目次
はじめに
本資料は、効果的なプレゼンテーションの構成方法と具体的なテンプレート例をまとめた実用ガイドです。代表的な構成の型や場面別の使い方、資料作成のコツ、テンプレートの入手方法まで網羅し、論理的で説得力ある資料作りをサポートします。
目的
- プレゼンの要点を明確に伝えるための「構成力」を身につける。
- 聴き手にとって分かりやすい資料を短時間で作る手順を示す。
想定する読者
- 社内会議や提案資料を作るビジネスパーソン。
- 講演やセミナーの構成を改善したい方。
- 初めてプレゼン資料を作る学生や新人。
本書の使い方
- 第2章以降で基本テンプレートと実例を順に紹介します。まずは自分の目的(伝えたいこと)をはっきりさせて読み進めてください。
- 各テンプレートはそのまま使えますが、聞き手や時間に合わせて調整することをおすすめします。
プレゼンで大切なこと(ポイント)
- 目的を最初に決める:結論を明確にするほど伝わりやすくなります。
- 聞き手を意識する:専門用語は控え、例や比喩で補います。
- 論理的な流れを作る:導入→本論→結論の流れを保ちます。
- 視覚と時間を管理する:スライドは簡潔にし、発表時間を必ず練習します。
次章では、プレゼン構成の基本とよく使われるテンプレートを詳しく解説します。
プレゼン構成の基本とよく使われるテンプレート
プレゼンの構成には型があると準備が楽になります。ここでは代表的なテンプレートをやさしく解説します。
三部構成(序論→本論→結論)
序論でテーマと目的を示し、本論で根拠や事例を並べ、結論で要点をまとめます。例:新商品導入の発表なら「目的→市場分析→提案→まとめ」。どんな場面でも使いやすい基本型です。
PREP法(Point→Reason→Example→Point)
まず結論(Point)を述べ、理由(Reason)と具体例(Example)で裏付けし、最後に再度結論で締めます。短時間で説得したい場面に有効です。例:会議での提案や意思決定の場。
SDS法(Summary→Details→Summary)
最初に要点を伝え、詳細を説明して、最後に要点を繰り返します。記憶に残したい発表に向きます。報告や研修で使いやすいです。
問題解決型(問題→原因→解決策)
問題の提示から原因分析、具体的解決策を示します。企画提案や改善報告に適しています。数値や図を使うと説得力が増します。
PASONA法(Problem→Affinity→Solution→Offer→Narrowing down→Action)
顧客視点で問題を掘り下げ、解決策と行動への導線を示します。営業やマーケティング向けです。オファー部分を明確にすると効果的です。
トピカル構成
トピックごとに整理して順序立てて説明します。複数の独立した項目を扱うときに便利です。時間配分を明示すると聞き手がついてきやすくなります。
テンプレートの選び方
目的・時間・聞き手に合わせて型を選びます。短時間ならPREP、説得重視ならPASONA、全体説明なら三部構成やトピカルがおすすめです。
具体的な構成テンプレート(PREP法の例)
PREP法の基本(再確認)
PREPは「Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(再結論)」の流れで話を組み立てます。主張が明確になり、短時間で説得力を高められます。
スライドごとの例(3分プレゼンの場合)
- スライド1(10〜20秒):Point
- タイトルに結論を載せます。例:「新製品Aで業務効率30%向上」
- スライド2(40〜60秒):Reason
- 理由を2〜3点に絞って説明します。能動的な言葉で伝えます。
- スライド3(60〜90秒):Example
- 実際のデータや事例を示します。図やグラフで視覚化すると分かりやすいです。
- スライド4(20〜30秒):Point(再結論)
- 最初の結論を短く繰り返し、行動を促します(例:導入検討の次ステップ)。
会議や提案書向けの少し長めのテンプレート(10分)
- 導入:結論と要点(30秒)
- 背景:現状の課題(1分)
- 理由:結論に至る論拠(2分)
- 具体例:ケーススタディ、数値、図表(4分)
- 反論対応:想定質問への短い回答(1分)
- 再結論+次ステップ(30秒)
使える言い回し(テンプレ)
- Point:「結論から申し上げます。〜です。」
- Reason:「その理由は主に〜だからです。」
- Example:「例えば、〜のケースでは、〜という結果が出ています。」
- Point(再結論):「以上より、〜を提案します。」
よくある注意点
- 結論を最後に出して長く引っ張らないでください。最初に結論を明示します。
- 具体例は数値や誰のケースかを明示すると信頼度が上がります。
- 理由が長くなる場合は箇条書きで分け、聞き手の負担を減らします。
チェックリスト(準備時)
- 結論は1文で言えますか?
- 理由は2〜3点に絞れますか?
- 具体例は1〜2つ、または図表で示せますか?
- 最後に求めるアクションを明確にしましたか?
