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実務担当者必見!プロジェクト計画プロセス完全解説ガイド

目次

プロジェクトマネジメントの計画プロセス完全ガイド(PMBOKベース)

プロジェクトが成功するためには、しっかりとした計画が欠かせません。特に複雑な業務や多くの関係者が関わる場合、計画段階での準備や調整が成否を大きく左右します。このガイドでは、プロジェクトマネジメントの国際標準であるPMBOK(Project Management Body of Knowledge)に基づいて、計画プロセス全体の流れや作成手順、具体例を分かりやすく解説します。

PMBOKでは、プロジェクトマネジメントを複数のプロセス群として整理しています。なかでも計画プロセス群は、現状から目標までの道筋を設計する非常に重要な段階です。このガイドでは、計画プロセスで扱う主要な成果物(例:作業分解構成図=WBS、スケジュール、リスク対応、コミュニケーション計画など)も具体的に説明します。

最終的には、実際に使える「プロジェクトマネジメント計画書」を作成できる力を身につけていただくことを目指します。そのために必要な基礎知識と実務的な例を交えて、初心者の方にも理解しやすいようにまとめています。

次の章に記載するタイトル:計画プロセスとは何か

計画プロセスとは何か

計画プロセスとは、プロジェクトのゴールを明確にし、その達成のために必要な道筋を具体的に定める一連の活動です。簡単に言えば、"何を・いつまでに・どのように・どれくらいの資源で進めるか"を決める作業といえます。たとえば、運動会を開催するとき、競技の内容や人数、準備物、当日のスケジュールなど細かく決めるのと同じです。

計画プロセスの全体像

PMBOK第6版では、計画プロセスは「立ち上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「終結」の5つの流れのうち、2番目に位置づけられています。この"計画"の段階には、目標達成に必要なあらゆる項目を洗い出し、それぞれの計画を細分化していきます。具体的には、以下のような項目が含まれます。

  • 仕事内容の範囲(スコープ)
  • スケジュールづくり
  • 必要な費用(コスト)の見積もり
  • 必要な品質レベルの設定
  • 想定されるリスクの洗い出しと対策
  • メンバー間やステークホルダーへの情報共有方法

これらを総合的にまとめるのが、プロジェクトマネジメント計画書です。

サブプロセスについて

計画プロセスの中には、さらに多くの細かなサブプロセスがあります。たとえば、スケジュールを作るだけでも「作業を分解する」「順番を決める」「所要時間を見積もる」など複数のステップが必要です。このように、一つ一つの計画を重ねていくことで、抜け漏れの少ない土台をつくります。

次の章では、計画プロセスの目的とアウトプットについて詳しくご紹介します。

計画プロセスの目的とアウトプット

計画プロセスの目的

計画プロセスの大きな目的は、プロジェクトがスムーズに進み、期待された成果を確実に達成できるようにすることです。具体的には、「何を作るのか(成果物)」「どのような作業が必要か」「誰がどの資源を使い、どれだけ時間やコストがかかるのか」「どんな品質基準で進めるのか」など、プロジェクトに関するさまざまな要素を明確にします。また、関係者と情報共有の方法や、予期しないリスクへの対応方針も決めていきます。これにより、チームや関係者全員が同じ方向を向いて判断できる“地図”のようなものが出来上がります。

目的の具体例

例えば、家を建てるプロジェクトでは、設計図だけでなく、工事の担当者、材料や日数、予算、完成した家の品質、安全対策、施主との連絡手段、工事中のトラブル対策など、幅広く内容を固めておく必要があります。これが計画プロセスの目的に当たります。

主要なアウトプット

計画プロセスの最も重要な成果物(アウトプット)は、「プロジェクトマネジメント計画書」です。この計画書には、次のような内容が盛り込まれます。

  • スコープ(範囲): どこまで作業を行うか、必要な成果物や仕事のリスト。
  • WBS(作業分解構成図): 大きな作業を細かく分解した一覧。
  • スケジュール: いつ、どの作業を実施するかの計画。
  • コスト計画: 各作業にかかる予算の見積もり。
  • 品質計画: 出来上がりの基準や評価方法。
  • リスク対応計画: トラブルや想定外の出来事への備え。
  • コミュニケーション計画: 関係者同士の連絡方法や頻度など。

