はじめに
本書の目的
本書は、アンガーマネジメントに関する主要な資格について、種類や特徴、取得方法、研修提供機関などを分かりやすく整理することを目的としています。資格ごとの違いを比較し、個人や職場のニーズに合った選び方を支援します。
この章で伝えたいこと
まずはアンガーマネジメント資格の全体像をつかんでください。資格名や認定団体、学び方の形式(通信、通学、オンライン)、費用や時間の目安を後の章で詳しく説明します。
想定する読者
- 初めてアンガーマネジメントを学ぶ方
- 職場のメンタルヘルス対策を検討している人事担当者
- 研修講師やカウンセラーを目指す方
具体例を交え、実務への活かし方も示します。
本書の使い方
各章は独立して読める構成です。まず本章で全体像を把握し、興味のある資格の章へ進んでください。費用や取得難易度で比較したい場合は、第3章と第5章を重点的にご覧ください。
注意事項
資格の名称や認定基準は団体ごとに異なります。最新の情報は各認定団体の公式サイトで必ずご確認ください。
アンガーマネジメント資格の種類と詳細
概要
アンガーマネジメントの資格は目的や学び方で違います。ここでは主な4資格を分かりやすく紹介します。
アンガーマネジメントファシリテーター(日本アンガーマネジメント協会)
- 受講料:143,000円、認定料:33,000円
- 形式:対面またはオンライン
- 特徴:講師として入門講座を開催できます。実践的な指導方法を学びたい人向けです。
アンガーコントロールスペシャリスト(JADP)
- 受講料:59,800円、受験料:5,600円
- 形式:通信講座(学習期間6か月)
- 特徴:初心者にも取り組みやすい基礎資格です。自分のペースで学べます。
アンガーコントロール士(JIA)
- 受講後に在宅受験、受験料:10,000円
- 特徴:講師を目指す人に適しています。通信学習で準備し、試験で資格を得ます。
アンガーカウンセラー®(日本メディカル心理セラピー協会)
- 受験料:10,000円、在宅受験可能
- 特徴:カウンセリングの視点で怒りに対処する技術を学びます。対人支援を重視する人向けです。
それぞれ費用や学習方法、目指す役割が異なります。自分の目的に合う資格を選んでください。
資格取得方法の比較
以下は主要なアンガーマネジメント関連資格を、認定団体・受験料・受講形態・講師資格の有無で比較した表です。
| 資格名 | 認定団体 | 受験料(目安) | 受講形態 | 講師資格の有無 |
|---|---|---|---|---|
| アンガーマネジメントファシリテーター | 主に民間の協会・団体 | 数万円〜十数万円(高額) | 対面研修+実践課題や講座受講が中心 | あり(講師・ファシリテーターとして認定) |
| アンガーコントロールスペシャリスト | 民間の資格団体、通信講座運営会社 | 数千円〜数万円(比較的低価格) | 通信・在宅受験やオンライン講座が中心 | 限定的(講師資格は別段階や条件あり) |
| アンガーコントロール士 | 民間団体 | 数千円〜数万円 | 通信講座・在宅試験中心 | 限定的 |
| アンガーカウンセラー® | 商標登録された民間資格(運営団体により名称・要件が異なる) | 数千円〜数万円 | 通信・オンライン中心、在宅受験可 | 限定的(カウンセリング実務や追加研修が必要な場合あり) |
各資格の特徴(簡潔に)
- アンガーマネジメントファシリテーター:講師やファシリテーターを目指す人向けです。実践研修や対面での練習が多く、認定を得ると公に講座提供がしやすくなります。費用は高めです。
- 他の資格:費用を抑えて学べる点が魅力で、自己理解やセルフケアに向きます。通信や在宅受験が中心で学びやすい反面、講師活動をするには追加条件や別資格が求められることが多いです。
選び方の視点
- 目的(講師になりたいか、セルフケアか)を明確にする
