プロジェクトマネジメント

クリティカルパス法を完全解説|書き方・求め方・フロート計算・ガントチャートとの違いまで

目次

クリティカルパスの定義

クリティカルパスとは、プロジェクトの開始から完了までの「最も時間がかかる作業の並び(最長経路)」のことです。

複数のタスクが並行して進むプロジェクトでも、この経路上のタスクがすべて終わらなければプロジェクトは完了しません。
クリティカルパス法(Critical Path Method / CPM)は、この最長経路を特定し、「どのタスクが納期に直結するか」を明らかにするスケジュール管理の手法です。

この記事で分かる事

  1. クリティカルパスとは何か(意味と重要性)
  2. クリティカルパスの具体的な求め方(7ステップ)
  3. 実務でどう使うか(優先度判断・リスク管理・例付き)

クリティカルパスが持つ特徴

・クリティカルパス上のタスクは「フロート(余裕時間)」がゼロ
・1タスクが1日遅れると、プロジェクト全体の納期も1日遅れる
・プロジェクトによっては、クリティカルパスが2本以上存在する場合もある
・クリティカルパスは固定ではなく、進捗や変更に応じて変化する

なぜクリティカルパスが重要なのか

クリティカルパスを把握すると、次のようなことができます。

ポイント

・「絶対に遅らせてはいけないタスク」がどれか一目でわかる
・進捗確認の優先順位が明確になる
・人員・予算などのリソースを、どこに集中させるべきか判断できる
・遅延の兆候を早い段階で検知し、対策を打ちやすくなる


家づくりを例にすると、「土台づくり→構造体→屋根→外装」といった工程が遅れると、そのまま引き渡し時期が遅れます。こうした「遅らせてはいけない作業列」を見える化するのがクリティカルパス法です。

プロジェクトマネジメント全体における位置づけ

プロジェクトマネジメントは、ざっくりいうと「計画 → 実行 → 監視・コントロール → 終了」の流れで進みます。この中でクリティカルパス法が主に関わるのは「スケジュールの計画」と「進捗の監視・コントロール」です。
PMBOKでいうと、特に以下の知識エリアと関係が深くなります。

・スケジュールマネジメント:所要期間見積り、スケジュール作成、スケジュールコントロール
・統合マネジメント:変更管理や全体最適の観点で、クリティカルパスを見ながら判断する
・リソースマネジメント:人や設備を「どのタスクに優先配分するか」を決める
・リスクマネジメント:クリティカルパス上のタスクを中心に、遅延リスクを管理する


つまりクリティカルパス法は、単なる「図の書き方」ではなく、プロジェクトマネジメント全体の中核にあるスケジュール管理技法だと考えるとわかりやすいです。

※前提となる「要件定義」の進め方はこちらで詳しくまとめています。
▶ 要件定義の基本と進め方|プロジェクトを失敗させない準備のすべて

クリティカルパスの具体的な書き方(ネットワーク図)

ここでは、紙やホワイトボード、Excelなどでクリティカルパスを書き起こすときの手順を「図の書き方」目線でまとめます。

STEP1 タスク一覧を表形式で書き出す

まずは、プロジェクトのタスクを一覧表にします。Excelやスプレッドシートなら、次のような列を用意すると分かりやすくなります。

タスクID(A, B, C…など)
タスク名
所要日数(工数)
直前タスク(このタスクの前に終わっている必要があるタスク)

例)

A:要件定義(5日)直前タスク:なし
B:情報設計(5日)直前タスク:A
C:デザイン(10日)直前タスク:B
D:コーディング(10日)直前タスク:C
E:テスト(5日)直前タスク:D
F:リリース準備(3日)直前タスク:E

この一覧が、そのままネットワーク図の「箱」と「矢印」の元データになります。

STEP2 タスクを箱にして矢印でつなぐ(ネットワーク図)

次に、タスクを「箱」にして線でつないでいきます。

1つのタスクにつき四角(または丸)を1つ書く
直前タスクから後続タスクへ、矢印でつなぐ
左から右へ、時間が流れるイメージで配置する

先ほどの例なら、

左から右に「A → B → C → D → E → F」と一直線に並べるだけでOKです
並行タスクがある場合は、上下に並べて矢印を分岐させます

この時点で、「どの作業がどの作業に依存しているか」が図として見えるようになります。

STEP3 各タスクの箱に所要時間を書く

ネットワーク図の各タスクの箱の中に、所要日数を書き込みます。

例:箱の右下あたりに「5日」「10日」などとメモする
後の計算で見やすい位置ならどこでもOK

ここまでで、「タスクの順番」と「タスクごとの長さ」が可視化された状態になります。

STEP4 前進計算でES/EFを書き込む(フォワードパス)

