 協働的なプロジェクトチーム環境を作るメンバー同士が協力し、安心して力を発揮できる環境を整える
3. ステークホルダーと効果的に関わる関係者の期待や意見を理解し、適切な関係づくりを行う
4. 価値に焦点を当てる成果物の完成だけでなく、プロジェクトによって生まれる価値を重視する
5. システムの相互作用を認識するプロジェクト内外の要素が影響し合うことを理解して判断する
6. リーダーシップを示す状況に応じたリーダーシップを発揮し、チームを導く
7. テーラリングを行うプロジェクトの状況に合わせて進め方や管理方法を調整する
8. 品質をプロセスに組み込む最終確認だけでなく、プロジェクトの各段階で品質を意識する
9. 複雑性に対応する予測しにくい変化や複雑な状況を理解し、柔軟に対応する
10. リスクへの対応を最適化するリスクを把握し、影響を抑えながら適切な対応を行う
11. 適応性と回復力を受け入れる変化や問題が発生しても、状況に合わせて立て直す
12. 変化に対応して将来の状態を実現する必要な変化を受け入れ、目標とする成果や価値につなげる

12の原理・原則は、プロジェクトを管理する際の判断軸となるものです。

すべてを個別に覚えるだけでなく、「プロジェクトで価値を生み出すために、どのような考え方が必要なのか」という視点で理解すると、実務でも活用しやすくなります。

H3:12の原理・原則と8つのパフォーマンス領域の関係

12の原理・原則は、プロジェクトをどのような考え方で進めるべきかを示す判断の軸となります。

一方で、8つのパフォーマンス領域は、その考え方を実際のプロジェクト運営でどのように活用するかを整理した管理対象です。

両方を組み合わせて理解することで、特定の作業だけを見るのではなく、プロジェクト全体をバランスよく管理しやすくなります。

PMBOK第7版の8つのパフォーマンス領域

PMBOK第7版では、プロジェクトの成果を高めるための実践領域として、8つのパフォーマンス領域が定義されています。

ここでは、8つのパフォーマンス領域それぞれの役割と、プロジェクトマネジメントでどのように活用されるのかを順番に解説します。

ステークホルダー

ステークホルダー領域では、プロジェクトに関わるさまざまな関係者と良好な関係を築き、協力しながら進めるための管理を行います。

関係者の期待や要望を把握し、必要な情報を適切なタイミングで共有することで、認識のずれやトラブルを防ぎやすくなります。

チーム

チーム領域では、プロジェクトメンバーがそれぞれの力を発揮し、協力して成果を出せる環境づくりを行います。

役割や責任を明確にしながら、メンバー同士が支え合える体制を整えることで、チーム全体で目標に向かいやすくなります。

開発アプローチとライフサイクル

開発アプローチとライフサイクル領域では、プロジェクトの目的や状況に合わせて適切な進め方を選択します。

予測型、アジャイル、ハイブリッドなどの手法から、プロジェクトの特徴に合った方法を取り入れ、柔軟に進行できる状態を整えます。

計画

計画領域では、プロジェクトの目標を達成するために必要な作業や進め方を整理します。

スケジュールや予算、必要な人員や資源などを事前に検討し、実行しやすい計画を作成します。

また、状況の変化に応じて計画を見直すことも大切です。

プロジェクト作業

プロジェクト作業領域では、作成した計画をもとに日々の作業を進め、プロジェクトを実行します。

進捗や品質、課題を確認しながら必要な対応を行い、安定して成果を生み出せるよう管理します。

デリバリー

デリバリー領域では、プロジェクトで作成した成果物や提供する価値を、求められる状態で届けることを管理します。

要件や品質を確認しながら成果を提供することで、プロジェクトの目的達成につなげます。

測定

測定領域では、プロジェクトの進み具合や成果の状況を確認し、適切な判断につなげます。

計画と実際の進行状況を比較することで、問題や改善点を早めに把握し、必要な対応を取りやすくします。

不確実性

不確実性領域では、予想外の変化やリスクに備えながらプロジェクトを進めるための管理を行います。

発生する可能性のある問題を把握し、影響を考えながら対応方法を検討することで、変化の多い状況でも柔軟に対応しやすくなります。

PMBOK第6版と第7版の違い

