目次
はじめに
この記事では、日本能率協会グループが提供するプロジェクトマネジメントの学びと実践を、教育・研修、出版物、資格支援、ツールや手法まで一気通貫でご紹介します。基礎から実務、資格取得までを横断し、初学者から管理職まで幅広い方に役立つ内容を目指します。
本記事の目的
- プロジェクトマネジメントの全体像をつかんでいただくこと
- 学びの選択肢(研修・書籍・資格・ツール)を比較しやすくすること
- 明日から現場で使えるヒントを持ち帰っていただくこと
どんな方におすすめか
- これからプロジェクトを任される予定の方
- 新任のリーダー・管理職の方
- 資格取得を通じて体系的に学びたい方
- 現場の進め方を見直し、成果を安定させたい方
プロジェクトマネジメントは身近な力です
特別な業界だけの話ではありません。例えば次のような場面で役立ちます。
- 学校行事や社内イベントを期限までに成功させる
- 新商品の発売準備やキャンペーンを計画通りに進める
- 部署横断の改善活動を関係者と協力して進捗管理する
こうした「目的・期限・関係者」がそろう仕事で、段取りとコミュニケーションを整えるのがプロジェクトマネジメントです。
記事の構成と読み方
- はじめに:学びの全体像を確認します(本章)。
- プロジェクトマネジメントとは何か:基本の考え方をやさしく整理します。
- 日本能率協会グループのプロジェクトマネジメント関連サービス:学びの選択肢を俯瞰します。
- 実践的な教材・出版物:現場で使える知識源を紹介します。
- プロジェクトマネジメントに関する資格とその支援:学習ルートと支援策を解説します。
- プロジェクトマネジメントの実践知識・ツール:すぐ試せる手法やテンプレートを示します。
- 日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の企業情報:提供元の背景を押さえます。
- まとめ:全体の要点をふりかえります。
必要なところから読み進めていただいて構いません。学びたい深さに合わせて章を選んでください。
用語の使い方について
専門用語は最小限にし、登場する場合はかならず簡単な言い換えや具体例を添えます。初めて学ぶ方でも迷わないように、図や表がなくても理解できる説明を心がけます。
学びを実務に結びつけるコツ
- 小さく試す:会議の進め方やタスクの見える化など、明日できる一歩から始めます。
- 言葉をそろえる:チームで用語や手順を合わせ、齟齬を減らします。
- ふりかえる:短い振り返りを習慣化し、次の改善点を一つだけ決めます。
このあと、プロジェクトマネジメントの基本概念をやさしく解説し、学びの土台を整えます。
プロジェクトマネジメントとは何か
プロジェクトマネジメントとは何か
前章の振り返り
前章では、本連載の目的と、働く現場や地域活動でも「一度きりの取り組み=プロジェクト」が増えている背景を紹介しました。読者の皆さまが実務で使える考え方を、できるだけ身近な例で学べるよう進めていく方針もお伝えしました。
プロジェクトとは
プロジェクトとは、はっきりした目的と期限があり、ゴールに向けて人やお金、時間をやりくりしながら進める一回性の取り組みです。例えば、
- 新製品の発売準備
- 社内システムの入れ替え
- 店舗の改装
- 学園祭や地域イベントの運営
どれも「いつまでに」「何を達成するか」が決まっており、複数の人が関わります。
プロジェクトマネジメントの役割
プロジェクトマネジメントは、達成に向けて道筋をつくり、役割分担を明確にし、進み具合を見える化するためのやり方です。目的に合った計画を立て、進行中の変化に対応し、最後までやり切る力を支えます。
5つのプロセスをやさしく説明
プロジェクトは、次の5つの流れで進みます。
1. 立ち上げ:目的と成功の基準を決めます(例:カフェ移転で「3カ月以内、予算500万円以内、休業は2週間以内」など)。
