目次
プロジェクトマネジメント・コンサルとは何か
プロジェクトを成功へ導く「専門家」
近年、企業や組織ではさまざまなプロジェクトが日々実施されています。新製品の開発やシステム導入、業務改革など、大きな目標を達成するためには、計画通りにプロジェクトを進める力が不可欠です。そこで役立つのが「プロジェクトマネジメント・コンサル」です。これは、プロジェクト運営の専門家が外部から参画し、計画づくりから実行、進捗確認、成果のまとめまでを中立的な立場で支援するサービスを指します。
プロジェクトマネジメント・コンサルの主な役割
このコンサルは、納期遅延やコスト超過、品質トラブルといったプロジェクトのよくある失敗を防ぐため、専門的な知識と経験を活かしてアドバイスや実務支援を行います。たとえば、「この作業はどこまで進んでいるか?」「予算は足りているか?」「リスクは発生していないか?」など、客観的な視点で状況を監視し、必要な改善提案を素早く行います。
PMOコンサルの特徴とは
とくに、複数のプロジェクトや全社的な取り組みを横断して支援するのが「PMOコンサル」です。PMOとは“Project Management Office”の略で、組織全体のプロジェクト標準を作ったり、進捗・リスク管理を統一化したりする役割を担います。PMOコンサルは、方法論の改善や情報の見える化など、個々のチームを超えて全社的なプロジェクト力を底上げする支援を行うのが特徴です。
プロジェクトマネジメント・コンサルの価値
このようなコンサルに依頼することで、社内だけでは見つけにくい課題の早期発見や、客観的で実行力ある解決策の提案が期待できます。結果的に、納期・コスト・品質のバランスを保ち、プロジェクト成功率の向上に大きく貢献します。
次の章では、「PMとPMOコンサルの違いと補完関係」についてご紹介します。
PMとPMOコンサルの違いと補完関係
PM(プロジェクトマネージャー)の役割
まず、PM(プロジェクトマネージャー)は、特定の一つのプロジェクト単位で成果を出すことが最大の責任です。たとえば、新しいITシステムを導入するプロジェクトのPMであれば、「予定通り・予算内でシステムを完成させること」がゴールとなります。計画立案や進捗管理、現場のメンバーの指揮を執るのが主な仕事です。
PMOコンサルの役割
一方、PMOコンサルは複数のプロジェクトにまたがる立場から組織全体のプロジェクト活動を支えます。主な役割は、プロジェクトを円滑に進めるための標準的な手順やルール作り、プロジェクト共通のリスクや課題管理方法の構築といった「仕組みづくり」にあります。また、プロジェクトごとの進行状況の見える化や、効率化を図る工夫も担当します。
2つの役割の違いと補完関係
PMが「現場の監督者」とするなら、PMOコンサルは「組織全体を見渡す参謀」と例えられます。プロジェクトごとの事情で煩雑になりがちな手続きや情報を、PMOコンサルが整理・標準化することで、PMは本来の業務に集中しやすくなります。また、複数のプロジェクトが並行する場合に、似たような課題や問題を個別に対応する手間を減らし、全体での最適化を目指せるのです。
たとえば、大きな企業で新商品開発のプロジェクトがいくつも走っている場合、一つひとつのPMがバラバラに進めると情報共有やノウハウの蓄積が難しくなります。そこでPMOコンサルが全体のルール作りや進捗の可視化を推進し、個々のPMをサポートします。こうして両者が役割分担と連携をすることで、組織のプロジェクト推進が効率よく進みやすくなります。
次の章では、「PMOコンサルの主要ロールと業務範囲」についてご紹介します。
PMOコンサルの主要ロールと業務範囲
PMOコンサルの主な役割タイプ
PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)コンサルには、主に3つの代表的な役割があります。
-
PMOアドミニストレータ
これは、いわゆる事務局的役割です。会議の調整や資料作成、進捗データの集約など、「プロジェクト現場を円滑に回すための裏方」として働きます。例えば、関係者のスケジュール調整や議事録作成、情報共有のルールを整えるといった業務が中心です。 -
PMOエキスパート
標準化やルール策定が得意な役割です。プロジェクトで使う手順書やチェックリストを作ることが多く、「品質や進め方の基準を明確にし、現場が迷わない環境づくり」に力を入れます。たとえば、進捗報告の形式を統一したり、課題管理の仕組みを構築したりします。 -
