目次
はじめに
「エンパワーメントと権限委譲は何が違うの?」
「部下に仕事を任せる場合は、どちらの考え方を使えばいいの?」と迷っていませんか。
部下に判断を任せたり、上司が持つ権限の一部を渡したりする場面では、どちらも似た意味に見えるため、違いを説明しようとすると言葉に詰まってしまうことがありますよね。
この記事では、エンパワーメントと権限委譲の意味や違い、仕事での使い分けについて順を追って説明していきます。
エンパワーメントとは?
エンパワーメントとは、組織やチームの中で一人ひとりが自ら考え、判断して行動できるように力を引き出す考え方です。
ここでは、エンパワーメントの基本的な意味と、組織で取り入れる目的について説明します。
エンパワーメントの意味
エンパワーメントとは、組織やチームの一人ひとりが必要な権限や情報を持ち、自分で考えて判断しながら仕事を進められるようにする考え方です。
上司が細かく指示するのではなく、担当する業務の中で、本人が状況に合わせて必要な行動を選べるようにします。
単に仕事を任せるだけではなく、どこまで自分で決めてよいのかを明確にすることも大切です。
エンパワーメントの目的
エンパワーメントの目的は、上司からの指示を待たなくても、担当者が必要な判断をしながら仕事を進められるようにすることです。
自分で判断できる範囲が明確になれば、上司への確認や承認を待つ時間が減り、必要な対応をスムーズに取りやすくなります。
また、自分で考えて行動する機会が増えることで、担当する仕事にも責任を持って取り組みやすくなります。
権限委譲とは?
権限委譲とは、上司や管理者が持っている業務上の判断権限の一部を、部下や担当者に移して仕事を任せることです。
ここでは、権限委譲の基本的な意味と、組織で権限を委ねる目的について説明します。
権限委譲の意味
権限委譲とは、上司や管理者が持っている判断権限の一部を部下や担当者に渡し、その範囲の仕事を任せることです。
上司がすべてを判断するのではなく、担当者が決めてよい業務や金額、対応範囲などをあらかじめ明確にしたうえで権限を渡します。
担当者は与えられた権限の範囲で、自分で判断しながら仕事を進めていきます。
権限委譲の目的
権限委譲の目的は、担当者が決められた範囲で自分で判断できるようにし、上司への確認や承認を減らすことです。
誰がどこまで判断できるのかを明確にしておけば、担当者は上司の判断を待たずに仕事を進めやすくなります。
また、上司がすべての判断を抱える必要がなくなり、ほかの業務の判断や管理にも時間を使いやすくなります。
エンパワーメントと権限委譲の違い
エンパワーメントと権限委譲は、どちらも部下や担当者に一定の判断を任せる考え方ですが、重視する目的や権限・裁量を与える範囲には違いがあります。
ここでは、目的、権限・裁量の範囲、自律性・能力発揮に対する考え方の3つに分けて、それぞれの違いを説明します。
目的の違い
エンパワーメントの目的は、本人が自分で考えて判断し、持っている知識や経験を仕事に活かせるようにすることです。
一方、権限委譲は、上司が持つ決定権や業務上の権限の一部を部下に渡し、上司の承認を待たずに担当する仕事を進められるようにすることを目的としています。
権限・裁量を与える範囲の違い
エンパワーメントでは、決められた仕事だけでなく、仕事の進め方や対応方法についても、本人が判断できる範囲を広げていきます。
一方、権限委譲では、「10万円以下の発注は担当者が決裁する」など、部下に任せる業務や金額、判断できる範囲を具体的に決めたうえで権限を渡します。
本人の自律性・能力発揮に対する考え方の違い
エンパワーメントでは、本人が状況に合わせて方法を選び、自分で判断して行動することを大切にします。
一方、権限委譲では、任された権限の範囲内で本人が判断して仕事を進めますが、その範囲を超える判断については上司が行います。
エンパワーメントと権限委譲の関係
エンパワーメントと権限委譲は別の考え方ですが、組織の中では密接に関係しています。
ここでは、権限委譲がエンパワーメントにどのようにつながるのか、両者の関係を整理して説明します。
権限委譲はエンパワーメントを進める手段の一つ
権限委譲では、上司が持っている決定権の一部を部下に渡し、担当者が自分で判断できる範囲を広げます。
たとえば、10万円以下の発注を担当者が判断できるようにすれば、上司の承認を待たずに仕事を進められるため、エンパワーメントを進めることにつながります。
権限を渡すだけではエンパワーメントにならない
部下に決定権を渡しても、判断に必要な情報が共有されていなかったり、上司が細かな進め方まで決めていたりすると、本人は自分で考えて行動しにくくなります。
任せる範囲と判断基準を伝え、その範囲では本人が方法を選び、自分で決めて行動できるようにすることが大切です。
エンパワーメントと権限委譲の使い分け
エンパワーメントと権限委譲は、任せたい内容や目指す状態に応じて使い分けることが大切です
ここでは、それぞれが適している場面と、実務で権限や責任の範囲を明確にするポイントについて説明します。
特定の業務や判断を任せるなら
特定の業務や判断を担当者に任せたい場合は、権限委譲が適しています。
任せる業務を決めたうえで、「どこまで自分で決めてよいのか」「どこから上司の承認が必要なのか」を明確にします。
判断できる範囲が決まっていれば、担当者は上司の確認を待たずに、その範囲で仕事を進めやすくなります。
自ら判断して行動できる状態を目指すなら
担当者が指示を待たず、状況に合わせて自分で判断しながら行動できる状態を目指す場合は、エンパワーメントが適しています。
仕事を任せるだけでなく、判断に必要な情報や権限を与え、本人が仕事の進め方を選べるようにします。
自分で判断する機会が増えることで、これまで身につけた知識や経験も仕事に活かしやすくなります。
実務では権限と責任の範囲を明確にする
実務でエンパワーメントや権限委譲を取り入れるときは、担当者が判断できる範囲と、どこまで責任を持つのかを明確にします。
「自分で決めてよいこと」「上司への報告が必要なこと」「上司の承認が必要なこと」をあらかじめ分けて共有しておきましょう。
権限と責任の範囲をそろえることで、担当者が判断に迷ったり、任された範囲を超えて判断したりすることを防ぎやすくなります。
まとめ
エンパワーメントと権限委譲は似ていますが、目的に違いがあります。
権限委譲は特定の権限や判断を担当者に任せること、エンパワーメントは必要な権限や情報を与え、自分で考えて行動できる状態をつくることです。
実務では、担当者が「自分で決めてよいこと」と「上司の承認が必要なこと」を分かるようにしておくことが大切です。それぞれの違いを理解し、目的に合わせて上手に取り入れていきましょう。