2. 計画:作業を洗い出し、順番・担当・期限・費用を決めます。シンプルな作業リストや日程表で十分です。
3. 実行:計画に沿って作業を進めます。必要なものを手配し、関係者と連携します。
4. 監視・コントロール:進捗や費用を確認し、ズレを調整します。現場では計画どおりに進まないことが多いので、早めの手当てが重要です。
5. 終結:成果物を引き渡し、関係者の合意を得て完了します。振り返りを残し、次に活かします。
制約のバランスを取る
プロジェクトには、時間(納期)、費用(コスト)、中身(範囲・品質)といった制約があります。例えば「納期を前倒ししたい」なら、作業の範囲を絞るか、追加の人手や費用をかけて対応する必要が出ます。したがって、どれを優先するかを最初に合わせておくことが成功の近道です。
関係者との合意づくり
関係者(ステークホルダー)には、依頼者、利用者、現場の担当者、外部の協力会社などが含まれます。期待が食い違うと迷走します。誰が何を決めるのか、相談の窓口は誰か、記録はどこに残すかをあらかじめ決め、短い定例ミーティングで確認を重ねます。
日々使えるシンプルな道具
難しいソフトは不要です。次のような簡単な道具で十分に前進できます。
- 作業分解リスト(大きな仕事を小さな作業に分けたチェックリスト)
- かんばん(「未着手・進行中・完了」で並べるボード)
- 1ページ計画書(目的、成果物、期限、役割、リスクのメモ)
よくあるつまずきと対処
- 目的があいまい:誰にとっての何のためかを1文で書き出します。
- 情報が散らばる:場所を1つに決め、最新版だけを共有します。
- 会議が長い:15分の定例で、進捗・課題・次の一歩だけを確認します。
- 変更が多い:影響範囲(時間・費用・中身)を簡単に見積もり、合意してから動きます。
小さく始めて、確実に進める
最初から完璧を狙わず、「目的を一文にする→作業を分ける→見える化する」の三つを今週のプロジェクトで試してみてください。小さな成功体験が、次のプロジェクトをぐっと楽にします。
次の章に記載するタイトル:日本能率協会グループのプロジェクトマネジメント関連サービス
日本能率協会グループのプロジェクトマネジメント関連サービス
前章の振り返り
前章では、プロジェクトマネジメントの目的や基本的な流れ(立ち上げから終結まで)、関係者の役割について、現場で起きやすい例を交えながら整理しました。そのうえで「なぜ今、体系的に学ぶのか」を確認しました。
日本能率協会グループが提供する学びの全体像
日本能率協会(JMA)と日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)は、企業と個人の双方に向けて、プロジェクトマネジメントの研修やeラーニングを幅広く提供しています。年間約1,500本の公開型研修では、プロジェクトマネジメントはもちろん、リーダーシップやものづくり分野に特化した講座も受講できます。
- 対象: はじめて担当する中堅層から、チームを率いる管理職層まで
- 形式: 公開型研修(集合・オンライン開催などの形式を含むことがあります)とeラーニング
- 分野: プロジェクトマネジメント、リーダーシップ、ものづくり関連
公開型研修の特徴
- 日程やテーマが多数あり、必要な時に必要な内容を選べます。
- 異なる業界の参加者と意見交換ができ、発想の幅が広がります。
- 仕事の合間に受けやすい短時間テーマから、体系的に学べるテーマまで用意されています。
eラーニングの特徴
- 場所や時間を選ばず学習でき、忙しい時期でも学びを止めません。
- 一度受けた内容を繰り返し視聴でき、理解を定着させやすいです。
- チームで同じ教材を受けると、共通言語が生まれ、会議での意思疎通がスムーズになります。
代表的な入門講座の学習内容
入門講座では、プロジェクトの立ち上げから終結までの一連の流れを、短時間でつかみます。具体的には次のようなポイントを押さえます。
- 目的と成果物をはっきりさせる(ゴールの言語化)
