はじめに
「福祉で使われるエンパワーメントとは、どのような意味なの?」
「利用者を支援するとき、具体的に何をすればいい?」と気になっていませんか。
介護や障害福祉、相談支援などの現場で、本人の希望を尊重したいと思っていても、どこまで手助けし、どこから本人の判断に任せればよいのか迷うこともありますよね。
この記事では、福祉におけるエンパワーメントの意味や重視される理由、支援するときのポイントや具体例を紹介します。
福祉におけるエンパワーメントとは?

福祉におけるエンパワーメントとは、支援を受ける本人がもともと持っている力や強みに目を向け、自分で選択しながら生活や課題に向き合えるよう支える考え方です。
ここでは、福祉におけるエンパワーメントの考え方を3つの視点から説明します。
本人が持つ力や強みに着目する考え方
福祉におけるエンパワーメントでは、本人ができないことだけでなく、得意なことやこれまでの経験にも目を向けます。
支援者は日常生活や会話を通じて、本人が自分でできることや判断できる場面を確認します。
本人の持つ力を生かしながら、自分でできることを続けられるように支援することが大切です。
支援者が一方的に力を与えることではない
エンパワーメントは、支援者が本人に新しい能力を与えたり、代わりに判断したりすることではありません。
本人が持っている力を大切にしながら、自分で判断し、行動するために必要な部分を支えます。
支援者がすべてを決めるのではなく、本人ができることは任せ、自分で選ぶ機会を守ることが大切です。
本人の自己決定や主体性を尊重する
エンパワーメントでは、本人がどのような生活を送りたいのかを聞き、その希望に沿って選択できるよう支援します。
支援者が選択肢を示す場合も、本人の気持ちや考えを確認しながら決めていきます。
自分で選んだことに取り組めるよう支えることで、本人の意思や主体性を大切にした支援につながります。
福祉でエンパワーメントが重視される理由
福祉では、支援者が本人に代わって判断するのではなく、本人の意思や希望を支援に反映することが求められます。
ここでは、福祉でエンパワーメントが重視される3つの理由を説明します。
本人が自分で選択・決定する機会を確保するため
福祉では、生活の仕方や受ける支援について、本人が自分の希望を伝え、選択できる機会を確保することが大切です。
支援者が本人に確認せずに決めてしまうと、希望に合わない支援になることがあります。
そのため、本人に選択肢を示し、気持ちや希望を確認しながら、本人が決めた内容を支援に反映します。
できないことだけでなく強みや可能性を生かすため
本人ができないことばかりに目を向けると、支援者が代わりに行うことが増え、本人の力を生かす機会が減ってしまいます。
そのため、自分でできることや得意なこと、これまでの経験にも目を向けることが大切です。
本人の強みを日常生活で生かせるように支えることで、自分でできることを続けやすくなります。
本人が主体となる支援につなげるため
本人が主体となる支援では、支援者だけで内容を決めず、本人の希望や考えを大切にします。
本人が支援内容を選び、決定する過程に参加することで、自分の生活について考え、行動しやすくなります。
支援者は本人の意思を尊重しながら、必要な部分を支えることが大切です。
福祉でエンパワーメントを実践するポイント
福祉でエンパワーメントを実践するには、まず本人の希望や意思を確認し、どのような生活を望んでいるのかを把握することが大切です。
ここでは、本人の力を生かしながら必要な部分を支援するための4つのポイントを説明します。
本人の希望や意思を確認する
エンパワーメントを実践するには、まず本人がどのような生活を望んでいるのかを確認することが大切です。
本人の話に耳を傾け、何をしたいのか、何を避けたいのかを具体的に把握します。
確認した希望や意思を支援内容に反映することで、本人の考えに寄り添った支援につながります。
できることや得意なことを把握する
本人の力を生かすには、できないことだけでなく、自分でできることや得意なことにも目を向けます。
日常生活の様子や会話を通じて、一人でできることや自分で判断できる場面を確認します。
本人の強みを把握することで、必要以上に手助けせず、持っている力を生かした支援ができます。
本人が選択できる機会をつくる
本人が自分で決められるようにするには、支援者が一つの方法を決めるのではなく、複数の選択肢を示すことが大切です。
それぞれの内容や違いを分かりやすく伝え、本人がどれを希望するのかを確認します。
自分で選ぶ機会を設けることで、本人の意思を大切にした支援につながります。
必要な部分を支援し本人にすべてを任せない
本人の主体性を尊重することは、難しいことまですべて本人に任せることではありません。
支援者は本人が自分でできることと、手助けが必要なことを確認し、難しい部分を補います。
判断や行動に困ったときは必要な情報や手助けを提供し、本人が無理なく取り組めるように支えます。
福祉現場におけるエンパワーメントの具体例
福祉現場でエンパワーメントを実践する方法は、利用者の状況や支援の内容によって異なります。
ここでは、介護・障害福祉・相談支援の3つの場面に分けて具体例を紹介します。
介護で本人ができる動作を生かして支援する例
着替えの介助では、本人が自分で腕を袖に通せる場合、その動作は本人に任せるようにします。
ボタンを留めるなど、一人では難しい部分だけを支援することが大切です。
できる動作を続けてもらうことで、本人が持っている力を日常生活の中で生かせます。
障害福祉で本人の希望をもとに生活目標を決める例
生活目標を決める際は、支援者だけで判断せず、本人がどのような生活を送りたいのかを確認します。
例えば「一人で買い物に行きたい」という希望があれば、移動や支払いなど、必要な行動を一緒に考えます。
本人の希望をもとに目標を決めることで、目指したい生活に向けた支援につながります。
相談支援で本人が選択肢を比較して決定する例
福祉サービスを選ぶ際は、支援者が一つに決めるのではなく、本人が比較できる複数の選択肢を示します。
それぞれのサービス内容や利用できる日時などを、本人に分かりやすく伝えることが大切です。
違いを理解したうえで希望するサービスを選べるようにすることで、本人の意思を尊重した支援につながります。
まとめ
福祉におけるエンパワーメントとは、本人が持っている力や強みに目を向け、自分で選択・決定しながら生活できるよう支える考え方です。
支援者が本人に代わってすべてを決めるのではなく、本人の希望や意思を確認し、できることは本人に任せながら、難しい部分を支援します。
介護や障害福祉、相談支援などでは、本人ができる動作を生かす、希望をもとに生活目標を決める、複数の選択肢から本人が選べるようにするといった方法で実践できます。
本人の自己決定を尊重しつつ必要な支援を行い、本人が自分の生活について考えて行動できる機会を確保することが大切です。