プレゼン本番では、まず結論を伝えることで聞き手の注意を引き、理由と具体例で納得を積み重ねてください。
プレゼン構成フォーマットの活用事例・場面別テンプレート
プレゼンの目的や場面で最適な構成は変わります。ここでは代表的な場面別に使いやすいフォーマットと、具体的な流れ例、短いフレーズ例を紹介します。
1. ビジネス提案・営業
- 基本フォーマット:問題→原因→対策→効果
- スライド例:現状の課題(1)→ 課題の原因(1)→ 提案内容(2)→ 導入効果(1)→ 次のアクション(1)
- フレーズ例:"現在の課題は〜です。原因は〜と考えます。そこで、〜を提案します。導入後には〜の効果が見込めます。"
2. 会社・商品紹介
- SDS法(Summary→Details→Summary)やトピカル構成が有効
- SDS例:冒頭で要点を示す(1)→ 詳細説明(2〜3)→ 再び要点で締める(1)
- トピカル例:特徴A→特徴B→導入事例→まとめ
- フレーズ例:"まず結論として〜です。次に詳細をご説明します。最後にもう一度要点を整理します。"
3. 教育・研修
- わかりやすい構成:序論→本論→結論、またはPREP(Point・Reason・Example・Point)
- 時間配分:導入(10%)→ 本論(70%)→ 演習・確認(15%)→ まとめ(5%)
- フレーズ例(PREP):"結論は〜です(P)。その理由は〜だからです(R)。具体例として〜(E)。ですから〜(P)。"
■実践のコツ
- 聴衆のゴールに合わせて最初の1分で期待値を示す
- 各場面で"次のアクション"を明確にする
- スライドは1枚に1メッセージを心がける
上記を場面に合わせて組み替えると、伝わりやすいプレゼンになります。
資料作成の具体的なコツ
はじめに
ここでは、実際にスライドを作るときに役立つ具体的なコツをまとめます。常に「聞き手に何を伝えたいか」を起点に作成してください。
1スライド1メッセージを徹底する
- スライドごとに伝えたい結論を1つに絞ります。余計な情報を削り、タイトルで結論を示すと分かりやすくなります。
- フォントは読みやすさ優先で、タイトルは28ポイント以上、本文は20ポイント以上を目安にします。
箇条書きの扱い
- 箇条書きは原則3項目以内に絞ります。多い場合はスライドを分けます。
- 強調は色や太字、アイコンで行い、強調箇所だけ目立たせます。
図表と色分けのコツ
- 複雑な表は要点だけ抜き出して簡潔に示します。注釈や凡例は短くします。
- 色は2〜3色に制限し、背景とのコントラストを確保します。重要な箇所だけ目立たせます。
- グラフは軸ラベルと単位を明記し、線や棒の太さを揃えます。
イントロ(導入)の作り方
- 最初に自己紹介(氏名・役職・関係性)を一言で述べます。
- 次に目的を1文で示し、聞き手が得られる価値を明確にします。
- 背景は現状と課題を簡潔に述べ、関心を引く問いを投げると効果的です。
- アジェンダは3〜5項目で流れを示します。
仕上げのチェックと練習
- 1スライドあたりの説明時間は1分前後を目安に調整します。
- 話すメモは箇条で用意し、スライドには出しません。
- プロジェクターで実際に投影して文字や色の見え方を確認します。
これらを意識して作ると、伝わりやすい資料になります。聞き手の視点で何度か見直してください。
プレゼン資料テンプレートの入手方法
どこで入手できるか
- PowerPoint、Canva、Keynoteなどのテンプレート集:無料・有料のデザインが豊富です。用途別(報告、提案、研修)で探せます。
- 素材配布サイトやテンプレートマーケット:企業向けのフォーマットや業種別テンプレが見つかります。
- 企業・学校の公式テンプレート:ブランドに沿った体裁が整っています。
- AI生成ツール:キーワードや目的を入力すると、タイトル・目次・スライド案を自動作成します。簡単に初稿を作れます。
選び方のポイント
- 目的に合うレイアウトとスライド数を優先します。
- 配色とフォントの互換性を確認します。社内フォントがないと崩れることがあります。
- 商用利用や改変可否などライセンスを必ず確認します。
AIツール活用の手順
- 目的と聴衆を短く入力します。2. 提案された目次を確認・編集します。3. 各スライドを必要に応じて簡潔に修正します。誤情報や表現の偏りがないか必ずチェックしてください。
カスタマイズと保存のコツ
- スライドマスターで共通要素を整えます。色と見出しのスタイルを統一すると見やすくなります。
- 図表は元データを残し編集できる形式で保存します。
- 最終は配布目的に応じてPPTXやPDFを使い分けます。
著作権・配布の注意点
- テンプレートの出典とライセンス条件を守ることが大切です。公開・配布前に確認してください。
まとめ:伝わるプレゼンのためのポイント
要点を一言で決める
まず伝えたい核心を一文で表現してください。聞き手が会話後に覚えている一つのメッセージを基準に構成します。
型を使って論理を組み立てる
PREP法、三部構成、問題解決型など、目的に合う「型」を選びます。型を使うと論理が崩れにくく、説得力が高まります。
資料は補助に徹する
スライドは説明の補助です。短い見出し、図表、視覚的な強調で理解を助けましょう。文字を詰め込みすぎないことが大切です。
練習と想定問答
時間配分を確認し、想定される質問に答えを用意します。声の大きさやスピードもリハーサルで整えます。
ツールは効率化に使う
テンプレートやAIは効率を高めますが、必ず自分の言葉で調整してください。
これらを繰り返すことで、誰でも伝わるプレゼンを作れるようになります。