次に、各タスクの「最早開始時刻(ES)」と「最早終了時刻(EF)」を、図の左から右に向かって計算していきます。

最初のタスクのESは0
EF = ES + 所要日数
複数の直前タスクがある場合、ESは「直前タスクのEFの最大値」

図への書き込み方としては、次のようにすると見やすくなります。

タスク箱の左上:ES
タスク箱の右上:EF

例(Aが5日、Bが5日の場合)

A:ES=0, EF=5
B:ES=5, EF=10

STEP5 後退計算でLS/LFを書き込む(バックワードパス)

前進計算が終わったら、今度は右から左に向かって「最遅終了時刻(LF)」と「最遅開始時刻(LS)」を計算します。

一番最後のタスクのLF = そのタスクのEF(プロジェクト全体の最短期間)
LS = LF − 所要日数
複数の後続タスクがある場合、LFは「後続タスクのLSの最小値」

図への書き込み方の例:

タスク箱の左下:LS
タスク箱の右下:LF

こうすると、1つのタスクの箱の中に「ES/EF/LS/LF」が4つの角にまとまるので、フロートの有無が一目で分かるようになります。

STEP6 フロート(余裕時間)を計算する

各タスクごとに、フロート(余裕時間)を計算します。

フロート = LS − ES(または LF − EF)
フロート = 0 → 1日でも遅れるとプロジェクト納期に影響するタスク
フロート > 0 → その分だけ遅れても全体納期は変わらないタスク

フロートの値は、箱の中央や別の表にメモしておくと管理しやすくなります。

STEP7 フロート0のタスクを線でつないで「クリティカルパス」をマーク

最後に、フロートが0のタスクだけを拾っていき、それらを線でつないだ経路を「クリティカルパス」としてマークします。

フロート0のタスクを、赤ペンや太線でつなぐ
一番左の開始から一番右の終了まで、1本の「最長経路」が見える状態になる

これで、

どのタスク列が納期を決めているのか
どこを遅らせると即納期遅延になるのか

が、図として一目で分かるようになります。


Excel/スプレッドシートでクリティカルパスを書く場合の項目例

紙の図だけでなく、Excelやスプレッドシートでクリティカルパスを書きたい場合は、次のような表構成にしておくと便利です。

No(タスクID)
タスク名
所要日数
直前タスク
ES(最早開始)
EF(最早終了)
LS(最遅開始)
LF(最遅終了)
フロート

手順の流れはネットワーク図と同じです。

タスクと所要日数・直前タスクを入力する
ES/EFを左から右に計算して埋めていく
LS/LFを右から左に計算して埋めていく
フロート = LS − ES を計算する
フロート = 0 の行を色付けしておく

小規模なプロジェクトなら、この表だけでも「どこがクリティカルパスか」「どこに余裕があるか」が十分に把握できます。
あとからガントチャートに落とし込むときも、この表をそのまま元データにできます。

クリティカルパス法(CPM)の基本ステップ

標準的な7ステップの流れ

ここでは、CPMの標準的な流れを7ステップで整理します。

タスクの洗い出しと分解(WBS)
依存関係の整理
各タスクの所要時間見積り
ネットワーク図の作成
前進計算(フォワードパス)
後退計算(バックワードパス)
フロートの算出とクリティカルパス特定

※作業分解の基礎が曖昧な場合は、先にこちらを読むと理解が早くなります。
▶ WBS(作業分解)の作り方を完全解説|誰でも抜け漏れなくタスク化できる方法

STEP1 タスクの洗い出しと分解(WBS)

まずはプロジェクト全体を「やることリスト」に分解します。


・大きなフェーズ(例:要件定義/設計/開発/テスト/リリース)
・各フェーズの下に具体的な作業(例:画面設計、DB設計、単体テスト…)

