はじめに
概要
本書は、応用情報技術者試験やプロジェクトマネージャ試験の「午後問題」(記述式・論述式)の対策を解説します。午後問題の特徴や学習ステップ、合格者の体験談、おすすめ教材を順に紹介します。初学者から再挑戦者まで使える実践的な内容です。
午後問題とは
午後問題は、単に知識を問うだけでなく「現場でどう対応するか」を記述する問題です。たとえば、仕様変更で納期が遅れた場合の対策案を100〜300字で書く問題や、プロジェクト計画の妥当性を論じる問題が出題されます。時間配分と文章構成の力が求められます。
なぜ重要か
午前の選択式で知識を示しても、午後で実務力を示せなければ合格は難しくなります。実際の業務に近い設問が多く、論理的に説明できるかが合否を分けます。具体例として、進捗遅延の原因分析と改善策を簡潔に示す練習が効果的です。
本書の読み方
本書は章ごとに「全体像→対策法→体験談→教材」と進みます。まず第2章で全体像を把握し、第3章で学習ステップを実践してください。過去問を繰り返し書くことを中心に、週に数回、時間を計って解答を書く習慣を付けると効果が出ます。
プロジェクトマネジメント試験・午後対策の全体像
概要
午後問題は記述・論述で実務的な判断力を問います。単なる暗記では不十分で、状況を読み取り、理由と対策を簡潔に示す力が必要です。例:遅延が発生した現場での原因分析と対応策を問われます。
午後で問われる能力
- 状況把握:資料から重要点を抜き出す。例えば、進捗表からボトルネックを見つける。
- 論理的説明:対応の根拠を順序立てて書く。簡単な数値計算を入れると説得力が増します。
- 文章表現:短くても要点が伝わる書き方をする。箇条書きも有効です。
頻出テーマと対策の方向性
- 計画書作成:目的と成果物、スコープを書く練習をします。
- 進捗・コスト管理:遅延やコスト超過の原因と改善策を論じる練習をします。
- リスク対応:優先順位をつけた具体的対策を示します。
- ステークホルダー調整:関係者の立場と合意形成の手順を示す例を用意します。
得点のコツ
1) 問題文の条件を必ず反映する。2) 結論→理由→具体策の順で書く。3) 数値や図表を簡潔に使うと説得力が増します。
試験準備の心構え
練習で「読む力」と「短く書く力」を同時に鍛えます。模擬問題で時間配分を身につけ、実務に即した具体例を蓄積してください。
午後問題の対策法と学習ステップ
短い導入: 午後問題は「素材の集め方」と「書く技術」の両方が重要です。ここでは、過去問中心の学習手順を具体的に示します。
1. 過去問で基礎固め
- まず過去問を本番と同じ時間で解き、現状の弱点を把握します。時間配分と解答の優先順位を意識してください。
- 出題傾向は年度ごとに繰り返します。類似問題をまとめて解くと効率が上がります。
2. テーマ選定と論述モジュール作成
- 午後Ⅱは型が効きます。背景→課題→対応(手順・役割)→効果・リスク対応、という骨子を作ります。
- 自分が説明しやすいプロジェクト例を2〜3つ決め、各項目の定型文(モジュール)を作ります。
- 過去問を使ってそのモジュールを当てはめ、表現を磨きます。
3. 学習アプリや教材の活用
- 学習計画は逆算で作ります。アプリで日次の学習量と進捗を管理すると継続しやすいです。
- 教材は1〜2冊に絞り、過去問と併用して学びます。
4. 午後Ⅰを解いて“ネタ集め”
- 午後Ⅰで出る課題や手法を午後Ⅱの素材に流用します。実務例や数字、課題の表現をストックしておくと論述で迷いません。
- 午後Ⅰと午後Ⅱをセットで復習すると相乗効果が出ます。
5. 論文執筆のトレーニング
- 模範解答の写経で論の流れを体得し、時間を計って実戦形式で書きます。
- 採点基準を自分で作り(要件充足・論理性・結論の明確さなど)、自己採点と添削で改善を重ねます。
合格体験記から学ぶ、午後対策の現実
実務経験ゼロでも合格は可能
多くの受験者が実務経験なしで合格しています。理由は基礎知識の定着と文章力の勝負になりやすいためです。具体例として、PMBOKの用語を押さえ、事例文を正確に読み取る練習を続けた受験者が合格しています。
過去問演習と論述のテンプレート化が近道
過去問を繰り返し解き、回答の型を作ると安定して得点できます。おすすめのテンプレートは「背景→問題点→対策案→期待される効果」の4段落構成です。時間配分も意識して、導入は短く結論を先に書く癖を付けます。
短時間で伸ばすなら『論述プロジェクト』を1つに絞る
受験期間が短いときは、テーマを1つ決めて徹底的に練ります。例:リスク管理のプロジェクトを決め、関連する設問をすべて反復練習します。専門用語を暗記するより、具体的な説明例を3つ作る方が実戦力になります。
合格者の具体的行動例
・1日30分を過去問の本文読解に充てる
・週1で論述を誰かに添削してもらう(相互レビュー可)
・試験直前はテンプレートの差し替え練習を重点化する
注意点
テンプレートを丸暗記すると、問いの意図を見誤ります。設問を読む力を第一に鍛えてください。
おすすめ教材とリソース
教材(書籍)
- 『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ』の午後対策パートは定番です。過去問に即した解説があり、実戦的な問題演習に向きます。具体例では、設問ごとの解答骨子や計画書の書き方が載っています。
- 補助書として解答例集や分野別の短い解説書を一冊持つと便利です。短時間で確認したいときに役立ちます。
学習アプリと進捗管理
- Vulpeなどの学習進捗管理アプリを使い、問題演習の記録や復習タイミングを管理します。例えば「過去問を週1回復習する」などのルールを設定できます。
過去問・模試
- 過去問は最重要です。過去5〜10年分を解き、解答の考え方を身につけます。時間配分や設問パターンの把握に効果があります。
オンラインリソースとコミュニティ
- 合格体験記や勉強計画の記事を読み、具体的な勉強法やスケジュールを参考にします。SNSや受験コミュニティで疑問を相談すると効率が上がります。
教材の選び方と使い方のコツ
- 質を重視し、手を広げすぎないこと。まず一冊の良書と過去問に集中します。演習→復習→弱点補強のサイクルを回すと力が付きます。
(章のまとめは不要のため記載しません)
まとめ
プロジェクトマネージャ試験・応用情報技術者試験の午後問題対策は、次の三本柱で進めるのが基本です。過去問演習、論述の型づくり、進捗管理アプリや記録の活用です。
- 過去問演習を“本番形式”で繰り返す。時間配分を守り、解答後は模範解答と照らして差分を洗い出します。
- 論述はテンプレート化すると安定します。問いごとに使える導入文・結論の型を作り、ネタ集(事例やキーワード)を蓄えます。模範解答を写経して表現の引き出しを増やしましょう。
- 進捗管理は小さな目標と記録が鍵です。解いた回数や正誤、改善点を残し、弱点を重点的に再演習します。スマホやスプレッドシートで十分対応できます。
実務未経験者も合格可能です。基礎知識の整理、現代文的な読み取り力、戦略的な学習で十分対応できます。具体的には、重要用語を短くまとめる、設問の意図を速く把握する訓練、頻出テーマでの論述を多めに練習することです。
最後に心構えです。完璧を目指すより反復を優先し、小さな改善を積み重ねてください。得意な論述テーマを育て、自分なりの“型”を信じて本番に臨めば、合格に近づきます。頑張ってください。