PMOマネージャー
これは組織全体を見渡し、予算や人員の調整、全体の進行管理を統括する役割です。複数のプロジェクトや大規模案件の場合、「どの部門に誰を割り当てるか」「コスト配分は適切か」など会社全体のバランスを見ます。
幅広い業務範囲
PMOコンサルが担う仕事は、単なる進捗管理にとどまりません。品質や納期の基準づくり、その遂行サポート、進捗・コスト・リソース(人や物)の管理、リスクの早期発見と対策など多岐にわたります。また、経営層と現場を結ぶパイプ役として、両者の意見調整や情報共有にも力を入れます。
改善と定着がカギ
もうひとつ重要な役割が「組織のプロジェクト管理方法そのものの改善」です。たとえば、過去の失敗を分析し、次回のプロジェクトに生かす仕組みをつくったり、現場の声を集めてルールを見直すこともPMOコンサルの仕事です。こうした活動を通じて、組織のプロジェクト力を高めていきます。
次の章では、PMOのタイプ別(戦略PMO/プログラムPMO/プロジェクトPMO)について説明します。
PMOのタイプ別:戦略PMO/プログラムPMO/プロジェクトPMO
PMOとは、プロジェクトを管理し成功に導く専門部署や役割です。しかしPMOにもいくつか種類があり、それぞれ活動範囲や役割が異なります。ここでは、代表的な3つのタイプ「戦略PMO」「プログラムPMO」「プロジェクトPMO」についてご説明します。
戦略PMOとは
戦略PMO(ストラテジックPMO)は、企業や組織全体の視点からプロジェクトやプログラムを俯瞰します。このPMOは、会社の成長戦略とプロジェクトの整合性を保つために、どのプロジェクトを優先するかを決めたり、全体のリソース配分や進め方の方針を設計します。たとえば、複数の新規事業を同時に検討している大企業で、どの事業を成長させるかを判断する役割です。戦略的な判断力と経営視点が求められます。
プログラムPMOとは
プログラムPMOは、特定の目的のために集められた複数のプロジェクト群(これを「プログラム」と呼びます)をまとめて管理します。例えば、企業全体でシステムを一新する場合、各部門ごとにプロジェクトが立ち上がります。このとき、プログラムPMOは各部門の進捗状況を把握し、全体がスムーズに動くよう調整します。異なるプロジェクト間の調整や、共通課題の解決、ベストプラクティスの共有なども行います。全体を見るバランス感覚が重要です。
プロジェクトPMOとは
プロジェクトPMOは、個別のプロジェクトごとにつくケースが多いです。一つのプロジェクトの目標達成に直結する実務を日々サポートします。例えば、ITシステム開発プロジェクトでは、日々の進捗チェックや課題管理、会議の運営など現場に密着した活動を中心に行います。現場での課題発見力や細やかなフォローが求められます。
このように、PMOのタイプによって活動範囲や役割、求められる視点が異なります。自社や自分の関わるプロジェクトが、どのPMOの支援を必要としているかを見極めることが大切です。
次の章に記載するタイトル:導入メリット:なぜ外部のPM/PMOコンサルが効くのか
導入メリット:なぜ外部のPM/PMOコンサルが効くのか
専門知識と客観性の導入
プロジェクトを円滑に推進するためには、経験と知識が重要です。しかし、社内だけでは限界がありがちです。外部のPMやPMOコンサルを導入することで、豊富な実績に裏打ちされた“成功パターン”や“失敗しやすいポイント”を適切にアドバイスしてもらえます。たとえば、大規模なシステム導入の際、現場で起きやすいトラブルや予算超過の予防策を具体的に提示してもらえるため、信頼性の高い計画を作成しやすくなります。
業務の標準化と効率化
外部コンサルの力を借りれば、進め方・情報共有のやり方・成果物のフォーマットなどが整います。これによりチームごとにバラついていた進捗管理や資料づくりが統一され、新しいプロジェクトでも「迷わず進める」基盤ができます。例えば、週次の会議資料や課題管理表のサンプルが提示されることで、現場担当者もすぐに実務で活用できるようになります。
進捗・リスクの見える化と迅速な意思決定
専門家が適切なモニタリング手法を導入することで、進捗やリスクが‟見える化”されます。このため、なにか問題が発生したときも早い段階で発見できます。また、その情報にもとづいて経営層が迅速な意思決定を行うことが可能です。たとえば、課題が遅れたときに即座に対策案を示せるので、全体の滞りが防げます。
