目次
書籍の概要（書誌・ねらい・特徴）
書名・著者・出版社・発売日
今回ご紹介する書籍は『プロジェクトマネジメントの本物の実力がつく本』です。著者は橋本 将功さん、出版社は翔泳社、発売日は2023年10月19日（Kindle版情報）となっています。
ねらい（どんな力がつく本か）
この本は「プロジェクトを実際に推進する力」を養うことを目的としています。実務の現場で直結して役立つ内容で構成されており、単なる理論や知識の習得にとどまらず、現場で実際に役立つスキルにフォーカスしています。
橋本さんの前著『プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本』が基礎に重点を置いていたのに対し、本書はスキルの応用や実践、高いレベルでのプロジェクト推進に役立つノウハウを網羅しています。特に、組織を動かす力、効果的なコミュニケーション、リーダーシップといった、マネージャーとしてプロジェクトを前進させるための考え方や行動指針に重点を置いて解説されています。
対象読者
主に新規事業やDX（デジタルトランスフォーメーション）に関わるマネージャーの方、プロジェクトのリード・サポート業務に従事するビジネスパーソン、そしてキャリアアップを希望するプロジェクトメンバーまで、幅広い方におすすめです。
実務的価値
著者の橋本さんは20年以上のPM（プロジェクトマネジメント）経験をお持ちです。本書では、著者自身が直面した成功例・失敗例も取り上げながら、実際に役立つノウハウやマインドセットを具体的に紹介しています。プロジェクトマネジメント全般のスキルを体系的に強化したい方はもちろん、「今まさに現場で困っている」「一歩先へ進みたい」と感じている方にとっても、非常に実務的な価値を感じられる内容となっています。
次の章では、「何が『本物の実力』なのか（本書の射程と差別化ポイント）」について詳しくご紹介します。
何が「本物の実力」なのか（本書の射程と差別化ポイント）
現場で役立つ“推進力”こそが真の実力
多くの書籍では知識を覚えることやテクニックの紹介が中心となりがちですが、本書はそれだけにとどまりません。本書が重視するのは、現場で実際に成果を出すための“推進力”です。
たとえば、仕事を進めるうえで周囲の協力が必要な時、単に知識があっても物事は前に進みません。関係者と信頼関係を築き、相手の意図を理解しながら、チーム全体を同じ方向にまとめる力――この現場対応力を、本書は「本物の実力」と呼びます。
横断的なスキル体系がポイント
実務の現場では、WBS作成や見積りといった個別テクニックだけでは対応できない場面が多々あります。本書では、テクニックだけでなく、組織を横断して調整する力、立場の異なる人と交渉・合意形成を行うコミュニケーション力、そしてリーダーとして成果に導くためのチームビルディング力など、幅広い能力領域を体系的に紹介しています。
たとえば、あるプロジェクトで予想外の問題が発生したときに、その場で臨機応変に動ける判断力や、関係者を励ましつつ前向きに巻き込んでいく姿勢も重視しています。
セットでの活用が効果的
既に刊行されている「基本が全部わかる本」は、実務の基礎や全体の仕組みを学ぶために適しています。一方、本書は現場で実際に“動かす”ためのノウハウが中心です。それぞれの立ち位置を踏まえることで、「基本」と「推進力」を二本柱として身につける学習パスが見えてきます。
次の章では、「類書との位置づけ・比較観点」についてご紹介します。
類書との位置づけ・比較観点
プロジェクトマネジメントに関する書籍は非常に多く出版されています。たとえば「担当になったら知っておきたい『プロジェクトマネジメント』実践講座」（日本実業出版社）などは、計画の立て方や実行、監視・コントロール、終結まで、一連の手順と手法を幅広くカバーし、図や表を使って理解しやすいよう工夫されている点が特徴です。このような標準書は、プロジェクト管理の「全体像」を学ぶには最適です。
それに対して本書は、こうした基礎・標準プロセスの次段階として差別化されています。つまり、やや複雑な現場において悩みとなりやすい「関係者との調整」「組織内の力学」「リーダーシップ行動」など、いわゆる実務の“推進力”に直結するスキルに重点を置いています。
多くの類書が「手順」や「型」に比重を置く傾向が強い中、本書は現場でのリアルな経験や調整ノウハウをふんだんに盛り込んでいます。これによって、プロジェクトの課題を乗り越える具体的な知恵や視点を身につけられます。おすすめ本をまとめた記事でも、本書は「実際の現場で使える知識を重視したPMスキル強化本」として紹介されています。
