目次
はじめに
「勾配ブースティングのほうが高精度だと思っていたのに、ランダムフォレストの精度が高くなったのはなぜ?」
「モデルの作り方や設定を間違えているのでは?」と疑問に感じたことはありませんか。
実際に同じデータで複数の機械学習モデルを比較すると、期待していた結果とは異なり、ランダムフォレストの評価指標が勾配ブースティングを上回ることがあります。
この記事では、勾配ブースティングよりランダムフォレストの精度が高くなる理由をはじめ、性能差が生まれる原因や結果を比較するときのポイントについて順を追って説明していきます。
勾配ブースティングよりランダムフォレストの精度が高くなることはある?

機械学習では、勾配ブースティングのほうが高精度になりやすいと紹介されることがありますが、実際の検証ではランダムフォレストの精度が上回るケースもあります。
ここでは、ランダムフォレストが勾配ブースティングを上回るケースと、勾配ブースティングが常に高精度になるとは限らない理由を解説します。
ランダムフォレストが勝つケースは珍しくない
ランダムフォレストの精度が、勾配ブースティングを上回ることもあります。
特に学習データが少ない場合やノイズが多い場合は、複数の決定木の結果を平均するランダムフォレストのほうが、安定した精度を出せることがあります。
そのため、モデル名だけで判断せず、同じデータと評価指標で比較することが大切です。
勾配ブースティングが常に高精度とは限らない
勾配ブースティングは高い精度を期待できる手法ですが、常にランダムフォレストを上回るわけではありません。
データのノイズを学習しすぎたり、木の深さや学習率などの設定が合っていなかったりすると、テストデータの精度が下がることがあります。
そのため、実際のデータで性能を確認しながら調整することが大切です。
ランダムフォレストの方が高い精度になる主な理由は?
ランダムフォレストの精度が勾配ブースティングを上回る場合は、モデルそのものの優劣だけでなく、データの特徴や学習時の設定が影響しています。
ここでは、ランダムフォレストの方が高い精度になる主な理由を、データとの相性、過学習、勾配ブースティングの調整という3つの観点から解説します。
データの特徴によって複雑な学習より安定性が有利になる
学習データが少ない場合や特徴量にノイズが多い場合は、複雑に学習するよりも予測を安定させる方法が有利になることがあります。
ランダムフォレストは、異なるデータや特徴量を使って複数の決定木を作り、その結果をまとめて予測します。
そのため、一部のデータに影響されにくく、安定した精度につながる場合があります。
ランダムフォレストは過学習を抑えやすい場合がある
ランダムフォレストは、複数の決定木に異なるデータや特徴量を使うため、特定のデータだけに適合する状態を抑えやすい手法です。
それぞれの決定木の結果を多数決や平均でまとめることで、1本の決定木の偏りを小さくできます。
そのため、未知のデータに対しても精度を維持しやすい場合があります。
勾配ブースティングは調整不足によって性能を発揮できない場合がある
勾配ブースティングの精度は、学習率や決定木の深さ、本数などの設定によって変わります。
設定が大きすぎると過学習につながり、反対に小さすぎると十分に学習できない場合があります。
そのため、データに合わせて設定を調整しなければ、本来の性能を発揮できないことがあります。
精度比較でランダムフォレストが高く見えるときに確認するポイント
ランダムフォレストの精度が勾配ブースティングより高く出た場合でも、その数値だけでモデルの性能差を判断するのは適切ではありません。
ここでは、精度を比較するときに確認したいデータの分割方法、評価指標、パラメータ設定について解説します。
学習データと評価データの分け方を確認する
ランダムフォレストと勾配ブースティングの精度を比べるときは、同じ学習データと評価データを使うことが大切です。
データの分け方が異なると、学習や評価の対象が変わり、公平に比較できません。
たとえば学習用80%、評価用20%に分ける場合は、両方のモデルで同じ分割結果を使って性能を確認します。
評価指標によってモデルの順位が変わることがある
モデルの評価は、AccuracyやPrecision、Recall、F1スコアなど、使用する指標によって結果が変わることがあります。
Accuracyではランダムフォレストが高くても、Recallでは勾配ブースティングが上回る場合もあります。