これらが一本化されることで、プロジェクトが「誰が何をするか」「どこまでやるか」がはっきりし、行き違いや無駄な作業を防ぐことができます。

次の章に記載するタイトル:プロジェクトマネジメント計画書の作成手順(PMBOKベース)

プロジェクトマネジメント計画書の作成手順(PMBOKベース)

スコープ定義

プロジェクトを始めるには、まず何を作るのか、どこまでが範囲なのかをはっきりさせる必要があります。これがスコープ定義です。例えば、新しいアプリを作る場合、「ログイン機能やメッセージ機能は含めるが、決済機能は対象外」など、やること・やらないことを決めます。
次にWBS(作業分解構成図)という手法を使い、大きな作業を細かく分けていきます。WBSにより、作業漏れを減らすことができます。

人的リソースの見積り

次は、どんなスキルや経験が必要なのか、担当者は誰か、何人必要か、いつからいつまで必要かを見積もります。例えば、システム開発なら「プログラマーが3人、テスト担当が1人」など役割と人数を具体的に決めます。この工程で役割が曖昧だと、後々混乱することが多いので注意が必要です。

スケジュールの作成

決めた作業をどの順番で、どれくらいの期間で行うかを整理します。この際、ネットワーク図やガントチャートといった図を活用すると分かりやすいです。先に設計を終わらせてから開発に入るなど、順序や依存関係を明確にしていきます。

コスト見積りと予算化

作業ごとに必要な費用を積み上げて合計コストを算出します。その上で、予算として金額を確定し、これを基準(ベースライン)とします。例えば、開発費、設備費、外部委託費など、もれなく見積もることが大切です。

品質・リスク・コミュニケーション計画

プロジェクトを進めるうえで守る品質の基準を決めておきます。たとえば「エラー率○%以内」など、具体的な基準が必要です。また、途中で起こりそうなリスクを書き出し、事前に対応策も考えます。加えて、誰と、どのような方法(メール、ミーティング等)で情報共有するかも最初に整理します。

全計画の統合

これまで挙げた各種計画をもとに、全体をまとめた「プロジェクトマネジメント計画書」を作成します。この計画書が、プロジェクト実行や進捗確認の“基準書”となり、円滑な運営のカギとなります。

次の章に記載するタイトル:計画で活用する主要手法とツール

計画で活用する主要手法とツール

1. WBS(作業分解構造)

プロジェクト内の作業を細かく分けていく手法です。まず、最終的に達成したい成果を分かりやすい作業単位まで分解します。たとえば、新しいウェブサイトを作る場合は「デザイン」「開発」「テスト」など主要なカテゴリごとに分け、その後「デザイン」なら「トップページ作成」「バナー作成」などさらに細かくします。これによって、作業の抜けや重複を防ぎ、全体像を明確にできます。

2. ガントチャートとネットワーク図

ガントチャートは、作業ごとに開始日と終了日、期間、担当者を横棒グラフで表し、誰がいつ何をするかが一目で分かります。一方、ネットワーク図はタスク同士のつながりや順序(どの作業が終わってから次に進むのか)を図解します。たとえば、家のリフォームで「床の張り替え」が「家具を移動する」より後でなければならないなど、タスク間の関係を視覚的に整理できます。

3. リソース計画と割り当て

作業ごとに必要な人手やお金、機材などを見積もり、それぞれの項目に責任者や期限を設定します。たとえば、工事現場なら、各作業に大工、電気技師など特定の人を割り当てたり、予算の配分を決めたりします。これにより無駄な重複や手配漏れがなくなります。

4. リスク管理計画

プロジェクトで起こりそうな問題を事前に想定し、「何が起きうるか」をリストアップします。その上で「発生する可能性」や「影響の大きさ」を評価し、対策を考えます。たとえば、納期遅延のリスクへの対応策として日程に余裕を持たせるなどの方法です。リスク管理は一度きりでなく、計画中も常に見直しと監視が大切です。

