プロジェクトマネジメント

▶SLAとは?意味や役割、契約時に確認すべきポイントをわかりやすく解説

はじめに

「SLAとは何を意味するの?」
「契約書や提案書に書かれているけれど、どこを確認すればいいの?」と疑問に感じていませんか。

システムやクラウドサービスの導入を検討している中で、担当者からSLAについて説明を受けても、専門用語が多く、サービス内容との違いや重要性が分からないまま契約を進めてよいのか迷ってしまうこともあるでしょう。

この記事では、SLAの基本的な意味や役割、契約時に確認しておきたいポイント、確認不足によるトラブルを防ぐための考え方について順を追って説明していきます。

SLAとは?

SLAを正しく理解するには、まず基本的な意味を押さえたうえで、なぜ多くの企業でSLAが必要とされているのかを知ることが大切です。

ここでは、SLA(Service Level Agreement)の意味や必要とされる理由、契約(契約書)との関係について順番に解説します。

SLA(Service Level Agreement)の意味

SLA(Service Level Agreement)とは、サービス提供者と利用者の間で、提供するサービス品質の基準を数値で定める合意事項です。

例えば、稼働率や障害発生時の対応時間、問い合わせへの回答時間などを具体的な数値で設定します。

品質基準や測定方法をあらかじめ明確にしておくことで、双方が同じ基準でサービス品質を確認しやすくなります。

SLAが必要とされる理由

SLAが必要とされるのは、サービス品質に対する認識のずれを防ぎ、提供者と利用者が共通の基準でサービスを評価できるようにするためです。

サービス内容だけでは品質の判断基準が曖昧になり、「期待していた対応と違う」といった認識の違いが生じることがあります。

あらかじめ保証内容や測定方法を定めておくことで、サービス品質を客観的に確認しやすくなります。

SLAと契約(契約書)の関係

SLAは契約書そのものではなく、契約内容の一部としてサービス品質の基準を定める文書や条項です。

一般的には、契約書でサービス内容や料金などを定め、その内容を補う形でSLAに品質基準や保証内容を記載します。

それぞれの役割を分けて定めることで、契約内容やサービス品質をより分かりやすく管理できます。

SLAで定められる主な項目

SLAには、サービス品質を客観的に判断するための基準が具体的に定められます。

ここでは、SLAで定められる主な項目として、サービス提供時間、可用性(稼働率)、応答時間・復旧時間、サポート体制、補償内容(サービスクレジット)について順番に解説します。

サービス提供時間

サービス提供時間とは、サービスを利用できる曜日や時間帯を定めた項目です。

例えば、「24時間365日」や「平日9時から18時まで」のように、利用できる時間をあらかじめ明記します。

提供時間を明確にしておくことで、対応可能な範囲を双方で共有し、認識の違いを防ぎやすくなります。

可用性(稼働率)

可用性(稼働率)とは、一定期間のうち、サービスを正常に利用できる割合を示す項目です。

一般的には「月間稼働率99.9%」のように数値で定め、計画停止を含めるかどうかや測定方法もあわせて明記します。

稼働状況を数値で示すことで、サービス品質を客観的な基準で確認しやすくなります。

応答時間・復旧時間

応答時間・復旧時間とは、障害や問い合わせが発生した際に、どのくらいの時間で対応や復旧を行うかを定める項目です。

例えば、「受付後30分以内に一次対応」「重大障害は4時間以内に復旧」のように、対応や復旧までの時間を具体的に定めます。

あらかじめ基準を決めておくことで、障害発生時の対応を双方で共有しやすくなります。

サポート体制

サポート体制とは、問い合わせ窓口や対応方法、受付時間などを定める項目です。

電話やメール、チャットなどの受付方法に加え、対応時間や対象となる問い合わせ内容も明確にします。

事前にサポート体制を整理しておくことで、利用者は必要なときに適切な窓口へ相談しやすくなります。

補償内容(サービスクレジット)

