人事・組織開発スキル

▶パワハラとは?定義・6類型・具体例をわかりやすく解説 

はじめに

「これってパワハラに当たるの?」
「上司から強い口調で注意されたけれど、どこまでが指導で、どこからがパワハラなの?」と迷っていませんか。

職場で何度も叱責されたり、人前で能力を否定されたりすると、つらさを感じても「仕事の指導だから仕方ない」と考えて、誰に相談すればよいのか分からなくなることがありますよね。

この記事では、パワハラの定義や6類型、それぞれの具体例を分かりやすく整理し、自分が受けている行為が該当するのか判断するためのポイントまで順を追って説明していきます。

パワハラとは?

パワハラに当たるか判断するときは、単に上司から厳しい言葉をかけられたかどうかだけで決まるわけではありません。

ここでは、パワハラの定義に含まれる3つの要件を確認したうえで、判断するときの基本的な考え方や、厳しい指導との違いについて説明します。

パワハラの定義(3つの要件)

パワハラとは、職場での優越的な関係を背景とした言動のうち、業務上必要かつ相当な範囲を超え、労働者の就業環境を害するものです。

「優越的な関係を背景としているか」「業務上必要な範囲を超えているか」「就業環境が害されているか」という3つの要件をすべて満たす場合に、パワハラに該当すると判断されます。

