目次
はじめに
この記事の目的
この章では、管理職に就いている方が「役職を降りたい」「管理職を辞めたい」と感じる背景と、この記事全体で扱う内容の全体像を示します。悩みを一人で抱え込まず、具体的な対処法や注意点を知る手がかりにしてください。
想定読者
- 今の役割が重く感じる管理職の方
- 管理職から一般職へ戻ることを検討している方
- 上司や人事として、相談を受ける立場の方
この記事で分かること
- 管理職を降りたいと感じる典型的な理由
- 降りる・辞めるための具体的な方法と手順
- 相談相手の選び方、準備すべき証拠や記録
- 降格や退職に伴うリスクとその回避策
- 法的・会社規程の観点で注意すべき点
読み進め方のアドバイス
まずは第2章で理由を整理し、第3章と第4章で実行の方法と手続きを確認してください。必要な準備が整ったら、早めに上司や人事に相談することをおすすめします。
多くの人が「管理職を降りたい」と思う理由
「管理職を降りたい」と感じる人は少なくありません。ここでは代表的な理由を分かりやすく説明します。
1) 人間関係の悩み
部下との指導、上司や他部署との調整、クレーム対応などで人間関係の負担が増えます。たとえば、部下の不満を取りまとめる役割で板挟みになることが多いです。
2) 減給や評価への不安
管理職になると給料体系や評価基準が変わる会社があります。責任は増える一方で、評価が見合わない・将来の収入が不安になる人もいます。
3) 責任を負わされることが多い
自分のミスでなくてもチームの結果に責任を問われる場面が増えます。説明や弁明が必要になり、精神的な負担が大きくなります。
4) プライベートの時間が減る
会議や報告書作成、電話対応で残業が増え、家族や趣味の時間が取れなくなります。休めないと疲労が蓄積します。
5) 健康への影響
長時間労働やストレスで不眠や体調不良を招くことがあります。精神的な不調で働き続けられないと感じる人もいます。
これらの理由は単独で起きることも、複数が重なって現れることもあります。次章では、具体的な対処法を見ていきます。
管理職を辞める(降りる)具体的な方法
まず選択肢を明確にする
管理職を辞めたいときは、大きく二つの道があります。A)管理職を降りて一般社員に戻る、B)会社を退職する。まず自分がどちらを望むかをはっきりさせます。家庭や健康を優先したいなら降格、業界や働き方を変えたいなら退職が向きます。
降格(管理職を降りる)を申し出る手順
- 上司に面談を申し込み、理由(過重な負担、心身の不調、育児・介護など)を具体的に伝えます。例:「最近の長時間勤務で体調を崩しており、職務を続けるのが難しい」
- 人事にも相談します。就業規則や降格の運用を確認し、医師の診断書があれば提出すると説得力が増します。
- 引き継ぎ案と後任候補、教育期間を提示して業務の混乱を減らします。
- 給与や役割の変化を確認し、必要なら時短勤務や業務調整で折衝します。
退職する場合の具体的手順
- 退職の意思を上司に伝え、退職日を調整します。退職届を提出し、引き継ぎ計画を作成します。
- 有休消化や退職金、保険切替の手続きを確認します。転職先がある場合は入社時期と調整します。
相談先と準備書類
- 人事、産業医、かかりつけ医、家族。準備する書類は診断書、引き継ぎ資料、退職届(退職時)。
これらを順に進めれば、心身の負担を減らしながら円滑に役職変更/退職ができます。
管理職を降りる・辞める際の具体的な手順
管理職を降りる・辞めるときは、証拠と段取りを整えることが重要です。以下の手順に沿って進めると安心です。
1. 必要な書類と証拠を集める
- 雇用契約書、就業規則、職務記述書(あれば)
- 給与明細や源泉徴収票、タイムカードや勤怠記録
- メールやチャットのやり取り、面談のメモ
例:未払い残業が心配なら出勤記録や業務メールを保存します。
2. 上司・人事にまず相談する
- 直属の上司に事情を話し、人事部へ正式に相談します。
- 「管理職を外れて通常業務に戻りたい」「退職を考えている」など、希望を明確に伝えます。