そのため、何を重視して予測するのかを考え、目的に合った評価指標で比較することが大切です。
パラメータ設定の違いが精度差につながる
ランダムフォレストと勾配ブースティングは、木の深さや本数などの設定によって精度が変わります。
特に勾配ブースティングは、学習率などの設定が合っていないと、学習不足や過学習につながる場合があります。
そのため、初期設定だけで判断せず、それぞれのモデルを適切に調整してから比較することが大切です。
ランダムフォレストと勾配ブースティングの性能差はデータで決まる
ランダムフォレストと勾配ブースティングのどちらが高い性能を発揮するかは、手法の一般的な評価だけでは決められません。
ここでは、データ条件によって有利なモデルが変わる理由と、精度以外に確認したい判断材料について解説します。
データ量や特徴量によって有利なモデルは変わる
ランダムフォレストと勾配ブースティングは、データ量や特徴量によって精度が変わります。
データが少ない場合や特徴量にノイズが多い場合は、ランダムフォレストのほうが安定した精度を出せることがあります。
一方、十分なデータがあり、特徴量と予測対象の関係を細かく捉えられる場合は、勾配ブースティングが高い精度を出すこともあります。
精度だけではなく安定性や扱いやすさも判断材料になる
モデルを選ぶときは、精度だけでなく、データの分け方を変えても結果が大きく変わらないか確認することが大切です。
また、パラメータ調整にかかる手間もモデルによって異なります。
複数回の検証で精度が安定しているか、無理なく調整を続けられるかも含めて選ぶとよいでしょう。
ランダムフォレストが向いているケース
ランダムフォレストは、複雑なパラメータ調整を行う前に一定の精度を確保したい場合や、モデルを扱う手間を抑えたい場合に選びやすい手法です。
ここでは、まず安定した結果を確認したい場合と、細かな調整より扱いやすさを重視する場合に分けて解説します。
まず安定した結果を確認したい場合
まずモデルを作って予測精度を確認したい場合は、ランダムフォレストが向いています。
複数の決定木の予測結果をまとめるため、1本の決定木の結果に左右されにくいことが特徴です。
そのため、細かな調整をする前でも、比較的安定した結果を確認しやすい手法です。
細かな調整より扱いやすさを重視する場合
パラメータを何度も調整する手間を抑えたい場合も、ランダムフォレストが向いています。
木の本数や深さなどを設定して学習でき、勾配ブースティングのように学習率を調整する必要はありません。
そのため、細かな調整に時間をかけずにモデルを構築したい場合に扱いやすい手法です。
勾配ブースティングが向いているケース
勾配ブースティングは、データに含まれる複雑な傾向を捉えながら予測精度を高めたい場合に選びやすい手法です。
ここでは、複雑なパターンを捉えて精度向上を目指したい場合と、パラメータ調整によって性能を引き出したい場合に分けて解説します。
複雑なパターンを捉えて精度向上を目指したい場合
特徴量同士の関係を細かく捉え、予測精度を高めたい場合は、勾配ブースティングが向いています。
前の決定木で生じた誤差を次の決定木で補いながら学習するため、1本の決定木では捉えにくいパターンも学習できます。
そのため、調整を重ねながら、より高い精度を目指したい場合に適しています。
パラメータ調整を行い性能を引き出したい場合
学習率や木の深さ、本数などを調整しながら精度を高めたい場合も、勾配ブースティングが向いています。
設定によって学習の進み方や捉えられるパターンが変わるため、複数の条件で性能を比較することが大切です。
データに合った設定を見つけることで、モデルの性能を引き出しやすくなります。
まとめ
勾配ブースティングよりランダムフォレストの精度が高くなっても、決して不自然な結果ではありません。
モデルの精度は手法だけで決まるものではなく、データの量や特徴、パラメータの設定などによって変わるため、「勾配ブースティングのほうが高精度」と決めつけずに考えることが大切です。
比較するときは、同じ条件と評価指標を使い、それぞれのモデルがどの程度の精度を出せるのか確認してみましょう。
そのうえで、安定性や扱いやすさを重視するならランダムフォレスト、調整を重ねながら精度を高めたいなら勾配ブースティングというように、目的やデータに合ったモデルを選ぶことが大切です。