補償内容(サービスクレジット)とは、SLAで定めた保証値を満たせなかった場合の補償方法を定める項目です。

例えば、稼働率が保証値を下回った場合に、利用料金の一部をサービスクレジットとして付与する条件などを定めます。

補償内容を明確にしておくことで、基準を満たせなかった場合の対応を双方で確認しやすくなります。

SLAの具体例

SLAはさまざまなサービスで利用されていますが、実際にどのような内容が定められているのかを具体例で見ると理解しやすくなります。

ここでは、クラウドサービスと保守・運用サービスを例に、SLAで定められる内容について順番に解説します。

クラウドサービスのSLA例

例えば、クラウドストレージサービスでは、「月間稼働率99.9%以上」「障害受付後30分以内に一次対応」「稼働率が保証値を下回った場合は利用料金の一部をサービスクレジットとして付与する」といった内容がSLAに定められます。

サービスごとに基準は異なりますが、品質を数値で示すことで、提供内容を客観的に確認しやすくなります。

保守・運用サービスのSLA例

例えば、システム保守サービスでは、「問い合わせ受付は24時間365日」「重大障害は受付後1時間以内に一次対応」「復旧目標は4時間以内」のような内容がSLAに定められます。

対応時間や保守範囲を事前に明確にしておくことで、障害発生時の対応基準を双方で共有しやすくなります。

SLAとSLO・OLAの違い

SLAを理解する際は、あわせて使われることの多いSLOやOLAとの違いも押さえておくことが重要です。

ここでは、SLA・SLO・OLAそれぞれの意味や役割の違いについて順番に解説します。

SLAとの違い

SLAは、サービス提供者と利用者の間で、提供するサービス品質について取り決める合意です。

稼働率や応答時間、復旧時間などを具体的な数値で定め、双方がサービス品質を確認できるようにします。

SLMがサービス品質を継続的に管理・改善する取り組みであるのに対し、SLAは利用者と合意したサービス基準を定める点が異なります。

SLOとの違い

SLO(Service Level Objective)は、SLAで定めたサービス品質を達成するための目標値です。

例えば、稼働率や応答時間などの目標を設定し、日々の運用で達成状況を管理します。

SLAが利用者との合意であるのに対し、SLOはサービス品質を維持するための運用目標という点が異なります。

OLAとの違い

OLA(Operational Level Agreement)は、SLAを達成するために、社内部署や関係部門の間で定める運用上の取り決めです。

障害対応の役割分担や対応時間などを明確にし、各部門が連携してサービス品質を維持できるようにします。

SLAが利用者との合意であるのに対し、OLAは社内の運用体制を整えるための合意という点が異なります。

SLA契約時に確認すべきポイント

SLAは締結するだけでなく、契約内容を事前に十分確認することが重要です。

ここでは、SLA契約時に確認すべきポイントとして、保証範囲や保証値、適用除外条件、障害対応、補償内容について順番に解説します。

保証対象と保証範囲を確認する

SLAを確認する際は、どのサービスや機能が保証対象となり、どこまでが保証範囲に含まれるのかを確認しましょう。

対象外となる機能や条件もあわせて把握しておくことで、契約後の認識の違いを防ぎやすくなります。

事前に保証範囲を理解しておくことが、安心してサービスを利用するためのポイントです。

保証値や測定方法を確認する

保証値だけでなく、その数値をどのような基準や方法で測定するのかも確認することが大切です。

例えば、稼働率であれば測定期間や計画停止を含めるかどうかによって結果が変わることがあります。

保証値と測定方法をあわせて確認することで、サービス品質を正しく判断しやすくなります。

適用除外となる条件を確認する

SLAには、保証の対象外となる条件が定められている場合があります。

例えば、計画停止や利用者側の設定ミス、自然災害などによる障害は保証の対象外となることがあります。

どのような場合に保証が適用されないのかを事前に確認しておくと、万が一の際も認識の違いを防ぎやすくなります。

障害発生時の対応を確認する

