はじめに
ごあいさつ
本記事では、一般社団法人日本PMO協会が主催する「プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(PJM-A)」について、初めて学ぶ方にも分かりやすく解説します。資格の概要から受験方法、試験内容、難易度、取得メリット、勉強法、関連資格との比較、キャリアへの活かし方までを一つの流れで整理しました。プロジェクトに関わる仕事を始めたばかりの方や、事務・営業などからスキルの幅を広げたい方にも役立つ内容を目指します。
本記事の対象読者
- プロジェクトの基本をゼロから学びたい初心者の方
- 現場で指示を受けるだけでなく、段取りを自分で組めるようになりたい方
- PMO(プロジェクトを支える専門チーム)の仕事に興味がある方
- 学び直しを通じて、社内での信頼や役割を広げたい方
PJM-Aとは
PJM-Aは、日本PMO協会が実施する、基礎的なプロジェクト管理スキルの理解を確かめる入門資格です。ここでいう「プロジェクト管理」とは、目的・期限・予算を決めて、関係者と協力しながら作業を進めることを指します。例えば、社内のイベント開催、Webサイトのリニューアル、システム導入などが身近な例です。PJM-Aは、こうした場面で「何から手を付けるか」「誰と何を確認するか」を整理できる力に焦点を当てます。
この資格で身につく力のイメージ
- 目標や成果物を言葉にして合意を取る力(例:ゴールを短い一文で共有)
- 期間と順序を考えた作業計画づくり(例:カレンダーでタスクの並びを可視化)
- 関係者とのコミュニケーションの基本(例:議事メモで決定事項を残す)
- リスクや変更の扱い方(例:起こりそうな困りごとを事前にリスト化)
- 進捗の見える化と振り返り(例:週次のチェックポイント設定)
本記事で得られること
- PJM-Aの全体像と位置づけ
- 受験資格・受験方法、試験範囲と難易度の把握
- 合格に向けた学習ステップとおすすめ参考書
- 取得後の活用イメージや、次に目指しやすい関連資格
読み方のヒント
まず資格の狙いと特徴を押さえ、その後に受験方法と試験範囲を確認すると学習計画が立てやすくなります。勉強を始める段階では、専門用語を丸暗記するよりも、身近な仕事の例に当てはめて考えると理解が進みます。また、学習の途中で小さなアウトプット(用語の要約、簡単な計画表の作成など)を積み重ねると、知識が実務と結びつきやすくなります。最新の受験要項は、学習を始める前に一度確認しておくと安心です。
資格概要と特徴
資格概要と特徴
前章のおさらい
前章では、プロジェクトマネジメントを学ぶ意義や、本記事で扱う資格の全体像を確認しました。本章では、その中核となる「プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(PJM-A)」の位置づけと特徴を、具体例を交えてご紹介します。
資格の基本情報
- 名称:プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(PJM-A)
- 主催:一般社団法人日本PMO協会
- 種別:民間資格(入門〜基礎レベル)
- 目的:プロジェクトマネジメントの基礎知識・技術を証明し、PMOやプロジェクト現場での実務に役立つスキルの習得・証明を支援します。
- 認定:合格者には認定証が発行され、資格名やロゴを名刺などに記載できます。
どんな人に向いているか
- プロジェクト管理を初めて学ぶ社会人・学生の方
- PMO職種への転職・配属を目指す方
- 現場メンバーとして、進捗共有や課題整理などの“段取り役”を担いたい方
- 若手リーダーやサブリーダーとして、会議運営や調整を任され始めた方
- 他職種(営業・企画・事務など)から、プロジェクト型の働き方に関心がある方
証明できる知識・スキル(例)