一般的には、1つのタスクが「数時間〜数日」で終わる粒度まで分解すると管理しやすくなります。

STEP2 依存関係を明確にする

次に、タスク同士の「順番」を決めます。

・Aが終わってからでないとBは始められない(A→B)
・CとDは並行して進められる
・EはCとDの両方が終わってから着手できる


といった依存関係を一つずつ整理していきます。

STEP3 所要時間の見積り

各タスクに「どれくらい時間がかかるか」を割り当てます。

・過去の実績
・担当者の経験と感覚
・業界標準的な目安


などを組み合わせて見積り、可能であれば根拠をメモに残しておきましょう。

※工数の見積り手法はこの記事でも実務レベルで詳しく解説しています。
▶ プロジェクト工数の見積もり方|PMが使う3つの実務手法と精度を上げるコツ

STEP4 ネットワーク図の作成

タスクをボックス(または丸)で表し、依存関係を矢印でつないだ図がネットワーク図です。

・左から右へ時間が流れるイメージ
・開始イベント → 複数タスク → 終了イベント


この時点で、「どこが分岐して並行作業になるか」「どこで1本に収束するか」が視覚的に把握できます。

STEP5 前進計算(フォワードパス)

プロジェクトの開始時点から、各タスクの

・最早開始時刻(ES: Earliest Start)
・最早終了時刻(EF: Earliest Finish)


を順番に計算します。

・最初のタスクのES = 0(プロジェクト開始時)
・EF = ES + 所要時間
・後続タスクのES = 直前タスクのEF、または複数ある場合はその最大値


この計算を最後のタスクまで進めると、「プロジェクトが最短で何日で終わるか」がわかります。

STEP6 後退計算(バックワードパス)

次にプロジェクト終了時点から逆向きに

・最遅終了時刻(LF: Latest Finish)
・最遅開始時刻(LS: Latest Start)


を計算します。

・最後のタスクのLF = 最早終了時刻と同じ値
・LS = LF − 所要時間
・前工程のLF = 後続タスクのLSのうち最小値


これで「最悪ここまでに終わらせないと納期に間に合わない」というギリギリのラインがわかります。

STEP7 フロートを計算し、クリティカルパスを特定する

トータルフロート(全体に影響を与えない余裕時間)は

・トータルフロート = LS − ES = LF − EF


で計算できます。

・フロート = 0 のタスクをつないだ最長経路がクリティカルパス
・フロート > 0 のタスクは、多少遅れても全体納期には影響しない


この「フロートの有無」が、タスクの重要度と優先度を判断するベースになります。

クリティカルパスの見つけ方(実務のコツ)

ネットワーク図を“付箋”感覚で作る

最初からきれいな図を目指す必要はありません。

・付箋やカードにタスクを書き出す
・机やホワイトボード上で並べて矢印でつなぐ
・順番が怪しいところは、その場で担当者にヒアリング


というラフなやり方で、「実態に近い作業の流れ」を先に作るのがコツです。

ガントチャートで“時間軸”を重ねて確認する

ネットワーク図で流れを整理したら、ガントチャート(横棒グラフ)に落とし込むと「いつ・どの作業が並行しているか」が一目でわかります。

・縦軸:タスク
・横軸:日付/時間
・バーの長さ:所要時間


クリティカルパスを色分けしておくと、「どこが遅れると危ないか」がすぐに確認できます。

並列化の余地とボトルネックを見つける

例えば次のようなケースを考えます。

・タスクA:5日
・タスクB:8日
・どちらも完了してからタスクC着手


AとBを同時にスタートすると、Cの開始は8日後になります。このときAは3日早く終わるので、その3日は別の作業に充てられるかもしれません。


この「余裕時間」がフロートであり、

・フロートがほとんどない列 = クリティカルパス
・フロートが大きい列 = ある程度融通を利かせられる列


として、どこがボトルネックになりやすいか判断できます。

管理形式の選び方

ポイント

・小規模案件:紙・ホワイトボード+手書きのネットワーク図・ガントで十分
・中規模:Excel/Googleスプレッドシート+簡易ガント&計算式
・大規模・チーム横断:MS Project、Asana、Wrike、ClickUpなどのSaaSツール


現場メンバーのスキルや、更新頻度を考えて「運用し続けられるフォーマット」を選ぶことがポイントです。

クリティカルパス活用のメリット

スケジュール予測の精度アップ

・「この工程が遅れると必ず納期に影響する」というポイントが明確になる
・楽観的すぎるスケジュールを避け、現実的な締切設定がしやすくなる

優先度とリソース配分が明確に

・クリティカルパス上のタスク = 納期直結のタスク
・ここに経験者やキーマンを重点的に配置しやすくなる
・逆に、フロートが大きいタスクは「後回しにしても致命傷ではない」と判断可能

