コミュニケーションスキル

Iメッセージとは?心理学での意味とYOUメッセージとの違い・使い方

はじめに

「Iメッセージとはどのような伝え方なの?」
「YOUメッセージと何が違うのか分からず、どちらを使えばよいのか迷ってしまう」と感じたことはありませんか。

職場で部下や同僚にお願いや改善点を伝える場面や、家庭で気持ちを伝えたい場面では、伝えたい内容は同じでも言い方によって相手の受け取り方が大きく変わることがあります。

この記事では、Iメッセージの意味や心理学での考え方をはじめ、YOUメッセージとの違い、日常や仕事での使い方まで順を追って説明していきます。

Iメッセージとは?

Iメッセージは、自分の気持ちや考えを相手に伝えるときに、「あなた」を主語にして評価や指摘をするのではなく、「私」を主語にして表現するコミュニケーション方法です。

ここでは、Iメッセージの基本的な意味を確認したうえで、提唱者であるトマス・ゴードンと、心理学で重視されている理由について解説します。

Iメッセージは「私」を主語に気持ちや考えを伝える方法

Iメッセージは、「私は〜と感じる」「私は〜してもらえるとうれしい」のように、「私」を主語にして気持ちや希望を伝える方法です。

相手を評価するのではなく、自分がどう感じているかを伝えるため、責める印象を与えにくく、落ち着いて話し合いやすくなります。

Iメッセージを提唱したトマス・ゴードン

Iメッセージは、アメリカの臨床心理学者トマス・ゴードンが提唱したコミュニケーションの考え方です。

相手を非難したり命令したりするのではなく、自分の気持ちや困っていることを率直に伝える方法として、家庭や学校、職場など幅広い場面で活用されています。

心理学でIメッセージが重視される理由

Iメッセージは、相手への非難を避けながら、自分の気持ちや要望を伝えやすい方法です。

「あなたが悪い」と責める表現を減らすことで、相手も話を受け止めやすくなり、お互いの考えを落ち着いて話し合うことにつながります。

IメッセージとYOUメッセージの違い

IメッセージとYOUメッセージは、伝えたい内容が同じでも、主語の置き方によって相手に与える印象が異なります。

ここでは、YOUメッセージの特徴を確認したうえで、両者による受け取り方の違いと、状況に応じた使い分けについて解説します。

YOUメッセージは「あなた」を主語にした伝え方

YOUメッセージは、「あなたは遅れている」「あなたはもっと確認したほうがよい」のように、「あなた」を主語にして伝える方法です。

相手の行動を直接示せる一方で、言い方によっては責められていると感じさせ、反発や戸惑いにつながることがあります。

同じ内容でも相手の受け取り方が変わる

同じ内容でも、主語を「私」にするか「あなた」にするかで、相手が受ける印象は変わります。

Iメッセージは自分の気持ちや希望を中心に伝えるため、比較的やわらかく受け取ってもらいやすい方法です。

一方、YOUメッセージは相手の行動を直接示すため、表現によっては注意や批判のように聞こえることがあります。

IメッセージとYOUメッセージはどう使い分ける?

自分の気持ちや希望を伝えたいときは、Iメッセージが使いやすいでしょう。

一方、役割やルールなど、相手に必要な行動を明確に伝えたい場面では、YOUメッセージが適することもあります。

どちらか一方に決めるのではなく、伝える目的や相手との関係に合わせて使い分けることが大切です。

相手への伝え方をさらに工夫したい場合は、自分の意見を押しつけずに伝える「アサーティブコミュニケーション」の考え方も参考になります。
▶アサーティブコミュニケーションとは?意味や実践方法を解説

