調査記事まとめ
プロジェクトにおけるリスクの基本
プロジェクトマネジメントの分野では「リスク」とは何かご存じでしょうか。リスクとは“プロジェクトの目標達成に影響する、発生が不確実な事象や状況”のことを指します。一般的に「リスク=悪いこと」という印象があるかもしれませんが、実は良い影響(チャンス)が発生する可能性もリスクに含まれるのです。たとえば、新技術の導入によって思わぬ効率アップが見込めるといったケースも、プロジェクトにとってのリスク=可能性の一部と言えます。プロジェクト管理のガイドラインであるPMBOKでも、リスク管理はプロジェクト成功の要とされています。
リスクの基本的な分類と具体例
プロジェクトのリスクは主に「個別リスク」と「全体リスク」の2種類に分けられます。
- 個別リスクは、プロジェクト内の特定作業や要素に絞って影響を及ぼします。たとえば、メンバーの急な退職、パソコンの不具合や、特定作業の納期遅れなどがこれにあたります。
- 全体リスクは、プロジェクトそのもの全体に関わる不確実性で、外部環境の変化や大幅な予算超過、為替の変動などが該当します。
また、リスクはプロジェクトの良い影響を指す「好機リスク(オポチュニティ)」、悪い影響を指す「脅威リスク(スレット)」という分類でも考えられています。たとえば、納品物の品質向上による評判アップが期待できる場合は好機リスク、逆に予定外の不具合発生は脅威リスクにあたります。
実際に発生し得るリスクのカテゴリ
リスクはさらに細かく分類できます。戦略面では市場や競合環境のリスク、運用面では業務プロセスやサプライチェーンのリスク、財務面での資金繰りや信用の問題、法律面では契約や規制に関連するリスクなど、さまざまなカテゴリに分かれます。また、近年ではサイバーリスクや情報流出といった技術リスク、またスタッフのスキル不足やヒューマンエラーといった人的リスクも重要視されています。
リスク管理プロセスと実務例
リスク管理を進めるためには、まず「リスク・マネジメントの計画」を立てる必要があります。その上で、ブレーンストーミングやチェックリストを使ってリスクを洗い出し、重大度を評価します。必要に応じて予防策や緊急対応策を決め、定期的に見直すこともポイントです。たとえば、人員不足を防ぐための外部委託活用や、情報共有ミーティングの定例化、進捗遅延への早期対応などが代表的な対応例です。
このように、リスクの種類や性格を理解し、一つひとつに現実的な対策を立てることが、プロジェクト成功の秘訣となります。