目次
はじめに
「カイ二乗検定とロジスティック回帰分析は何が違うのだろう」
「同じデータを分析したのに結果が異なり、どちらを信じればよいのか分からない」と迷っていませんか。
たとえば、カテゴリデータを分析するために両方の手法を試したところ、カイ二乗検定では有意差があったのにロジスティック回帰分析では有意にならなかったり、その逆の結果になったりして、分析結果をどう解釈すればよいのか迷ってしまうことがありますよね。
この記事では、カイ二乗検定とロジスティック回帰分析の違いや結果が異なる理由、それぞれを使い分けるポイントについて、順を追って説明していきます。
カイ二乗検定とロジスティック回帰分析の違いは?
カイ二乗検定とロジスティック回帰分析は、どちらもカテゴリデータを扱う代表的な分析手法ですが、分析の目的や扱える変数、結果の読み方は大きく異なります。
ここでは、カイ二乗検定とロジスティック回帰分析の基本的な違いを整理したうえで、目的や扱える変数、結果の見方を比較しながら、それぞれの使い分けを説明します。
カイ二乗検定
カイ二乗検定は、性別と商品の購入有無のように、2つのカテゴリ変数に関連があるかを調べる分析手法です。
データをクロス集計表にまとめ、実際の観測度数と、関連がないと仮定した場合の期待度数を比較します。
これにより、2つのカテゴリ変数に統計的な関連があるかを確認できます。
ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析は、目的変数が0か1のような二値データの場合に、その結果と説明変数との関係を分析する手法です。
複数の説明変数を同時に扱えるため、ほかの変数の影響も考慮しながら、それぞれが結果とどのように関連しているかを確認できます。
結果は係数やオッズ比などを使って、関連の大きさや方向を読み取ります。
目的・扱える変数・結果の見方を比較する
カイ二乗検定は、2つのカテゴリ変数に関連があるかを調べたいときに使い、主にp値を確認します。
一方、ロジスティック回帰分析は、二値の目的変数と説明変数の関係を詳しく調べたいときに使い、係数やオッズ比、95%信頼区間、p値などから結果を読み取ります。
単純に関連の有無を確かめたいのか、複数の要因を考慮して影響を調べたいのかで使い分けると分かりやすいでしょう。
カイ二乗検定とロジスティック回帰分析はどう使い分けるか
カイ二乗検定とロジスティック回帰分析は、どちらを使ってもカテゴリデータを分析できますが、分析したい内容によって適した手法は異なります。
ここでは、それぞれの分析手法が適している場面を比較しながら、目的に応じた使い分け方を説明します。
2変数の関連だけを確認するなら
2つのカテゴリ変数について、関連があるかどうかを確認したい場合は、カイ二乗検定が適しています。
2変数をクロス集計表にまとめ、観測度数と期待度数を比較しながら、p値をもとに統計的な関連があるかを判断します。
複数の要因を考慮するなら
年齢や性別、喫煙の有無など、複数の要因と結果との関係を同時に調べたい場合は、ロジスティック回帰分析が適しています。
複数の説明変数を1つのモデルに組み込むことで、それぞれの変数が結果とどのように関連しているかを確認できます。
交絡因子を調整したい場合は
年齢や性別などの交絡因子を考慮しながら、特定の説明変数と結果との関係を調べたい場合も、ロジスティック回帰分析を使います。
交絡因子を説明変数としてモデルに加えることで、その影響を調整したうえで、目的とする説明変数の影響を評価できます。
カイ二乗検定とロジスティック回帰分析で結果が異なる理由
同じデータを分析しているにもかかわらず、カイ二乗検定では有意差が出なかったのにロジスティック回帰分析では有意になった、あるいはその逆の結果になることがあります。
ここでは、両者で結果が異なる主な理由を確認しながら、どのような場面で違いが生じるのかを説明します。
カイ二乗検定は他の要因を調整しない
カイ二乗検定は、2つのカテゴリ変数の関連を調べる方法なので、年齢や性別など他の要因は基本的に調整しません。
そのため、別の要因が結果に関係していても、その影響を分けずに2変数の関連を評価します。
ロジスティック回帰分析では他の変数を調整できる