最新トレンドの適用と柔軟な発想
外部コンサルは多様な業界や企業から得た最新の知見やベストプラクティスを集約しています。そのため、従来のやり方の枠にとどまらない柔軟な提案が期待できます。たとえば、最新のプロジェクト管理ツール導入や、働き方改革との連動を提言されることもあります。
次の章に記載するタイトル:必要スキルと求められる資質
必要スキルと求められる資質
進捗・品質・コスト管理の基本
PMOコンサルタントには、プロジェクトの進み具合を把握し、予定通りに進んでいるかどうかを常に確認する力が必要です。たとえば、スケジュール通りにタスクが終わっているか、品質目標を満たしているか、予算を超えていないかなどを日々細かくチェックします。これは家庭で家計簿やスケジュール帳をつけて管理することに似ています。
リスク・課題管理
プロジェクトでは予想外の問題が必ず発生します。PMOコンサルタントは、問題が起きた時にすぐに気付き、どう解決するか道筋を考えます。たとえば、納期が遅れそうな時は早めに関係者と共有し、対策を一緒に考えるなど、臨機応変な対応力が求められます。
ステークホルダーコミュニケーション
関わる人が多くなるほど、意思疎通は難しくなります。そのため、PMOコンサルタントには分かりやすい説明力や、相手の意見を丁寧に聞く力が不可欠です。また、関係者間の意見調整や会議の進行役も大切な役割です。例えるなら、クラス委員長がみんなの意見をまとめる役割に似ています。
標準化・プロセス設計
プロジェクトを効率的に進めるためには、やり方やルールを決めておくことが重要です。たとえば、報告フォーマットや作業手順を決めて、誰がやっても同じ品質になるようにします。これにより、混乱やミスを防げます。
ロールごとに求められる得意分野
- アドミニストレータ:会議運営や日程調整など、細かな段取りを得意とする人が向いています。
- エキスパート:課題解決や最適な方法論、テンプレートを考え出す力が求められます。
- マネージャー:全体を見渡し、予算や人員、ルール作りなど管理全般を担当します。
その他の重要な資質
- 地道な作業を続けられる忍耐力
- 変化に柔軟に対応できる適応力
- フェアに物事を見られる客観性
次の章に記載するタイトル: コンサル会社の選び方:失敗を防ぐ実務チェックリスト
コンサル会社の選び方:失敗を防ぐ実務チェックリスト
コンサル会社を選ぶ際は、直感や知名度だけで判断するのではなく、自社に合ったパートナーを見極めるポイントがいくつかあります。以下のチェックリストを参考にしてください。
1. 業界実績の有無
そのコンサル会社が自社の業界に対して、どれだけの支援実績を持っているかを確認しましょう。たとえば、製造業とIT業界では、業界構造や課題が異なるため、過去の成功例や失敗例を活かしてベストプラクティスを適用する力が問われます。実際のプロジェクト名や内容が出せる範囲で提示してもらうと安心です。
2. サービス内容と自社ニーズの一致
提供されるサービスが、自社が求める支援内容やゴールに合致しているかが重要です。例として、単なる業務整理支援なのか、戦略立案まで含むのかによって求めるスキルや関わり方が変わります。サービス内容をリストアップし、どの部分で自社の課題解決につながるか説明してもらいましょう。
3. 費用対効果とアフターサポート
「料金が安い」だけで選ぶのは危険です。想定される結果とコストのバランスを見て、支払う価値があるかを冷静に判断しましょう。また、プロジェクト終了後のアフターサポート体制についても事前に確認し、継続的な関係を築けるか検討しましょう。
4. 提案力・人柄・コミュニケーション力
担当コンサルタントの提案力や人柄、コミュニケーション力も重視したい点です。実際の案件例を出しながら、自社の場合にどんなアプローチを取るのか、具体的な説明ができるか確認してください。また、話をよく聞いてくれるか、誠実に応対しているかもポイントです。
5. 得意領域・特徴の理解
コンサル会社それぞれに得意とする分野や特徴があります。たとえばITシステムに強い会社、人材育成に長けた会社など、自社のプロジェクトテーマとマッチするかどうかを評価しましょう。比較検討する際は、複数社の資料や担当者の話をよく聞いて決めるのがおすすめです。
次の章:相談・選定時に確認すべき要件定義のポイント
相談・選定時に確認すべき要件定義のポイント
ゴールとKPIを明確にしましょう
