目次
はじめに
本書の目的
本ドキュメントは「コミュニケーション プランニング」を幅広く、かつ実務に活かせる形でまとめています。役割やスキル、プラン作成の手順、SEOやSNSとの関わり、実践事例までを網羅し、現場で使える知識を提供します。
対象読者
マーケティングや広報に携わる方、社内でコミュニケーション設計を任された方、またプランニングの考え方を学びたい学生や経営者にも向いています。専門用語は最小限に抑え、具体例で補足します。
本書の構成と読み方
各章は独立して読めますが、基礎から学びたい方は順に読むことをおすすめします。第2章で役割を理解し、第4~6章でプラン作成の実務を学び、第9~10章でデジタル活用や事例に触れてください。
使い方のポイント
実践的なテンプレートやチェックリストを随所に用意しました。まず自社の課題を一つ決め、該当章を読みながら手を動かすと理解が早まります。
コミュニケーションプランナーとは
定義
コミュニケーションプランナーは、複雑になったメディア環境の中で、商品やブランドと生活者の接点を最適化する専門職です。全体の戦略を俯瞰し、どの場面でどのメッセージを届けるか設計します。
主な業務
- 課題の整理・問題設定
- 戦略策定とターゲット行動の分析
- カスタマージャーニー設計と接点の設計
- コミュニケーションコンセプト作成
- メディア選定と予算配分
- コンテンツやPRプランの企画制作
- 実施後の効果測定と改善
必要なスキル
マーケティングの全体像を描く思考力、定量・定性データの読み解き、クリエイティブと媒体運用の橋渡し力が求められます。TVCM、デジタル広告、イベント、SNS、CRMなどを組み合わせて最適化する実務力も重要です。
具体例
新商品発売なら、認知拡大のためのTVCM、関心層に刺さるSNSコンテンツ、購入後の離脱を防ぐCRM施策を連携させます。各施策の役割を明確にし、数値で検証して改善します。
日常の進め方
課題を仮説化→接点設計→クリエイティブとメディアの両輪で実行→測定と改善。常に生活者視点で“どこで何を伝えるか”を問い続ける仕事です。
指名検索を増やす|検索につなげる新たな概念「検索攻略2.0」
概要
指名検索を増やすには、単に広告やSEOだけでなく「検索に誘導する体験」を設計する必要があります。検索攻略2.0は、ユーザーの“発話”を生む仕掛けでブランド想起を高め、検索行動につなげる考え方です。
DRメソッド(Demand Response)の活用
DRメソッドとは、需要が高まる瞬間に応答を促す設計です。SNSで話題を作り、ユーザーが自然にブランド名や商品名を口にする状況をつくります。たとえば、限定キャンペーンや参加型企画で「まずブランド名で検索したくなる」導線を用意します。
SNSキャンペーンの4要素
キャンペーンは次の4つで構成します。
- 拡張機能:参加を簡単にする仕組み(スタンプ、フィルター、テンプレ)
- 参加条件:投稿やタグ付けなどシンプルな行動
- 返信方法:運営からの即時レスポンス(リプライ、DM、自動返信)
- 返信内容:検索につながる情報(公式ページの案内や限定ワード)
具体例:ハッシュタグチャレンジを開催し、参加者にオリジナルスタンプを配布。運営は参加者に「詳しくは○○で検索」と返信し、検索行動を誘導します。
設計のポイント
- ユーザー発話を想定した文言を用意する
- 参加のハードルを下げる
- 返信は即時かつ検索に直結する内容にする
これらを継続すると、SNS上の会話が増え、指名検索が自然に伸びます。
コミュニケーションプランとは?作成するメリットや作り方を解説
概要
プロジェクトマネジメントにおけるコミュニケーションプランは、誰に何を、いつ、どのように伝えるかを定めてチームで共有する計画書です。情報の漏れや誤解を防ぎ、意思決定をスムーズにする役割を持ちます。
作成するメリット
- 必要な情報を必要な人に確実に届けられます。
- 誤解や二度手間を減らし、スケジュール遅延を防げます。
- 責任の所在が明確になり、対応が早くなります。
