プロジェクトマネジメント

EVMは使えないと言われる理由とは?向いているケース・失敗する原因・導入判断のポイント

はじめに

「EVMを導入したのに、入力作業ばかり増えて現場の負担になっている」
「数値を確認しても、結局どの対応をすればよいのか判断できない」と感じていませんか。

プロジェクト管理の手法としてEVMを学んだものの、実際の業務で活用できず「EVMは使えないのでは」と疑問を持つ方もいるかもしれません。

この記事では、EVMが使えないと言われる理由や失敗につながる原因、EVMが向いているプロジェクトの特徴、導入前に確認したい判断ポイントについて順を追って説明していきます。

EVMが使えないと言われる理由は?

EVMは進捗やコストを数値で管理できる一方で、導入すれば必ず正確な状況を把握できるわけではありません。

ここでは、進捗率の評価方法やデータ管理、現場への定着、ソフトウェア開発での活用時に注意すべきポイントについて順を追って説明していきます。

進捗率の算出が主観的になりやすい

EVMでは、進捗率を正しく設定できるかどうかが分析結果の精度に影響します。

しかし、実際のプロジェクトでは「作業が何%完了したか」を担当者の判断で決める場面も多く、算出基準が曖昧になりがちです。

そのため、進捗率の評価基準を事前に決めて、誰が評価しても同じ結果になるようにしておかなければ、EVMの結果が実際の状況を反映しにくくなります。

工数や実績データの精度に依存する

EVMは、入力する工数や実績データの精度によって分析結果が変わります。

作業時間の入力漏れや更新遅れがあると、EVやACの数値が実際のプロジェクト状況とずれ、進捗遅延やコスト超過を正確に判断しにくくなります。

そのため、作業時間や完了した作業内容は、決めたルールに沿って継続的に記録することが大切です。

運用コストが高く現場に定着しにくい

EVMは、計画値や実績値を継続的に入力し、進捗率やコスト差異を確認する運用が必要です。

しかし、更新作業が増えることで現場の負担になり、入力ルールや担当者が決まっていないと、記録が後回しになって運用が続かなくなることがあります。

そのため、更新頻度や入力担当を事前に決めておくことが重要です。

ソフトウェア開発では実態を反映しにくい場合がある

EVMは、作業の進捗を数値化して管理する手法ですが、ソフトウェア開発では完成度を正確に判断しにくい場合があります。

設計や実装、テストごとの完了基準が曖昧だと、進捗率と実際の作業状況にずれが生じやすくなります。

そのため、作業単位や完了条件を明確に定義できない開発では、EVMの指標が実態を反映しにくくなることがあります。

EVMは本当に使えない?

EVMは「使えない」と評価されることがありますが、すべてのプロジェクトで効果が出ないわけではありません。

ここでは、EVMが効果を発揮するケースや機能しないケース、現場で評価が分かれる理由について説明していきます。

EVMが効果を発揮するケース

EVMは、作業内容や進捗基準を明確に設定できるプロジェクトで効果を発揮します。

開始時点で予定工数や完了条件を決め、実績と比較できる状態にしておくことで、スケジュールの遅れや予算超過を数値で把握しやすくなります。

そのため、作業範囲や評価基準が明確なプロジェクトでは、EVMを活用しやすいでしょう。

EVMが機能しないケース

EVMが機能しにくいのは、作業内容や進捗基準を数値で設定できないプロジェクトです。

完了条件が曖昧だったり、仕様変更が頻繁に発生したりすると、計画値と実際の作業状況にずれが生じ、計画との差異を正確に判断しにくくなります。

そのため、作業範囲や評価基準を事前に定義しにくいプロジェクトでは、EVMの効果を十分に発揮できないことがあります。

現場で評価が分かれる理由

EVMが現場で評価されるかどうかは、プロジェクトの進め方や運用体制によって変わります。

作業内容や完了条件を明確に管理できる現場では、進捗やコストを数値で把握しやすく、有効な管理手法として活用できます。一方で、データ入力の負担が大きい場合は、管理作業が増えて運用しにくいと感じられることもあります。

