目次
はじめに
「心理的安全性とはどのような意味なの?」
「なぜ最近の職場で心理的安全性が重視されているの?」と気になっていませんか。
実際に職場で働いていると、「会議で意見を言いたいけれど否定されそうで発言しにくい」「ミスや課題に気付いても上司へ報告しづらい」「質問したいことがあっても『そんなことも知らないのか』と思われそうで聞けない」と感じることがありますよね。
この記事では、心理的安全性の基本的な意味をはじめ、注目されるようになった理由や心理的安全性が高い職場に見られる特徴について、順を追ってわかりやすく解説していきます。
心理的安全性とは?

心理的安全性とは、チームや職場の中で自分の意見や考えを安心して伝えられる状態を指します。
まずは心理的安全性の基本的な意味を確認したうえで、職場ではどのような状態を指すのか、そしてこの概念を提唱した人物について順番に見ていきましょう。
心理的安全性とは「安心して発言できる状態」
心理的安全性とは、会議や日々のやり取りの中で、自分の意見や疑問を安心して伝えられる状態のことです。
発言すると笑われたり、強く否定されたりする職場では、確認したいことや気づいたことを言い出しにくくなります。
反対に、分からないことを質問したり、違う意見を伝えたりしても、まず話を聞いてもらえる環境であれば、必要な発言をしやすくなります。
職場ではどのような状態を指すのか
職場で心理的安全性がある状態とは、会議や1on1、チャットなどで、社員が自分の考えや疑問を安心して伝えられる状態を指します。
発言しても頭ごなしに否定されたり、あとから責められたりしないため、「確認しても大丈夫」「意見を言っても話を聞いてもらえる」と感じられます。
その結果、分からないことや気づいた問題を早い段階で共有しやすくなります。
提唱者エイミー・エドモンドソンとは
エイミー・エドモンドソンとは、ハーバード・ビジネス・スクールでリーダーシップとマネジメントを研究する教授です。
職場で社員が発言を控える理由や、意見やミスを共有しやすい環境について研究し、心理的安全性という考え方を広めました。
エドモンドソンは、上司や同僚の反応を恐れて発言できない職場では、必要な情報が共有されにくくなると考えています。
そのため、チームで学びながら成果を出すには、安心して発言できる環境が大切だとされています。
心理的安全性が注目されている理由

心理的安全性は以前から研究されていた考え方ですが、多くの企業に広く知られるきっかけとなった出来事があります。
ここでは、心理的安全性が注目されるようになった背景と、多くの企業で重要視されている理由について解説します。
Googleの研究で注目された背景
心理的安全性が注目された背景には、Googleが社内で行ったチーム研究があります。
Googleは成果を出すチームの特徴を調べる中で、学歴や能力だけではなく、会議で発言しやすいことや、疑問や失敗を安心して共有できることが重要だと分かりました。
そのため、上司や同僚の反応を気にせず必要な情報を伝えられる環境が、チームの成果につながる考え方として注目されるようになりました。
Googleの研究内容や、成果の高いチームの共通点について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
▶Googleが発表した「成果の高いチーム」の共通点とは?心理的安全性が重要な理由
なぜ多くの企業で重要視されているのか
多くの企業で心理的安全性が重要視されているのは、社員が気づいた問題や疑問を早い段階で共有できるようになるためです。
上司や同僚の反応を気にして発言を控える職場では、必要な情報が集まりにくくなります。
反対に、発言しても責められないと感じられる職場では、疑問や意見をその場で伝えやすくなり、チームで状況を確認しながら仕事を進めやすくなります。
心理的安全性が高い職場の特徴

心理的安全性が高い職場には、日々の会話や業務の進め方に共通した特徴があります。
ここでは、心理的安全性が高い職場で見られる具体的な特徴について確認していきましょう。
安心して意見や質問をしやすい
心理的安全性が高い職場では、会議や1on1、チャットなどで、社員が意見や質問を気軽に伝えやすくなります。
発言したことで責められたり、否定されたりしないため、「分からないことを聞いても大丈夫」「違う意見も話してみよう」と感じやすくなります。
その結果、疑問や気づきをため込まず、必要なタイミングで共有しやすくなります。
ミスや失敗を共有しやすい
心理的安全性が高い職場では、ミスや失敗が起きたときに、上司や同僚へ早めに報告しやすくなります。
報告した人を必要以上に責めないため、「隠すよりも共有したほうがよい」と感じやすくなります。
その結果、問題への対応や再発防止をチームで早く進めやすくなります。
新人でも相談しやすい雰囲気がある
心理的安全性が高い職場では、新人でも分からないことや迷ったことを、上司や先輩に気軽に相談しやすくなります。
質問しても責められたり、冷たい態度を取られたりしないため、「まず確認してみよう」と感じやすくなります。
その結果、一人で悩みを抱え込まずに済み、仕事の進め方や確認事項を早い段階で理解しやすくなります。
心理的安全性が低い職場の特徴