- 基本用語の理解:プロジェクト、スコープ、ステークホルダー、リスクなど。専門用語は最小限に抑えつつ、現場で使う言い回しを押さえます。
- 進捗・課題・リスクの整理:タスクの状況を一覧化し、未解決事項を“誰が・いつまでに・どうするか”で明確にします。
- 会議運営と記録:アジェンダ作成、時間配分、議事録の要点整理。たとえば「決まったこと」「宿題」「次回まで」を三本立てでまとめます。
- 基本的な計画立案:簡易なガントチャートやスケジュール表で、順番と締め切りを見える化します。
- コミュニケーション基礎:関係者への定期共有、依頼文の書き方、合意形成の進め方。
- 品質・変更の扱い:変更点の影響範囲を確認し、承認フローを通す基本姿勢を身につけます。
レベル感と到達イメージ
- 入門〜基礎の確認に最適で、現場で“まず困らない”共通言語と手順を身につけます。
- 例:簡単なWBS(作業分解図)を用意し、進捗会議で状況を説明し、課題管理表を更新して次の一手を提示できる状態を目指します。
- 専門家として高度な計画策定や交渉術を証明する資格ではありません。日々の運営を安定させる“土台づくり”に強みがあります。
活用シーン
- 名刺や社内プロフィールに記載して、プロジェクト運営の基礎スキルを対外的に示します。
- 異動・配属時の客観的なスキル証明として、上司や配属先に準備度を伝えます。
- 転職活動で、PMOやプロジェクト支援ポジションへの適性をアピールします。
- チーム内の共通ルールづくり(議事録の型、課題票の粒度など)を前に進める際の拠り所として活用します。
試験の主な特徴(概観)
- 現場でよくある場面設定や用語の理解を問う、知識中心の内容が軸です。
- 座学だけでなく、実務で再現しやすい手順やドキュメントの型を重視します。
- 受験方法や出題形式の詳細は次章で整理します。
受験資格・受験方法
受験資格・受験方法
前章のおさらい
前章では、この資格が幅広い人に役立つ基礎的なプロジェクトマネジメント資格であり、オンライン中心で学べる点を確認しました。実務経験がなくても学びやすいことと、日常の仕事に応用しやすい内容であることが特徴でした。
受験資格
受験資格に制限はありません。年齢、性別、国籍、業界、業務経験などの条件は不要です。
- 学生や新社会人の方:基礎固めに最適です。
- 転職を見据える方:客観的なスキル証明として活用できます。
- エンジニア、営業、事務など職種を問わず:小さな業務の段取りから役立ちます。
受験までの流れ(全体像)
- 申し込み・受験料の支払い:ここから6ヶ月間、受験が有効になります。
- 指定eラーニングの受講:NPMO認定PJM-A講座(約7.5時間、オンライン完結)を修了します。
- 自習での復習:メモの見直しや重要ポイントの整理を行います。
- オンライン試験の準備:自宅など静かな場所とPC環境を整えます。
- 試験を受ける:オンラインで2時間の選択式試験を受験します。
- 結果確認・合格証の受け取り:合否はその場で判明し、合格証は1〜2ヶ月で届きます。
指定eラーニングの進め方
- 学習の目安:1日1時間なら約1週間、まとまった時間が取れれば週末集中でも終えられます。
- 視聴のコツ:重要ポイントで一時停止してメモを取り、章ごとに3点だけ「明日から使うこと」を書き出します。
- 復習のコツ:用語は日常業務の例に言い換えます(例:進捗管理=タスクの締切と実績の見比べ)。
オンライン試験の受け方
- 形式:選択式、試験時間は2時間です。
- 場所:自宅で受験できます。落ち着いて受けられる時間帯を選びます。
- 準備:安定したインターネット接続、十分に充電されたPC、静音環境を用意します。
- 当日の流れ:開始前にログイン確認→受験→その場で合否確認。終了後は学習メモに振り返りを書き足します。
スケジュール作成のヒント
- 受験日を先に仮決め:有効期限内(6ヶ月)に確実に受けるため、先に日程を押さえます。
- 逆算で計画:受験日の2〜3週間前までに動画を1周、直前1週間は復習に集中します。