5. コミュニケーション計画

関係者ごとに必要な情報と、連絡の頻度や方法を決めておきます。たとえば、チーム内は毎日のミーティング、上司へは週1回の進捗報告、外部にはEメールで通知、などです。これによって「伝えたつもり」「聞いていない」を防ぎます。

6. よく使う代表的な手法・フレームワーク

・CCPM(クリティカルチェーンプロジェクトマネジメント)
・PERT(プログラム評価レビュー技法)
・PPM(プロジェクトポートフォリオマネジメント)
・PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)
各手法には特徴があり、プロジェクトの規模や内容に応じて適切なものを組み合わせて使います。

次の章に記載するタイトル:「計画プロセスの具体的な流れ(実務寄り)」

計画プロセスの具体的な流れ(実務寄り)

計画プロセスを実際に進める場合、現場ではどのような手順が一般的なのでしょうか。ここでは、誰もがイメージしやすいように、実務的な流れを段階ごとに解説します。

1. 目標の明確化・指標設定

まず最初に「何を達成したいか」を決めます。目標はできるだけ測定しやすい形にします。例えば「半年で売上20%増」や「新商品を3ヶ月以内にリリース」などです。こうした具体的な数値目標を、関係者全員で共有することが重要です。

2. タスクの分解・見える化

目標を達成するために必要な作業を洗い出します。その際、WBS(作業分解構成図)やマインドマップを使うと、抜け漏れを防げます。例えば「新商品リリース」なら、「商品企画」「試作品づくり」「プロモーション準備」など、細かな作業に分けて整理します。

3. 優先順位付けとリソース・スケジュール調整

洗い出したタスクを、重要度や順番ごとに並べ直します。同時に、それぞれに必要な人員や予算、時間を見積もります。そして、何度か調整を繰り返しながら、現実的に実行できる計画(ベースライン)を作成します。

4. 品質・リスク・コミュニケーション計画の策定

完成させた作業計画に加え、品質をどのように保つか(例:ダブルチェックのルール)、不測の事態への備え(リスクの洗い出しと対応)、関係者への報告ルール(定例ミーティングなど)もまとめます。

5. 計画書の統合と承認

最後に、それまでの内容を「計画書」としてまとめ、関係者(上司や他部署など)の目で確認・承認をもらいます。こうすることで、これ以降の実行や進捗管理の基準となります。

次の章に記載するタイトル:計画プロセスが重要な理由(管理対象と波及効果)

計画プロセスが重要な理由(管理対象と波及効果)

プロジェクトを円滑に進めるためには、計画プロセスが欠かせません。この章では、なぜ計画がこれほど重要なのか、具体的な管理対象とその波及効果についてご紹介します。

1. 計画がコントロールの基礎になる理由

計画プロセスは、プロジェクトにおいて「何を」「誰が」「いつ」「どのように」行うかを事前に明らかにします。これによって、ヒト(人員)、モノ(資材や設備)、カネ(予算)、情報(データや報告など)といった主要な資源を、効率よく割り振ることが可能となります。

例えば、旅行を計画する際も「集合場所」「旅程表」「予算」「持ち物リスト」などを決めてから動くと、当日の混乱が防げます。同じく、プロジェクトも初めに計画するからこそ、始まってからの迷いを最小限に抑えられます。

2. 管理の中心となる"見える化"

計画を作ることで、プロジェクトの全体像を誰が見ても分かるようにできます。例えば、大きな進行表やチェックリストなどを活用すると、今どこまで進んでいるのか、遅れが出そうな部分はどこかなどが一目で把握でき、迅速な判断が可能になります。

予定を立てずに作業を始めると、後から「もっと人が必要だった」「資材が足りない」といった問題が表面化しやすいです。計画がしっかりしていれば、こうしたリスクも早い段階で検知・対策できます。

3. チームの一体感とモチベーション強化

計画プロセスは、メンバーが何を目指すのかを「目標」として明確にします。目標が共有されていると、チームが同じ方向を向いて努力でき、各自のやる気も高まります。自分の役割やゴールがはっきり見えるので、進捗も実感しやすくなります。