- 関係者と初期合意を作る(期待のすり合わせ)
- 進捗の見える化と計画の見直し(予定と実績の差の扱い方)
- 想定外への備え方(起こりやすいトラブルの手順化)
- 終結時の振り返り(再発防止と成功の再現)
対象者と学習時間の目安
- 対象: 中堅から管理職
- 学習時間: 約50分(短時間で要点をキャッチアップできます)
こんな課題に役立ちます(具体例)
- 初めてプロジェクトを任され、何から着手すべきか迷っている。
- 部門横断の調整が増え、会議が長い割に前に進みにくい。
- 期日が近づくと慌ただしくなり、振り返りが後回しになってしまう。
- チーム内で言葉の定義がばらばらで、認識ズレが起きやすい。
→ 入門講座やeラーニングで共通の型を学び、短い打ち合わせでも段取りと合意形成を進めやすくなります。
学び方の組み合わせ例
- まずは入門講座で全体像を短時間で把握。
- 現場で試す(会議の進め方やタスクの見える化など、すぐに1つ実践)。
- 次に、リーダーシップやものづくり分野の講座で、自分の職場に合う応用を深める。
受講前チェックリスト
- 学びの目的は何か(立ち上げの整理、進捗管理の強化、振り返りの定着など)
- 受講者はだれか(担当者、リーダー、関係部門)
- いつ現場で試すか(受講直後のミーティングや週次運営など)
- どの形式が合うか(公開型研修かeラーニングか)
次章で扱う内容: 実践的な教材・出版物
実践的な教材・出版物
前章のふり返りと本章の位置づけ
前章では、日本能率協会グループが提供するプロジェクトマネジメントの研修や実務支援の全体像を紹介しました。現場で成果につながる仕組みづくりと、人材育成を両輪で支える点が印象的でした。本章では、日々の仕事で使いやすい教材・出版物、とくに新刊の学び方に焦点を当てます。
新刊『マンガでやさしくわかるプロジェクトマネジメント』の特徴
日本能率協会マネジメントセンターから2025年6月に発売される本書は、ストーリー仕立てのマンガと図解で、基礎から実践までを一気に学べる入門書です。現場で起きがちな失敗例・成功例をマンガで追いながら、次のような道具や考え方を身近な言葉で理解できます。
- WBS:大きな仕事を小さな作業に分け、抜け漏れをなくす考え方。
- ガントチャート:作業の順番と期間を横棒で見える化するスケジュール表。
- TRM:技術やサービスの進化の道筋を時系列に描き、準備のタイミングを見通す考え方。
- SCM:調達から生産、納品までの流れを整え、遅れの原因を早く見つける考え方。
初心者はもちろん、部署横断で動く人やチーム学習にも使いやすい体系になっています。
どのように学べるか:具体的な読み進め方
- 物語で全体像をつかむ:登場人物のやり取りを追い、プロジェクトが進む流れとつまずきどころを体感します。
- 図解で要点を確認:マンガで出てきたコツを図で整理し、実務に移しやすくします。
- 小さな実践に落とす:章末のポイントを使い、明日からできる「一歩」を決めます(例:会議前に作業の洗い出しを5分で行う)。
本書で身につく道具と実務への当てはめ方
- WBS(作業の分解)
- イメージ:新製品発売を「企画」「設計」「テスト」「販売準備」などに分け、さらに「設計→図面作成→レビュー」のように細かく分けます。
- 効果:抜けを減らし、担当と期限を決めやすくなります。
- ガントチャート(進行の見える化)
- イメージ:「デザイン2週間」「レビュー3日」「修正1週間」を横棒で並べ、重なる期間や待ち時間を確認します。
- 効果:遅れの芽を早く見つけ、手当てできます。
- TRM(先回りの道筋づくり)
- イメージ:来年度の提供価値に必要な技術や準備項目を年単位・月単位で並べ、今やるべき投資や学習を前倒しで決めます。
- 効果:短期の忙しさに流されず、中長期の準備を継続できます。
- SCM(流れの整え方)
- イメージ:材料の手配、製造、検査、出荷までの道のりを一枚に描き、どこで詰まるかを見える化します。