- 小分け学習:通勤・移動時間に10〜15分ずつ視聴し、夜に要点をメモします。短い積み重ねが効果的です。
よくあるつまずきと対処
- 学習が続かない:毎回の学習の最初に「前回の要点3つ」だけ復習します。負担が小さく習慣化しやすいです。
- 内容が抽象的に感じる:自分の仕事に置き換えた例を必ず1つ書きます。具体化すると理解が進みます。
- 直前だけで詰め込む:短期記憶になりやすいです。少しずつでも日割りで触れる時間を作ります。
受験有効期限と注意点
- 有効期限:受験料の支払いから6ヶ月間が有効期間です。
- 計画のコツ:期限の1ヶ月前を「受験目安日」に設定し、万一に備えて予備日も確保します。期限直前は混み合う可能性があります。
- 学習と受験を一体化:動画視聴を完了した週のうちに受験枠を確保すると、知識が新しいうちに挑めます。
試験内容と難易度
試験内容と難易度
前章の要点まとめ:受験資格の条件と、申込から受験当日までの基本的な流れを整理しました。受験方法の選び方や必要な準備物にも触れ、初めての方でも道筋をつかめる内容でした。ここからは、実際に問われる中身と難易度を具体的に見ていきます。
出題範囲の全体像
本試験は「プロジェクトを目的どおりにやり切る力」を多面的に確認します。主に次の領域が中心です。
- プロジェクトの基本概念と重要性:なぜプロジェクトにするのか、日常業務との違い、関係者の利害整理
- 目標設定:達成イメージを明確にし、測れる基準と期限を定める
- 計画立案:作業の分解(WBS)、見積り、スケジュール、リスク・課題の洗い出し
- 役割分担と合意形成:RACIで役割を明確化、プロジェクト宣言書で共通認識を固める
- 実行と進捗管理:進捗の見える化、変更対応、コミュニケーション運営
- ビジネス基礎:コスト・価値のバランス、関係者への説明責任
重要ツールの理解ポイント(具体例つき)
- プロジェクト宣言書:プロジェクトの目的、成果物、範囲、期限、体制、成功基準を1~2枚にまとめた「最初の約束事」です。
例)新しいECサイト公開では、「目的=売上の新チャネル創出」「成功基準=公開3か月で月間注文数◯件」「範囲=商品登録~決済~配送まで」などを明記します。 - WBS(作業分解):大きな仕事を、数えて管理できる作業単位まで分けます。
例)「サイト制作」→「デザイン」→「トップページ」→「バナー作成・文言確認・レビュー」のように段階的に分解します。 - RACI(役割の明確化):
- 実行担当(R):手を動かす人
- 最終責任(A):最終判断・結果に責任を持つ人(原則1名)
- 相談先(C):内容に詳しく、決める前に意見を聞く人
- 共有先(I):決定や進捗を知らせる相手
例)「バナー作成」はR=デザイナー、A=プロジェクトマネージャー、C=ブランド担当、I=営業部という形で混同を防ぎます。
難易度の目安と合格に必要な力
未経験者にはやや難しめです。理由は、用語の理解に加えて、状況に合わせて道筋を組み立てる力が問われるためです。したがって、以下の力をバランス良く伸ばすことが合格の近道です。
- 目標設定力:曖昧な依頼を、測れる目標と期限に言い換えられる
- 計画力:WBSで漏れ・ダブりを抑え、優先度と順序を組み立てられる
- 実行力:進捗を数値と事実で追い、課題・変更に素早く手を打てる
- ビジネス基礎の理解:コスト・価値・リスクのトレードオフを説明できる
よくあるつまずきと対処
- 用語は覚えたが応用できない:小さな架空プロジェクトを自分で設定し、宣言書→WBS→RACIの順に作成して手を動かします。実感が伴うと定着します。
- WBSの粒度がバラバラ:1~2日で終わる作業を目安に分解し、「誰が・何を・いつまで」を書けるレベルにそろえます。
- RとAの混同:実行担当(R)は複数いても良いが、最終責任(A)は基本1名に固定します。決定がぶれなくなります。