作り方の基本ステップ
- 目的を明確にする:なぜその情報が必要かを書きます(例:経営判断、リスク共有)。
- 受信者を特定する:ステークホルダーごとに分けます(経営陣、実務チーム、外部パートナーなど)。
- 情報の内容と優先度を決める:必須情報と参考情報を区別します。
- 時間帯・頻度を決める:定例(週次、月次)とイベント時(障害、承認)のルールを作ります。
- 責任者を割り当てる:誰が作成し、誰が配信・承認するかを明確にします。
- 手段とフォーマットを定義する:メール、会議、レポート、プレスリリースなど具体的に決めます。
- フィードバックと改善を組み込む:定期的にプランを見直します。
具体例
- 週次進捗報告:プロジェクトマネージャーが要点1ページでメール送付(毎週月曜)
- 障害発生時:担当が即時電話+チャットで関係者に通知し、24時間以内に報告書を配布
作成時のチェックリスト
- 目的が明確か
- 受信者と責任者が決まっているか
- 送信手段と頻度が実用的か
- 承認フローが示されているか
- レビューのタイミングが設定されているか
この流れを踏めば、情報が適切に流れ、プロジェクトはより安定して進行します。必要ならテンプレート例もお出ししますのでお申し付けください。
SEOキーワード設計|コンテンツマーケティング・コンテンツ制作
概要
SEOキーワード設計は、検索で狙うべき語句を決めてコンテンツ制作に落とし込む作業です。検索ボリュームや競合、検索意図を踏まえて、上位表示と成果(流入・コンバージョン)の両方を目指します。企業の目的を反映した現実的な設計が重要です。
キーワード選定の3つの視点
- 市場ニーズ:検索数や関連ワードからユーザーが何を求めているかを把握します。例:『英会話 おすすめ』など
- 競合状況:上位サイトの強さ、意図の一致度、差別化ポイントを調べます。
- 訴求テーマ:自社が伝えたい価値(料金・品質・独自サービス)と合致するか確認します。
実務フロー(簡潔)
- 検索ボリュームと関連語の抽出(ツール利用)
- 検索意図の分類(情報収集型/比較型/購入意向型)
- 競合ページの内容分析とギャップ抽出
- キーワード→コンテンツのマッピング
- 制作・公開・効果測定と改善
施策の優先順位の決め方
- 流入貢献度(ボリューム)×コンバージョン可能性(意図)を重視します。
- 競合性(上位の強さ)と制作コストも考慮して実行順を決めます。
具体例:ボリューム中〜高、競合中でコンバージョン期待がある語を優先します。
コンテンツ設計のポイント
- ピラーページ+クラスターで体系化します。
- タイトル・見出しは検索意図に応じて作る(例:比較表、選び方の手順)。
- 内部リンクとCTAで導線をつくります。
マーケ戦略支援とコンセプトシート
ヒアリングから競合調査、キーワード設計、コンテンツ設計、ロードマップ作成までを支援します。企業・メディア・読者の3軸でコンセプトシートを作ると、制作判断がぶれません。
ワンポイント
最初は狙いを絞り、小さな成功を積み重ねてからスケールする方が効果的です。
コミュニケーション計画とは?作成のメリットや作成方法
コミュニケーション計画とは
コミュニケーション計画は、プロジェクトや業務で誰が何を、どのように伝えるかを明文化した文書です。チーム内やステークホルダーとの情報共有方法、頻度、責任者を整理します。
作るメリット
- 情報の抜け漏れを防げます。
- 期待値を合わせやすくなります(誰が何を伝えるかが明確になります)。
- トラブル時の対応が速くなります(連絡ルートが決まっているため)。
作成の基本手順(実務向け)
- 目的を決める:何のために計画するか(例:進捗共有、意思決定の迅速化)。
- ステークホルダーを特定する:関係者とその情報ニーズを洗い出します。例:経営陣は要点のみ、現場は詳細な手順。
- 情報の種類を整理する:報告内容、決定事項、リスクなど分類します。
