目次
現場で即使える「プロジェクトマネジメント計画書」サンプル完全ガイド
プロジェクトマネジメント計画書とは?
プロジェクトを成功させるためには、計画が欠かせません。プロジェクトマネジメント計画書(以降、計画書)は、全体の進め方や、関係者との約束事を整理して明文化する文書です。計画書があれば、やるべきことや優先順位が明確になり、進捗管理もスムーズに行えます。
PMBOKベースの標準構成と現場の実用的な章立て
計画書には「PMBOK」(プロジェクト管理の標準的なガイド)に沿った正式な構成と、現場のニーズに合わせたシンプルな形の2種類がよく使われます。PMBOK準拠の標準フォーマットは、細かい内容まで網羅しているため、初めての方にはやや難しく感じる場合もあります。一方、実務向けには、「目的・スケジュール・体制・リスク」など、要点だけをまとめた手短な章立ても用意されています。
無料テンプレート配布先と用途別の使い方
計画書の作成にはテンプレートが役立ちます。インターネット上では、PowerPointやExcel形式、またはオンライン入力ができる無料のテンプレートが数多く配布されています。たとえば、簡単な議事録感覚でまとめるならExcel、見た目を重視したい場合はPowerPoint、複数人で同時編集をしたい状況ではオンラインツール(Googleドキュメントなど)がおすすめです。
記載項目の必須度・落とし穴・チェック観点
最低限含めるべき項目は「目的」「進め方」「スケジュール」「体制」「課題・リスク」などです。しかし、形だけ整えて内容が曖昧だったり、担当者名や日付が抜けていたりすると、あとでトラブルのもとになります。確認する際は、「誰が」「いつ」「何を」担当するのかが明確か、数字(例:納期や金額)が具体的かをチェックしましょう。
計画書を最短で作成するコツ
計画書は、一度に完璧を目指すより、「初版」を短時間で形にし、関係者と意見をすり合わせながら加筆修正をしていくのが現場のコツです。テンプレートを使い、必要項目を素早く埋めて、まず“叩き台”を作ることを心がけましょう。
次の章では、PMBOK準拠の「プロジェクトマネジメント計画書」基本構成についてご紹介します。
PMBOK準拠の「プロジェクトマネジメント計画書」基本構成
PMBOKガイドとは?
まずPMBOK(ピンボック)ガイドを簡単にご紹介します。PMBOKとは、米国プロジェクトマネジメント協会(PMI)がまとめた、広く国際的に認められているプロジェクト管理のベストプラクティス集です。特に大規模なプロジェクトや公式な監査対象となるケースでよく使われており、多くの企業や組織が標準として採用しています。
「プロジェクトマネジメント計画書」の基本構成
PMBOK準拠の計画書では、下記のような章立てが代表的です。
- プロジェクト概要
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プロジェクトの目的や背景、最終的なゴールを記載します。新製品の開発、システム導入など、何を目指すのかを明確にします。
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スコープ管理計画
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どこまでをプロジェクト範囲とするか、何をしないかを定義して、後から「やるべきこと」が増えすぎるのを防ぎます。
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スケジュール管理計画
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主要なマイルストーンや各タスクの期限を決め、進み具合の確認方法を明記します。
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コスト管理計画
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予算やコスト見積、コスト超過時の対応方法など、お金に関する方針をまとめます。
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品質管理計画
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成果物の品質基準や検証方法を決めて、「作ったものがちゃんと使い物になる」ことを保証します。
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リソース管理計画
-
必要な人員や設備、外部パートナーの役割分担を整理します。
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コミュニケーション管理計画
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誰が誰に何を、どの手段で、いつ報告・共有するかを決め、情報伝達ミスやトラブルを防ぎます。
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リスク管理計画
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発生しそうなトラブル(例:納期遅延、メンバー不足など)を洗い出し、予防策や対応手順を用意します。
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調達管理計画
-
外部に発注する場合の選定基準や発注手順、納品管理の考え方を書きます。
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ステークホルダー管理計画
- プロジェクトに関わる上司や取引先、利用者など、関係者それぞれの役割や期待値を明確に示します。
どんな場面で活きるか?
