はじめに
チームビルディング研修でのゲーム活用
チームビルディング研修にゲームを取り入れると、参加者の緊張をほぐし、協力の機会を自然に作れます。ゲームは学びを体験に変え、記憶に残りやすくします。
3つのタイプと役割
- アイスブレイク系:初対面の緊張をやわらげ、場を温めます(例:名前ビンゴ、自己紹介ゲーム)。
- 協力・課題解決系:役割分担やコミュニケーションを促します(例:脱出ゲーム風ワーク、タワー作り)。
- 実務スキル向上系:ロールプレイやケース演習で業務に直結する力を鍛えます(例:模擬商談、フィードバック練習)。
ゲーム選定の基本ポイント
研修の目的を最優先にしてください。参加人数・時間・会場の条件に合わせて難易度や準備物を調整します。安全面や心理的配慮も必須です。
振り返りの重要性
ゲーム後に振り返りを設け、学びと日常業務への応用点を話し合う時間を確保しましょう。これにより体験が実践につながります。
アイスブレイク向けゲーム
目的
短時間で緊張をほぐし、会話のきっかけを作ることを目的とします。初対面でも参加しやすい内容を中心に紹介します。
基本ルールと準備
所要時間は概ね3〜10分。人数は少人数から大人数まで調整できます。必要なら簡単な名札や紙、ペンを用意してください。
おすすめゲーム
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バースデーライン(所要時間:3〜5分/人数:5人以上)
効果:自然な会話と協力を促します。やり方:会話せずに誕生日順に並びます。制限時間を設けると盛り上がります。 -
共通点探し(所要時間:5分/人数:4〜20人)
効果:交流のきっかけを生みます。やり方:グループで共通点を3つ探します。意外な発見が出ると会話が続きます。 -
伝言ゲーム(所要時間:3〜6分/人数:6人以上)
効果:聞き取りや伝達の楽しさを体験できます。やり方:一人から輪を通して一言ずつ伝え、最後に比較します。 -
2つの真実と1つの嘘(所要時間:5〜8分/人数:4〜15人)
効果:個人の話題提供と観察力を高めます。やり方:自分の事実を3つ述べ、嘘を当ててもらいます。
進め方のコツ
タイムキーパーを決め短時間にまとめます。司会は緊張をほぐす一言を添えると参加しやすくなります。
注意点
個人情報やプライバシーに触れる質問は避けてください。無理に話させない配慮を忘れないでください。
協力・課題解決系ゲーム
チームで話し合い、役割分担して目標を達成する力を育てるゲームを紹介します。短時間で気づきが得られ、普段の仕事にも活かせる点が魅力です。
目的と効果
- コミュニケーションの質向上:情報共有や報告の仕方が見えます。
- 役割分担とリーダーシップ:誰がどの役割を担うかを体験します。
- 問題解決力:制約条件の中で工夫する力が鍛えられます。
代表的なゲーム
- ペーパータワー
- ルール:紙だけで一定時間内に高い塔を作る。
- ポイント:材料制限を設け、試作と改善を促します。高さだけでなく安定性を評価基準にすると討議が深まります。
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学び:試行錯誤、時間配分、分業の重要性。
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脱出ゲーム(チーム版)
- ルール:制限時間内に手がかりを集めて謎を解く。
- ポイント:情報の共有方法と優先順位の取り方を観察します。難易度はチームに合わせて調整します。
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学び:意思決定の速さ、役割分担、リーダーのファシリテーション。
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ブラインドビルド(目隠しで組み立て)
- ルール:一部メンバーが目隠しで、他が口頭で指示して組み立てる。
- ポイント:指示の出し方と受け取り方、確認手順を意識させます。
- 学び:伝達の正確さ、質問の取り扱い、相互信頼。
実施のポイント
- 目標を明確にし、時間を区切る。
- 役割を事前に決めるか自由に選ばせ、両方を試す。
- 終了後に必ず振り返り(何が良かったか、改善点)を行う。
注意点
- 競争を過度に煽らない。協力の学びが薄れる恐れがあります。
- 心理的安全を保ち、失敗を責めない場作りを心がける。
- 物理的な安全やアレルギー等の配慮を忘れない。
これらのゲームは準備と振り返り次第で学びが大きく変わります。実施目的を明確にして運営すると効果が高まります。
実務スキル向上系ゲーム
概要
思考力、意思決定、説明力、業務理解などを鍛えるためのゲームを紹介します。短時間で実務に直結した気づきを得られる点が特長です。目的に応じて難易度や時間を調整してください。
