リーダーシップとマネジメントスキル

ラインマネジメントとプロジェクトマネジメントの違いを実務で徹底解説

ラインマネジメントとプロジェクトマネジメントの違いを実務で使い分ける——目的・範囲・評価・スキルの全整理

ラインマネジメントとプロジェクトマネジメントとは?

まず、ラインマネジメントとプロジェクトマネジメントの違いを明確にしましょう。

ラインマネジメントは、日々続く恒常的な業務や部門の運営を管理する役割です。たとえば、製造現場のライン長や営業部門のマネージャーがこれにあたります。彼らは、部門の目標達成、スタッフの教育や評価、日々の業務が安定して回るように管理することが主な仕事です。

一方で、プロジェクトマネジメントは「特定の目的」と「期限」が明確に定められた取り組みを管理します。例えば、新製品を半年後に発売する、システムを1年以内に導入する、といった期間限定のタスクに責任を持ちます。プロジェクトマネージャー(PM)は、限られた人材・時間・予算の中で計画を立て、進捗やリスクを管理し、最終的な成果物の品質・コスト・納期(QCD)を確実に守るのが使命です。

役割分担の実際

職場では、しばしば"担当者が誰なのか"が曖昧になることがあります。ここで注意したいのが、指示や評価の責任の違いです。たとえば、プロジェクトの作業指示はプロジェクトマネージャーが出しますが、スタッフの採用や育成、正式な評価はライン上長が担当します。この二重構造により、たとえばプロジェクトの進捗に影響が出る場合、両者の合意や調整が欠かせません。

成果をどうやって判断するのか

成果の指標(評価ポイント)も大きく異なります。プロジェクトでは「約束した成果物が期日までに、予算内で、期待される品質で完成したか」という点で評価します。対して、ラインでは「日々の業務が安定して回っているか」「部門全体の生産性やスタッフの成長が保てているか」「顧客満足度や離職率が目標に達しているか」といった継続性が重視されます。

実務での使い分けのポイント

この2つの管理形態を実際の仕事でどのように使い分けるべきか。まず、期限があって達成すべき特別な目標がある場合はプロジェクトマネジメントを導入した方がうまく機能します。逆に、毎日繰り返し発生する通常業務や、組織自体の維持・発展に関わる課題はラインマネジメントが中心となります。

例えば、部署横断の新サービスを立ち上げる場合はプロジェクト型が合っています。一方、接客マナーの教育、日々の売上管理や業務改善といった標準業務はライン型のアプローチが向いています。

実践に役立つ具体策

実務で迷ったときは、次のように整理してみましょう。
- その取り組みには明確な締切と成果物があるか?(Yesならプロジェクト型)
- 反復・継続する標準業務か?(Yesならライン型)
- 複数部門で調整や特別な管理体制が必要か?(YesならPM/PMO設置検討)

さらに、仕様がそろっていて予測しやすい場合はウォーターフォール方式、要件や方法を探しながら進める場合はアジャイルやスクラム方式と使い分けましょう。

次の章では、「プロジェクトマネジメントの具体的な進行手順と実際の現場で役立つフレームワーク・ツール」についてご説明します。

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