このように範囲・工期・費用・品質に加えて、人や外部調達、リスク、コミュニケーションまで一貫して管理することで、計画通り進めやすくなります。特に受託案件や大型プロジェクト、PMBOK準拠がルールの組織では必須の内容です。また、監査やゲート審査時にも信用度が高く、トラブル時の説明責任もしっかり果たせます。
次の章では、より現場で使いやすい「軽量・実戦」テンプレートの章立てについてご案内します。
現場向け「軽量・実戦」テンプレートの章立て
現場で実際に使いやすい「軽量・実戦」形式のプロジェクトマネジメント計画書は、必要最小限の情報を的確にまとめることがポイントです。ここでは、現場で即活用できる章立て例をご紹介します。余計な項目を削り、運用と意思決定に直結する要素だけを凝縮しました。
1. プロジェクト概要
プロジェクト名、背景や目的、対象範囲(スコープ)、条件や制約事項など、プロジェクト全体像を一枚で把握できる内容をまとめます。例えば「〇〇システム更新プロジェクト」「目的:業務効率化」「スコープ:A部門まで対応」など、できるだけ端的に記載します。
2. 体制
実際にプロジェクトに関わるメンバーの一覧や役割分担(R&R)、組織図、主要なステークホルダー(関係者)を記載します。必要に応じて担当者名も記載し、問い合わせ先がすぐ分かるようにします。
3. アプローチ
開発方法(ウォーターフォールやアジャイルなど)、プロジェクトの進行フェーズ、主要なマイルストーン(重要な承認や納品の区切り)を一覧で記載します。たとえば「1. 要件定義→2. 設計→3. 開発→4. テスト→5. リリース」などの流れをシンプルに示します。
4. スケジュール
主要な工程と、WBSの要約(大まかなタスクの構成)、各タスクのガントチャート、クリティカルパス(遅れると全体納期に影響する部分)をコンパクトにまとめます。手書きやシンプルな表でも十分です。
5. リソース
必要な人数や主な担当者、設備や場所、予算など、プロジェクト遂行に必要な「ヒト・モノ・カネ」を分かりやすく記載します。たとえば「開発:3名/テスト:2名」「オフィス会議室」「予算:100万円」などです。
6. 品質
品質目標や、どんな品質保証(QA)活動を行うか、達成状況をどう測るか(指標)を簡潔にまとめます。「目標:バグゼロ」「QA活動:レビュー&単体テスト」など具体的に書きます。
7. リスク
想定される主要なリスク(納期遅延・人員不足など)、その対応策、リスク発生時のモニタリング・連絡体制を簡単に記載します。
8. コミュニケーション
情報共有の手段(メール、チャット、会議など)、報告のフローや頻度、主要な会議の内容をまとめます。「週次進捗会議」「日報はチャットに投稿」など、実態に合わせて具体的に記載しましょう。
9. 変更管理
仕様やスケジュールが変更になる場合の承認プロセス、影響の評価・記録方法をシンプルに載せます。緊急対応時の判断基準もここに含めると便利です。
10. 終結
プロジェクト完了時の引き渡し方法や受入基準、必要に応じて業務移管(本番運用部門への引き継ぎ)のプロセスを記載します。
このような章立ては、アジャイル、ウォーターフォール、ハイブリッドのどの開発手法でも応用可能です。現場運用で迷わずに使える、必要事項に特化した構成です。
次の章に記載するタイトル:初心者でも外さない「必須記載項目」と観点
初心者でも外さない「必須記載項目」と観点
1. 目的とゴールの明確化
プロジェクトの計画書で最初に大切なのは「なぜ、このプロジェクトをやるのか」という目的と、「どこまで到達したら成功なのか」というゴールを明らかにすることです。例えば、"社内の業務効率を30%向上させる"や"新サービスを6ヵ月以内にリリースする"など、目に見える形で書くと、後から計画全体をチェックしやすくなります。
2. スコープ(範囲)の定義
