リーダーシップとマネジメントスキル

PMBOK第7版の12原則を詳しく解説!日常で活用する実践ポイント

PMBOK第7版「プロジェクトマネジメント 12の原則」徹底解説

皆さんは、プロジェクトを成功させるために大切なルールや考え方があることをご存知ですか?その代表例が「PMBOK(ピンボック)」です。PMBOKとは、プロジェクトマネジメントの国際的なガイドラインであり、多くの業界で活用されています。2021年に発行された最新の第7版では、従来の手順中心の内容から“原則”を重視した構成へと変わりました。この12の原則は、プロジェクトの規模や業種に関わらず使える、普遍的な考え方です。

この記事では、PMBOK第7版で提唱されている「プロジェクトマネジメント 12の原則」について、具体例を交えながら分かりやすく解説します。「聞いたことはあるけれど内容がピンとこない」「仕事にどう活かすか知りたい」という方にも役立つ情報が満載です。

次章では、そもそも「12の原則」とは何か、その基本的な考え方についてご紹介します。

12の原則とは何か

PMBOKガイド第7版で示される12の原則は、プロジェクトを円滑に進めるための基本的な考え方や態度を表しています。これらの原則は、単なるルールや手順ではなく、すべてのプロジェクト活動において判断や行動のよりどころとなる「行動指針」です。業界やプロジェクトの種類を問わず、有効に働く点が特徴です。

この12の原則は、大きく分けて「価値の創出」「適応力の発揮」「誠実な行動」「関係者との協働」などを重視しています。どんな状況であっても、これらの原則を理解し意識することで、メンバー一人一人が主体的にプロジェクトに参加できるようになります。

たとえば、「価値を最優先する」原則は、無駄な作業を減らして、お客様やプロジェクトに関わる人たちに本当に役立つ成果を届けるように促します。また「誠実である」原則では、困難な場面でも正直さや透明性を大切にすることが求められます。

これらの原則は一つひとつ独立したものではなく、互いに関わり合いながら全体としてプロジェクトの成功に向けて機能します。状況や課題が変わっても、原則を意識することで柔軟に対応し、目的達成に近づくことができます。

次の章では、12の原則それぞれについて具体的な内容と概要をご紹介します。

各原則の概要と具体的内容

この章では、前章でご紹介した12の原則それぞれについて、内容と具体的なイメージを分かりやすく説明します。

1. スチュワードシップ

スチュワードシップは、正直さや責任感、倫理観を持って物事に取り組み、資源や情報をきちんと管理する姿勢です。たとえば、チームの予算を透明に管理したり、不正を見過ごさず公正に対応することが当てはまります。

2. チーム

チームワークを大切にし、メンバー一人ひとりの力を最大限に引き出します。例えば、定期的なミーティングでアイデアを自由に出し合ったり、お互いの得意分野を活かす工夫が含まれます。

3. ステークホルダー

プロジェクトには多くの関係者がいます。彼らの期待や要望を受け止め、誤解がないようコミュニケーションを図ることが大切です。たとえば、進捗や変更点をわかりやすく説明する場を設けるなどです。

4. 価値

プロジェクトの活動全体で、どんな付加価値が生まれるかに注目します。単に作業をするだけでなく、成果がどのように役立つかを意識しましょう。

5. システム思考

プロジェクトを、個々の作業だけでなく全体の動きとして捉えます。たとえば、一つの変更が他の作業や人にどう影響するかを考えることがこれにあたります。

6. リーダーシップ

ゴールへと導くために方向性を示し、メンバーに力を与えることです。細かい指示よりも「なぜこの目標が必要か」を伝えることが重視されます。

7. テーラリング(状況適応)

プロジェクトの特徴や状況に合わせて、最適なやり方を選びます。型にはめるだけでなく、最適な方法を柔軟に考えて適応することが大切です。

8. 品質

プロセスや成果物の品質を高め、信頼される結果につなげます。たとえば、チェックリストやテストを用いてミスを減らす工夫などが該当します。

9. 複雑さ

物事が複雑に絡み合っている場面でも、柔軟に対処します。一つの課題に工夫を重ねて向き合い、混乱を整理するイメージです。

10. リスク

将来の不確実性や危険性を見3分化し、事前に対応策を立てます。具体例では、台風などの自然災害に備えて計画を作っておくことが挙げられます。

11. 適応性と回復力

変化や想定外の問題にも柔軟に対応し、立て直す力です。たとえば、急な方針転換があっても、早めに軌道修正をはかる姿勢があたります。

12. チェンジ(変革)

新しい挑戦を恐れず、より良い未来を目指して変革を起こす力です。現状に満足せず、時代に合わせた改善を積極的に行うことが求められます。

次の章では、これらの原則が近年なぜ重視されるようになったのか、背景について解説します。

原則が重視される背景

プロジェクトの多様化と複雑化

近年、様々な業界でプロジェクトの形が大きく変化しています。たとえば、ITシステムの開発では仕様変更が頻繁に発生したり、製造業でもお客様の要望が短期間で変わることがあります。また、関係する人も以前より増え、社内外の協力が不可欠になりました。こうした環境の中で、従来の「この手順通りにやればうまく行く」というやり方だけでは柔軟に対応できない場面が増えています。