外部のPM/PMOコンサルタントに相談する際は、まずプロジェクトの"目的"と"成果目標(ゴール)"をはっきりさせることが大切です。たとえば「納期を守る」「不具合を少なくする」「作業時間を短縮する」など、目指す成果を言葉にして共有します。
次に指標(KPI)を設定しましょう。具体例としては以下が挙げられます:
- 納期遵守率(約束通りに終わった案件の割合)
- 欠陥密度(完成した成果物にどれだけミスや抜けがあるか)
- リードタイム短縮(最初から最後までにかかる期間の圧縮)
- EVM指標(成果とコストのバランスを可視化する数値)
これらの数値目標を事前に決めておくと、コンサルと共通認識を持ちやすく、効果も測りやすくなります。
標準化の範囲と適用先をはっきりさせる
プロジェクト管理を効率化するには、「どこまで標準化するか」を最初に話し合います。例えば、
- WBS(作業分解図):工程の粒度や管理方法の統一
- ガイドラインやチェックリストの作成
- 報告や申請用テンプレ(例:週報・議事録)を用意
導入範囲(全社・部門単位・特定プロジェクトのみ等)も決めておくと、後からの混乱を防げます。
PM/PMOの役割分担を整理する
PM(プロジェクトマネージャー)とPMO(プロジェクト支援組織)がどこまで業務分担するのかを明確にしておくと、責任の所在や進捗確認が円滑になります。例えば「PMOが会議の事務手続き、PMが技術判断」など、線引きをしておくことがポイントです。
リソースと意思決定体制を固める
PMOの活動には専任スタッフや業務に割く時間が不可欠です。どのくらいの人数や工数を割けるのか、誰が意思決定を下すのかを最初から共有しておきましょう。これにより、コンサルの動きもスムーズになります。
次は「コンサルファームにおけるPMO案件の実像と進め方のヒント」についてご紹介します。
コンサルファームにおけるPMO案件の実像と進め方のヒント
コンサルファームに入るPMO案件の特徴
コンサルファームで扱うPMO案件は、企業や団体が大規模なプロジェクトを実施する際、客観的・専門的なマネジメントの支援役として位置づけられることが多いです。例としては、社内システムの刷新や新規事業の立ち上げ、複数部門をまたぐ全社的な改革プロジェクトなどがあります。これらは自社のリソースやノウハウだけではカバーしきれない場合が多いため、コンサルタントが外部から加わることで成功可能性を高めています。
PMOコンサルが現場で担う具体的な役割
実際の現場でPMOコンサルが担う役割は、単なるプロジェクト進捗の管理だけにとどまりません。まず、全体計画の立案支援や進捗状況の「見える化」、リスクや課題を早期に洗い出し対応を促す調整役として動きます。たとえば、プロジェクト会議の議事録作成や、関係者との調整・合意形成、トラブル発生時の打ち手検討なども担当します。必要に応じて、現場の作業担当者や経営層とも橋渡しを行い、スムーズな情報連携をサポートします。
案件が成功しやすくなる進め方のヒント
コンサルファームがPMO案件を進める際には、いくつかの重要なポイントがあります。1つ目は『小さく始めて大きく育てる』こと。最初から全体最適を狙うよりも、まずは短期間で成果が出る部分から着手し、成功体験を積み重ねるやり方がおすすめです。2つ目は『現場との密なコミュニケーション』です。現場ならではの事情や課題を漏れなく吸い上げ、経営陣との間で共有しやすい環境をつくることで、意思決定の質が高まります。3つ目は『常に改善を意識すること』。一度決めた計画や方法に固執せず、状況に応じて柔軟に手法や優先順位を見直していくことが鍵です。
よくある落とし穴と注意点
PMO案件では、現場とコンサルタント、経営陣など異なる立場の関係者が関わるため、目的やゴールが曖昧になりがちです。始めに『何のためのPMOなのか』を明確にし、頻繁に確認と修正を行う姿勢が重要です。また、プロジェクトの規模や組織の文化、既存の業務オペレーションとの兼ね合いも重視し、それぞれに適した運用を心がける必要があります。
次の章に記載するタイトル:PMOコンサル会社の具体候補(比較検討の起点に)
PMOコンサル会社の具体候補(比較検討の起点に)
PMOコンサル会社を選ぶ際、数ある企業の中から自社に合ったパートナーを見極めることが大切です。実際には「PMOコンサル会社10選」や「おすすめ19社」などの比較記事が多く存在しますが、それらを鵜呑みにせず、必ず自社の状況や課題にマッチするかどうかを確認することをおすすめします。