- 宣言書が抽象的:成功基準に数字を入れ、範囲の「含む/含まない」を書き分けます。判断が速くなります。
想定される問題イメージ(学習用の例)
- 例1:依頼内容が曖昧なとき、最初に確認すべき項目はどれか。
ヒント:目的・成功基準・期限・範囲の4点を押さえる。 - 例2:WBSで抜け漏れが起きやすいのはどれか。
ヒント:レビューや承認、テスト、引き渡しなど「仕上げ系」の作業。 - 例3:RACIの割り当てとして適切なものはどれか。
ヒント:最終責任(A)は原則1名。RとAを同一人物にしても良いが、CとIは目的に応じて絞る。
学習の焦点
知識の暗記だけでは得点に結びつきにくいです。小さなケースを題材に、宣言書→WBS→RACI→進捗確認の一連の流れを何度か回すと、出題意図が見えてきます。未経験の方は、用語の定義→短いケース演習→振り返りの順で学習を回すと理解が進みます。
次の章に記載するタイトル:資格取得のメリット
資格取得のメリット
前章の振り返り
前章では、試験範囲の全体像と出題傾向、難易度の目安を整理しました。本章では、その学びが現場でどのような価値を生むのかを具体的にお伝えします。
実務で“すぐに効く”スキルが身につきます
- 計画の見える化:WBS(作業を小さく分けた一覧)やガントチャート(横棒のスケジュール表)を使い、抜け漏れと遅れを早期に発見できます。
- リスク対応の前倒し:リスク登録簿(心配事リスト)で「起きそうな問題」と「対策」を明確にし、火種のうちに手を打てます。
- 変更のコントロール:要件や仕様の変更点を記録するだけで、スケジュールやコストへの影響を説明しやすくなります。
- 会議運営の標準化:目的→アジェンダ→決定→宿題の順で進め、議事録テンプレートで合意を残せます。
具体例:タスクの遅延兆候を週次で可視化し、リソースの再配分や優先順位の入れ替えを早めに判断できます。
資格が“客観的な裏付け”になります
- スキルの可視化:学んだ知識が第三者に伝わり、配属や案件アサインで信頼を得やすくなります。
- 顧客・上司への安心感:基本用語と進め方が共通になるため、説明が短くなり合意形成が速くなります。
キャリアの選択肢が広がります
- PMOやプロジェクトマネージャー補佐への第一歩になります。
- 上位資格への橋渡しになります(例:PMOスペシャリスト、PMP)。基礎が固まるので、実務を通じて次の挑戦を計画しやすくなります。
転職・社内評価でアピールしやすくなります
- 履歴書の説得力:学んだ内容を「成果物」で示せます(計画書、WBS、リスク一覧、議事録など)。
- 面接で語りやすい:課題→対応→結果の流れで具体例を伝えられます。小さな改善でも、再現可能な手順として評価されます。
チームの生産性が上がります
- 共通言語ができる:用語と手順がそろうと、依頼と報告が短く明確になります。
- 属人化を減らす:チェックリストやテンプレートで、誰が担当しても一定の品質を保てます。
- リモートでも崩れにくい:オンラインでも進捗と課題を共有しやすく、合意点を文書で残せます。
業界・規模を問わず使えます
- ITだけでなく、製造、広告、人事、総務などの社内プロジェクトでも役立ちます。
- 小規模タスクでも効果的です。たとえば社内イベントや業務改善の進行管理にも応用できます。
学習の副産物が日常業務を強くします
- 段取り力が上がる:優先順位の付け方、締め切りの守り方が身につきます。
- 伝える力が磨かれる:目的、背景、結論を短くまとめる習慣がつきます。
- 数字で語れる:見積もり、実績、差分を整理し、次の打ち手を提示できます。
企業側にもメリットがあります
- 標準化と再現性:プロジェクトの進め方が共通化され、成功パターンを横展開できます。
- 若手育成の土台:教育コストが下がり、早期に戦力化しやすくなります。
次の章に記載するタイトル:おすすめ参考書・勉強法
おすすめ参考書・勉強法
前章の振り返り