- 効果:在庫や待ち時間を減らし、納期の安定につながります。
失敗例・成功例から学ぶポイント
- 失敗例:要件を固めないまま進めて手戻りが増える。
- 学び:最初にWBSで作業と前提条件を洗い出し、関係者の合意を取ります。
- 成功例:早い段階でガントチャートを共有し、遅れを小さいうちに修正する。
- 学び:進捗の見える化と短い間隔のふり返りが鍵になります。
チームで活用するコツ
- 共通言語づくりとして:用語の定義を本書の図解にそろえ、会議で同じ言葉を使います。
- 90分読書会:前半45分でマンガ部分を読み、後半45分で自分たちのWBSを一つ作成します。
- ふり返りテンプレート:会議の最後に「今日決めたこと・不明点・次の一歩」を3行で記録します。
こんな人におすすめ
- 初めてプロジェクトを任された方。
- 複数部門と協働し、段取りが複雑になりがちな方。
- チームで共通のやり方をつくりたいリーダー・教育担当の方。
活用を始める前に準備しておくとよいこと
- テーマを一つ決める(例:社内イベントの開催、Webサイトの小規模改修など)。
- 関係者の名前と役割を書き出す。
- 締切と予算などの制約を先に確認する。
プロジェクトマネジメントに関する資格とその支援
プロジェクトマネジメントに関する資格とその支援
前章からのつながり
前章では、現場で使える教材や基礎から応用まで学べる出版物を紹介し、学びを仕事に結び付けるコツをお伝えしました。その流れを受け、本章では学びを形にする「資格」と、合格と実務の両方に役立つ支援について整理します。
なぜ資格を目指すのか
資格は、プロジェクトの考え方や進め方を共有する“共通言語”になります。社内外の信頼を得やすくなり、キャリアの選択肢も広がります。学習を通して、計画づくり、リスクへの備え、関係者との合意形成など、日々の仕事で使える型が身につきます。したがって、資格学習は合格だけでなく業務改善にも直結します。
PMP®とCAPM®の違い(シンプル解説)
- PMP®:プロジェクトを率いる立場の方向けです。一定の実務経験と所定の学習時間が必要です。出題は、計画から実行、振り返りまで一連の流れを問う総合問題が中心で、現場判断を試す設問も多いのが特徴です。
- CAPM®:これからプロジェクトに関わる方、基礎を体系的に学びたい方向けです。実務経験が少ない段階でも挑戦しやすく、用語や考え方の理解を確認する問題が多めです。
どちらも公式の出題範囲に基づいて出題されます。受験要件や申請手順、更新要件は変更になることがありますので、最新の公式情報を確認してください。
合格までの学び方ステップ
- 全体像をつかむ:章立て(範囲)をざっと眺め、主要テーマを地図化します。
- 基本を固める:用語は“自分の言葉”で言い換え、具体例を1つ添えて覚えます。
- 演習で定着:毎日1セットの演習→復習。根拠を本文やノートに書き戻します。
- 弱点補強:間違いノートを作り、週末にテーマ別でやり直します。
- 直前対策:模擬試験で時間配分を確かめ、迷った問題の“切り分け手順”を決めます。
日本能率協会グループの支援イメージ
- 資格対策講座:要点解説と演習を組み合わせ、理解→適用まで一気通貫で学べます。
- ケーススタディ:実際の現場に近い事例で、計画づくりやリスク対応を体験します。
- ツール活用:WBS作成や進捗管理のテンプレートを使い、すぐに職場で再現できます。
- 模擬試験と解説会:得点だけでなく“なぜそう考えるか”の筋道まで確認します。
- 学習設計の伴走:学習計画の立案、進捗チェック、つまずき箇所の個別フォローを行います。
8週間の学習スケジュール例
- 1週目:全体像把握と用語の言い換えリスト作成(毎日30分)。
- 2〜3週目:基礎インプット+小テスト(平日30〜45分/休日90分)。
- 4〜5週目:章末問題とケース演習。間違いノートを育てます。
- 6週目:模擬試験1回目(本番時間で実施)。復習にたっぷり時間を配分。