各社の強みを把握する
PMOコンサル会社にはそれぞれ特徴があります。例えば、ある会社はIT業界に特化した知見が豊富だったり、またある会社はグローバル対応が強み、ほかにも中長期のサポート体制が充実しているケースもあります。比較検討する際は、こうした強みや過去の支援実績を細かく確認しましょう。
提供サービスの範囲を確認する
一口にPMOコンサルと言っても、提供されるサービスは幅広いです。プロジェクト管理の仕組みづくりから、具体的な計画・進行支援、業務改善まで多岐に渡るので、候補となる会社がどこまで支援してくれるのか、相談や導入後のサポート体制まで漏れなく確認することが重要です。
業界への理解と実績を見る
自社に似た業界、類似規模のプロジェクト支援経験がある会社は、より適切な提案や助言が期待できます。候補企業のホームページ等で、過去のプロジェクト事例や支援体制を見てみましょう。
費用対効果も重視する
費用だけでなく、提案内容や将来的な効果まで考えるのがポイントです。安価でも、自社に合わないサービスやノウハウだと、かえって無駄になることがあります。できれば複数社から見積もりを取り、同じ条件で比較検討してください。
担当者の提案力や対応も重要
窓口となる担当者の提案力や、プロジェクト推進力も見落とせません。打ち合わせ時の対応や、質問への応じ方などから、信頼できるかどうかを感じ取りましょう。
次の章:「フリーランス/個人のPMOコンサルという選択肢」
フリーランス/個人のPMOコンサルという選択肢
個人PMOコンサルの登場背景
企業がプロジェクトをスムーズに進めるうえで、統一的な管理や進捗の可視化がますます重要になっています。こうしたニーズに応え、近年では組織に属さずにフリーランスとして活動するPMOコンサルタントも増えてきました。実際、大手コンサル会社ではなく、特定分野に強みを持った個人に依頼するケースも多く見られます。
企業が個人PMOを活用する理由
企業が個人のPMOコンサルタントを選ぶ理由には、柔軟な対応力やコストメリットが挙げられます。例えば「急なプロジェクト立ち上げに即対応してほしい」「社内の慣習・文化に寄り添った支援がほしい」といった要望に、フリーランスならではの俊敏さと個別対応で応えることができます。また、フリーランスの場合は大手に比べ委託費用が抑えやすいことも魅力です。
フリーランスPMOの活躍例
例えば、ITシステムの導入プロジェクトで専門性の高いフリーランスPMOが進捗管理や会議運営を担い、混乱していた体制が整ったケースや、業務改善プロジェクトで現場に深く入り込みながら臨機応変に課題解決した例などが挙げられます。多様なバックグラウンドを持つフリーランスが、臨機応変な支援を実現しています。
個人PMOの注意点
一方で、個人に依頼する場合はスキルや経験の見極めが重要です。依頼前に「これまでどんなプロジェクトに関わってきたか」「どんな働き方・支援スタイルか」をしっかり確認しましょう。また「情報セキュリティ」「契約内容」など、法人対応とは異なる注意点にも目を向ける必要があります。
次の章では、PMOコンサルサービスを導入する際の流れ(モデルケース)についてご紹介します。
導入ステップのモデル
プロジェクトマネジメントやPMOコンサルを組織に導入する際は、段階的かつ体系的なステップを踏むことが重要です。ここでは、一般的な導入ステップの流れを具体的にご紹介します。各段階で、外部PMOコンサルタントは現場での実務支援や助言を行い、スムーズな運用をサポートします。
1. 現状診断
まず、今の組織・プロジェクトの進め方や課題を丁寧に調査します。具体的には、担当者へのヒアリングや、過去のプロジェクト資料の確認などを通じて、どこに問題があるのかを明らかにします。
2. 課題仮説の立案
診断結果に基づき、なぜうまくいかないのか、どの工程に問題が潜んでいるのか仮説を立てます。例えば「進捗管理があいまいで納期遅れが起こりやすい」など、具体的な課題を見える化します。
3. ロードマップ策定
解決すべき課題に対して、いつ・なにを・どう進めるかを計画表(ロードマップ)としてまとめます。フェーズごとに目標と成果を明示し、関係者全員に共有することがポイントです。
4. 標準類作成とPoC実施
実際のプロジェクトで使用する作業手順書や進捗管理フォーマットなど、標準化資料を作成します。その上で、まずは小規模な範囲で「試し運用」(PoC=Proof of Concept)を行い、課題や改善点を洗い出します。