- 費用と学習時間のバランスを見る
- 実技・対面練習が必要かどうかで選ぶ
上表を参考に、目的と予算に合った資格を検討してください。
アンガーマネジメント研修・講座の提供機関
企業や組織がアンガーマネジメント研修を導入する際、提供機関の特徴を比べると選びやすくなります。ここでは主な4機関の特徴と、導入時に押さえておきたい点を分かりやすく紹介します。
アガルート(法律・資格系教育事業者)
特徴: 法律や資格講座のノウハウを持ち、教材が体系化されています。個人向け通信や資格取得支援が得意で、基礎理論をしっかり学びたい個人や社内で資格制度を作りたい企業向け。例: 自習用テキスト+オンライン講義で基礎を習得する流れ。
リスキル(大手企業導入多数)
特徴: 大手企業での導入実績が豊富で、管理職向けのカスタマイズ研修を得意とします。集合研修やオンラインライブを組み合わせ、事例中心のワークショップを行います。例: 管理職向けロールプレイを含む半日研修。
インソース(多様な受講形態対応)
特徴: 幅広い受講形態(集合、オンライン、eラーニング)に対応し、規模や期間に応じた設計が可能です。例: 多拠点での同時開催や大人数分割実施。
アンガーマネジメントジャパン(普及と資格認定)
特徴: アンガーマネジメント普及団体として資格認定や教材提供を行います。理論と実践を両立させたプログラムが多く、認定講師による社内研修支援も提供。例: 社内講師育成と社内資格制度の導入支援。
研修選びのポイント
- カスタマイズ性: 具体的な職場課題に合わせられるか。例: コールセンター対応の事例を入れられるか。
- 実践ワークの有無: ロールプレイやケーススタディがあるか。
- 講師経験: 実務経験や導入実績の有無。
- フォロー体制: 研修後のフォロー(相談窓口、eラーニング補講など)。
- 受講形態とスケジュール: オンラインか集合か、短時間か長期か。
- 費用感: 事前に目安を確認し、成果と見合うか評価する。
導入の流れ(目安)
- 問い合わせと要件ヒアリング
- 提案・見積もり
- トライアル(説明会や体験ワーク)
- 本研修実施
- フォロー・評価(アンケートや効果測定)
トライアルを活用して社内の反応を確認すると、導入後の定着が高まります。ご希望があれば、各社の選び方や比較ポイントをさらに詳しくご案内します。
資格選択のポイント
はじめに
資格は目的によって向き不向きが分かれます。ここでは個人のスキルアップ、講師・研修担当者を目指す場合、職場導入を検討する場合それぞれの視点で選び方を説明します。
1. 目的に合わせて選ぶ
- 個人のセルフケアや対人スキル向上:通信で学べるアンガーコントロールスペシャリストやアンガーカウンセラー®がおすすめです。自分の生活や職場で即実践できます。
- 講師や研修担当を目指す:アンガーマネジメントファシリテーターが最適です。人に教える方法やワークの運営を学べます。
2. 学習方法と時間
通信講座は働きながら学べます。通学や実習が必要な資格は短期で深く学べます。学習時間やスクーリングの有無を確認してください。
3. 信頼性と認知度
認定団体の実績や受験者数、企業での導入例を調べましょう。認知度が高いほど職場での活用や信頼につながります。
4. 実践機会とサポート
演習やロールプレイ、フォローアップ研修があるか確認しましょう。実践経験が資格の効果を高めます。講師を目指すなら指導経験の機会も重要です。
5. コストと費用対効果
受講料・教材費のほか、更新料や試験料も含めて比べてください。安価でも実践支援が乏しければ効果は下がります。
6. 職場導入の視点
企業研修として使うなら、研修提供機関の実績やカスタマイズ性、講師派遣の有無を選定基準にしてください。外部機関のサポートで導入がスムーズになります。
選び方のコツ(短く)
まず目的を明確にし、学習方法・実践機会・費用を比較します。複数の資格を組み合わせると応用力が高まります。