そのため、必要なデータを継続して記録できる体制が整っているかが、EVMを活用するポイントになります。

EVMが向いているケース・向いていないケース

EVMは、プロジェクトの進捗やコストを数値で管理できる一方で、すべての案件に適しているわけではありません。

ここでは、EVMが向いている案件と向いていない案件について、具体的な特徴を説明していきます。

大規模案件や予算管理が重要な案件

大規模案件や予算管理が重要な案件では、EVMの効果を発揮しやすくなります。

作業量や予算が大きいプロジェクトでは、工数やコストの差異を早い段階で把握することが重要です。

EVMを活用すると、PV・EV・ACを比較しながら進捗や予算の状況を数値で確認できるため、複数の工程や担当者が関わる案件でも状況を把握しやすくなります。

工程が固定化されたプロジェクト

工程が固定化されたプロジェクトでは、EVMを活用しやすくなります。

作業開始前に工程や必要工数、完了条件を決めておくことで、計画と実績を数値で比較できます。

そのため、事前に決めたスケジュールに沿って進めるプロジェクトでは、進捗の遅れやコストの変化を早めに把握しやすくなります。

アジャイル開発や仕様変更が多い案件

アジャイル開発や仕様変更が多い案件では、EVMの効果を発揮しにくい場合があります。

EVMは、事前に設定した計画を基準に進捗やコストを管理するため、仕様変更が頻繁に発生すると計画値と実績値の差が大きくなります。

そのため、開始時点の計画を維持しにくいプロジェクトでは、EVMによる数値管理が実態と合わなくなることがあります。

小規模プロジェクトやベンチャー環境

小規模プロジェクトやベンチャー環境では、EVMの運用負荷が管理効果を上回る場合があります。

少人数の現場では、作業時間の記録や進捗率の更新に手間がかかる一方で、日々の打ち合わせだけでも状況を把握できることがあります。

そのため、管理対象となる工数や予算が小さいプロジェクトでは、EVMを導入しても十分な効果を得られない場合があります。

EVMが失敗する原因

EVMは、正しく運用できればプロジェクトの進捗やコスト状況を把握するために有効な手法ですが、導入しただけで期待した効果が得られるわけではありません。

ここでは、EVMが機能しなくなる主な原因について説明していきます。

進捗率の設定が曖昧になっている

進捗率の設定が曖昧になっていると、EVMによる分析結果が実際のプロジェクト状況を反映しにくくなります。

担当者ごとに進捗率の判断が異なると、同じ作業でもEVが変わり、計画との差異を正確に確認できません。

そのため、作業ごとの完了条件や進捗率の算出ルールは、あらかじめ統一しておくことが大切です。

実績入力が形骸化している

実績入力が形骸化すると、EVMで算出する指標の精度が低下します。

作業時間や実績を後からまとめて入力したり、実際と異なる数値を登録したりすると、ACやEVが正しい状況を示さなくなります。

そのため、実績データは決めたルールに沿って定期的に更新し、実際の作業状況を反映した状態を維持することが重要です。

EVMの数値だけで判断している

EVMの数値だけで判断すると、プロジェクトの状況を正確に把握できない場合があります。

SPIやCPIは進捗やコストの差異を確認するための指標ですが、原因までは分かりません。

そのため、EVMの結果を見るときは、数値だけでなく、作業状況や差異が発生した原因もあわせて確認することが大切です。

EVMを使うべきか判断するポイント

EVMを導入するか判断する際は、単に「数値で管理できるから便利」という理由だけで決めるのではなく、プロジェクトの状況に対して管理効果が得られるかを確認することが重要です。

ここでは、EVMを使うべきか判断するために確認したいポイントについて説明していきます。 

案件規模に見合う管理効果があるか

案件規模に見合う管理効果があるかを確認することは、EVMを導入するか判断するうえで大切です。

作業量や予算が大きい案件では、PV・EV・ACを使って進捗やコストを数値で管理する効果が期待できます。

一方で、小規模な案件では運用負担が管理効果を上回ることもあるため、導入前に管理にかかる手間と得られる効果を比較して判断しましょう。

予算管理の重要度が高いか

予算管理の重要度が高い案件では、EVMを導入する効果が高まります。

予算額が大きく、工数超過やコスト増加が利益や納期に影響する場合は、計画と実績の差異を早めに把握することが重要です。

一方で、予算規模が小さい案件では、EVMによる細かな管理が必要ない場合もあります。

工数管理体制が整っているか

EVMを活用するには、工数管理の体制が整っていることが欠かせません。

予定工数と実績工数を正しく比較するためには、作業時間の入力ルールや担当者を決め、継続して実績を記録できる仕組みが必要です。

入力漏れや更新遅れが多い環境では、正確な分析が難しくなります。

開発手法と相性が合っているか

開発手法とEVMの相性も、導入前に確認しておきたいポイントです。

工程や成果物を事前に定義できるプロジェクトでは、計画と実績を比較しやすく、EVMを活用しやすくなります。

一方で、仕様変更が頻繁に発生する開発では、計画との差異を正確に把握しにくくなるため、開発手法との相性もあわせて確認しておくと安心です。

まとめ

EVMは、進捗やコストを数値で把握し、計画との差異を確認できるプロジェクト管理手法です。

ただし、進捗率の基準が曖昧だったり、実績データが正しく入力されていなかったりすると、分析結果が実際の状況と合わず、十分な効果を得られないことがあります。

一方で、作業範囲や完了基準が明確で、工数やコストを継続的に管理できるプロジェクトでは、スケジュールの遅れや予算超過の兆候を早い段階で把握しやすくなります。

特に、大規模案件や予算管理が重要なプロジェクトでは、EVMの強みを活かしやすいでしょう。

EVMを効果的に活用するためには、プロジェクトの規模や開発手法、管理体制に合っているかを事前に確認することが大切です。

自社のプロジェクトに合った形で取り入れることで、より精度の高い進捗管理やコスト管理につなげやすくなります。

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