目次
はじめに
本記事のねらい
本記事は、プレゼンテーションでよく使われる「起承転結」という構成を、誰でも実践できる形でわかりやすく解説します。基本的な意味から活用法、メリットや注意点、他の構成との違い、実際の応用ポイントまで順序立てて説明します。ビジネスの会議や提案、社内発表などで役立つ内容です。
誰に向けて書いたか
プレゼンをより伝わりやすくしたい方、構成に悩む方、初心者から中級者まで幅広く想定しています。経験者の方には具体的な使い分けのヒントも提示します。
読み方と使い方
各章は短く要点をまとめています。まず第2章で起承転結の基本を押さえ、第3章以降で実践的な方法や注意点を学んでください。章ごとに例を挙げるので、自分の場面に当てはめて読み進めてください。
起承転結とは何か?プレゼンでの基本的な位置づけ
起承転結の由来と考え方
「起承転結」は漢詩の構成に由来する四つの流れです。日本の物語や文章で長く使われ、話の流れを分かりやすく整理します。プレゼンでも聞き手に伝わりやすい骨組みになります。
各パートの役割(簡潔な説明)
- 起:話の始まりです。背景や状況、目的を示して聞き手の関心を引きます。
- 承:話を具体化します。事実やデータ、具体例で内容を深め、納得感を高めます。
- 転:視点を変える部分です。問題提起や意外性、解決のきっかけを示し注意を引きます。
- 結:結論や提案、次の行動を示します。聞き手に明確な印象を残します。
プレゼンでの基本的な位置づけ
プレゼンでは「起」で導入し、「承」で論拠を示し、「転」で核心を強調し、「結」で行動を促します。スライドの配置なら、冒頭に"起"を置き中盤で承を丁寧に説明、後半で転を使って注意を集中させ、ラストで結を明確にします。
簡単な例(製品提案の場合)
- 起:市場の課題を示す(顧客が抱える困りごと)
- 承:製品の特徴と導入事例を示す
- 転:既存解決策の限界を示し、自社製品の差別化を明らかにする
- 結:導入の提案と次のステップ(問い合わせやトライアル)を示す
配置の目安と注意点
時間配分の目安は起10〜20%、承40〜50%、転15〜20%、結15〜20%程度です。各パートで一つの主題に絞り、移行は明確な言葉でつなげると聞き手が理解しやすくなります。
プレゼンでの起承転結活用法
起(導入)
・結論を最初に示します。聞き手が最も伝わるように、30秒〜1分で「要点」を述べます。例:「結論は、Aサービスを導入すれば導入コストを半減できます。」
承(展開)
・背景、理由、根拠を順序立てて説明します。データや具体事例を使い、質問が出ないように丁寧に補足します。スライドは「1スライド1メッセージ」が目安です。
転(転換)
・聞き手の疑問や反論を先回りして提示します。競合比較やリスク、想定される課題を示し、その対処法を提示します。例:「懸念される費用は導入後の運用削減で相殺できます」
結(まとめと行動喚起)
・最初に示した結論を短く再提示し、次のアクションへつなげます。例:「以上の理由から導入を提案します。承認いただければ来月からPoCを開始します。」
実践のポイント
・冒頭で結論を明確に。承は短く具体的に。転で信頼感を高め、結で決断を促す。
・時間配分は起:30秒〜1分、承:プレゼンの6〜7割、転:2割、結:1割を目安に調整してください。
・よく使うフレーズ例:"結論から申し上げますと..."、"根拠は〜です"、"想定される課題は〜ですが、対策は〜です"。
これらを意識すると、聞き手が理解しやすく意思決定がスムーズになります。
起承転結のメリットと注意点
メリット
- ストーリー性が生まれ、聞き手の感情に訴えやすくなります。例:最初に問題を示し、解決策→効果と進めば共感を誘います。
- 情報を段階的に整理できるため、論理的な説得力が増します。数値や事例を承に入れると納得感が高まります。
- 問題提起→解決策→理想の未来と自然につなげられるため、行動につなげやすくなります。ビフォー・アフターの描写が効果的です。
注意点
- 日本語の話し方では好まれる一方で、話が長くなり結論が分かりづらくなることがあります。要点が埋もれないよう配慮します。
- 最初に結論を示すPREP法(結論→理由→具体例→結論)も有効です。特に時間が短い場面や意思決定を促す場面では有利です。