- 7週目:弱点テーマの特訓。計画、リスク、コミュニケーションを重点練習。
- 8週目:模擬試験2回目+直前仕上げ。迷った問題の判断フローを固定します。
よくある悩みと対処法
- 時間がない:通勤や休憩の15分を“用語の言い換え”に充て、夜は演習1セットに絞ります。小さな積み重ねが効きます。
- 用語が難しい:自分の仕事に置き換えて短文化します(例:リスク対応=起きる前にやる備え)。
- 模試で点が伸びない:選択肢を先に分類(明らかな誤り/条件次第/有力)。消去法の精度を上げます。
しかし、伸び悩みを感じたら、第三者の解説を聞くと理解が一気に進むことがあります。
合格後を実務に結びつける
- 会議体や報告テンプレートを整え、プロジェクトの共通言語を職場に広げます。
- 振り返り(レトロスペクティブ)を短時間でも定例化し、学びを次に生かします。
- 継続学習の仕組みを作り、最新の知見に触れる機会を確保します。
次章:プロジェクトマネジメントの実践知識・ツール
プロジェクトマネジメントの実践知識・ツール
前章の振り返りと本章の位置づけ
前章では、プロジェクトマネジメントに関する主な資格の特徴や学び方を紹介し、仕事で活かすための選び方のポイントを整理しました。本章では、その学びを現場で使うための実践知識とツールを、具体的な手順と例で説明します。
全体像:現場でまず揃えたい「基本セット」
プロジェクトを動かすうえで、以下の基本セットを用意すると管理が安定します。
- 仕事の分解図(WBS)
- 進捗とコストの見える化(EVMの考え方)
- スケジュールとタスク管理(ガント、カンバン)
- リスク・課題・変更の一覧
- 役割分担と連絡計画
- 完了条件と品質チェックリスト
WBS(作業分解)の作り方:5ステップ
WBSは「何を、いつまでに、誰が、どれくらいの手間で」行うかを棚卸しする道具です。
1. 目的と成果物を一言で書く
- 例:「新製品サイトの公開」「社内説明会の開催」
2. 大きなかたまりに分ける
- 例:企画/制作/テスト/公開/振り返り
3. 各かたまりを具体的な作業に割る
- 例:ワイヤー作成、原稿執筆、画像撮影、レビュー、修正
4. 各作業に情報を付ける
- 担当、期限、所要時間(工数)、依存関係(先に何が必要か)、完了条件
5. 抜けモレをチェックする
- 外部承認、備品手配、バックアップ、緊急時の連絡先など
WBSカード(行)に入れると便利な項目
- 成果物名/完了条件(「レビューOK」「検収サイン」など)
- 予定日・実績日、見積工数・実績工数
- 依存関係、前提条件
- リスクの種(遅延要因、追加コスト要因)
よくある失敗と対処
- 作業が大きすぎる:2~5日で終わる粒度に再分割します。
- 完了条件があいまい:誰が見ても終わりと分かる基準を一行で書きます。
- 人に偏る:属人化しないよう代替担当をメモします。
身近な例:引っ越しのWBS
- かたまり:解約手続き/梱包/運搬手配/新居準備/当日対応/後片付け
- 作業例:段ボール調達、粗大ごみ申請、転居届、ネット回線工事予約
EVM(進捗とコストの同時管理)をやさしく使う
EVMは「予定」と「実際」をお金や価値のものさしで比べる考え方です。数式にこだわらず、次の3点をそろえると効果が出ます。
1. 予定の価値(計画):この週までに“いくら分”進む予定か
2. 実際の価値(出来高):今“いくら分”終わったか
3. 実コスト:ここまで“いくら使ったか”
簡単な例(10週間・総予算100万円の計画)
- 4週目終了時の予定:40万円分が完了
- 実際:30万円分が完了/実コストは35万円
読み取り方
- 進捗:予定40に対し実際30 → 予定より遅れ
- コスト:実コスト35に対し出来高30 → 5万円の超過傾向
対応
- 遅れている作業をWBSで特定し、前倒しできる作業を入れ替える
- コストが膨らむ要因(やり直し、待ち時間)を削り、レビューの頻度を上げる
