目次
はじめに
「フィードバック阻害とは、どのような状態のこと?」
「相手のために意見を伝えているのに、なぜ受け入れてもらえないの?」と疑問に感じていませんか。
職場で上司から改善点を伝えられたときに、内容を聞く前から言い訳をしたり、「自分は間違っていない」と反発したりして、話し合いが進まなくなることがあります。
この記事では、フィードバック阻害とは何かを整理したうえで、どのような仕組みで起こるのか、職場ではどのような場面に表れるのかを具体例とともに順を追って説明していきます。
フィードバック阻害とは?

フィードバック阻害とは、生体内で物質を合成する反応が進んだときに、できあがった最終産物が途中の酵素の働きを抑える仕組みです。
ここでは、最終産物が酵素の働きを抑える仕組みと、フィードバック阻害が起こる理由を順に説明します。
最終産物が酵素の働きを抑えて過剰な生産を防ぐ仕組み
最終産物が十分に増えると、その物質が合成に関わる酵素に結合し、働きを抑えることで生産量を減らします。
最終産物が少なくなると酵素への阻害が弱まり、再び合成が進むようになります。
このように、生産量に応じて酵素の働きを調整することで、必要以上に作られるのを防いでいます。
フィードバック阻害が起こる理由
フィードバック阻害は、最終産物を必要以上に作らず、原料やエネルギーの無駄を減らすために起こります。
十分な量がある状態で合成を続けると、必要のない反応にも原料やエネルギーが使われてしまいます。
そのため、最終産物が増えた段階で合成を抑え、効率よく必要な量を保つ仕組みになっています。
フィードバック阻害の仕組み
フィードバック阻害では、合成経路で作られる最終産物の量に応じて、初期段階の酵素の働きが変化します。
ここでは、最終産物の増減によって合成反応がどのように調節されるのかを説明します。
最終産物が増えると初期段階の酵素が阻害される
最終産物が増えると、その物質が合成経路の初期段階にある酵素に結合し、働きを抑えます。
酵素の働きが弱まると反応が遅くなり、次の反応へ送られる物質も少なくなります。
その結果、最終産物の合成量が減り、必要以上に作られるのを防ぎます。
最終産物が減ると阻害が弱まり再び合成が進む
最終産物が減ると、酵素に結合する量も少なくなり、阻害が弱まります。
酵素が再び働けるようになると、初期段階から反応が進み、最終産物の合成量も増えていきます。
このように、最終産物の量に合わせて酵素の働きが調整される仕組みになっています。
フィードバック阻害の具体例
フィードバック阻害の仕組みは、アミノ酸が合成される経路で確認できます。
ここでは、イソロイシンの量に応じて合成経路がどのように調節されるのかを説明します。
H3:トレオニンからイソロイシンが合成される経路
トレオニンからイソロイシンが作られる過程では、複数の酵素が順番に働き、反応を進めていきます。
イソロイシンが十分に増えると、最初の反応に関わる酵素の働きが抑えられ、合成量が減ります。
一方、イソロイシンが少なくなると阻害が弱まり、再び合成が進む仕組みになっています。
フィードバック阻害とアロステリック効果の関係
フィードバック阻害では、最終産物が酵素の特定の部位に結合することで、酵素の働きが調節される場合があります。
ここでは、フィードバック阻害とアロステリック効果がどのように関係しているのかを説明します。
フィードバック阻害はアロステリック効果による調節の一つ
フィードバック阻害では、最終産物が酵素の活性部位とは異なる「アロステリック部位」に結合することがあります。
結合によって酵素の立体構造が変わると、基質との反応が進みにくくなり、酵素の働きが抑えられます。
このように、活性部位以外への結合によって酵素の働きを調整する仕組みを、アロステリック効果といいます。
まとめ
フィードバック阻害とは、合成された最終産物が途中の酵素の働きを抑え、同じ物質が必要以上に作られるのを防ぐ仕組みです。
最終産物が増えると初期段階の酵素が阻害され、減ると阻害が弱まって再び合成が進みます。
トレオニンからイソロイシンが合成される経路では、増えたイソロイシンが最初の反応を進める酵素を阻害することで、合成量が調節されます。
また、最終産物が酵素の活性部位とは異なる部位に結合して働きを変える場合は、アロステリック効果による調節として説明できます。