スコープとは、"プロジェクトでやること"と"やらないこと"をはっきりさせることです。たとえば、システム導入プロジェクトであれば、"現行業務分析"と"新システム設計"を含める(in)一方で、"ユーザートレーニング"は対象外(out)と区別します。また、各タスクがどんな成果物(例えば設計書や手順書など)につながるかも書いておくと、実務で迷子になりません。
3. コストの基本と分け方
プロジェクトのコストは、大きく「ソフトウェア費用」「ハードウェア費用」「人件費」「外注費」に分けられます。初めて書くときは、ざっくりでも大丈夫ですが、何にどれくらい使うか(例:ソフトウェア 80万円、ハードウェア 20万円など)を一覧にまとめておくと、関係者との金額感の相違が防げます。
4. スケジュールと所要時間の見積り
スケジュール作成では、各タスクの順番や所要日数を大まかに記載します。例えば「要件定義:2週間」「設計:3週間」など、シンプルにまとめましょう。ガントチャートのような図で示すとさらに分かりやすくなります。
5. リソース見積のポイント
リソース見積りでは、どんな作業(アクティビティ)があるかを洗い出して、必要なスキルや役割分担(R&R:Roles & Responsibilities)も記載します。たとえば「設計担当者:1名」「テスト担当:2名」など、人数とスキルを並べます。もし見積り方法が分からなければ、過去のプロジェクトや先任者の事例を参考にしても大丈夫です。
次の章に記載するタイトル:無料テンプレート配布先と用途別の選び方
無料テンプレート配布先と用途別の選び方
すぐ使えるおすすめテンプレート配布先
インターネット上には、プロジェクトマネジメント計画書のテンプレートを無償でダウンロードできるサイトが多数あります。特に人気なのは、PowerPoint形式の計画書サンプルや、アジャイル開発対応のシンプルな構成のものです。これらのテンプレートは、プロジェクトのキックオフ資料や初期の説明用として活躍します。
たとえば、「プロジェクト計画書 テンプレート 無料」で検索すると、さまざまな業界向けのパワーポイントファイルや、全体の流れを把握しやすい大局モデルを提供しているWebサイトが見つかります。これらは、資料作成初心者でもすぐ使える点が魅力です。
Excel/汎用型テンプレートの特徴と選び方
現場運用で使いやすいものとしては、Excelで作成されたWBS(作業分解構造)+ガントチャート一体型テンプレートや、工程・作業・予定・実績・工数・進捗が一覧で管理できるシンプル型が挙げられます。チーム内で日々進捗を管理する場合や、現場作業を細かく記録したい場合はExcel形式が適しています。
用途によって最適なテンプレートは異なります。経営陣や顧客向けに説明資料を作るなら、全体像を端的に示せるPowerPoint版の要約資料が便利です。詳細を確認したい場合には、別途ExcelやPDFで付録として用意するのが良いでしょう。
もしチーム運用がメインの場合は、共有ドライブなどでExcel形式のガントチャートやWBSを日次で更新する方法がおすすめです。社内でPMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)準拠を求められる場合には、知識エリアを網羅した標準テンプレートを使うことで、抜け漏れなく計画書を作成できます。
記事内サンプルの活用方法
本記事で紹介しているサンプルテンプレートでは、プロジェクト計画書の「基本構成」「必須項目一覧」「実運用向けの記載例」がまとまっており、あらゆる現場でそのまま活用できます。テンプレートダウンロードのリンク先を活用しつつ、用途や説明の相手に合わせてアレンジしましょう。
次の章に記載するタイトル:「章ごとの記入例ガイド(サンプル文とチェック項目)」
「章ごと」の記入例ガイド(サンプル文とチェック項目)
プロジェクト概要
- 記入例:「本プロジェクトは既存ECサイトの販売転換率を20%向上させ、在庫回転率を15%改善することを目的としています。期間は2025年9月から12月末までとし、決済ゲートの切替は現状不可とします。」