ロールプレイ
目的:顧客対応や面談、交渉力の向上。やり方:役割(顧客・担当者など)を割り当て、想定シナリオで演じます。時間は1回あたり5〜10分が目安。効果:説明の順序や言い換えの技術、非言語の使い方が学べます。注意点:心理的安全を保ち、批判ではなく建設的なフィードバックを行いましょう。
コンビニ経営ゲーム
目的:優先順位付け・数値判断を身につける。やり方:売上・在庫・人件費などを与え、短期間で運営の意思決定を繰り返します。効果:限られた資源での判断力が鍛えられます。注意点:ルールを簡潔にして、初心者でも参加できるようにすること。
NASAゲーム
目的:合意形成と優先順位の練習。やり方:宇宙船事故の想定で必要物資をランク付けし、個人→チームで答えを合わせます。効果:説明力と根拠提示、妥協の仕方が学べます。実施後の振り返りで理由の違いを丁寧に討議してください。
ビブリオバトル(短いプレゼン)
目的:限られた時間での説得力と要点整理。やり方:1人3〜5分でテーマを説明し、質疑応答と投票を行います。効果:伝える力と聞き手を意識した構成力が高まります。
実施のポイント
・目的を明確にしてルールを簡潔にする。時間配分を守る。・フィードバックは具体例を挙げて行う。・振り返りで学びを業務に結びつけると効果が定着します。
目的別おすすめ早見表
研修の目的に合わせて、手早く選べる早見表です。各項目におすすめのゲームと実施の目安、進行のポイントを載せます。
打ち解け・アイスブレイク
- おすすめ: バースデーライン、共通点探し、伝言ゲーム
- 特徴: 短時間で会話を促し緊張を和らげます。
- 目安: 参加者5〜30人、所要5〜15分、準備物はほぼ不要
- 進行のコツ: 司会が最初に模範を見せるとスムーズです。発言を促して全員が参加できる雰囲気を作ってください。
チームワーク向上
- おすすめ: ペーパータワー、脱出系ゲーム、ドミノ系
- 特徴: 役割分担や連携を体験させ、協働の課題を明確にします。
- 目安: 4〜20人(チームに分ける)、所要20〜60分、紙やテープ、タイマー等を用意
- 進行のコツ: タイムボックスを設定し、終了後に5〜10分の振り返りを行って学びを共有してください。
実務力(意思決定・優先順位・対応力)向上
- おすすめ: コンビニ経営ゲーム、NASAゲーム、ロールプレイ
- 特徴: 制約下での判断や顧客対応スキルを実践的に磨きます。
- 目安: 6〜30人、所要30〜90分、模擬データやシナリオ、付箋やホワイトボードがあると良い
- 進行のコツ: 実施後に具体的なフィードバックを行い、学んだ行動を職場でどう活かすかを話し合ってください。
発想力・創造性向上
- おすすめ: ブレインライティング、制約付き工作(制限時間や素材を限定)
- 特徴: 多様なアイデアを短時間で引き出します。
- 目安: 人数問わず、所要10〜40分、付箋や画用紙を用意
- 進行のコツ: アイデアの批判は避け、量を重視してから優先度を決める流れにしてください。
すばやい選び方の目安
目的→時間→人数→用意できる素材の順で検討してください。実施後の振り返り時間も忘れずに確保すると効果が高まります。
ゲーム選定時のポイント
1. まずは条件を確定する
参加人数、実施時間、会場(室内・屋外・オンライン)を先に決めます。例えば参加30人で60分・室内なら、短時間で回るグループワーク型を中心に候補を絞れます。条件が決まると準備物や進行が明確になります。
2. 目的に合わせて評価基準を作る
目的(チームビルディング・課題解決・スキル習得など)を明確にし、何をもって成功とするかを決めます。たとえば「コミュニケーション活性化」が目的なら、発言回数やアイデア数を観察します。
3. 難易度と安全性を調整する
参加者の年齢や体力、関係性に応じて難易度を調整します。身体を使うゲームは安全確保や保険の確認を忘れないでください。
4. オンライン開催の工夫
画面共有やブレイクアウトルーム、チャット活用を計画します。移動や道具が不要なゲームを選ぶとトラブルが減ります。
5. 振り返り(デブリーフ)を必ず入れる
ゲーム後に少なくとも10〜15分の振り返り時間を確保し、「仕事の場面でどう活かせるか」を参加者に言語化させます。具体例を引き出すと学びが定着します。
6. 予備プランと時間配分
予定より長引くことを想定して予備の短縮版を用意します。進行役の台本やタイムキーパーを決めておくと運営が安定します。
7. 準備チェックリスト(最低限)
・参加人数とグループ分け方法
・必要道具と予備品
・進行台本と時間配分
・安全対策・禁止事項
・振り返りの問い(導入例を3つ用意)
これらを基に候補を絞ると失敗が少なくなり、研修効果が高まります。