PMBOK第7版では、第6版までの考え方を引き継ぎながらも、プロジェクトマネジメントの進め方が大きく見直されました。

ここでは、知識エリアからパフォーマンス領域への変更、プロセス中心から原理・原則中心への変更、成果と価値を重視する考え方への変化について順番に解説します。

10の知識エリアから8つのパフォーマンス領域へ変わった

PMBOK第6版では、スコープやコスト、品質など10の知識エリアをもとにプロジェクトを管理していました。

PMBOK第7版では、これらを8つのパフォーマンス領域として整理し、プロジェクト全体の成果につながる視点で管理する考え方へ変化しています。

個別の管理項目だけを見るのではなく、それぞれが影響し合う要素として捉えることが重視されています。

49のプロセス中心から12の原理・原則中心へ変わった

PMBOK第6版では、49のプロセスをもとに必要な作業や管理方法を整理する考え方が中心でした。

PMBOK第7版では、12の原理・原則を判断の軸として活用し、プロジェクトの状況に合わせて対応する考え方へ変わっています。

決められた手順を実行するだけではなく、その場に適した判断を行うことが重視されるようになりました。

プロセスの実行から成果と価値の提供を重視する考え方へ変わった

PMBOK第6版では、定められたプロセスを適切に実行し、計画どおりにプロジェクトを進めることが重視されていました。

PMBOK第7版では、成果物を完成させることだけではなく、その成果が関係者や組織にどのような価値をもたらすかを意識する考え方へ変化しています。

プロジェクトの目的を達成し、期待される価値を生み出すことが重要視されています。

PMBOK第7版を実務で活用するときのポイント

PMBOK第7版は、記載されている内容を一律に適用するのではなく、プロジェクトの目的や規模、環境に合わせて柔軟に活用することが重要です。

ここでは、プロジェクトに応じた調整の考え方、価値提供の意識、8つのパフォーマンス領域を関連づけて活用するポイントについて順番に解説します。

PMBOKをそのまま使わずプロジェクトに合わせて調整する

PMBOK第7版は、書かれている内容をすべてそのまま当てはめることを目的としたものではありません。

プロジェクトの目的や規模、開発手法、組織の状況に合わせて、必要な考え方や管理方法を選びながら活用します。

自分たちのプロジェクトに合う形へ調整することで、より実践的に活用しやすくなります。

成果物だけでなく提供する価値を意識する

PMBOK第7版では、成果物を完成させることだけではなく、そのプロジェクトによってどのような価値を生み出せるかを意識することが大切です。

作成した成果物が目的の達成や関係者の期待につながっているかを確認しながら進めることで、本来の目的に沿ったプロジェクト運営を行いやすくなります。

8つのパフォーマンス領域を関連づけて考える

8つのパフォーマンス領域は、それぞれを別々に管理するものではなく、互いに影響し合うものとして捉えることが重要です。

例えば、計画の変更はチームやリスク管理にも影響するため、一つの領域だけを見るのではなく、全体のバランスを考えて判断します。

各領域のつながりを意識することで、より安定したプロジェクト運営につながります。

まとめ

PMBOKは、プロジェクトを成功に導くための知識や考え方を整理したガイドです。

第7版では、決められたプロセスを実行する管理方法から、プロジェクトの目的や状況に合わせて判断する考え方へ変化しました。

12の原理・原則や8つのパフォーマンス領域を理解することで、より柔軟にプロジェクトを進めやすくなります。

大切なのは、PMBOKの内容をそのまま当てはめるのではなく、自分のプロジェクトに合った形で活用することです。

成果物の完成だけを見るのではなく、その成果がどのような価値につながるのかを意識しながら管理することで、目的に沿ったプロジェクト運営につながります。

まずは12の原理・原則や8つのパフォーマンス領域の考え方を理解し、日々のプロジェクト管理の中で少しずつ取り入れていくことが大切です。

状況に合わせて柔軟に活用することで、より効果的なプロジェクトマネジメントを実践しやすくなるでしょう。

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