- チェック項目:
- 目標がSMART(具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限)になっているか
- 制約条件と前提が明文化されているか
- 各関係者間で成功基準を共有・合意しているか
体制・ステークホルダー
- 記入例:「組織図とRACI表を用いて、意思決定者、主要関係者(影響度・関心度含む)を明示します。意思決定権限はPMに集約され、問題発生時のエスカレーションパスも明確です。」
- チェック項目:
- 権限・責任範囲が明確か
- エスカレーションフローの説明があるか
アプローチ・マイルストーン
- 記入例:「発注から設計まではウォーターフォール、実装以降はスクラムで進めます。主要マイルストーンはM1(要件確定)、M2(結合完了)、M3(UAT完了)、M4(Go-Live)です。」
- チェック項目:
- 各マイルストーンの受け入れ条件が記載されているか
- 懸念事項や他作業との依存関係を示しているか
スケジュール
- 記入例:「WBSをレベル2まで展開し、各作業のクリティカルパスを可視化しています。」
- チェック項目:
- 各タスクの工数見積もり根拠が説明されているか
- バッファ(余裕期間)の設定有無
リソース・コスト
- 記入例:「各ロールの担当人数、必要な調達品とその調達リードタイム、主要コスト(人件費、ライセンス、設備)を概算で記載しています。」
- チェック項目:
- 稼働率や制約条件を考慮しているか
- 複数の調達先を記載しているか
品質
- 記入例:「欠陥率最大1%未満、レビュー率100%を目標とし、各段階でゲートレビュー・テストを実施します。」
- チェック項目:
- 測定や収集方法が具体的か
- 品質目標が定量化されているか
リスク
- 記入例:「主要リスクは要件膨張・要員離脱・外部API変更。各リスクごとに対応策(回避・転嫁等)と、発生を判断するトリガーや閾値を明記しました。」
- チェック項目:
- リスク評価(定性・定量)の観点を記載
- 残留リスク有無と対応方針の説明
コミュニケーション
- 記入例:「週次で進捗会議、月次でステアリング会議を実施。進捗は定型レポートで共有、連絡手段はSlack・メールを併用します。」
- チェック項目:
- 会議や報告の頻度・参加者を明示
- 重要決定の記録・保管場所を明記
変更管理
- 記入例:「全ての変更要求は文書で起票し、影響分析後にCCB(変更管理委員会)が承認。実装後はリリースノートを作成します。」
- チェック項目:
- 重大な変更(コスト/納期/品質への影響)の判断基準
- 承認プロセスが明確か
終結
- 記入例:「プロジェクト終結時の受け入れ基準、成果物リスト、運用への移管タスク、レトロスペクティブの内容を記載します。」
- チェック項目:
- 保守・運用契約範囲が明確か
- 引継ぎや知識移転計画の有無
次の章に記載するタイトル:作成手順と時短テクニック(初版を1日で整える)
作成手順と時短テクニック(初版を1日で整える)
1. スコープ定義を優先する
計画書作成は、何よりも「どこまでやるか」を明確にするところから始まります。最初にスコープ(対象範囲)を整理し、やるべきこと、やらないこと(In/Out)を洗い出しましょう。そして、最終的なゴールとなる成果物をリストアップします。例えば「新システム導入プロジェクト」なら、導入する機能一覧や運用手順書などが成果物です。
2. アクティビティ特定と人的リソース見積もり
次に、各工程で必要な作業(アクティビティ)をできるだけ細かく挙げ、その工程ごとに誰が担当するか、どの程度のリソースが必要かを決めます。この時、「役割分担表」(R&R: Roles & Responsibilities)があると全体像が見えやすく、後の混乱を防げます。
3. WBS・ガントチャートで流れを可視化
