目次
はじめに
仕事の現場でよく聞く「プロジェクトマネジメント」と「サービスマネジメント」。
どちらも管理の考え方ですが、目的や進め方、必要なスキルはまったく異なります。
この記事でわかること
- プロジェクトとサービスの違い
- 現場での使い分け方
- 必要なスキル
- 取るべき資格
- キャリアの広げ方
初めて学ぶ方でも理解できるよう、具体的な事例を交えて説明していきます。
プロジェクトマネジメントとは

プロジェクトマネジメントとは、期限と目標が明確に決められた仕事を管理する方法です。
一定の期間内で、限られた予算の中で成果を出すことを目的としています。
具体例
新しいシステムを導入する、オフィスを移転する、新製品を開発するなど、
「始まり」と「終わり」がある仕事がプロジェクトです。
管理の基本
プロジェクトマネージャーは、次のような点をコントロールします。
スケジュール(いつまでに完了させるか)
コスト(予算の範囲内に収める)
品質(目標のレベルを維持する)
この3つは「QCD(品質・コスト・納期)」と呼ばれ、プロジェクト成功の基準となります。
また、チームメンバーの役割分担や、トラブル発生時の対応も重要です。
サービスマネジメントとは

サービスマネジメントは、日々の業務やサービスを安定的に運用・改善していく管理方法です。
プロジェクトが「作ること」に焦点を当てるのに対し、サービスマネジメントは「維持・改善すること」に重きを置きます。
具体例
ITサポート、ネットワーク運用、顧客対応、システム保守など、
日常的に発生し続ける業務が対象です。
管理の基本
サービスマネージャーは、以下の点を継続的に管理します。
トラブル(インシデント)の対応
顧客満足度(CS)の維持・向上
サービス品質(SLA)の順守
コストやリソースの最適化
一度リリースしたサービスを安定して提供し続けるためには、
継続的な改善活動と、顧客との信頼関係の維持が欠かせません。
プロジェクトマネジメントとサービスマネジメントの違い

どちらも「管理」を目的としますが、対象・期間・成果が大きく異なります。
| 項目 | プロジェクトマネジメント | サービスマネジメント |
|---|---|---|
| 主な目的 | 成果物を期限内に完成させる | サービスを継続的に提供・改善する |
| 期間 | 有期(始まりと終わりがある) | 無期(継続的に運営する) |
| 成果物 | 納品物・システム・建物など | 顧客満足・安定運用 |
| 管理項目 | QCD(品質・コスト・納期) | SLA(サービスレベル合意) |
| 組織体制 | プロジェクトチーム(期間限定) | 運用チーム(常設) |
現場での違いの例
プロジェクトマネジメント:新しいシステムの導入までを担当
サービスマネジメント:導入後の運用と保守を担当
つまり、
**「作るのがプロジェクト」「支えるのがサービス」**という構図です。
どちらも欠けると業務は成り立たないため、連携が不可欠です。
現場での使い分けと連携

実際の現場では、プロジェクトマネジメントとサービスマネジメントは次のように切り替わります。
新規導入フェーズ(プロジェクト)
→ 設計、開発、テスト、リリースまでをプロジェクトチームが担当。運用フェーズ(サービス)
→ サービスチームが引き継ぎ、障害対応や改善活動を継続。
この切り替え時に、情報共有や手順書の整備が不十分だと、
「誰がどこまで責任を持つのか」が曖昧になり、トラブルの原因になります。
そのため、引き継ぎ計画の明確化が両者をつなぐ重要なポイントです。
必要なスキル・資格・キャリアパス

プロジェクトマネジメントに必要なスキル
計画立案・スケジュール管理能力
チームマネジメントとリーダーシップ
リスク予測とトラブル対応力
クライアントとの調整力
おすすめ資格:PMP(Project Management Professional)、プロジェクトマネージャ試験
サービスマネジメントに必要なスキル
運用改善のための分析力
顧客や社内とのコミュニケーション能力
障害対応やリスク管理スキル
SLA・ITILなどの知識
おすすめ資格:ITIL Foundation、ITサービスマネージャ試験
キャリアの広げ方
最初は現場担当者として経験を積み、
中堅層ではプロジェクトやサービスの小規模チームを任されるようになります。
その後、PMO(プロジェクト管理事務局)や運用責任者など、
より上流の管理職へのキャリアパスも開かれています。
まとめ:違いを理解してキャリアに活かす

プロジェクトマネジメントは「作る力」、
サービスマネジメントは「支える力」です。
新しい仕組みを立ち上げる人と、それを安定的に維持する人。
どちらの役割も欠かせません。
今後は、プロジェクトとサービスを切り離さず、
企画段階から運用を見据えた体制づくりが求められます。
両方の知識を身につけることで、
変化の激しい時代でも柔軟に対応できるマネージャーとして活躍できるでしょう。
用語解説(補足)

PMBOK(ピンボック):プロジェクトマネジメントの国際的な知識体系。
PMP:プロジェクトマネージャーの国際資格。
ITIL(アイティル):サービスマネジメントのベストプラクティス集。
SLA(サービスレベル合意書):サービス品質を定義する基準。