- 言った内容はメールで確認して記録を残します。
3. 申請は書面で行う
- 降格・降任や退職の意思は書面で提出します。理由と希望日を明記し、コピーを保管します。
4. 引き継ぎ計画を作る
- 担当業務一覧、進捗状況、次の担当者、重要な連絡先をまとめます。
- マニュアルやテンプレートを準備し、引き継ぎミーティングを設定します。期間と期限を明確にします。
5. 私物と社用物の整理
- PCやスマホ、IDカード、書類などを返却します。
- 個人データはバックアップし、会社の規定に従って消去します。
6. 有給・給与・退職金の確認
- 有給休暇の消化方法を確認し、申請します。
- 最終給与や退職金、未払い残業代がないか確認します。必要なら労働基準監督署や専門家に相談します。
7. 円滑な終了とその後のフォロー
- 引き継ぎ後の問い合わせ先を決めておきます。
- 可能なら円満に終え、今後の人間関係を保つ配慮をします。
上の手順を順に実行すると、感情的なトラブルを避けて安全に管理職を降りたり辞めたりできます。必要に応じて専門家に早めに相談してください。
管理職を降りる際の注意点・リスク
管理職を降りる決断は本人だけで完結しません。ここでは、降格や職位変更に伴う主な注意点と、リスクを減らすための実務的な対策を分かりやすく説明します。
1) 会社側の判断が必要
管理職から外れるには、会社の同意や人事手続きが必要です。自己都合だけで認められないことが多いため、まずは就業規則や雇用契約を確認し、人事や上司に早めに相談してください。書面で合意を残すことが重要です。
2) 給与・待遇の変化
役職手当や評価基準が変わり、給与や賞与に影響します。経済的な不利益がある場合は、具体的な額や評価方法を確認して、必要なら交渉や代替案(時短勤務や職務限定など)を提示しましょう。
3) キャリアと人間関係への影響
降格後は職場での立場や信頼が変わる可能性があります。業務分担を明確にし、周囲と率直にコミュニケーションを取って信頼の再構築に努めてください。転職を視野に入れる場合は、説明の準備をしておくと有利です。
4) 手続き・証拠保存の重要性
退職金や未払い給与に関わる問題を避けるため、合意書ややり取りは記録しておきましょう。争いが生じたら労働局や弁護士に相談します。口頭だけで済ませないことが大切です。
5) 健康面と精神的負担
役職変更はストレス源になります。産業医やメンタルヘルス窓口を早めに活用し、必要なら休職制度も検討してください。
6) リスクを減らす具体的対策
・就業規則・雇用契約の事前確認
・書面での合意(業務内容・給与・評価基準)
・第三者の活用(人事、産業医、労働組合、専門家)
・転職や再就職の準備(履歴書、面接での説明)
早めに相談し、書面で合意することで多くのリスクは軽減できます。心身のケアも忘れずに進めてください。
まとめ:管理職を降りたいなら早めの相談と準備を
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なぜ早めに相談・準備するか
管理職を続けることが体や心の負担になる場合、時間をかけて対策を取ることで負担を減らせます。具体例:上司や人事に状況を伝えて役割調整を相談する、産業医に相談して診断書をもらう。早めに動くと選択肢が広がります。 -
準備すべき具体的な項目
1) 証拠を集める(メールや業務量の記録、医師の診断書)
2) 引き継ぎ案を作る(業務リスト、後任候補、進行中案件の整理)
3) 相談先を決める(人事、産業医、労働組合、キャリア相談、外部弁護士)
4) 自分の希望を明確にする(降格か異動か退職か、時期や条件) -
手順の実例
1) まず直属の上司と面談を申し込む。2) 人事や産業医にも相談し調整案を作る。3) 文書で合意内容を残す。4) 引き継ぎと業務整理を実施する。 -
注意点と心構え
個人で抱え込まず、周囲の支援を活用してください。会社側の対応はケースごとに異なります。交渉や手続きで不安があれば、第三者(労働相談窓口や弁護士)にも早めに相談しましょう。