次の章では、本書に予想される章立ての領域や展開についてご紹介します。
想定される章立て領域（推定の枠組み）
本章では、本書が重視する能力領域をもとに、章ごとの学習テーマや推定される論点を整理します。これは実際の目次ではなく、内容や目的をベースにした推定的な構成です。
組織力
この領域では、関係者を効果的に巻き込む方法や、組織内外での調整スキルに着目します。たとえば、影響力マップを活用して、誰が意思決定にどう関わっているのかを明確にする仕組みや、合意を取るための「場の設計」「根回し」といった準備行動、プロジェクト全体の合意形成を支えるプロトコル（規則や手順）の押さえどころがテーマとなります。この力を高めることで、自分一人では実現できない目標にもチームや組織で到達できるようになります。
コミュニケーション能力
ここでは、上司や経営層・現場担当者それぞれと認識や期待値をすり合わせる技術が中心です。たとえば、現場の状況をファクトに基づいて上申（報告）し、ギャップを埋める翻訳スキルが求められます。また、会議の進行や議題設定、複雑な課題を整理するファシリテーション能力、問題が起こった際の迅速なエスカレーション（報告・対応引き上げ）の基準設定も含まれます。
リーダーシップ
「本物の実力」を発揮するためには、目標（ビジョン）設計や、複数の利害や方針が交錯する場面での優先順位付け・意思決定が不可欠です。トラブルが起きた時の初動対応や、チームの役割やリソースを再編する力、さらには外部関係者への情報発信などもテーマとして扱います。これらを体系立てて学ぶことで、実践的なリーダーシップ力が身につきます。
実務への落とし込み
最後に、理論や型を現場でどのように落とし込むかが大切です。前著で取り上げた「計画」「見積り」「要件定義」などの基本スキルを土台に、現場で「実際に何をどう動かせば成果につながるのか」をチェックリストや行動ポイントとして具体化します。こうした章構成によって、読者が学びを確かな行動に転化できる設計となっています。
次の章に記載するタイトル：どんな人に特に刺さるか（活用シーン）
どんな人に特に刺さるか（活用シーン）
本書は、次のような方々に特に強く響く内容となっています。
新規事業やDXプロジェクトの推進役の方
新規事業やデジタルトランスフォーメーション（DX）は、関与する人数が多く、それぞれ立場や利害が異なります。そのため、推進役となる方は、プロジェクトの進め方だけでなく、関係者間の調整や意思決定で多くの困難に直面しがちです。本書は、こうした複雑な現場で実際に役立つ知識やスキルを、豊富な現場例と共に具体的に解説しているため、理論止まりにならず、実務に役立てられます。
標準プロセスは理解している、しかし成果が出ないPM/PL
プロジェクトマネジメントの標準的なフレームワークや手法に関しては学んできたものの、現場で成果を出しきれずに悩んでいるプロジェクトマネージャー（PM）やプロジェクトリーダー（PL）の方にも最適です。特に、関係者との信頼関係構築や、予想外のトラブルに対する判断力など「生きたスキル」について学び直したい方におすすめです。
PMを目指すキャリア志向の個人
これからプロジェクトマネージャーを目指す方や、今後のキャリアで対人・組織対応力を高めたいと考えている方にも、本書は体系的に学べる道標となります。自己流で限界を感じている方や、経験の振り返りを通じてスキルアップしたい方には、実践的なフレームワークが多く収録されているため、明確な指針が得られる内容です。
このように「複雑な現場で成果をあげる方法」を体系的に学べる点が本書の大きな魅力といえます。
次の章では、本書の活用を前提とした具体的な学習ロードマップについてご紹介します。
学習ロードマップ（本書をどう位置づけて読むか）
ステップ1：基礎の体系化からスタート
プロジェクトマネジメントをしっかり身につけるためには、まず全体像を理解することから始めましょう。例えば、「プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本」を使えば、大まかな工程やプロセス、典型的な業務の流れをつかみやすくなります。この段階では、専門用語が出てきても気にせず、各プロセスがどのようにつながっているのかを大ざっぱに捉えることが大切です。
ステップ2：実行力・対人力の強化へ
基礎が見えてきたら、本書の出番です。本書では実務的な駆動力、つまり周囲を巻き込む力や、リーダーシップをどう発揮するかにフォーカスしています。単なる知識だけでなく、現場で求められる合意形成や意思決定をどう加速させるかについて、具体例を交えて解説しています。例えば、会議での発言のコツや、相手の思いを汲み取るコミュニケーションの手法など、実践的な技術を押さえることができます。