パワハラと判断される基本的な考え方

パワハラかどうかは、言葉だけで判断するのではなく、言動の目的や必要性、言い方や回数、行われた状況、相手への影響などを踏まえて判断します。

そのため、同じ注意や指示でも、業務上必要な範囲で適切に行われた場合と、必要以上に繰り返された場合では判断が異なります。

厳しい指導とパワハラの違い

厳しい指導でも、ミスや問題点を改善する目的があり、内容や方法が業務上必要な範囲に収まっていれば、直ちにパワハラになるわけではありません。

一方、人格を否定する発言や必要以上の叱責を繰り返し、就業環境を害するような場合は、パワハラに該当する可能性があります。

パワハラの6類型と具体例

パワハラには、殴る・蹴るなどの身体的な行為だけでなく、暴言や無視、仕事量の偏り、必要以上に私生活へ立ち入る行為なども含まれます。

ここでは、パワハラに該当し得る代表的な6類型について、具体的な行為を挙げながら順番に説明していきます。

身体的な攻撃

身体的な攻撃とは、殴る、蹴る、物を投げつけるなど、相手の身体に危害を加える行為です。

業務上の指導という理由があっても、身体への攻撃を行えばパワハラに当たる可能性があります。

精神的な攻撃

精神的な攻撃とは、相手の人格や尊厳を傷つけ、精神的な苦痛を与える行為です。

人前で繰り返し怒鳴る、人格を否定する、必要以上に厳しく叱責するなど、業務上必要な範囲を超えた言動はパワハラに当たる可能性があります。

人間関係からの切り離し

人間関係からの切り離しとは、職場で特定の人を意図的に孤立させる行為です。

必要な会議や連絡から外したり、仕事に必要な情報を伝えなかったりするなど、業務上の理由なく継続的に周囲から切り離す行為が該当します。

過大な要求

過大な要求とは、業務上明らかに不要な作業や、達成することが難しい仕事を無理に行わせることです。

本人の能力や経験を考慮せず、期限内に終えられないほどの仕事を一人に集中させるなど、必要な範囲を超えた要求が該当します。

過小な要求

過小な要求とは、合理的な理由なく、能力や経験に見合わない仕事だけを与えたり、仕事を与えなかったりする行為です。

担当業務を取り上げ、長期間にわたって仕事を与えないなど、職場での立場を不当に低下させる行為が該当します。

個の侵害

個の侵害とは、業務に必要な範囲を超えて、相手の私生活や個人情報に立ち入る行為です。

本人の同意なく私生活の情報を職場で広めたり、家族や交友関係について必要以上に尋ねたりするなど、業務と関係のない私生活への過度な干渉が該当します。

パワハラに該当する例・該当しない例

パワハラかどうかを判断するときは、言動の一部分だけを見るのではなく、誰が誰に対して、どのような状況で、どの程度の言動をしたのかを確認する必要があります。

ここでは、パワハラに該当する具体例と該当しない具体例を確認し、判断に迷いやすいケースについても順番に説明します。

パワハラに該当する具体例

パワハラに該当する例として、人前で何度も怒鳴る、人格を否定する発言を繰り返す、合理的な理由なく特定の社員を会議や業務連絡から外すといった行為があります。

また、一人では処理できない量の仕事を無理に割り当てるなど、業務上必要な範囲を超えて就業環境を害する行為も該当する可能性があります。

パワハラに該当しない具体例

業務上のミスについて改善点を伝え、必要な範囲で注意や指示をすることは、基本的にパワハラには該当しません。

たとえば、作業手順の誤りを指摘し、正しい方法を説明したうえでやり直しを求めるなど、業務上の目的があり、適切な方法で行われる指導が当てはまります。

判断に迷いやすいケース

判断に迷いやすいのは、指導そのものは必要でも、言い方や回数、場所などによって相手への負担が大きくなるケースです。

同じミスへの注意でも、必要な内容を伝える場合と、人前で何度も厳しく叱責する場合では状況が異なるため、言動の程度や回数、業務上の必要性、就業環境への影響などを含めて判断します。

パワハラを受けた・見かけたときの対処法と相談先

パワハラを受けたり職場で見かけたりした場合、「どこまで記録しておけばいいのか」「会社に相談しても大丈夫なのか」と迷うことがあります。

ここでは、パワハラを受けた・見かけたときに残しておきたい証拠や、社内・外部の相談窓口を利用する方法について順番に説明します。

まず証拠を残す

パワハラを受けたり見かけたりした場合は、言動があった日時や場所、相手、具体的な発言や行為を記録しておきましょう。

メールやチャットなども削除せず、スクリーンショットやデータとして保存しておくと、後から事実関係を確認しやすくなります。

社内の相談窓口へ相談する

社内で相談する場合は、人事部門やハラスメント相談窓口などに、記録した日時や場所、具体的な言動、現在の勤務への影響を伝えます。

できるだけ具体的に状況を伝えることで、会社側も事実関係を確認し、必要な対応を検討しやすくなります。

外部の相談窓口を利用する

社内で相談しにくい場合や、相談しても解決しない場合は、労働局などの外部相談窓口を利用する方法があります。

パワハラの内容や発生日時、会社へ相談した経緯などを整理して伝えると、状況に応じて利用できる制度や今後の対応について案内を受けられます。

パワハラに関するよくある質問

パワハラについて調べると、「上司から強く叱られたけれど、これもパワハラになるの?」「上司ではなく同僚や部下から受けた行為もパワハラに当たるの?」といった疑問が出てくることがあります。

ここでは、上司による叱責や同僚・部下からの行為がパワハラに当たるかについて、よくある疑問に順番に答えていきます。

上司の叱責はすべてパワハラですか?

上司から厳しく叱られても、すべてがパワハラになるわけではありません。

業務上のミスを改善するための注意で、内容や方法が必要な範囲に収まっていれば、基本的にはパワハラには該当しません。

一方、人格を否定する発言を繰り返したり、人前で長時間叱責したりする場合は、パワハラに該当する可能性があります。

同僚や部下からの行為もパワハラになりますか?

パワハラは上司から部下への行為だけではなく、同僚や部下からの言動が該当する場合もあります。

たとえば、複数の同僚が特定の社員を業務連絡から外すなど、相手が抵抗しにくい関係を背景とした言動については、役職だけでなく実際の関係性や就業環境への影響を踏まえて判断されます。

まとめ

パワハラは、単に「厳しく注意された」「嫌なことを言われた」という印象だけで決まるものではなく、言動の内容や業務上の必要性、繰り返された回数、就業環境への影響などを踏まえて判断することが大切です。

適切な指導との違いもあるため、一つの言葉だけではなく、その前後の状況まで確認する必要があります。

もし「これはパワハラかもしれない」と感じたときは、無理に自分だけで判断せず、まずは日時や具体的な言動を記録しておきましょう。

そのうえで社内の相談窓口や人事部門へ相談し、社内での相談が難しい場合は外部の窓口を利用するなど、状況に合った方法で少しずつ対応を進めてみてください。

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