心理的安全性が低い職場では、社員が感じる不安や遠慮が日常のコミュニケーションや行動に表れやすくなります。
ここでは、心理的安全性が低い職場で見られやすい代表的な特徴について解説します。
発言すると否定される空気がある
心理的安全性が低い職場では、会議や打ち合わせで意見を出しても、すぐに否定されることがあります。
発言の途中で遮られたり、頭ごなしに否定されたりすると、「話しても受け止めてもらえない」と感じやすくなります。
その結果、確認したいことや別の意見があっても口に出しにくくなり、発言を控える人が増えてしまいます。
ミスを隠しやすくなる
心理的安全性が低い職場では、ミスに気づいても上司や同僚へすぐに報告しにくくなります。
報告した人を強く叱ったり、責任を一方的に追及したりすると、「言えば怒られる」と感じてしまうためです。
その結果、問題を一人で抱え込みやすくなり、対応が遅れてしまうことがあります。
相談や提案を避けるようになる
心理的安全性が低い職場では、仕事の進め方に迷ったり改善案を思いついたりしても、相談や提案を控える人が増えやすくなります。
相談したときに冷たい反応をされたり、提案をすぐに否定されたりすると、「言わないほうがよい」と感じてしまうためです。
その結果、確認したいことや改善できそうなことがあっても共有されにくくなり、必要な発言を避けるようになってしまいます。
心理的安全性が重要と言われる理由

心理的安全性が重視されるのは、職場の雰囲気を良くするためだけではありません。
業務上の情報共有や課題解決、チームの成果にも大きく関わるため、多くの企業が組織づくりの重要な要素として注目しています。
ここでは、心理的安全性が高いことで得られる具体的な効果や、重要と言われる理由について見ていきましょう。
チーム内のコミュニケーションが増える
心理的安全性がある職場では、会議や1on1、チャットなどで、確認したいことや気づいたことを気軽に伝えやすくなります。
発言しても責められたり、すぐに否定されたりしないため、「まず相談してみよう」と感じやすくなるためです。
その結果、仕事に必要な情報共有が増え、チーム内のコミュニケーションが活発になりやすくなります。
問題やミスを早く共有しやすくなる
心理的安全性がある職場では、問題やミスに気づいたときに、上司や同僚へ早めに伝えやすくなります。
報告しても必要以上に責められないため、「隠すよりも共有したほうがよい」と感じやすくなるためです。
その結果、問題への対応を早く始められ、同じミスの再発防止にもつながりやすくなります。
挑戦やアイデアが生まれやすくなる
心理的安全性がある職場では、新しい進め方や改善案を思いついたときに、気軽に提案しやすくなります。
意見をすぐに否定されたり、失敗だけを責められたりしないため、「まず話してみよう」と感じやすくなるためです。
その結果、これまでとは違うアイデアや挑戦が生まれやすくなり、仕事の改善につながることがあります。
なお、心理的安全性は感覚だけでなく、質問項目を使って測定する方法もあります。
▶心理的安全性の尺度とは?簡単なチェック項目と測定の考え方
心理的安全性と「ぬるま湯組織」の違い

心理的安全性は、単に居心地が良く、誰も注意されない職場を意味するものではありません。
ここでは、心理的安全性と「ぬるま湯組織」がどのように違うのかを整理していきましょう。
『ここでは、心理的安全性といわゆる「ぬるま湯組織」の違いについて説明します。よくある誤解や具体的な違いを詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考になります。』
▶心理的安全性と“ぬるま湯組織”の違い|誤解されやすいポイントを整理
何を言っても許される状態ではない
心理的安全性は、何を言っても許される状態ではありません。
相手を傷つける発言や、仕事の責任を放棄する行動まで認めるものではなく、意見や疑問を安心して伝え、その内容について建設的に話し合える状態を指します。
発言しやすさと仕事上の責任の両方が大切であり、ただ厳しさがない職場とは異なります。
仲が良いだけの職場とも違う
心理的安全性は、社員同士の仲が良いだけの職場とは違います。
普段は話しやすくても、会議で反対意見を言えなかったり、ミスを報告しにくかったりする場合は、心理的安全性が高いとはいえません。大切なのは、仕事に関する意見や疑問を必要な場面で安心して伝えられることです。
そのため、人間関係の良さと心理的安全性は分けて考える必要があります。
厳しい意見を言えない状態でもない
心理的安全性は、厳しい意見を言えない状態ではありません。
仕事の進め方や確認不足など、必要な指摘を安心して伝えられる状態を指します。大切なのは、相手を責めるのではなく、問題点や改善方法を一緒に確認しながら話し合うことです。
そのため、発言しやすさと仕事への適切な指摘は両立できます。
心理的安全性を高める方法