さらに、計画で決めた数値やスケジュールは、あとから進み具合をチェックする基準(指標)にも使えます。もし遅れた場合も早めに気付き対処しやすくなります。

4. 波及効果:計画の良し悪しが成果に直結

良い計画は、プロジェクト全体の成否を大きく左右します。計画でリスクに備えたり、必要なアクションを具体的に決めたりすることで、トラブル発生後の混乱や無駄なコストの増大を防げます。

一方、計画が曖昧だとメンバーの認識がバラバラになり、余計な手戻りやスケジュール遅延など、プロジェクト全体に悪影響が広がる可能性が高まります。


次の章に記載するタイトル:PMBOKの位置づけ(第6版視点)

PMBOKの位置づけ(第6版視点)

PMBOKとは何か

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は、プロジェクトマネジメントの国際的なガイドラインであり、さまざまな分野で活用されています。第6版では、プロジェクトを成功させるための体系的な知識や手法がまとめられており、実際の管理現場で役立つ内容です。

5つのプロセス群

第6版のPMBOKでは、プロジェクトの進行を5つの「プロセス群」に分けて整理しています。
- 立ち上げ
- 計画
- 実行
- 監視・コントロール
- 終結

この中でも計画プロセスは、成功に直結する最も重要なステップと位置づけられています。

計画プロセスの役割と位置

計画プロセスは、プロジェクトの細かい実施計画(詳細なスケジュール、必要な資源配分、コスト見積もりなど)を策定するパートです。この工程がしっかりしていれば、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)のバランスを保ちやすくなります。

また、PMBOK第6版では「知識エリア」と呼ばれるジャンルごとにも体系化しています。例えば、スケジュール管理やリスク管理などです。計画プロセスは、これら知識エリアと密接に連携し、QCDを全体的に統合・最適化するための基盤です。

実務における活用

PMBOK第6版のフレームワークを使うことで、プロジェクト管理者やチームは、やるべき手順や管理ポイントを明確に把握できます。特に計画プロセスを丁寧に行うことで、後工程での手戻りやトラブルを未然に防げる効果が期待できます。

次の章に記載するタイトル:計画プロセスの実務テンプレート例(着手チェックリスト)

計画プロセスの実務テンプレート例(着手チェックリスト)

プロジェクトの計画作成に着手する際、何から始めるべきか迷うことはありませんか。ここでは、実務で活用できるチェックリスト形式で、計画プロセスの主要なテンプレート例をご紹介します。

1. スコープ記述書

プロジェクトの目的やアウトプットをわかりやすく明文化したものです。例として「新しいWebサイトを公開する」「既存のシステムをリニューアルする」など、達成目標を明確に記載します。

2. WBS(作業分解構成図)

プロジェクト全体を細かい作業に分けてリストアップします。付箋やエクセルを使い「要件整理」「設計」「開発」「テスト」「リリース」など、段階ごとに細分化しましょう。

3. アクティビティ一覧・依存関係・所要日数

各作業項目ごとに「誰が、何を、どれくらい時間をかけて行うか」を整理します。例えば「デザインの作成:3日」「コーディング:5日」のように、中身と順序も明記します。

4. ガントチャート・ネットワーク図

作業項目ごとにスケジュール化した表や図を作成します。エクセルや無料ツールを活用し、各作業の開始日・終了日、並行して進む工程、依存関係を可視化できます。

5. リソース計画(役割・責任・アサイン表)

誰がどの作業を担当するのか、役割分担を明記します。「Aさんは設計、Bさんは開発、Cさんはテスト」のように表にまとめ、関係者間で共有します。

6. コスト見積・予算ベースライン

各作業にかかる費用を見積もり、全体予算を決定します。項目ごとに「開発費100万円」「デザイン費20万円」など、リアルな金額で具体化しましょう。

7. 品質計画(受入基準・レビュー計画)

完成品がどんな状態なら合格なのかを事前に決めます。たとえば「エラー発生率1%以下」「5人でレビュー実施」「マニュアル添付」などが該当します。

8. リスク登録簿(確率×影響、対応方針、トリガー)

想定されるリスクを列挙し、「発生する確率」と「影響度」を簡単に点数化、その対応策や発生のきっかけもセットで整理します。例:リスク「納期遅延」→確率3/5、影響4/5、対応策「定例進捗確認」など。