前章では、資格取得のメリットとして、現場での信頼性向上、評価や昇進の後押し、そして共通の言葉で意思疎通できる点を確認しました。その価値を実感するには、計画的な学習で知識を行動につなげることが大切です。本章では、そのための教材選びと勉強の進め方を具体的にご紹介します。
必須教材:NPMO認定公式eラーニングの活用法
公式eラーニングは全体像と用語の土台づくりに最適です。次の手順で効率良く進めます。
- 1周目:通し視聴で全体像をつかみます。分からない箇所は無理に止めず、メモだけ残します。
- 2周目:一時停止しながら重要スライドをノート化します。用語、手順、注意点を色分けすると覚えやすいです。
- 章末の確認:章末問題やチェックリストがあれば必ず解き、間違いはノートに追記します。
- スキマ時間の活用:再生速度やモバイル視聴を使い、通勤・昼休みに短時間復習を重ねます。
学習ノートは「用語の意味」「いつ使うか」「現場の例」の3点で1セットにすると、後で見返したときに応用しやすいです。
おすすめ参考書の使い分け
理解を深め、実践力を高めるために次の4冊を役割で使い分けます。
- マンガでわかるプロジェクトマネジメント(初心者向け)
- 目的:流れのイメージ作り。ストーリーでつまずきポイントをつかみます。
- 読み方:1章ごとに「登場人物が何に困り、どう解決したか」を3行で要約します。
- プロジェクトマネジメントの基本(体系的解説)
- 目的:用語と手順を整理し、抜け漏れを防ぎます。
- 読み方:目次から弱点だけを拾い読み。図表は自分の言葉で描き直します。
- プロジェクトリーダーの教科書(実践的リーダーシップ)
- 目的:人と進める力を強化します(会議運営、依頼の仕方、合意づくりなど)。
- 読み方:次回の会議や1on1で試す行動を1つだけ決めて実践→結果をメモします。
- 予定通り進まないプロジェクトの進め方(課題と対処事例)
- 目的:トラブル時の思考の型を身につけます。
- 読み方:「起きたこと→原因→手当て」の表に事例を写経し、自分の現場例に置き換えます。
勉強法のポイント(3ステップ)
- 理解:公式eラーニングで全体像と用語を押さえます。
- 定着:参考書の事例で「なぜそうするか」を確認し、ノートに自分の言葉でまとめます。
- 適用:小さな題材で道具を作り、手を動かして検証します。
1日の学習ルーチン例(20〜40分)
- 5分:前日のノートを音読
- 15〜25分:eラーニング1本 or 参考書の小節1つ
- 5〜10分:要点3行まとめ+用語カード化
アウトプット練習:プロジェクト管理ツールを作る
道具を自作すると理解が一気に進みます。題材は「旅行計画」「引っ越し」「社内イベント」など身近なものが効果的です。
- 目的と成果物リスト:ゴールと作るものの一覧(例:案内資料、会場予約、チェックリスト)
- 作業分解表:大きな作業を小さな作業に分けた表(担当と期限も併記)
- スケジュール表(横棒の予定表):作業の順番と期間を線で示します。
- リスクメモ:起こりそうなこと、その予防策、起きたときの対処を3列で整理。
- 関係者マップと連絡計画:誰に、いつ、何を知らせるかを一覧化。
チェック観点
- 抜けがないか/作業の重なりは適切か
- 担当・期限・順番が明確か
- 見積もりの根拠が書かれているか
表計算ソフトや無料のスケジュール作成ツールを使っても、紙とペンでも構いません。手を動かす回数を増やすことが大切です。
学習スケジュール例(4週間モデル)
- 1週目:eラーニングを一周して全体像を把握+マンガ本でイメージ作り
- 2週目:eラーニングの弱点を重点復習+「基本」を拾い読み+小さな題材で道具作成
- 3週目:「リーダーの教科書」で会議や依頼の仕方を1つ実践+道具を改良
- 4週目:「予定通り進まない〜」でトラブル対応を練習+総復習(用語カード、自作クイズ)
時間が取りにくい方は、毎日15分の短時間でも進め方は同じです。通勤時間の音声学習(自分のノートを読み上げて録音)や、昼休みの用語カード復習が効果的です。