- 手段と頻度を決める:メール、会議、チャット、週次・月次など。例:週次スタンドアップ、月次レポート、緊急は電話/チャット。
- 責任とフォーマットを定める:誰が作成・配信するか、テンプレートを用意します。
- 評価と更新の仕組み:定期的に見直し、改善点を反映します。
実例と注意点
- 小さなチームなら簡潔な表で十分です(担当者、頻度、チャネル)。
- 大規模プロジェクトはレベル別(経営、運用、顧客)で分けます。
- 柔軟性を持たせ、運用中に改善することが大切です。
優れた社内コミュニケーション・プランの作り方
目的と測定可能な目標を決める
最初に伝えたい核心的な目的を一文で定めます(例:新しい働き方の導入を全社員に理解してもらう)。次にKPIを決めます。具体例:理解度アンケートで80%以上、説明会の参加率70%以上、イントラ閲覧数500回/月など。
対象(誰に何を)を明確にする
全社向けだけでなく、部門・役職ごとにメッセージを分けます。例:管理職には運用ルール、現場には日常業務の変更点を重点配信します。
メッセージ設計は簡潔に
重要ポイントを3つ以内に絞り、具体例やワークフローを添えます。箇条書き、図、FAQを用いて分かりやすく示します。
チャネル選定と配信頻度
対面説明会、イントラネット、メール、社内SNS、動画などを組み合わせます。緊急度が高い内容は対面+メール、手順説明は動画+FAQが有効です。
実行体制と役割分担
責任者(オーナー)、運用担当、広報担当、現場リーダーを明確にします。タスクと期限をガントチャートで管理すると進行が見える化します。
フィードバックと改善の仕組み
理解度調査、Q&A集の更新、定期的な振り返り会を設けます。数値での評価と現場の声の両方を集めます。
よくある落とし穴と対策
・情報が一方通行になりがち→双方向チャネルを必ず用意する
・専門用語だけで説明→具体例や図を追加する
・計画が長期化→短期のマイルストーンを設定する
実践の小さな型(テンプレート)
目的/対象/主要メッセージ/チャネル/責任者/KPI/期限、の7項目をワンシートにまとめ、始めに全員へ共有します。
カスタマージャーニーマップはもう古い?SNS時代の“ビンゴ型”コミュニケーションプランニング
なぜ従来のカスタマージャーニーが合わないのか
従来のカスタマージャーニーマップは、消費者が段階を踏んで進む直線的な動きを前提にします。一方でSNS時代は、嗜好や接触経路が多様化し、ユーザーは複数の“入口”からブランドに出会います。したがって単一の旅程では機会を見落としやすくなります。
ビンゴ型とは何か
ビンゴ型は、縦横の軸で“嗜好(ペルソナの関心)”と“接点・訴求(フォーマットや感情)”を掛け合わせたグリッドです。各マスに具体的なコンテンツや施策を書き込み、複数のセルから同時に接触する戦略を作ります。偶発的な出会いや共感の広がりを狙いやすくなります。
具体例(コーヒーブランド)
- 行(嗜好): 健康志向、デザイン重視、コミュニティ志向
- 列(接点): レシピ動画、ユーザーレビュー、ライブ配信、記事
- マス例: 健康×レシピ動画→低糖アレンジ、デザイン×記事→パッケージ制作秘話
作り方(5ステップ)
- SNSでの発言やハッシュタグからパーセプションを抽出
- 嗜好のクラスタと接点の軸を決定
- ビンゴカードを作り、マスごとにアイデアを記入
- 優先度を決めてコンテンツ制作・配信
- エンゲージメントや認知指標で効果を検証し更新
活用のメリット
- 多様な関心に同時対応できる
- 発見由来の流入(バイラル)を取り込みやすい
- 社内で役割分担しやすく、PDCAが回しやすい
ビンゴ型は、線形の期待を外れた出会いを設計するための実践的な枠組みです。SNSデータを起点に、柔軟に更新していくことが成功の鍵になります。
デジタルマーケティングで指名検索数を増加させる認知想起
背景と目的
デジタル施策で狙うのは「単なる接触」ではなく、ブランド名を思い出して検索してもらうことです。2,450万人のリサーチパネルを活用し、認知・想起(aided/unaided)を測りながら施策を最適化します。