9. コミュニケーション計画(RACI、会議体、報告頻度)

誰が情報発信や意思決定を担うかを明確にします。「責任者(R)・説明役(A)・相談者(C)・報告先(I)」のように区分し、全体会議や進捗報告のペースも定めます。

10. 統合されたプロジェクトマネジメント計画書

上記それぞれを一つにまとめた計画書を作成します。誰でも見返せる共通資料とすることで、進行中の確認や振り返り時にも役立ちます。

次の章に記載するタイトル:よくある課題と対策

よくある課題と対策

計画プロセスに取り組むうえで、多くの現場ではいくつかの典型的な課題が発生します。ここでは実際によく直面する課題と、それらへの効果的な対策について詳しく解説します。

スコープの曖昧さ

プロジェクトの範囲(スコープ)が曖昧だと、後々「これはやる約束だったのか?」といったズレが生じやすくなります。この課題には、成果物ベースで作業を細かく分けるWBS(作業分解構成図)が役立ちます。WBSを使うと、「どこまでが対象で、どこからが対象外か」をはっきりさせることができ、プロジェクトの境界条件や含まれない項目(非対象)も明記できます。

人的リソース不足

人手や技術者が足りない場合、プロジェクトの遅れや品質低下につながりがちです。この対策として、プロジェクトの初期段階で「どんな役割が、どんなスキルを持つ人に必要か」明確にしておくことが大切です。必要な人材を早めに確保できるよう計画し、もし不足しそうな場合は外部からの支援や育成も検討しましょう。

スケジュールの遅延

「なぜ予定通りに進まないのか?」という悩みも頻出します。これには、各作業同士のつながり(依存関係)や、本当に遅れると全体に影響する重要な作業(クリティカルパス)をまず見える化します。そのうえで、予期せぬ事態が起きても大丈夫なように、要所に予備期間(リスク対応のバッファ)を盛り込むことで、柔軟に対応できます。

コミュニケーション不足

関係者の間で連絡不足や誤解が生じると、計画そのものが崩れかねません。これを防ぐには、各利害関係者ごとに「どんな形(例:メール・会議資料)で、どれくらいの頻度で情報を伝えるか」最初から合意しておきます。状況に応じて、報告フォーマットや進捗共有のタイミングも調整しましょう。

次の章に記載するタイトル:導入の第一歩(実行可能なアクション)

導入の第一歩(実行可能なアクション)

実用的な導入手順

プロジェクトマネジメント計画の計画プロセスを現場で活用するには、まず具体的なステップを踏むことが効果的です。ここでは、初めての導入でも取り組みやすい実行可能なアクションを紹介します。

1. プロジェクト憲章の確認

プロジェクトを始める際は「なぜ行うのか」「何を目指すのか」など目的や背景、スコープを整理したプロジェクト憲章を必ず確認しましょう。これが計画策定の出発点です。

2. WBS(作業分解構成図)の作成

大きな作業をいくつかの成果物や作業パッケージに分割します。最終的な成果物や納品物から逆算し、「何が必要か」を洗い出します。たとえば、新製品開発なら「設計」「試作」「評価」など、主要10~20のタスクに落とし込みます。

3. 初期ガントチャートの作成

分割したタスクを並べてガントチャート形式に配置します。ここではまだ大まかで構いません。各タスクに担当者(リソース)やざっくりとした期間を割り当て、全体像を共有しましょう。

4. 関係者レビューによる妥当性の確認

作成した計画は一度メンバーや関係者に見てもらい、「実現可能か」「漏れや重複はないか」など意見をもらいます。改善案があれば素早く反映し、実効性を高めましょう。

5. リスクの洗い出しと対応策

よくある失敗の種(リスク)を10個程度ピックアップし、「どんな準備や回避策ができるか」「誰が責任を持つか(リスクオーナー)」まで決めておくと安心です。たとえば「部品遅延」や「人手不足」など、現場でよくある内容から挙げておきます。