心理的安全性は、制度を作るだけで急に高まるものではなく、日々の会話や上司・同僚の反応の積み重ねによって育ちます。
相手の話を遮らずに聞くことや、ミスを責めずに共有しやすくすること、質問や提案を受け止める姿勢を見せることが大切です。
ここでは、職場で心理的安全性を高めるために意識したい具体的な方法を見ていきましょう。
相手の話を最後まで聞く
心理的安全性を高めるには、相手の話を途中で遮らず、最後まで聞くことが大切です。
話の途中で否定されたり、結論を急がれたりすると、「最後まで聞いてもらえない」と感じてしまいます。
まずは相手の話をしっかり受け止め、必要に応じて確認や意見を伝えることで、安心して発言しやすい環境を作りやすくなります。
ミスを責めるより共有しやすくする
心理的安全性を高めるには、ミスを責めるよりも、安心して共有できる環境を作ることが大切です。
報告した人を強く叱ったり、責任を一方的に追及したりすると、次からミスを言い出しにくくなってしまいます。
早めに状況を共有できれば、一人で抱え込まずに済み、チームで協力しながら対応を進めやすくなります。
質問や提案を歓迎する空気を作る
心理的安全性を高めるには、質問や提案が出たときに、まず内容を受け止めることが大切です。
最初から否定したり、冷たい反応をしたりすると、次から発言を控えやすくなってしまいます。
まずは相手の考えを聞き、必要に応じて一緒に確認することで、「話しても大丈夫」と感じられる環境を作りやすくなります。
心理的安全性の具体例

心理的安全性は、考え方だけで理解するよりも、実際の職場場面に置き換えるとイメージしやすくなります。
会議で意見を出す場面や、ミスを報告する場面、分からないことを質問する場面に、職場の雰囲気は表れます。
ここでは、心理的安全性がある職場の具体例を見ていきましょう。
会議で意見を言いやすい職場
会議で意見を言いやすい職場では、発言した人の話を途中で遮らず、最後までしっかり聞く姿勢があります。
上司や同僚がすぐに否定しないため、「違う意見でも話してみよう」と感じやすくなります。
その結果、疑問や新しいアイデアが会議で共有されやすくなり、必要な意見をため込まずに済むようになります。
ミスを相談しやすいチーム
ミスを相談しやすいチームでは、間違いに気づいた時点で、上司や同僚へすぐに状況を伝えられます。
相談した人を必要以上に責めないため、「早めに共有したほうがよい」と感じやすくなるためです。
その結果、問題を一人で抱え込まずに済み、チームで協力しながら早く対応を進めやすくなります。
分からないことを質問しやすい環境
分からないことを質問しやすい環境では、仕事で迷ったときに、上司や同僚へ気軽に相談できます。
質問しても責められたり、冷たい反応をされたりしないため、「一人で悩むより先に確認しよう」と感じやすくなります。
その結果、疑問を抱え込まずに済み、安心して仕事を進めやすくなります。
まとめ
心理的安全性とは、意見や疑問、ミスを安心して伝えられる状態のことです。
単に仲が良い職場という意味ではなく、仕事に必要なことを遠慮せず話し合い、お互いに確認しながら進められる環境を指します。
心理的安全性が高い職場では、会議で意見を言いやすくなったり、ミスや悩みを早めに相談できたりするため、問題への対応や仕事の改善につながりやすくなります。
一方で、発言をためらう雰囲気があると、必要な情報が共有されず、小さな問題が大きなトラブルにつながることもあります。
心理的安全性は、特別な制度があればすぐに作れるものではありません。
相手の話を最後まで聞くことや、質問やミスを責めずに受け止めることなど、日々の小さな積み重ねが大切です。
まずは身近な会話や声かけから意識して、安心して意見を伝えられる環境づくりを始めてみてください。