5. 段階展開
PoCの結果を踏まえて標準類や運用方法を修正し、組織全体あるいは複数のプロジェクトへ段階的に展開します。一度に大きく変えるのではなく、無理のないペースで浸透させていきます。
6. 人材育成・内製化支援
新しいルールやツールが定着するよう、説明会や研修を実施します。また、将来的に社内で運用が完結するためにも、現場メンバーへの「内製化」支援が不可欠です。
7. 効果測定と継続改善
導入後は、どの程度プロジェクトの成功率や効率が上がったかをデータで測定します。問題点があれば継続して改善し、PDCAサイクルを繰り返して最適化していきます。
このようなステップを丁寧に踏めば、組織に合った形でPMOコンサルを有効活用することができます。
次の章に記載するタイトル:よくある失敗と回避策
よくある失敗と回避策
目的が曖昧なままPMOを設置してしまう
PMOコンサルの導入時によくある失敗が、「とりあえずPMOを置けばプロジェクトがうまく回るだろう」と考えてしまうケースです。目的や解決したい課題が明確でないまま進めてしまうと、現場からの反発や形だけの仕組み作りに終始し、期待した効果が得られないことが多いです。
回避策:
導入前に、なぜPMOが必要なのか、どこに課題があるのかしっかりと議論し、KPI(評価指標)を具体的に定めておきましょう。また、プロジェクト全体にどのような変化をもたらすかを関係者で共有し、納得感を持たせることが大切です。
標準やルールが現場に合っていない
もうひとつの失敗例は、汎用的なテンプレートやルールをそのまま使おうとすることです。現場の実情に合わない仕組みを導入すると、かえって混乱を招いたり、現場の作業が形式的なものになってしまいがちです。
回避策:
標準やルール作りの際は、現場担当者からのヒアリングを必ず行いましょう。現場が実際に使いやすい形を探り、試行やフィードバックを繰り返すことで、適用性の高いルールが生まれます。
ロールや意思決定の遅延
PMOや関係者の役割分担が曖昧だったり、関係者が多すぎて意思決定に時間がかかることもよくある問題です。責任や権限の線引きが不明確だと、工数やコストもかさみやすくなります。
回避策:
プロジェクト開始時にPM(プロジェクトマネージャー)とPMOの担当範囲や役割分担、意思決定フローを決定しておきましょう。ドキュメントとして残し、関係者間で認識を揃えることが重要です。
次の章に記載するタイトル: まとめの実務アクション
まとめの実務アクション
最後に、これまでご紹介してきたPM・PMOコンサル導入の流れについて、実務上どのように進めればよいかを具体的なアクションステップとしてまとめます。
1. 現状課題を三つの視点で整理する
まず、自社のプロジェクト運営にどんな課題があるか、次の三つの層で明確にしましょう。
- 戦略(例:会社全体の進むべき方向が見えていない)
- プログラム(例:複数プロジェクトの調整が難航している)
- プロジェクト(例:個別案件の進行が遅れている)
これにより、どこに専門的なサポートが必要かが分かります。
2. 必要な役割と対応範囲を決める
つぎに、PMOコンサルに期待する役割を整理します。
- アドミニストレータ(事務・運営サポート)
- エキスパート(専門知識のアドバイス)
- マネージャー(全体統括と推進役)
どの役割が自社課題に直結しているかを検討し、業務範囲(=スコープ)も十分に把握しましょう。
3. 候補会社のショートリストを作成する
続いて、どのコンサル会社が自社に合うか、候補をリストアップします。ポイントは以下の通りです。
- 業界実績(似た分野での導入経験)
- サービスの適合度(自社課題に合う提案があるか)
- 費用対効果(コストに見合ったリターンが期待できるか)
- アフターサポート(契約後のフォロー体制)
- 提案力(分かりやすく実現性のある提案か)
4. RFPを使った比較検討
最後に、残ったコンサル会社には自社課題と要件を記した「RFP(提案依頼書)」を提示し、具体的な提案と見積もりをもらいましょう。これにより、条件を揃えて公正な比較ができます。
これらのステップを丁寧に踏んでいくことで、自社に最適なPM・PMOコンサルを選び、プロジェクト運営の強化につなげることができます。行動を起こす際は、それぞれの段階で社内関係者と十分な議論と情報共有を行い、最適なパートナー選びを目指してください。