6. 定期的なレビューと更新サイクルの設計

計画は作って終わりではありません。週に1度など、定期的に進捗やリスクを見直すチェックの仕組みを設けましょう。軽い会議でも十分です。

7. 計画書への統合と承認・管理

これら全てをプロジェクトマネジメント計画書としてまとめ、関係者の承認を得て管理体制を整えます。計画書は後の変更も発生しやすいので、どんな時にどのような手順で見直すか(変更管理)をルール化しておくと安心です。


次の章に記載するタイトル:補足(用語の簡潔定義)

補足(用語の簡潔定義)

本章では、プロジェクトマネジメントにおける計画プロセスでよく使われる用語について、できるだけ簡単な言葉で説明します。具体的な例も交えてご紹介するので、実務で混乱しやすい言葉もイメージしやすくなるはずです。

WBS(作業分解構成図)

WBSは「Work Breakdown Structure」の略で、成果物を基準にして作業を階層的に分解する方法です。たとえば、家を建てるプロジェクトなら「基礎工事」「外壁」「屋根」など成果物ごとに作業を細かく分類して整理します。これにより、やるべきことの全体像や抜け漏れを明確にできます。

ベースライン

ベースラインは、計画を進めるうえでの「ものさし」となる数値やスケジュールです。「スケジュールベースライン」「コストベースライン」などという表現で使います。たとえば、プロジェクト開始時に"いつまでに何を、いくらで"という計画が承認された時点で、その数値が基準となり、進捗やコストがその後どう変化したかを比較できます。

RACI(責任分担マトリクス)

RACI(レイシー)は、プロジェクトの各タスクに対して「誰が何をするのか」を明確にするフレームワークです。次の4つの頭文字を取っています。
- Responsible(実行責任者):手を動かす人
- Accountable(最終責任者):最終的な判断と責任を持つ人
- Consulted(相談相手):意見やアドバイスをする人
- Informed(報告を受ける人):進捗を共有される人
たとえば、ウェブサイト作成なら「デザイナーが実行責任者、プロジェクトマネージャーが最終責任者」などの形で整理します。

このような用語の意味を理解することで、計画プロセスの流れや役割がより明確になり、プロジェクト管理に役立ちます。

次の章に記載するタイトルは、出典に基づく主な根拠です。

出典に基づく主な根拠

計画プロセスに関する解説では、信頼できる出典に基づいた主な根拠が不可欠です。この記事で紹介した内容は、下記の資料や文献に基づいたものです。

1. 計画プロセスの目的・活動・アウトプット

計画プロセスでは「計画書」「WBS」「スケジュール」「コスト」「品質」「リスク」「コミュニケーション」など多岐にわたる成果物や活動が含まれます。これらはPMBOK(Project Management Body of Knowledge)ガイドにしっかりと整理されています。[4]

2. プロジェクトマネジメント計画書の作成手順

計画書作成では「スコープ定義」「人的リソースの見積もり」など具体的なステップが重要です。これは入門書や実務解説書で体系的に示されています。[1] これにより、計画プロセスが現実的に運用しやすくなります。

3. 計画プロセスの主要な手法

「CCPM(クリティカルチェーン法)」「WBS(作業分解構成図)」「PERT(ネットワーク図)」「PPM(ポートフォリオ・プロジェクト・マネジメント)」などの管理手法、そしてPMBOKのガイドラインも広く活用されています。タスク分解や割当、期限の明確化が大切である点は各専門書でも解説されています。[2]

4. 目標設定およびタスク分析

目標設定の方法や、タスクの洗い出しと細分化については「WBS」や「マインドマップ」などのツールを使って行います。これも実践的な計画立案において重要な考え方です。[3]

5. PMBOK第6版「計画」プロセスの位置づけ

PMBOK第6版では、計画プロセスがプロジェクトマネジメントの中心であり、実行や監視・コントロールと密接に結びついていることが記載されています。全体の5つのプロセス群のなかで、「計画」は特に中核プロセスとしての位置が強調されています。[7]

6. 実務での計画要素の活用

WBSやスケジュール作成、リソース配分、リスクマネジメントといった実務面の要素についても、計画立案時の必須事項として多くの出典で示されています。[8]

これらの出典に基づき、計画プロセスの解説を組み立てましたので、読者の皆さまが安心して学習・実践いただける内容となっています。

-リーダーシップとマネジメントスキル