コミュニケーションスキル

看護で使うコミュニケーション技法とは?患者対応で役立つ基本スキルをわかりやすく解説

はじめに

「患者さんとうまく会話するにはどうすればよいのだろう」
「話しかけているつもりなのに患者さんの本音を引き出せない」
「看護で使われるコミュニケーション技法にはどのようなものがあるのだろう」と疑問に感じたことはありませんか。

看護におけるコミュニケーションは、単に会話をすることだけが目的ではありません。

この記事では、看護で使われるコミュニケーション技法の基本や患者対応で役立つ具体的なスキル、それぞれの技法を活用する場面について順を追って説明していきます。

看護でコミュニケーション技法が重要な理由

看護におけるコミュニケーション技法は、単に患者と会話をするためのものではありません。

ここでは、看護でコミュニケーション技法が重要とされる理由について詳しく見ていきましょう。 

患者との信頼関係づくりにつながる

患者との信頼関係を築くためには、患者が安心して話せる環境を作ることが大切です。

相手の話を最後まで聞き、うなずきや相づちを交えながら関心を示すことで、患者は「きちんと話を聞いてもらえている」と感じやすくなります。

そうした積み重ねが安心感につながり、患者と看護師の信頼関係も築きやすくなります。

患者が安心して話せる環境を作るためには、日頃の接し方や信頼関係の築き方も大切です。相手との距離を縮めるポイントを知りたい方は、こちらも参考にしてください
▶コミュニケーションで信頼関係を築くには?相手と良好な関係を作るコツを解説

症状や不安を把握しやすくなる

患者が感じている痛みの場所や強さ、体調の変化、不安に思っていることを知るためには、患者の言葉を丁寧に聞くことが大切です。

質問の仕方を工夫し、話しやすい雰囲気を作ることで、「いつから痛むのか」「どのようなときに症状が強くなるのか」といった情報を聞き取りやすくなります。

そのため、症状や不安の内容をより把握しやすくなります。

多職種連携や情報共有にも役立つ

看護師は、患者の状態を医師や薬剤師、理学療法士などへ正確に伝える役割も担っています。

症状の変化や患者の訴えを整理しながら伝えることで、必要な情報を共有しやすくなります。

患者の状況を関係者で共有しやすくなるため、多職種連携にも役立ちます。

看護でよく使われるコミュニケーション技法

看護の現場では、患者の思いや状態を正確に把握し、安心して話してもらうためにさまざまなコミュニケーション技法が活用されています。

ここでは、看護でよく使われる代表的なコミュニケーション技法について、それぞれの特徴や役割を見ていきましょう。

患者との会話では、言葉だけでなく表情や視線、姿勢なども重要です。言葉以外の伝え方について詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。
▶言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションの違いとは?特徴や具体例をわかりやすく解説