つまずきやすい点と対処
- 用語が覚えにくい:例を必ずセットにします(例:リスク=「雨で屋外イベントが中止になる可能性」)。
- 手順が曖昧:紙に手順を描き、隣に「いつ・誰が・何を」を書き込みます。
- 継続しにくい:学習トリガー(朝のコーヒー、通勤開始など)に合わせ、毎日同じ時間に始めます。
学習の成果を測るチェックリスト
- 主要な用語を30秒で説明できる
- 例題に対して、道具(作業表・予定表・リスクメモ)を30分で形にできる
- 会議や依頼の場面で、次の一言が用意できている(目的、期限、期待する結果)
次の章に記載するタイトル:他の関連資格との比較とステップアップ
他の関連資格との比較とステップアップ
前章の続き
前章では、学習計画の立て方、参考書の使い分け、模擬試験やアウトプット学習のコツを紹介しました。その流れを踏まえ、この章では学びをどの資格で証明し、どの順番で広げるかを整理します。
3つの資格の立ち位置を一言で
- PJM-A:日本PMO協会の初学者向け。eラーニング修了が受験要件で、オンライン完結。現場で明日から試せる実践重視です。
- PMP:PMIの国際資格。実務経験と公式研修が必要で、難易度は高め。大規模案件や海外を含む標準的な知識体系を証明します。
- PMOスペシャリスト:日本PMO協会のPMO特化上位資格。PJM-A取得が強く推奨され、組織横断の管理や支援に強みが出ます。
どれを選ぶべきか(タイプ別)
- 未経験〜経験1年未満:まずPJM-A。基礎用語と現場の流れを短期間で整えられます。
- チームリード経験が少しある:PJM-Aで型を固め、PMO業務に関心があればPMOスペシャリストへ。実務を通じて「見える化」「調整力」を磨けます。
- プロジェクトマネージャ経験2〜3年以上:PMPを視野に。PJM-Aで抜けを補いながら、公式研修と実務の棚卸しを並行すると効率的です。
- グローバル案件に関わりたい:PMPの汎用性が高く評価されます。英語ドキュメントへの抵抗がある場合、先にPJM-Aで骨子を理解すると吸収が早まります。
ステップアップのモデルルート
- ルートA(PMO志向):PJM-A → PMOスペシャリスト → PMP
- ねらい:組織標準づくりや横串管理の力を先に固め、国際標準で仕上げます。
- 目安:PJM-A(1〜2カ月)、PMOスペ(2〜3カ月)、PMP(3〜6カ月)。
- ルートB(PM志向):PJM-A → 実務で案件を2〜3本担当 → PMP
- ねらい:現場で課題管理やスケジュール統制を体感後、体系で裏づけます。
- 目安:PJM-A(1〜2カ月)+実務蓄積(半年〜1年)+PMP(3〜6カ月)。
- ルートC(経験豊富):PMP直行(必要条件を満たす場合)+PJM-Aで基礎の再確認
- ねらい:短期で国際資格を取得し、チーム教育にはPJM-Aの教材を活用します。
比較のポイント(迷ったらここを見る)
- 要件のハードル:PJM-A(低)/PMOスペ(中)/PMP(高)
- カバー範囲:PJM-A(基礎と実践)/PMOスペ(組織・横断管理)/PMP(国際標準の広範な知識)
- 活きる場面:
- PJM-A:小〜中規模案件の立ち上げ、タスク整理、会議運営の質向上
- PMOスペ:複数プロジェクトの横断管理、標準化、可視化レポートの設計
- PMP:大規模案件の統合管理、海外含むステークホルダー対応
併せて身につけたい実務スキル
- 可視化ツールの使い分け:ガントチャート(計画の見える化)、かんばん(進捗の流れ)、簡単なダッシュボード(指標の見える化)
- 調整と交渉:相手の優先度を先に確認し、選択肢を2つ示して合意を取りに行きます。
- リスクと課題の切り分け:起きるかもしれないこと(リスク)と今起きている問題(課題)を分けて台帳管理します。
よくある悩みと答え
- PJM-AとPMPは重複しないか?