ターゲティングとパネル活用
年齢・地域・興味などでセグメントを作り、重要な層へ重点配信します。パネルで事前のベースライン調査を行い、施策後に同一パネルで追跡調査を行うことで、因果のある変化を検証できます。
クリエイティブと接触設計
短尺動画やバナーでブランド名を前半に出し、差し込みフレーズ(例:「まずは○○で検索」)を必ず入れます。シーケンシャル配信で認知→興味→検索誘導へ導きます。頻度管理は過剰接触を避けつつ十分な想起を生むレベルに設定します。
計測指標と検証
主要KPIは指名検索ボリューム、ブランドリフト(想起率)、直接流入の増加です。ABテストや広告接触有無の比較、パネル調査の事前後比較で効果を確認します。
実践例(簡単な流れ)
1) ベースライン調査→2) 広告配信(動画+検索連動)→3) 追跡調査と検索データ分析→4) クリエイティブ改善。パネルデータを活かし、短いサイクルで改善を回すことが成功の鍵です。
コミュニケーションプランニングの考え方とmedeluの事例紹介
はじめに
コミュニケーションプランニングは、伝えたい価値を届けるための道筋を作る作業です。ここでは考え方を整理し、架空のサービス「medelu(メデル)」の事例で具体的に説明します。
基本の考え方(ステップ)
- 目的設定:何を達成するか(認知、指名検索、購入など)
- ターゲット定義:誰に届けば効果的かを具体化
- コアメッセージ:一貫した伝え方を決める
- チャネル設計:検索、SNS、メール、店舗などを組み合わせる
- KPIと計測:指名検索数、流入、CVを設定して検証
medeluの事例(例)
- 事業概要:オンラインで健康相談と商品販売をするサービス
- 目的:検索での指名流入を増やし、相談から購入につなげる
- ターゲット:30〜50代の健康意識が高い人
- メッセージ:信頼できる専門アドバイスで日常の不安を解消する
- チャネル例:
- ブログで体験談やQ&Aを公開しSEOで認知を拡大
- SNSで短い動画やユーザーの声を発信して興味を喚起
- メールで相談のフォローや限定情報を提供
- 店舗やイベントで直接接点を作りブランドを定着
- KPI:指名検索数、相談申し込み数、成約率を月次で管理
実践のポイント
- メッセージを全チャネルで一致させる
- 小さな仮説を立てて迅速に検証する
- データを使って改善を続ける
最後に
計画は固定せず、顧客の反応を見ながら柔軟に調整してください。medeluの例は一つのモデルですので、自社の特性に合わせて応用してください。
ソーシャルメディアからはじまるコミュニケーションプランニング
はじめに
ソーシャルメディアは消費者の生の声が集まる場です。投稿やコメント、検索傾向を活用すると、ニーズや不満を早く把握できます。ここではデータをどう使ってコミュニケーションプランをつくるかを具体的に説明します。
なぜ重要か
短いサイクルで意見が変わる今、宣伝だけでなく共感を得る発信が求められます。SNSデータはターゲットの言葉遣いや関心を示すため、メッセージ設計の精度が上がります。
データ収集のポイント
- どのプラットフォームで声が多いかを確認する(例:Instagramはビジュアル、Twitterはリアルタイム)。
- ハッシュタグ、キーワード、エンゲージメント(いいね・リツイート)を抽出する。
- ポジティブ/ネガティブの傾向を簡単に分類する。
分析からプラン作成までの手順
- 目的を決める(認知向上、問い合わせ増加など)。
- キーワードと消費者の言葉を一致させる(検索語と投稿語の差を埋める)。
- コンテンツの型を決める(Q&A、体験談、短尺動画など)。
- KPIを設定し、定期的に指標を確認する。
実践例(簡単な想定)
新商品で「使い方が分からない」という投稿が多ければ、短いハウツー動画とQ&A投稿を優先して配信します。反応を見て改善を繰り返します。
注意点
個人情報や誤情報には注意し、必ず事実確認を行ってください。頻繁に見直す運用体制が重要です。