Iメッセージを使うメリット

Iメッセージは、自分の気持ちや考えを伝えながらも、相手との関係性に配慮しやすいコミュニケーション方法です。

ここでは、Iメッセージを使うことで得られる主なメリットについて、順番に解説します。

自分の気持ちや考えを率直に伝えやすい

Iメッセージは、「私は〜と感じる」「私は〜してほしい」のように、自分の気持ちや希望を素直に伝えられる方法です。

相手を評価するのではなく、自分がどう感じているかを中心に話すため、考えや要望を言葉にしやすくなります。

相手を責める印象を抑えやすい

Iメッセージは、自分の気持ちや困っていることを中心に伝えるため、相手を責める印象を抑えやすくなります。

性格や行動を一方的に評価する表現を避けることで、相手も話を受け止めやすくなり、落ち着いて話し合いを続けやすくなります。

相手自身に考えてもらう余地を残せる

Iメッセージでは、自分の気持ちや希望を伝えつつ、相手に一方的な命令をすることは避けます。

そのため、相手自身が「どうすればよいか」を考える余地が生まれ、納得したうえで次の行動を選びやすくなります。

Iメッセージのデメリットと注意点

Iメッセージは相手を責めずに気持ちや考えを伝えやすい方法ですが、使い方や場面によっては意図が正確に伝わらない場合があります。

ここでは、遠回しな表現になりやすい点や適さない場面、「私は」を付けるだけでは十分ではない理由について解説します。

遠回しになり意図が伝わりにくい場合がある

Iメッセージは自分の気持ちを伝えやすい一方で、表現によっては何を求めているのか分かりにくくなることがあります。

気持ちだけで終わらせず、「次からは事前に知らせてほしい」など、必要に応じて具体的な希望も添えると伝わりやすくなります。

緊急時や明確な指示が必要な場面には向かない

事故や危険を避けたいときなど、すぐに行動してもらう必要がある場面では、Iメッセージが適さないこともあります。

緊急時は気持ちを丁寧に伝えることよりも、「そこから離れてください」など、具体的で分かりやすい指示を優先しましょう。

「私は」を付けるだけではIメッセージにならない

「私はあなたが悪いと思う」のように、「私は」を付けても相手への評価や非難が中心であれば、Iメッセージとはいえません。

自分がどう感じているのか、何に困っているのか、どうしてほしいのかを自分の立場から伝えることが大切です。

Iメッセージの基本的な作り方

Iメッセージを作るときは、「私は」と言い換えるだけでなく、相手の行動についての事実と、自分が感じたことを分けて整理する必要があります。

ここでは、事実と気持ちの分け方から、感情や希望の表現、相手に求める行動の伝え方まで順番に解説します。

事実と自分の気持ちを分けて伝える

Iメッセージを作るときは、まず実際に起きたことと、それに対して自分が感じたことを分けて整理します。

「連絡がなかったので、少し心配しました」のように、事実のあとに気持ちを伝えると、相手にも状況を理解してもらいやすくなります。

相手を評価せず自分の感情や希望を言葉にする

相手の性格や考え方を決めつけるのではなく、自分がどう感じたのかを言葉にすることが大切です。

「あなたは無責任だ」ではなく、「連絡がないと不安に感じます」のように伝えると、相手を責める印象を抑えながら自分の気持ちを伝えられます。

相手に求めることがあれば具体的に伝える

相手にしてほしいことがある場合は、気持ちだけで終わらせず、具体的な希望も添えましょう。

「次からは遅れると分かった時点で連絡してもらえるとうれしい」のように伝えると、相手もどのように行動すればよいのか分かりやすくなります。

Iメッセージの具体例|YOUメッセージから言い換える

Iメッセージは考え方だけでなく、実際の言い換え方を知ることで日常会話や仕事で取り入れやすくなります。

ここでは、行動を変えてほしい場面や不満を伝える場面、感謝やうれしい気持ちを伝える場面ごとに、具体的な言い換え例を紹介します。

相手に行動を変えてほしいときの例

相手に行動を変えてほしいときは、「もっと早く連絡してください」と指摘するより、「私は早めに連絡をもらえると予定を調整しやすいです」のように伝えます。

自分への影響や希望を添えることで、相手も求められている行動を受け止めやすくなります。

不満や困っていることを伝えるときの例

不満があるときも、「あなたは話を聞いてくれない」と責めるのではなく、「私は最後まで話を聞いてもらえないと悲しく感じます」のように伝えてみましょう。

自分の気持ちを中心に伝えることで、何に困っているのかを相手にも理解してもらいやすくなります。

改善してほしいことを職場で伝える場合は、気持ちだけでなく、相手が次に取る行動まで分かりやすく伝えることも大切です。部下への伝え方に迷う方は、フィードバックの具体例も確認してみてください。
▶部下へのフィードバック例|相手が受け入れやすい伝え方と具体例を紹介

感謝やうれしい気持ちを伝えるときの例

Iメッセージは、不満だけでなく感謝やうれしい気持ちを伝えるときにも使えます。

「私は手伝ってもらえて安心しました」「声をかけてもらえてうれしかったです」のように、自分が感じたことを添えると、感謝の気持ちをより具体的に伝えられます。

まとめ

Iメッセージは、「私」を主語にして自分の気持ちや希望を伝えることで、相手を責める印象を抑えながら思いを伝えやすくする方法です。

職場や家庭など、相手との関係を大切にしながら話し合いたい場面で取り入れやすいでしょう。

ただし、「私は」を付ければよいわけではなく、相手を評価せず、自分がどう感じたのか、どうしてほしいのかを言葉にすることがポイントです。

緊急時など明確な指示が必要な場面では無理に使わず、まずは普段の会話で「あなたは〜」という表現を「私は〜」に言い換えるところから試してみてください。

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