ロジスティック回帰分析では、年齢や性別などの変数を同じモデルに組み込み、その影響を調整しながら目的の説明変数と結果との関係を評価できます。
そのため、交絡因子を調整すると、調整前とはオッズ比やp値が変わることがあります。
調整前は有意でなくても調整後に有意になることがある
カイ二乗検定では有意な関連が見られなくても、ロジスティック回帰分析で交絡因子を調整すると有意になる場合があります。
これは、他の変数によって見えにくくなっていた関連が、調整によって明確になることがあるためです。
反対に、調整後に有意ではなくなる場合もあるため、調整前後の結果を比べながら解釈することが大切です。
カイ二乗検定とロジスティック回帰分析を組み合わせて使う場合の考え方
カイ二乗検定とロジスティック回帰分析は、どちらか一方だけを使うのではなく、分析の目的に応じて組み合わせて利用されることも少なくありません。
ここでは、両者を組み合わせて分析する際の基本的な考え方と、結果を確認するときのポイントを説明します。
それぞれの分析目的を分けて結果を確認する
カイ二乗検定とロジスティック回帰分析を組み合わせる場合は、それぞれの役割を分けて結果を確認します。
カイ二乗検定では2つのカテゴリ変数の関連を確認し、ロジスティック回帰分析では他の要因を調整しながら、各説明変数と結果との関係を評価します。
カイ二乗検定のp値だけで説明変数を選ばない
カイ二乗検定で有意だったかどうかだけを基準に、ロジスティック回帰分析へ組み込む変数を決めるのは避けたほうがよいでしょう。
調整前は有意でなくても他の要因を調整すると関連が明確になる場合があるため、分析の目的や先行研究なども踏まえて説明変数を選ぶことが大切です。
ロジスティック回帰分析ではオッズ比と95%信頼区間も確認する
ロジスティック回帰分析の結果は、p値だけでなくオッズ比と95%信頼区間もあわせて確認します。
オッズ比から関連の大きさや方向を読み取り、95%信頼区間から推定の不確実性も確認することで、結果をより丁寧に解釈できます。
ロジスティック回帰分析でもカイ二乗が使われるのはなぜか
ロジスティック回帰分析の結果を見ていると、尤度比カイ二乗検定やPearsonカイ二乗統計量など、「カイ二乗」という言葉が表示されることがあります。
ここでは、ロジスティック回帰分析でカイ二乗統計量が使われる理由と、それぞれの違いを説明します。
モデル全体の有意性を確認するときにカイ二乗統計量が使われる
ロジスティック回帰分析では、説明変数を加えたモデルが、説明変数を含まないモデルよりもデータに適合しているかを確認する際に、尤度比検定のカイ二乗統計量が使われます。
カイ二乗統計量とp値を見ることで、説明変数を加えたことによる改善が統計的に有意かを判断できます。
モデルの適合度を確認するときにもカイ二乗統計量が使われる
モデルがデータにどの程度当てはまっているかを確認するときにも、カイ二乗統計量を使う場合があります。
たとえば、Hosmer-Lemeshow検定では、観測された結果とモデルから予測された結果のずれをもとに、適合度に大きな問題がないかを確認します。
独立性のカイ二乗検定とは目的が異なる
ロジスティック回帰分析で使われるカイ二乗統計量は、モデル全体の有意性や適合度を確認するためのものです。
一方、独立性のカイ二乗検定は、2つのカテゴリ変数に関連があるかを調べます。
同じ「カイ二乗」という言葉が使われていても目的は異なるため、何を評価している結果なのかを確認して解釈することが大切です。
まとめ
カイ二乗検定とロジスティック回帰分析は、どちらもカテゴリデータの分析に使われますが、確認できる内容が異なります。
2つのカテゴリ変数に関連があるかを確認したい場合はカイ二乗検定、複数の要因や交絡因子を考慮しながら二値の結果との関係を調べたい場合は、ロジスティック回帰分析が適しています。
また、同じデータを分析しても、他の要因を調整するかどうかによってp値や有意性が変わることがあります。
そのため、結果の違いだけを見るのではなく、それぞれの分析で何を確認しているのかを意識することが大切です。
どちらが優れているかで選ぶのではなく、分析したい内容に合わせて使い分けてみましょう。
ロジスティック回帰分析ではp値だけで判断せず、オッズ比や95%信頼区間もあわせて確認すると、結果をより丁寧に読み取れます。