詳細な作業内容が決まれば、作業を階層化(WBS化)し、それをもとにガントチャートを作成します。WBS(Work Breakdown Structure)は「仕事の分解図」、ガントチャートは「スケジュール表」です。これで主要な節目(マイルストーン)や全体の遅れの要因となるクリティカルパスが見えます。
4. リスク上位10件と対応策をセット
実務でよくある失敗を避けるためにも、完璧を目指すより「起こりやすい問題ベスト10」を挙げ、事前に対応を整理しておきましょう。例えば「担当者の急な休み」「納期ズレ」「追加要件」など、想定できるトラブルにそれぞれ対応策とモニタリング方法を簡単に決めておきます。
5. 主要計画(コミュニケーション、変更管理、品質、調達)を肉付け
スコープとスケジュールが固まったら、コミュニケーション方法(週次会議、進捗報告のフォーマットなど)、変更管理ルール、品質管理、必要に応じて調達やステークホルダーの管理計画も加えます。全てを細かく作り込む必要はなく、簡単な枠組みから始め、必要にあわせて充実させていくのが効率的です。
時短テクニック
- 既存のテンプレートを流用しましょう。PPT形式なら役員向けの説明資料、Excelなら運用管理にも使いまわせます。
- AI支援ツールも有効です。たとえば、計画書の下書きやスケジュール表、会議アジェンダ、連絡方法などをAIにたたき台として作ってもらい、細部をプロジェクトにあわせてカスタマイズすると、初稿作成時間を大幅に減らせます。
次の章に記載するタイトル:よくある失敗と回避策
よくある失敗と回避策
「プロジェクトマネジメント計画書」を作成する際、ありがちな失敗はいくつかあります。失敗を未然に防ぐポイントを具体例とともにご紹介します。
目的・KPIが曖昧
目的や成果指標(KPI)があやふやだと、プロジェクトの進捗や成功度合いを測ることができません。例えば、「売上を伸ばす」だけでは曖昧なので、「新商品Aの半年後売上500万円達成」といった具体的な基準を設けましょう。
回避策
目的やKPIには必ず数値や達成条件を盛り込み、チーム全員が同じゴールをイメージできるようにします。
スコープ境界が不鮮明
プロジェクトで“どこまでやるか・やらないか”が曖昧だと、後から仕事が膨らみがちです。例えば、「関連資料の整備」とだけ記載されていると、どの資料まで整備するのか範囲が不明確になりやすいです。
回避策
In/Out表(やること・やらないことリスト)を用意し、スコープの線引きを明確にしましょう。
R&R(役割と責任)が未定義
誰がどこまで担当するのか分からないと、仕事が抜けたり重複したりします。役割と責任が曖昧な状態は特によくある失敗です。
回避策
RACIチャートなどを使い、「決定者」「実行者」「相談先」「報告先」を明記しておくと、メンバーの戸惑いや作業漏れを防げます。
リスクが列挙だけで終わっている
予想されるリスクをリストアップしただけで、発生のきっかけや対応策が検討されていない場合があります。
回避策
リスク項目には「どんな時に発生するか(トリガー)」「どの程度で対策するか(閾値)」をセットで考えておきましょう。
会議体の不整合
会議の種類や頻度、意思決定権限が曖昧だと、情報共有が不十分になったり、重要な決定が遅れたりします。
回避策
会議体ごとに「目的」「頻度」だけでなく、「どの会議で何を決めるか」「誰が決定権を持つか」を整理して書きましょう。
変更フローが未定義
計画変更のルールが不明確だと、いつ・誰が・どの位の範囲まで変更できるのか混乱します。
回避策
CCB(変更管理委員会)などの仕組みを定めて、「どんな変更なら委員会で承認が必要か」といった閾値を具体的に記載しましょう。
次の章に記載するタイトル:ダウンロード素材の使い分け(場面別リコメンド)
ダウンロード素材の使い分け(場面別リコメンド)
1. キックオフ・初期説明で使えるPPTテンプレート