Excelでの始め方
- 行:WBSの作業、列:予定価値、出来高、実コスト、差分
- 週次で更新し、差分が一定額を超えたら対策会議を開く
スケジュールとタスクの回し方
- ガントチャート:期日と依存関係を見える化。長期計画の俯瞰に向きます。
- カンバン(ToDo/Doing/Done):日々の流れを簡単に管理。小チームや短納期で威力を発揮します。
- デイリースタンドアップ(15分):昨日やったこと/今日やること/困りごとを共有。議論は別枠で深掘りします。
コツ
- 週初に「今週の3つの重点」を決め、日々のタスクを紐づける
- 余裕時間(バッファ)を重要作業の手前に置く
リスク・課題・変更を一元管理する
用語の目安
- リスク:起きるかもしれない心配ごと
- 課題:すでに起きている問題
- 変更:決めた内容を変える提案や依頼
一覧表に入れる項目
- タイトル、影響度(大・中・小)、期限、担当、対応方針(回避/軽減/受容/移転)、ステータス
- 発生元(顧客、社内、外注、法規など)と次の一手
よくあるリスク例と手当て
- 承認待ちで停滞:期日を合意し、代替承認者を決める
- 仕様の不確実さ:早めの試作とレビューで認識合わせ
- キーパーソン不在:作業手順を共有し、代理を指名
役割分担とコミュニケーション
- 役割分担表(RACIの考え方):実行者、最終責任者、相談先、情報共有先を明確にします。
- 連絡計画:誰に、いつ、何を、どの手段で報告するかを一覧化します。
- 会議運営の型(週次15~45分):進捗確認→差分の理由→対策→宿題の担当と期限を決定。議事メモは当日中に配布します。
品質と受け入れの基準を先に決める
- 完了の定義(DoD):レビュー済み、誤字なし、リンク動作確認、承認印あり、など具体的に列挙
- 受け入れテスト項目:主要機能、パフォーマンス、セキュリティ、法令表記、アクセシビリティ
- 二重チェックの仕組み:作業者と検証者を分ける
小規模と大規模での使い分け
- 小規模(~5人):WBSは粗め、カンバン中心、週次の簡素なEVMで十分
- 中~大規模:WBSを段階的に作り、重要項目は詳細化。EVMとリスク管理を定例会でレビュー
明日から試せる3つの一歩
- 主要作業を10~20行でWBS化し、完了条件を書き添える
- 週次で「予定の価値/出来高/実コスト」を1枚の表に更新する
- リスク・課題・変更を1つの一覧にまとめ、閾値を超えたら即エスカレーション
次の章に記載するタイトル:日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の企業情報
日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の企業情報
前章では、プロジェクトを円滑に進めるための実践的な知識とツールを紹介し、現場での使い方や選び方のポイントを整理しました。その流れを受けて、本章では支援の担い手である日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の企業情報をご紹介します。
会社概要
JMAMは、日本能率協会(JMA)を母体とする法人です。50年以上にわたり、企業の人材育成と組織変革を支える教育サービスやコンサルティングを提供してきました。本社は東京都中央区日本橋にあり、製造業・サービス業を中心に、幅広い業種の企業とともに経営の前進を目指しています。
事業領域
JMAMの主な事業は次のとおりです。
- 研修・教育プログラムの企画・運営(階層別、職種別、テーマ別)
- eラーニングや通信教育などの学習プラットフォーム提供
- マネジメントや業務改善に関するコンサルティング
- 書籍・教材の企画・制作
- 人材開発・評価・定着を支える運用支援
いずれも、現場で成果につながる実践性を重視しています。
特徴・強み
- 母体組織のネットワーク: JMAの知見と産業界とのつながりを背景に、最新の課題を的確に捉えます。