従来の手順重視の限界

従来のプロジェクト管理では、手順やツールに厳密に従うことが重視されてきました。しかし、現実には予想外の出来事や変更が日常茶飯事です。たとえば、計画した通りに進まなくなった場合、柔軟に方針を変える必要があります。こうしたとき、関係者全員が何を大切にするべきか、どう行動すべきかを自分で判断できることが求められてきました。

価値観や行動指針の必要性

これまで以上に多様なメンバーが関わり、それぞれの役割がはっきりしにくいプロジェクトが増えています。そこで、単なる作業手順だけでなく、プロジェクトの「価値観」や「行動指針」といった共通の考え方が求められるようになりました。例えば、「お客様に喜んでもらうことを最優先しよう」や「率直にコミュニケーションを取ろう」といった意識が、関係者の行動をまとめる上で大きな力となります。

指針を共有する重要性

誰もが納得して行動できる共通の原則があることで、メンバー全員が自分の判断で動きやすくなります。これらの原則は、それぞれの立場や経験に応じて応用できるため、現場の柔軟さにつながります。

次の章では、この12の原則がどのように日常に応用できるかについてご紹介します。

日常への応用例

プロジェクト管理の12の原則は、仕事だけでなく、私たちの日常生活にも活かせます。たとえば、引っ越しという身近な例を使ってご説明しましょう。

引っ越しプロジェクトの価値と目的

最初に大切なのは、引っ越しの目的を明確にすることです。例えば「新しい環境で快適に暮らしたい」や「通勤を楽にする」などが挙げられます。この目的意識を持つことで、準備の優先順位が決まり、やるべきことが明確になります。

ステークホルダーとのコミュニケーション

家族、引っ越し業者、不動産会社など、引っ越しには多くの関係者が関わります。事前に連絡を取り合い、役割分担をはっきりさせることで、トラブルを未然に防ぎ円滑に進められます。

スケジュール管理とリスク対応

引っ越しの日にちを決め、各準備(荷造り・掃除・各種手続き)の段取りをスケジュールします。また、当日雨が降った場合などの「もしも」のリスクも想定し、必要に応じて対応策を考えておくと安心です。

状況に合わせた柔軟な対応(テーラリング)

準備の途中で予想外のことが起きた場合でも、柔軟に計画を変えることが大切です。たとえば荷物が増えた時にダンボールを追加手配したり、家族の都合に合わせて作業日を調整したりします。

このように12の原則は、日々の生活の中でも幅広く役立ちます。次の章では「PMBOK第7版原則の特徴と従来との違い」についてご紹介します。

PMBOK第7版原則の特徴と従来との違い

対象範囲が広がりました

従来のPMBOK(プロジェクト・マネジメント・ボディ・オブ・ナレッジ)は、主にプロジェクトマネージャー向けの内容でした。しかし、第7版では、プロジェクトに関わるすべての人(メンバーやリーダー、ステークホルダーなど)も活用できる指針として設計されています。これにより、チーム全体が共通の原則に基づいて動きやすくなりました。

プロセス重視から原則重視へ変化

以前のPMBOKは、具体的な手順やプロセスで構成されていました。しかし第7版では、正解が一つではない現場の状況に合わせて考え、応用できるような「原則」を中心にまとめられています。これにより、変化の激しいプロジェクトでも柔軟に対応しやすくなりました。たとえば、チーム内での意思決定や問題解決の方法が異なっても、原則に立ち返ることで軸を持てます。

アジャイルや新しい手法にもマッチ

現代のプロジェクトでは、アジャイルのようにスピードや柔軟性が重視される手法が増えています。第7版は、こうした新しい働き方や価値観にも適応できるよう設計されています。原則が共通の行動指針として機能するため、チーム内のやり方が異なっても一定の統一感を持たせることができます。

次の章に記載するタイトル:今後のプロジェクト運営への活用ポイント

今後のプロジェクト運営への活用ポイント

原則を意識したマネジメントの重要性

プロジェクト運営を成功させるためには、PMBOK第7版で示された12の原則を、チームの誰もが理解し共有することが大切です。たとえば、突然の計画変更や想定外の問題が発生した場合でも、メンバー全員が原則を意識していれば、柔軟に対応しやすくなります。原則が共通認識として根付くことで、チーム全体が一丸となり課題に向き合える強さが生まれます。

現場での具体的な応用方法

原則を実際の業務に落とし込むには、日々の仕事やトラブル解決にどう役立てられるかを考えることがポイントです。例えば「チーム志向」の原則を取り入れ、メンバー同士が率直に意見を交わす場を設けたり、「価値提供」に焦点を当てて顧客の満足度向上に努めたりすることができます。このように、原則ごとに現場でできる工夫を積み重ねることで、プロジェクトの質も高まります。

振り返りと組織の成長へつなげる

プロジェクトが終わった後も大切なのが、原則に基づいた振り返りです。どの原則が効果的だったか、どこに改善点があったかをチームで話し合うことで、次のプロジェクトに活きるノウハウが蓄積されます。こうした継続的な学びと改善を取り入れることで、チームだけでなく組織全体の成長にもつながります。

-リーダーシップとマネジメントスキル