リスク対応がスピードアップ

・監視すべきタスクが明確なので、異常にすぐ気づける
・遅延の兆しが出たら、代替案・人員再配置・スコープ調整などの判断を早くできる

現場での注意点・アンチパターン

所要時間の見積りがテキトー

・「なんとなく1週間」「感覚的に3日」だけで組んだスケジュールは崩壊しやすい
・なぜその日数になったのか、根拠や前提をメンバーと共有しておく

※外注見積りの読み方・注意点はこちらで具体例付きで解説しています。
▶ 外注トラブルを防ぐ見積書の読み方|プロジェクト失敗を防ぐ実務ポイント

依存関係の見落とし

・現場担当者のヒアリング抜きで机上だけで作ると、高確率で漏れます
・実際に作業する人に「このタスクを始める前に、何が終わっている必要がありますか?」と聞き切る

複数のクリティカルパスが乱立

・大規模プロジェクトでは、最長経路が複数本並ぶことがあります
・どれもフロートゼロなので、管理対象が増え、遅延リスクも上がる
・バッファを入れる・リソースを集中投入するなどして、クリティカルパスの本数を減らす工夫が必要

計画を作って満足し、更新が止まる

・プロジェクトは計画どおりに進まないのが普通
・週次/マイルストンごとに実績を反映し、クリティカルパスを再計算する
・変更管理のプロセスとセットで運用する

クリティカルパス法の具体例

例1:Webサイト構築プロジェクト

タスク例

・要件定義(5日)
・情報設計/ワイヤーフレーム(5日)
・デザイン制作(10日)
・コーディング(10日)
・テスト(5日)
・リリース準備(3日)


依存関係(シンプルな例)

・要件定義 → 情報設計 → デザイン → コーディング → テスト → リリース準備


この場合、ほとんどが1本の列でつながっているため、この一連の流れがクリティカルパスとなります。
例えばデザインが3日遅れれば、そのままコーディング・テスト・リリースも3日後ろにずれ、納期も3日遅れます。

クリティカルパス法の具体例2:イベント開催プロジェクト

タスク例

・会場の仮押さえ(3日)
・登壇者依頼(7日)
・スポンサー調整(7日)
・集客用LP制作(10日)
・広告出稿・メール配信(14日)
・当日運営準備(5日)


依存関係例

・会場仮押さえ → 登壇者依頼・スポンサー調整 → プログラム確定
・プログラム確定 → LP制作 → 広告出稿・メール配信
・会場確定 → 当日運営準備


このとき、

・「会場仮押さえ → 登壇者・スポンサー → プログラム確定 → LP制作 → 広告・メール」の列


が最長経路なら、これがクリティカルパスです。
ここが遅れると、集客期間が短くなり、そのままイベントの成功確率が下がります。

併用すべき関連手法

クリティカルチェーン(CCPM)

・CPMが「作業の順番と所要時間」にフォーカスするのに対し
・クリティカルチェーンは「リソース制約(人・設備)」も加味して計画を立てる
・1人が複数タスクを掛け持ちする状況では、クリティカルチェーンの考え方が有効

WBS(Work Breakdown Structure)

・CPMの前提となる「やることの洗い出し」のための手法
・WBSが粗いと、クリティカルパスも現実離れしたものになりやすい

※WBSの作り方が甘いと計画全体が崩れます。基本はこちらで整理しています。
▶ WBS(作業分解)の作り方を完全解説|誰でも抜け漏れなくタスク化できる方法

ガントチャート

・CPMで決めた順序と所要時間を、時間軸に落とし込んで可視化する
・クリティカルパス上のタスクを色分けすることで、現場のモニタリングが楽になる

PERT(Program Evaluation and Review Technique)

・所要時間の不確実性が高いときに、「楽観値O」「最頻値M」「悲観値P」から
・期待値 = (O + 4M + P) / 6


で期間を推定する手法

・不確実性が高いプロジェクトでは、PERTで所要時間を推定 → CPMで経路特定、という組み合わせも有効です。

他のPM知識エリアとの連動

・コスト管理:クリティカルパス上のタスクにコストをかける/削る判断
・品質管理:品質上の重要ポイントとクリティカルパスが重なる部分を重点管理
・コミュニケーション:クリティカルパス上のタスクの状況を、関係者に優先的に共有