プロジェクト開始時には、関係者説明や提案用の資料が必要です。シンプルなPPTテンプレートは、最低限の計画要旨と目的を端的にまとめるのに適しています。大きな流れを示す「大局モデル」形式のテンプレートや、柔軟なアプローチに対応した「アジャイル版」も多く、案件の特徴に合わせて使い分けられます。例えば、短期間で合意形成が必要な場合はシンプル版、大規模で多部門が関わる際は大局モデル、変化の早い案件にはアジャイル版を選ぶと効果的です。
2. 日次運用や実行管理に役立つExcelテンプレート
実際の進行管理には、ExcelのWBS(作業分解構成)+ガントチャート型テンプレートが重宝します。作業一覧や工程の見える化、スケジュールの調整、進捗・予定・実績・工数の記録など、一枚で全体像を把握できます。特に現場で日々管理する場合、工程ごとに色分けやフィルターを活用すると、担当者ごと・フェーズごとの把握が容易です。また、状況に応じて週次や月次レポート出力も可能なものを使うと効率的です。
3. 標準化や監査にも応える章立てテンプレート
会社全体で標準化したい場合や、監査目的で計画書を作成する場合は、PMBOKの知識エリアに沿った章立てテンプレートが有用です。要件管理、リスク管理、品質管理など、専門性の高い観点もしっかり網羅しています。これにより、公式プロセスとの整合性が確保でき、監査対応や対外説明もスムーズです。自社ルールに合わせて不要な項目を非表示にするなど、柔軟に調整する方法もおすすめです。
4. 学習や内製化にはガイド&サンプル付き素材
プロジェクトマネジメントに初めて携わる方や、社内で計画書作成の標準を広めたい場合には、サンプル文や記載例がついたガイド型テンプレートが役立ちます。初学者向けの必須観点から説明が始まり、徐々に詳細項目や応用シーンも学べるように段階的に拡張できるものが便利です。具体例を活用し、自社のプロジェクトに合わせてカスタマイズしていくことで、自然とスキルも身につきます。
次の章に記載するタイトル:参考チェックリスト(レビュー用)
参考チェックリスト(レビュー用)
プロジェクトマネジメント計画書を作成した後は、客観的なチェックリストを使って見直しを行うことが非常に重要です。以下では、現場でよく使われるチェックリスト項目を具体例付きでご紹介します。これを活用することで、計画書の抜け漏れや矛盾を効率的に防ぐことができます。
1. 整合性のチェック
- 目的(ゴール)が明確で、KPIや成果物と矛盾していませんか?
- 例:プロジェクト成功の定義が売上向上なら、KPIは「売上○円」と明確に紐づいていますか?
- スコープ・スケジュール・コストが互いに整合していますか?
- 例:工数見積もりとスケジュールの期間に乖離がないか、予算が不足していないかを見直します。
2. 完全性のチェック(10の計画領域)
- 各重要領域が記載されていますか?抜けている項目はありませんか?
- 範囲(何をやるのか)
- 進捗管理(どう進めるか)
- 費用(いくらかかるか)
- 品質(どのレベルまで管理するか)
- 資源(必要な人・物・ITなどは揃っているか)
- コミュニケーション(報告の頻度や方法)
- リスク(想定されるトラブルと対応策)
- 調達(外部から何を購入するか)
- ステークホルダー(誰が関係者か)
- 変更管理(計画変更時のルール)
3. 運用性のチェック
- 日々の運用や会議体のスケジュールまで落とし込まれていますか?
- 例:週次会議、月次報告、リスクレビューなどが具体的にカレンダー化されているか確認します。
- 変更やリスク対応が日常業務に組み込まれていますか?
- 例:変更があった場合の承認プロセスが明文化されているか、全員共有済みかを確認します。
4. 監査性のチェック
- バージョン管理や意思決定の記録方法が明確ですか?
- 例:計画書の更新履歴を残すルールが決まっているか、過去の意思決定記録の保管場所は明示されていますか?
- 承認フローや引渡し記録の所在が誰からも分かりますか?
これらのチェックリストを活用して、計画書を客観的に点検してみましょう。小さなミスや抜け漏れの防止につながります。