ステップ3：実務の横断力を鍛える
さらに一歩進むには、「実践講座」系の本を利用して、計画から終結までの具体的な進め方を復習しましょう。たとえば、ガントチャートの描き方や、リスク管理のチェックリストの使い方など、より詳細な手法やツールを幅広くおさえることができます。基礎から応用、実践まで段階的に学ぶことで、プラモデルを組み立てるように知識が積み上がります。
次の章に記載するタイトル：価格・入手の目安
価格・入手の目安
この書籍は、電子書籍版でのキャンペーン「翔泳社祭2025」の期間にセール対象として案内されることがあります。タイミング次第で、通常よりもかなりお得な価格での購入が可能ですので、公式ストアや主要電子書店のセール情報をチェックすると良いでしょう。
通常時は、同じ著者による前書とともに人気シリーズとして紹介されるケースが多く、店頭やオンライン書店のほか、主要な電子書籍ストアでも安定した取り扱いがあります。
流通価格については、一般的な新品価格として2,000円前後で案内されていることが多いです。ただし、販売サイトによって定価が前後したり、中古品・新古品の場合は相場が変動しますので、複数の販売チャネルで比較した上での購入がおすすめです。マーケットプレイスやフリマサービスを利用する際には、コンディションや付録の有無なども確認しましょう。
次の章に記載するタイトル：おすすめの読み方・実務への展開
おすすめの読み方・実務への展開
読書前にしておきたい準備
本書を最大限に活用するためには、まず自身が関わっているプロジェクトやチームの"関係者マップ"と"意思決定経路"を紙やホワイトボードに書き出すことをおすすめします。例えば、どの部署や人物が重要な判断を下す立場にあるのか、情報はどの順番で伝わるのかを可視化します。これにより、本書の組織やコミュニケーションの章を読み進める際に、実際の現場と結びつけて理解しやすくなります。
行動チェックリストのカスタマイズ
各章の終わりには「行動チェックリスト」が用意されています。ここでは、その内容を自分自身や自分のプロジェクト向けにカスタマイズしましょう。たとえば、情報共有の頻度を増やす、新たなミーティングルールを作る、責任ある担当者を明確にするなど、具体的な行動をピックアップして試してみます。チェックリストを活用することで、実践的な改善活動に繋がります。
会議設計・基準作成の実践
本書には、会議の設計方法や適切なエスカレーション（上司や関連部署に相談・報告する基準）についても解説があります。それらの内容を参考に、独自の週次レビューや会議のテンプレート、新たな判断基準のリストなどを事前に作成しておくと、混乱時にもスムーズに意思決定できるようになります。
トラブル対応プロトコルの事前合意
万が一トラブルが発生した際には、誰が何分以内に、どの範囲のことを決めるのかといった“初動プロトコル”を具体的に合意しておくことが有効です。この合意内容は実際のトラブル時に即応できるよう、定期的な見直しと改善サイクル（実地検証→フィードバック→改訂）を回すことが大切です。
次の章に記載するタイトル：「類書・周辺おすすめ（合わせ読み）」
類書・周辺おすすめ（合わせ読み）
他のおすすめ書籍とその活用法
本書の学びをさらに深め、実践で役立てたい方に向けて、合わせて読みたい書籍やリストをご紹介します。
「プロジェクトマネジメント」実践講座（日本実業出版社）
まず、「プロジェクトマネジメント」実践講座（日本実業出版社）は、本物の実力を体系的に身につけたい方に最適です。計画から終結までの一連の手順をわかりやすく図解しているため、初心者はもちろん、中堅層が全体像を確認したい場合にも非常に役立ちます。本書が扱う実践的なスキルだけでなく、より広い視野でプロジェクト運営力を補いたいときに1冊加えると、理解が深まります。
おすすめ本リスト（SHElikes記事）
次に、おすすめ本リスト（SHElikes記事）も参考になります。このリストでは本書を含む15冊が紹介されており、特に技術のスキルアップや組織開発の視点を強化したい方に有用です。自分に必要な知識や興味のある分野に合わせて選書し、それぞれの本がどのような観点で解説されているかを比較しながら読むと、学びの幅が広がります。
使い分けの例
・実務で困った時
→ 本書と「プロジェクトマネジメント」実践講座を並行利用。
・体系だった理解が必要な時
→ SHElikes記事で紹介された本から、得意分野を補強。
このように、周辺の類書を組み合わせて読むことで、本書の学びをさらに現場に活かしやすくなります。