障害が発生した場合の受付方法や対応時間、復旧までの目安についても確認しておきましょう。

受付窓口や対応時間、障害の重要度ごとの対応基準を把握しておくことで、トラブルが起きた際も落ち着いて対応しやすくなります。

事前に対応内容を確認しておくことが安心につながります。

補償内容やサービスクレジットを確認する

保証値を満たせなかった場合に、どのような補償が受けられるのかも確認しておくことが大切です。

サービスクレジットの適用条件や申請方法、対象となる範囲を事前に把握しておくことで、保証未達時の対応をスムーズに理解できます。

契約前に補償内容まで確認しておくと安心です。

SLAを確認しないリスク

SLAを確認せずにサービスを利用すると、提供されるサービス内容や障害対応について認識のズレが生じ、後からトラブルになる可能性があります。

ここでは、SLAを確認しないことで起こり得る代表的なリスクについて順番に解説します。

期待していたサービス品質と異なる可能性がある

SLAを確認しないまま契約すると、期待していたサービス品質と実際の提供内容が異なる場合があります。

例えば、受付時間や保証される稼働率が想定と違い、契約後に戸惑うことも少なくありません。

事前に保証内容を確認しておくことで、サービス品質に関する認識の違いを防ぎやすくなります。

障害時の対応で認識の違いが生じる

SLAを確認していないと、障害発生時の対応時間や復旧までの目安について認識の違いが生じることがあります。

利用者がすぐに対応してもらえると考えていても、実際にはSLAで対応基準が定められている場合があります。

あらかじめ対応内容を把握しておくことで、トラブル時も落ち着いて対応しやすくなります。

補償を受けられない場合がある

SLAを確認していないと、補償を受けるための条件を満たせず、サービスクレジットなどの補償を受けられない場合があります。

保証値を下回っていても、申請期限や適用条件が設けられていることがあるため、事前に内容を確認しておくことが大切です。

補償の条件を理解しておくことで、万が一の場合も適切に対応しやすくなります。

SLAに関するよくある質問

SLAについて理解を深める中で、「保証との違いは何か」「契約書のどこを確認すればよいのか」「必ず締結しなければならないのか」といった疑問を持つ方は少なくありません。

ここでは、SLAに関するよくある質問について順番に解説します。

SLAと保証の違いは何ですか?

SLAは、サービス品質や対応基準、補償内容などについて、利用者と提供者が事前に取り決める合意です。

一方、保証はSLAで定めた基準を満たせなかった場合に適用される補償を指します。

つまり、SLAはサービス品質全体に関する取り決めであり、保証はその一部という点が異なります。

SLAは契約書のどこに記載されていますか?

SLAは、契約書の本文に記載される場合もあれば、別紙や添付資料として定められる場合もあります。

「サービスレベル」や「SLA」といった名称で記載されることが一般的です。

契約内容を確認する際は、本文だけでなく別紙や付属資料もあわせて確認しておくと安心です。

SLAは必ず締結しなければなりませんか?

SLAは、すべてのサービス契約で必ず締結しなければならないものではありません。

ただし、クラウドサービスや保守・運用サービスなど、サービス品質を明確にする契約ではSLAを定めることが一般的です。

品質基準をあらかじめ共有しておくことで、契約後の認識の違いを防ぎやすくなります。

まとめ

SLAは、サービス提供者と利用者の間で、サービス品質や障害時の対応基準を明確にし、安心してサービスを利用するための大切な取り決めです。

契約前に保証内容だけでなく、測定方法や適用除外条件、補償内容まで確認しておくことで、契約後の認識の違いやトラブルを防ぎやすくなります。

また、SLAはSLOやOLAと役割が異なるため、それぞれの違いもあわせて理解しておくことが大切です。

契約書の内容をしっかり確認し、自社の運用や求めるサービス品質に合ったSLAかどうかを見極めることで、より安心してサービスを活用できるでしょう。

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