- 長年の実績: 50年以上の運営で蓄積した事例とノウハウを持ち、業種や規模の違いに合わせて対応します。
- 幅広い提供形態: 集合研修、オンライン、ハイブリッド、自己学習など、学びの形を柔軟に設計します。
- 現場適用へのこだわり: 学んだ内容を実務へ移す仕掛け(課題設定、振り返り、フォロー)を組み込みます。
提供価値(アウトカム)
- 人材の育成速度を高め、現場の自律性を育みます。
- プロジェクト推進力を底上げし、部門横断の連携を促します。
- 目標達成に向けた実行力を強化し、成果の再現性を高めます。
支援の進め方(一般的な流れ)
- 課題の整理: 経営目標、現場の現状、到達したい姿をヒアリングします。
- 設計: 目的に合わせて研修・教材・仕組みを組み合わせ、道筋を描きます。
- 実行: 受講体験を重視し、学びと実務を往復できるプログラムを展開します。
- 定着: 現場の実践支援やフォローアップで、行動変容を支えます。
- 効果の確認: 指標と振り返りで成果を見える化し、次の改善へつなげます。
対象となる主なお客さま像
- 製造業の設計・生産・品質などの部門で、プロジェクト力を高めたい企業
- サービス業で、顧客体験向上や業務効率化を同時に進めたい企業
- 事業部門とスタッフ部門の連携を強め、全社的に変革を進めたい企業
本社・拠点
- 本社所在地: 東京都中央区日本橋
- 都心からのアクセス利便性を活かし、全国の企業を支援します。
これまでの歩み(ハイライト)
- JMAを母体に発足し、産業界の課題解決と人材育成に継続して取り組んできました。
- 時代のニーズに合わせ、対面とオンラインを組み合わせた学びへと展開しています。
品質への取り組み
- 受講者の声と現場の結果をもとに、プログラムを継続的に改善します。
- わかりやすい教材、実践しやすい課題設計、フォロー体制の整備に努めます。
次の章に記載するタイトル:まとめ
まとめ
前章の振り返り
前章では、日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の企業情報を取り上げ、提供価値や事業の姿勢を紹介しました。学びを現場の成果につなげる仕組みづくりに力を入れている点が印象的でした。
本記事全体の要点
- プロジェクトマネジメントは、目標を決め、計画し、進み具合を見直して成果につなげる考え方です。
- 日本能率協会グループは、基礎から実践、資格取得、現場で使えるツールまでを一気通貫で支援します。
- 初心者、実務者、管理職など、立場や経験に合わせた学びの入口があります。
- 教育・研修、出版物、資格対策が連動し、学びと実践を行き来しやすい設計です。
こんな方に、こんな始め方
- はじめて学ぶ方: 入門セミナーややさしい解説書で用語と流れをつかみます。小さな社内タスクで試します。
- 現場で進行役を担う方: 進め方の型(目的の明確化、計画、振り返り)をテンプレートで習得し、会議の進め方に適用します。
- チームを束ねる方: リスクや関係者調整のコツを学び、進捗共有の仕組みを整えます。
明日から実践する3ステップ
- 目的を一文で書く: 「誰に何をいつまでに届けるか」を紙に書き出します。
- 作業を3つに分ける: 準備・実行・振り返りに分け、担当と期限を決めます。
- 週1回の見直し: 進み具合と困りごとを5分で共有し、次の一手を決めます。
学びを続けるコツ
- 小さく試して記録する: うまくいった型はテンプレート化します。
- 目標と学びを結びつける: 読んだ・受けたで終わらせず、翌日の仕事に1つ取り入れます。
- 仲間をつくる: 同じ型を使う仲間がいると、改善が早まります。
最後に
日本能率協会グループは、学ぶ・試す・定着させるを一連の流れで支援します。プロジェクトの規模や業種に関わらず、今日からできる一歩があります。本記事をきっかけに、自分やチームに合う入口を選び、成果につながる実践を始めていただけますと幸いです。