目次
はじめに
「裁量労働制って、普通の働き方と何が違うの?」
「専門業務型と企画業務型では、対象になる仕事や仕組みがどう違うの?」と疑問に感じていませんか。
会社から裁量労働制の対象になると説明されたものの、実際に何時間働いたことになるのか、どのような仕事なら適用されるのか分からず、不安になることもありますよね。
この記事では、裁量労働制の基本的な仕組みから、専門業務型・企画業務型の違い、対象業務や適用時のポイントまで、順を追って説明していきます。
裁量労働制とは?
裁量労働制では、実際に何時間働いたかではなく、あらかじめ定めた時間働いたものとして労働時間を扱います。
ここでは、通常の労働時間制との違いと、裁量労働制でも労働時間を管理する必要がある理由を順に説明します。
裁量労働制の仕組みと通常の労働時間制との違い
通常の労働時間制では、始業・終業時刻を記録し、実際に働いた時間をもとに労働時間を計算します。
一方、裁量労働制では、対象業務の進め方や時間配分を労働者の裁量に委ね、あらかじめ定めた時間を働いたものとみなします。
そのため、実際に働いた時間が6時間や10時間であっても、みなし労働時間が8時間であれば、原則として8時間働いたものとして扱われます。
裁量労働制でも労働時間の管理が必要な理由
裁量労働制でも、労働者の健康を守るため、会社は実際の労働時間の状況を把握する必要があります。
みなし労働時間だけでは、長時間労働が続いているかどうかを確認できないためです。
実際の勤務状況を把握することで、働きすぎによる健康への負担にも気づきやすくなります。
裁量労働制の2種類|専門業務型と企画業務型の違い
裁量労働制には、専門的な業務を対象とする「専門業務型」と、企業の中核的な企画・立案などを対象とする「企画業務型」の2種類があります。
ここでは、専門業務型と企画業務型の対象業務・対象者を整理したうえで、両者の違いを比較します。
専門業務型裁量労働制の対象業務と対象者
専門業務型裁量労働制は、業務の進め方や時間配分を労働者の裁量に委ねる必要がある、法令で定められた20業務が対象です。
新商品・新技術の研究開発、情報処理システムの分析・設計、デザイナー、コピーライター、弁護士、税理士などが含まれます。
対象となるのは、これらの業務に従事し、労使協定で制度の適用対象とされた労働者です。
企画業務型裁量労働制の対象業務と対象者
企画業務型裁量労働制は、事業の運営に関する企画・立案・調査・分析を行う業務が対象です。
業務の進め方や時間配分を労働者の裁量に委ねる必要があり、使用者から具体的な指示を受けずに進める業務であることが求められます。
対象となるのは、こうした業務に従事し、労使委員会の決議など必要な手続きを経て制度が適用される労働者です。
専門業務型と企画業務型の違いを比較
専門業務型は法令で定められた20業務が対象ですが、企画業務型は事業運営に関する企画・立案・調査・分析のうち、一定の要件を満たす業務が対象です。
また、専門業務型は労使協定、企画業務型は労使委員会の決議によって、対象業務やみなし労働時間などを定める点にも違いがあります。
裁量労働制の対象業務とは?
裁量労働制は、すべての仕事に適用できる制度ではなく、専門業務型と企画業務型で対象となる業務が定められています。
ここでは、専門業務型で認められている主な対象業務と、企画業務型で対象となる業務の条件について説明します。
専門業務型で認められている主な対象業務
専門業務型裁量労働制は、厚生労働省令で定められた20業務が対象で、会社が自由に追加できるものではありません。
主な対象業務には、新商品や新技術の研究開発、情報処理システムの分析・設計、新聞・出版などの取材・編集、デザイナー、コピーライターなどがあります。
制度を適用する際は、担当する仕事が対象業務に該当するかを確認することが大切です。
企画業務型で対象となる業務の条件
企画業務型裁量労働制は、事業の運営に関する企画・立案・調査・分析を行う業務が対象です。
業務の進め方や時間配分を労働者の裁量に委ねる必要があり、使用者が具体的な指示をしない業務であることも求められます。
そのため、企画に関係する仕事であればすべて対象になるわけではなく、こうした条件を満たしているかを確認する必要があります。
裁量労働制でも残業代が発生するケースとは?
裁量労働制では、あらかじめ定めたみなし労働時間を基準に労働時間を扱いますが、どのような場合でも残業代が発生しないわけではありません。
ここでは、みなし労働時間を超えて働いた場合の扱いと、深夜労働・休日労働に対する割増賃金について説明します。
みなし労働時間を超えて働いた場合の扱い
裁量労働制では、実際の労働時間がみなし労働時間を超えただけで、通常の残業代が発生するわけではありません。
ただし、みなし労働時間を法定労働時間の1日8時間を超えて設定している場合は、超えた時間について割増賃金が必要です。
たとえば、1日9時間と定めていれば、超過する1時間分が時間外労働として扱われます。
深夜労働や休日労働には割増賃金が発生する
裁量労働制でも、午後10時から午前5時までの深夜労働には25%以上、法定休日の労働には35%以上の割増賃金が発生します。
みなし労働時間が定められていても、深夜や法定休日の割増賃金がなくなるわけではありません。
そのため、実際に働いた時間帯や休日を確認して計算する必要があります。
裁量労働制を適用される前に確認すべき注意点
裁量労働制が適用される場合は、会社から制度の対象だと伝えられたことだけで判断せず、自分の業務や実際の働き方が適用条件を満たしているか確認することが大切です。
ここでは、裁量労働制を適用される前に確認したい対象業務・適用条件と、実際の働き方・裁量の範囲について説明します。
対象業務や制度の適用条件を確認する
裁量労働制を適用される前に、自分の担当業務が専門業務型または企画業務型の対象になっているかを確認しましょう。
専門業務型は法令で定められた業務に限られ、企画業務型も企画・立案・調査・分析など一定の条件を満たす必要があります。
自分の仕事内容と制度の条件を照らし合わせ、適用できる業務かを確認することが大切です。
実際の働き方と裁量の範囲を確認する
裁量労働制では、業務の進め方や時間配分を自分で決められる状態になっているかを確認することも大切です。
会社から仕事の進め方や時間を細かく指定されている場合は、制度が前提とする裁量が認められているか確認する必要があります。
制度の名称だけで判断せず、実際の仕事でどこまで自分で決められるのかを確認しましょう。
まとめ
裁量労働制は、あらかじめ定めた時間を働いたものとみなす制度で、対象となる業務や適用条件が決められています。
また、裁量労働制でも、働き方によっては割増賃金が発生する場合があります。
制度が適用されるときは、自分の仕事内容が対象になっているか、どこまで裁量を持って働けるのかを確認してみましょう。
みなし労働時間や割増賃金の扱いも確認しておくと、制度への理解を深めやすくなります。