- 基礎の重なりはあります。PJM-Aは手を動かす具体策が多く、PMPは全体設計の考え方が広いです。両方あると、現場での再現性が上がります。
- PMOスペシャリストの位置づけは?
- PM個人の管理より、組織全体の運営や標準化に寄ったスキルを証明します。複数案件を束ねる企業で評価されやすいです。
決め方チェックリスト
- 目的は何か(基礎固め/PMOキャリア/国際案件)
- いまの経験(年数と役割)
- 学習に使える時間と予算
- 英語ドキュメントへの抵抗感
- 半年後にどの現場でどう使うかの具体像
次の章に記載するタイトル:まとめ:資格取得でキャリアを広げる
まとめ:資格取得でキャリアを広げる
前章の振り返り
前章では、関連資格との違いを整理し、PJM-Aを土台に上位資格や国際資格へ進む道筋を確認しました。自分の現在地と次の一歩を具体化することが大切だとお伝えしました。
本章の要点
PJM-Aは、プロジェクトを計画し、進み具合を見える化し、関係者と調整する力を証明する最初の一歩です。公式教材と信頼できる参考書で体系的に学ぶと、合格だけでなく日々の仕事の質も上がります。この資格は、上位資格・国際資格への挑戦や、社内での役割拡大にもつながります。
キャリアが広がる具体例
- 小規模プロジェクトのリーダーを担い、期限・予算・品質を自分で管理します。
- 会議の目的・議題・決定事項を明確にし、議事録とタスク管理を習慣化します。
- 進捗・リスク・課題を簡潔な週報にまとめ、関係者との認識ずれを減らします。
- チームの作業手順を見直し、ムダを一つ減らす改善提案を出します。
合格までの現実的なロードマップ
- 1週目: 公式教材を一読し、用語を「自分の仕事の場面」に置き換えてメモします。
- 2〜4週目: 章末問題と参考書の基本問題を解き、弱点を洗い出します。
- 5〜6週目: 模擬問題で時間配分を練習し、間違いノートで理解を固めます。
- 7週目: 本番形式で通し演習を2回行い、見直し手順を固定します。
- 受験直前: 重要ポイントのチェックリストだけを回し、睡眠を最優先にします。
学習を続けるコツ
- 毎日25分×2セットの短時間学習を習慣化します。
- 学んだ型を翌日の業務で1つ試します(例:タスクの優先度付け)。
- わからない点は「なぜ必要か」「どの場面で使うか」を自問して整理します。
受験当日から合格後のアクション
- 当日: 最初に全体を見て、点が取れそうな問題から着手します。
- 合格直後: 履歴書・社内プロフィールを更新し、プロジェクトでの役割拡大を上長に相談します。
- 1〜3か月後: 小さなプロジェクトで成果を可視化し、上位資格への学習計画を立てます。
すぐに動くためのチェックリスト
- 試験実施形式と受験手順を確認した
- 公式教材と参考書をそろえた
- 7週間の学習カレンダーを作成した
- 模擬問題の入手先を決めた
- 間違いノートと用語メモのフォーマットを用意した
- 受験日までの睡眠・体調管理のルールを決めた
- 合格後に任せてほしい役割を上長に提案する準備をした
PJM-Aは「学んだことがすぐ仕事に生きる」資格です。今日の25分から始め、職場で一つ実践してください。その小さな一歩が、次のチャンスを引き寄せます。