ツール選びと実装例

クリティカルパスを扱うツールの種類

ポイント

・SaaS型プロジェクト管理ツール(Asana、Wrike、ClickUp、Jira など)
・オンプレ/デスクトップ型(Microsoft Project など)
・表計算ソフト(Excel、Googleスプレッドシート)
・紙・ホワイトボード+付箋

SaaSツールのイメージ

・プロジェクトを作成し、タスク・担当者・開始日・期限を設定
・依存関係(「このタスクが終わったら次」)をリンクで定義
・タイムライン/ガントビューで、クリティカルパスが自動的に色分けされる
・進捗更新に応じて、スケジュールとクリティカルパスが自動再計算される

Excel/スプレッドシートでの簡易実装

・行にタスク、列に「所要時間・前提タスク・ES・EF・LS・LF・フロート」を用意
・簡単な計算式でES/EF/LS/LFを求め、フロート=0の行を色付け
・小さめのプロジェクトならこれだけでも十分実用的です。

実務での運用フロー(テンプレート的手順)

  1. 目的・制約条件を整理する
     ・納期、予算、品質要求、使える人員・設備など
  2. WBS(作業分解構成図)を作る
     ・抜け漏れがないように作業を分解し、担当者とすり合わせ
  3. 各タスクの所要時間を見積もる
     ・過去実績や担当者の経験をベースに、根拠をセットで残す
  4. ネットワーク図を作成し、依存関係を明確化
     ・ホワイトボードやツールで矢印関係を可視化
  5. 前進計算・後退計算を行い、フロートを算出
     ・ES/EF/LS/LFとフロートを計算し、クリティカルパスを特定
  6. クリティカルタスクにリソースを集中
     ・経験者配置、優先度設定、進捗チェック頻度を高める
  7. リスク洗い出しとバッファ設定
     ・遅延可能性が高いタスクにバッファを設ける
     ・必要に応じてクリティカルチェーンの考え方も採用
  8. 週次で実績を反映し、クリティカルパスを再計算
     ・変更があれば都度更新し、関係者へ共有

よくある質問(FAQ)

Q1. クリティカルパスは一度決めたら固定ですか?
A. 固定ではありません。進捗の遅れ・前倒し、スコープ変更、リソース変更などで、クリティカルパスは変化します。節目ごとに再計算し、「今どこが一番危ない経路なのか」を更新し続けることが重要です。


Q2. クリティカルでないタスクは軽視しても良いですか?
A. 軽視はNGです。今はフロートがあっても、他のタスクが前倒し/遅延すると、そのタスクが新たなクリティカルパスに乗ることもあります。全体をウォッチしつつ、「特に厳しく見るべきところ」がクリティカルパスだと考えてください。


Q3. 小さなプロジェクトでもクリティカルパスは有効ですか?
A. 有効です。タスク数が少なければ、手書きのネットワーク図や簡単なリストだけでも構いません。「どの作業順が最長になるか」「どこを絶対に遅らせてはいけないか」を整理するだけでも、スケジュールの見通しはかなり良くなります。

まとめ:クリティカルパス法で「遅れ」をコントロールする

まとめ

・クリティカルパスとは「最も時間がかかる作業の並び」であり、ここが遅れると納期もそのまま遅れる
・クリティカルパス法(CPM)は、WBS→依存関係→所要時間→ネットワーク図→前進・後退計算→フロート算出という流れで特定する
・クリティカルパスがわかると、スケジュール予測、リソース配分、リスク対応が一気にやりやすくなる
・一方で、見積りの粗さ・依存関係の漏れ・更新停止は典型的な失敗パターン
・PERT、ガントチャート、クリティカルチェーン、WBSなどと組み合わせることで、より実務的で強い計画になる


小さなプロジェクトでも、大規模なシステム開発でも、「どの作業列が納期を決めているのか?」をクリティカルパスで見える化しておくと、プロジェクトマネージャーとしてのコントロール感が格段に増します。
あなたの現場のプロジェクトに、そのまま当てはめてラインを書き起こせば、その瞬間から“ただの工程表”が“納期を守るための武器”に変わります。

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