目次
プロジェクトマネジメントにおけるスコープ定義の基本と実践手順:成功する範囲設定の極意
スコープ定義とは?その意味と重要性
プロジェクトを計画するとき、まず「どんな成果物を」「どこまで作るのか」という作業の枠組みや、目指すゴールを決めることが大切です。これを、スコープ定義と呼びます。具体的には、プロジェクトの目標を実現するために何をやるべきか、どのような成果を出すべきかを明確にします。たとえば、新しいウェブサイトを作る場合、「どんなページが必要か」「どの機能が必要か」を最初の段階でハッキリさせることが大事です。
スコープがあいまいなままで進めてしまうと、「これも追加でお願い」「この作業も必要だった」といった予定外の作業や認識違いが生まれやすくなります。その結果、納期に間に合わなくなったり、費用がどんどんかさんだり、最終的な品質も低下してしまいます。ですので、プロジェクトを円滑かつ成功へ導くためにも、最初にしっかり範囲とやるべきことを定めておきましょう。
スコープの2つの側面
スコープには大きく分けて「何を作るか」と「何をするか」の2つの側面があります。前者がプロダクトスコープ、つまり「成果物スコープ」です。これは納品する完成品やサービスの内容、性能、仕様などを指します。たとえば、「お問い合わせフォームがある」「スマートフォンでも見やすい」などが該当します。
後者はプロジェクトスコープ、つまり「作業スコープ」と呼ばれます。成果物を完成させるために行う作業や工程、その範囲を具体的に決めるものです。たとえば「原稿を書く」「デザインを作成する」「テストを実施する」などです。成果物と作業、どちらも明確に考え、言葉にして共有することがトラブル防止の第一歩になります。
スコープ定義の基本的なステップ
スコープを正しく定めるには、次の手順がおすすめです。
- 目的・背景を明確にする:なぜこのプロジェクトが必要なのかをはっきりさせる。
- 関係者(ステークホルダー)と要求事項を整理する:依頼主、利用者、開発担当など、全員の希望や条件を集めます。
- 成果物を具体的に決める:何を納品するのか、ゴールをはっきりさせます。目標はできるだけ細かく(SMARTの原則)設定すると良いでしょう。
- スコープ記述書を作る:決めた範囲や成果物を文書でまとめておきます。
- 作業全体の分解(WBS作成):プロジェクト全体を細かい作業に分け、全体像を見える化します。
- 役割・スケジュール・リスクを確認する:誰が何をいつまでにやるのか、想定外が起きたときの対策まで把握しましょう。
うまくいかない例とその対策
プロジェクトの現場では、いつの間にか要求が膨れ上がる「スコープクリープ」がよく起こります。ですから、「やること」と「やらないこと」をできるだけ明確に線引きし、変更があれば記録して管理します。
また、スコープを文章で記述するだけでなく、専用のテンプレートを使い、ページ数や必要な機能のチェックリストを作ると、抜け漏れを減らしやすくなります。
次の章に記載するタイトル
スコープ記述書の具体的な作成例と活用ポイント