傾聴

傾聴とは、患者の話を途中で遮らず、相手の言葉や気持ちを理解しようとしながら最後まで聞くコミュニケーション技法です。

うなずきや相づちを交えながら丁寧に話を聞くことで、患者は安心して話しやすくなります。

そのため、体調の変化や不安に感じていることも聞き取りやすくなります。

共感

共感とは、患者が感じている不安やつらさを受け止め、その気持ちに寄り添うコミュニケーション技法です。

患者の気持ちを言葉にして返しながら話を聞くことで、「自分のことを理解してもらえている」と感じやすくなります。

安心して本音や不安を話せるようになるため、患者への理解も深めやすくなります。

オープンクエスチョン

オープンクエスチョンとは、「はい」「いいえ」だけでは答えられない質問を用いて、患者に自由に話してもらうコミュニケーション技法です。

患者自身の言葉で症状の変化や感じている不安を説明してもらえるため、短い返答だけでは分からない情報を把握しやすくなります。

その結果、患者の状態や考えをより詳しく理解しやすくなります。

クローズドクエスチョン

クローズドクエスチョンとは、「はい」「いいえ」や短い言葉で答えられる質問を用いるコミュニケーション技法です。

確認したい内容を絞って質問できるため、症状の有無や体調の変化を短時間で確認しやすくなります。

必要な情報を確かめたい場面で役立つ方法です。

反復

反復とは、患者が話した言葉の一部をそのまま繰り返して返すコミュニケーション技法です。

患者の言葉を繰り返すことで、「話をきちんと聞いてもらえている」と感じやすくなり、安心して話を続けてもらいやすくなります。

患者の気持ちや伝えたいことを、より深く理解することにつながります。

承認

承認とは、患者の考えや行動、努力していることを認めて言葉で伝えるコミュニケーション技法です。

患者の気持ちや取り組みを受け止めて認めることで、「自分を理解してもらえている」と感じやすくなります。

安心して看護師と関われるようになるため、自分の思いや状況も伝えやすくなります。

沈黙

沈黙とは、患者が考えたり気持ちを整理したりする時間を確保するために、あえてすぐに言葉をかけず待つコミュニケーション技法です。

患者が話を考えているときに無理に言葉を促さず待つことで、自分の言葉で気持ちを話しやすくなります。

患者の本音や思いを聞き取るきっかけにもつながります。

看護でコミュニケーション技法を使う場面

看護におけるコミュニケーション技法は、患者との会話だけで使われるものではありません。

ここでは、看護でコミュニケーション技法が活用される主な場面について見ていきましょう。

患者対応

患者対応では、症状の確認や生活状況の聞き取り、不安の把握などにコミュニケーション技法が活用されます。

患者の話を最後まで聞き、質問の仕方を工夫することで、伝えたいことや気持ちを理解しやすくなります。

患者の状態に合わせた対応にもつながります。

家族対応

家族対応では、患者の状態に対する不安や疑問を聞き取り、必要な情報を分かりやすく伝えるためにコミュニケーション技法が活用されます。

家族の話を丁寧に聞きながら気持ちを受け止めることで、心配事や要望を理解しやすくなります。

安心して相談してもらえる関係づくりにもつながります。

多職種連携

多職種連携では、患者の状態や治療経過に関する情報を共有するためにコミュニケーション技法が活用されます。

相手が必要とする内容を整理して簡潔に伝えることで、症状の変化や患者の訴えを分かりやすく共有しやすくなります。

医師や薬剤師、理学療法士などと連携しながら、適切な対応につなげやすくなります。

コミュニケーション技法を使うときのポイント

コミュニケーション技法は、知識として覚えるだけでは十分に活用できません。

ここでは、コミュニケーション技法を実践する際に意識したいポイントを紹介します。

患者のペースに合わせる

患者によって話す速さや考えをまとめる時間は異なるため、看護師のペースで質問を続けないことが大切です。

患者が言葉を探しているときは無理に話を進めず、話し終わるまで待つことで、自分の言葉で気持ちや症状を伝えやすくなります。

患者への理解を深めることにもつながります。

否定せずに話を受け止める

患者が話した内容に対してすぐに否定したり評価したりすると、患者は本音を話しにくくなります。

まずは患者の言葉を最後まで聞き、不安や考えを受け止めることで、安心して話を続けやすくなります。

患者の気持ちや状態を、より理解しやすくなることにもつながります。

表情や声のトーンにも注意する

患者は言葉の内容だけでなく、看護師の表情や声のトーンからも気持ちを受け取っています。

無表情で早口に話したり、強い口調で質問したりすると、患者は話しにくさを感じやすくなります。

落ち着いた表情と聞き取りやすい声の大きさで接することで、患者は安心して気持ちを話しやすくなります。

新人看護師が意識したいコミュニケーションの基本

新人看護師の場合、「うまく話さなければならない」「正しい返答をしなければならない」と考えすぎてしまうことがあります。

基本的なポイントを意識するだけでも患者との関係づくりに役立つため、まずは無理なく実践できることから取り組んでいきましょう。

まずは話を遮らずに聞く

新人看護師は必要な情報を聞き出そうとして質問を急ぎやすくなりますが、患者の話の途中で言葉を挟むと話の流れが途切れやすくなります。

まずは患者が話し終わるまで聞くことで、症状の変化や不安に感じていることを患者自身の言葉で聞き取りやすくなります。

患者の状況をより深く理解することにもつながります。

専門用語を使いすぎない

患者は医療用語の意味を理解しているとは限らないため、専門用語を多く使うと説明内容が伝わりにくくなります。

患者が普段使う言葉に置き換えて説明することで、話の内容を理解しやすくなり、疑問や不安も伝えやすくなります。

患者とのコミュニケーションを円滑に進めることにもつながります。

完璧な会話を目指しすぎない

新人看護師は「うまく話さなければならない」と考えすぎると、患者の話を聞くことよりも自分の言葉選びに意識が向きやすくなります。

会話を完璧に進めようとするのではなく、患者の話を丁寧に聞くことを意識することで、落ち着いて対応しやすくなります。

自然なコミュニケーションにもつながっていきます。

まとめ

看護におけるコミュニケーション技法は、患者と会話をするためのテクニックではなく、患者の気持ちや状態を理解し、信頼関係を築くために大切な技術です。

相手の話を丁寧に聞き、気持ちに寄り添いながら関わることで、患者は安心して自分の思いや不安を話しやすくなります。

また、コミュニケーションを上手に行うためには、難しい話し方を身につける必要はありません。

患者のペースに合わせて話を聞き、分かりやすい言葉で伝えることを意識するだけでも、安心して話せる環境づくりにつながります。

特に新人看護師は、「上手に話さなければ」と考えすぎなくても大丈夫です。

まずは患者の話を最後まで聞き、一人ひとりに丁寧に向き合うことを大切にしてみてください。

そうした日々の積み重ねが、患者との信頼関係やより良い看護につながっていきます。

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