- 聴衆目線で情報を並べる場合は、順序を柔軟に変える工夫が重要です。相手の関心が高い部分を先に出すと伝わりやすくなります。
実践的な対処法
- 冒頭で一文の結論を示し、詳細を起承転結で展開する。これで分かりやすさと物語性を両立できます。
- スライドは要点を絞り、各パートに見出しをつける。時間配分を決め、練習で冗長さを削ぎます。
- 聴衆の反応を見て順序を調整する準備をしておくと安心です。
起承転結以外の構成との比較
この章では、起承転結とよく比較されるPREP法と3幕構成を取り上げ、それぞれの特徴と使いどころを分かりやすく説明します。
PREP法(結論→理由→具体例→再結論)
- 流れ:まず結論を示し、その根拠、具体例で補強して再度結論で締めます。
- 長所:端的で説得力が出ます。時間が限られた会議や報告で効果的です。
- 短所:物語性は弱く、感情に訴える場面には不向きです。
- 具体例:会議で「導入メリットはコスト削減です。理由は…(事例)…です。したがって導入を推奨します。」
3幕構成(導入→提案→行動喚起)
- 流れ:聴き手の関心を引き、解決策を示し、行動を促します。
- 長所:行動喚起に強く、商品説明やセールスに向きます。著名なプレゼンターも愛用します。
- 短所:時間や準備が必要で、簡潔さを優先する場面では向きません。
- 具体例:問題提起→新サービスの提案→申し込み方法や期限の提示
起承転結との比較と選び方
- 起承転結は物語性で感情移入を生みます。PREP法は論理的に短時間で納得を得ます。3幕構成は聴き手を行動へ導きます。
- 選ぶ基準:目的(説得・共感・行動)、時間、聴衆の期待で判断してください。
- 実用のコツ:場面に応じて組み合わせます。例えば、冒頭でPREPの結論を示し、続けて起承転結で背景を語り、最後に3幕の行動喚起で締めると効果的です。
成功するプレゼンのための起承転結応用ポイント
結論を先に提示する理由と実践方法
聞き手の注意を早く引くため、冒頭で結論を明確に述べます。例えば「今回の提案でコストを10%削減します」と端的に示し、その根拠を後で示す構成にします。短い一文で核心を伝えると効果的です。
承で納得感を作るテクニック
事実やデータ、現状の問題点を具体例で示し、結論につながる論拠を積み上げます。箇条書きや図を使い、論理の流れを見える化すると聞き手が理解しやすくなります。
転で変化を印象付ける方法
ここでは“気づき”や“比較”を使い、これまでとこれからの違いを示します。ビフォー・アフターや具体的なストーリーを用いると、変化の重要性が伝わります。
結で行動を促すコツ
最後に結論を再度短くまとめ、具体的な次の一手を提示します。時間や担当、期待される成果を明示すると意思決定が進みます。
相手ファーストで順序や内容を柔軟にする
聞き手の知識レベルや関心に合わせ、承と転の長さや順序を入れ替えます。経営層には結論優先、現場には具体事例優先など、相手に合わせて調整してください。
実践チェックリスト
・冒頭で一文の結論を言う
・承は3点以内で簡潔に
・転は一つの強いエピソードで示す
・結で必ず次の行動を提示する
これらを意識して練習すると、起承転結がより説得力のある武器になります。
まとめ:プレゼンでの起承転結はどう使うべきか?
結論
起承転結は物語性と説得力を高める有力な構成です。感情的な共感や流れを重視する場面で特に効果を発揮します。一方で、結論を先に伝えたい場合や時間が限られる場面では、PREP法や相手ファーストの順序と併用すると伝わりやすくなります。
使い分けの目安
- 目的が「納得」や「共感」の場合:起承転結を軸にする。具体例や転の驚きで興味を引きます。
- 目的が「意思決定」や短時間での報告の場合:結論先出し(PREPや相手ファースト)。聞き手が忙しいとき有効です。
組み合わせのコツ
- 冒頭で結論を簡潔に伝え、続けて起承転結で背景と物語を示すと両方の利点を得られます。
- 各章でPREPの意識(Point→Reason→Example→Point)を取り入れると説得力が増します。
実践チェックリスト
- 聞き手の期待と時間を確認する
- 目的に合う構成を選ぶ
- 要点は繰り返して分かりやすく示す
- スライドや話の切れ目で「合図」を入れる
起承転結は万能ではありませんが、他の手法と柔軟に組み合わせることで、より伝わるプレゼンになります。相手を想像して構成を調整する習慣を身につけてください。