目次
はじめに
「ロジスティック曲線を当てはめたけれど、本当にデータに合っているのだろう」
「残差や誤差指標を確認すると聞くものの、何を見れば適合度を判断できるのか分からない」と感じていませんか。
たとえば、ロジスティック回帰や成長曲線の分析を行い、モデルは作成できたものの、予測結果をそのまま信じてよいのか判断できず、どの指標を確認すればよいのか迷ってしまうことがありますよね。
この記事では、ロジスティック曲線のフィットチェックで確認したい残差や誤差指標、それぞれの見方や判断のポイントを順を追って説明していきます。
ロジスティック曲線のフィットチェックは何を見ればよい?
ロジスティック曲線がデータにどの程度適合しているかは、一つの数値だけで判断できるものではありません。
ここでは、フィットチェックで確認したい代表的なポイントを順を追って説明していきます。
1つの指標だけでフィットの良し悪しを決めない
ロジスティック曲線のフィットは、1つの指標だけで判断せず、複数の結果をあわせて確認することが大切です。
たとえば、R²が高くても残差に偏りがあったり、RMSEやMAEが小さくても特定の範囲で誤差が大きくなったりすることがあります。
残差プロットも確認しながら複数の指標を組み合わせ、データ全体への当てはまりを判断しましょう。
実測値と曲線を重ねて全体のずれを確認する
ロジスティック曲線を当てはめたら、実測値と推定した曲線を同じグラフに表示し、ずれがないか確認します。
実測値が曲線の周囲に沿って分布しているか、特定の範囲だけ大きく外れていないかを見ることで、数値だけでは分かりにくい当てはまり方も把握できます。
指標とあわせてグラフも確認すると、モデルがデータの傾向を捉えているか判断しやすくなります。
ロジスティック曲線のフィットチェックを進める手順
ロジスティック曲線のフィットチェックは、一つの項目だけを確認して終わりではありません。
ここでは、フィットチェックを進める基本的な手順を順を追って説明していきます。
実測値とフィット曲線の形状を確認する
ロジスティック曲線を当てはめたら、まず実測値とフィット曲線を同じグラフに重ね、形状が合っているか確認します。
立ち上がりの位置や傾き、上限付近までの流れに大きなずれがないかを見ることで、データ全体の傾向を捉えられているか判断しやすくなります。
まずは全体の形状を確認してから、詳しい評価へ進みましょう。
残差から偏りや外れたデータを確認する
次に、実測値とフィット曲線のずれを表す残差を確認します。
残差が0を中心にばらついていれば良好なフィットが期待できますが、特定の範囲で正または負に偏っている場合は、曲線がデータの傾向を十分に捉えていない可能性があります。
大きく外れた残差がある場合は、外れたデータの影響も確認しておきましょう。
誤差指標でずれの大きさを確認する
残差を確認したら、RMSEやMAEなどを使って、実測値とフィット曲線のずれを数値でも確認します。
RMSEは大きな誤差の影響を受けやすく、MAEは平均的なずれを把握しやすい指標です。
グラフや残差とあわせて見ることで、フィットの状態をより判断しやすくなります。
必要な場合だけ別のモデルと比較する
4PLと5PLなど複数の候補がある場合は、必要に応じてモデルを比較します。
AICやBICなどを確認し、データへの当てはまりだけでなく、モデルの複雑さも踏まえて選ぶことが大切です。
比較する候補がなければ、この手順は省略して問題ありません。
残差からロジスティック曲線のフィットを判断する
残差は、ロジスティック曲線がデータの傾向を適切に表現できているかを確認するための重要な判断材料です。
ここでは、残差を使ったフィットチェックの見方を順を追って説明していきます。
残差がランダムに分布しているかを見る
残差プロットを作成し、残差が0を中心にランダムに分布しているか確認します。
正または負への偏りや、規則的な並び、曲線状のパターンが見られなければ、ロジスティック曲線がおおむねデータの傾向を捉えていると考えられます。
特定の範囲でずれが続いていないか確認する
残差プロットでは、特定の範囲だけ正または負の残差が続いていないかも確認します。
一定の区間で一方向への偏りが続く場合は、その範囲でロジスティック曲線が実測値の傾向を十分に捉えられていない可能性があります。
全体を見るだけでなく、区間ごとに偏りがないかにも目を向けてみましょう。
誤差指標でロジスティック曲線のフィットを確認する
誤差指標は、ロジスティック曲線と実測値のずれを数値で評価するために用いられます。
ここでは、代表的な誤差指標の特徴と確認するときのポイントを順を追って説明していきます。
RMSEは大きな誤差を重視して確認できる
RMSEは誤差を二乗して計算するため、大きな誤差の影響を受けやすい指標です。
一部のデータでフィット曲線とのずれが大きいとRMSEも大きくなるため、大きな誤差を見逃したくない場合の確認に役立ちます。
MAEは実測値との平均的なずれを確認できる
MAEは、実測値とフィット曲線の誤差の絶対値を平均した指標です。
RMSEほど大きな誤差の影響を強く受けないため、データ全体で実測値とフィット曲線がどの程度ずれているかを把握するのに向いています。
0を含むデータではMAPEの使用に注意する
MAPEは実測値を分母として誤差率を求めるため、実測値に0が含まれる場合は計算できず、0に近い値でも誤差率が極端に大きくなることがあります。
そのため、0を含むデータではMAPEだけに頼らず、RMSEやMAEなどもあわせて確認するとよいでしょう。
R²だけをフィットの合格基準にしない
R²が高くても、残差に偏りがあったり、一部の範囲で実測値とのずれが大きかったりすることがあります。
そのため、R²だけでフィットの良し悪しを決めず、残差やRMSE、MAEなどもあわせて確認し、全体の当てはまりを判断することが大切です。
別のモデルと比較するときはAIC・BICを確認する
AICやBICは、ロジスティック曲線がデータに適合しているかを単独で評価するためではなく、複数の候補モデルを比較するときに用いる指標です。
ここでは、AIC・BICの役割や比較するときの見方、4PLと5PLのような候補モデルでの活用方法を順を追って説明していきます。
単体のフィット確認とモデル比較を分けて考える
ロジスティック曲線がデータに当てはまっているか確認することと、複数のモデルから適切なものを選ぶことは分けて考えます。
まず残差や誤差指標で単体のフィットを確認し、4PLと5PLなど複数の候補がある場合にAICやBICを使って比較すると、評価の流れを整理しやすくなります。
AIC・BICでフィットとモデルの複雑さを踏まえて比較する
AICやBICは、データへの当てはまりだけでなく、モデルの複雑さも考慮して比較するための指標です。
パラメータを増やすと当てはまりが良くなりやすいため、その複雑さも含めて評価し、基本的にはAICやBICが小さいモデルを選びます。
4PLと5PLなど候補モデルの比較に活用する
4PLと5PLなど複数のモデルが候補になる場合は、同じデータにそれぞれを当てはめてAICやBICを比較します。
単純に曲線が実測値に近いかを見るだけでなく、モデルの複雑さも含めて比べることで、どちらを採用するか判断しやすくなります。
まとめ
ロジスティック曲線のフィットチェックでは、1つの指標だけに頼らず、実測値と曲線の重なり方や残差、RMSE・MAEなどをあわせて確認することが大切です。
まずグラフで全体の傾向をつかみ、そのうえで残差や誤差指標を見ると、どの部分にずれがあるのか判断しやすくなります。
また、4PLと5PLなど複数のモデルから選ぶ場合は、AICやBICも比較に活用できます。
フィットの確認とモデルの比較を分けて考えながら、複数の視点からデータへの当てはまりを確認してみてください。