プロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメントにおける「手法」とは?種類一覧と使い分けをわかりやすく解説

はじめに

「プロジェクトマネジメントにおける「手法」って、結局どれを使えばいいの?」「ウォーターフォールやアジャイルって聞くけど、自分の仕事にはどれが合うのか分からない…」

そんなふうに感じている方も多いのではないでしょうか。

プロジェクトマネジメントにはいくつもの手法がありますが、すべてを同じように使うわけではありません。
たとえば、最初に仕様を細かく決めてから進める仕事もあれば、途中で内容を見直しながら進めるほうがうまくいく仕事もあります。

そのため、「有名だから選ぶ」のではなく、今取り組んでいる業務の内容や進め方に合わせて、どの手法を使うかを決めることが大切です。

この記事では、代表的なプロジェクトマネジメント手法をひとつずつ取り上げながら、それぞれがどんな場面で使われているのか、どのように使い分けていけばよいのかを、順番にわかりやすくお伝えしていきます。

プロジェクトマネジメントにおける「手法」とは?

プロジェクトマネジメントにおける「手法」とは、プロジェクトをどの順番で進めるか、誰がどのタイミングで判断するか、進捗や品質をどの指標で管理するかといった「進め方のルール」を定めたものです。

実際の現場では、開発期間が3か月の小規模案件と、1年以上かかる大規模システム開発では、計画の立て方や進め方、途中での修正方法が大きく異なります。そのため、状況に応じて適切な進め方を選ぶ必要があり、複数の手法が存在しています。

ここでは、こうした手法の基本的な定義と、なぜ複数の手法が使い分けられているのかを整理していきます。

手法の定義(プロジェクト管理の進め方の違い)

プロジェクトマネジメントにおける「手法」とは、タスクをどの順番で進めるか、誰がどの時点で判断するか、進捗をどの単位で確認するかを決めた進め方の違いです。

たとえば、最初に全工程を確定してから作業を開始するのか、1週間〜2週間ごとに作業と確認を繰り返すのかによって、計画の作り方、進捗確認の頻度、意思決定のタイミングが変わります。

これにより、スケジュールの引き方、担当者への指示の出し方、遅延が発生した場合の修正方法がすべて変わるため、どの手法を選ぶかでプロジェクト全体の進め方が決まります。

なぜ複数の手法が存在するのか

プロジェクトごとに、要件の確定度、関係者の人数、納期までの期間が異なるため、1つの進め方では対応できないからです。

要件が開始時点で100%確定している案件では、最初に全工程と日程を決めて進めた方が手戻りが少なくなりますが、開始時点で要件が60%程度しか固まっていない案件では、1週間〜2週間ごとに作業と確認を繰り返さないと仕様変更に対応できません。

また、関係者が5人程度の案件と50人規模の案件では、進捗確認の頻度や意思決定の方法を変えないと情報共有が遅れます。
このように、要件の確定度、人数、期間という条件が変わると最適な進め方が変わるため、複数の手法が存在します。

代表的なプロジェクトマネジメントにおける「手法」一覧(特徴+向いているケース)

プロジェクトマネジメントには、進め方の考え方が異なる複数の手法があり、それぞれ「計画を最初に固めて順番に進めるのか」「短い期間で繰り返しながら改善するのか」「作業の流れを可視化して効率を上げるのか」など、管理の軸が明確に異なります。

例えば、要件が最初から確定している案件では計画重視の手法が適しており、仕様変更が頻繁に発生する案件では柔軟に修正できる手法が必要になります。

このように、プロジェクトの期間、変更頻度、関係者の人数といった条件によって最適な手法は変わるため、それぞれの特徴と向いているケースを具体的に理解しておくことが重要です。ここでは、代表的な手法ごとに特徴と適用すべきプロジェクトの条件を整理していきます。

ウォーターフォール(特徴+向いているプロジェクト)

ウォーターフォールは、要件定義→設計→開発→テスト→リリースの順に工程を一度ずつ進め、前の工程が完了しない限り次に進まない進め方です。

各工程の開始前に成果物を確定させ、レビュー承認を受けてから次工程に進むため、途中で仕様を変更すると設計書やテスト仕様をすべて修正する必要があり、修正工数が当初見積の1.5倍〜2倍に増えます。

そのため、開始時点で要件が100%確定しており、納期が3か月〜12か月単位で固定されているプロジェクトに向いており、途中変更が発生しない前提でスケジュールを引くことで、工程ごとの遅延を日単位で管理できます。

アジャイル(特徴+向いているプロジェクト)

アジャイルは、1週間〜2週間の短い期間で「設計・開発・テスト」を1セットとして繰り返し、各サイクルの終了時に成果物を確認しながら仕様を調整していく進め方です。

最初に全体の要件を100%確定させるのではなく、開始時点では60%程度の要件をもとに着手し、サイクルごとに優先順位を見直して次に作る機能を決めます。

このため、途中で仕様変更が発生しても、次の1〜2週間のサイクルで内容を入れ替えるだけで対応でき、修正範囲を直近の作業単位に限定できます。その結果、要件が固定されていない状態で開始するプロジェクトや、リリースまでに複数回の機能追加や改善を行う必要がある案件に向いています。

スクラム(特徴+向いているプロジェクト)

スクラムは、3人〜9人のチームで1〜2週間のスプリントを区切りとして作業を進め、スプリント開始時に実施するタスクを確定し、終了時に完了した成果物を確認する進め方です。

作業はプロダクトバックログから優先度順に選び、スプリント期間中は途中でタスクの追加や変更を行わないため、期間内の作業量と完了基準を固定できます。

また、毎日15分のデイリースクラムで進捗と遅延要因を共有し、問題が発生した場合はその日のうちに対応方針を決めるため、遅延を1日単位で把握できます。

このため、要件が開始時点で確定しておらず、優先順位を週単位で見直しながら進める必要があるプロジェクトに向いています。

カンバン(特徴+向いているプロジェクト)

カンバンは、タスクを「未着手・対応中・完了」などの列に分けたボード上で管理し、対応中のタスク数を1人あたり2件〜3件までに制限しながら、空きが出たタイミングで次のタスクを引き取る進め方です。

各タスクは開始日時と完了日時を記録し、1件あたりの処理日数を日単位で把握するため、滞留している工程をその場で特定できます。また、タスクの優先順位はボードの上から順に並べ、完了した分だけ次のタスクを追加するため、計画を週単位で固定せずに運用できます。

このため、日々タスクが発生し、対応件数が変動するプロジェクトや、納期よりも処理スピードと滞留の削減を優先する案件に向いています。

リーン(特徴+向いているプロジェクト)

リーンは、各工程で発生する作業時間と待機時間を計測し、1件あたりの処理時間から無駄な工程を削減していく進め方です。

具体的には、1タスクごとに開始時刻と完了時刻を記録し、実作業時間と待機時間を分けて集計し、待機時間が全体の30%を超えている工程を優先的に見直します。

不要な承認工程や重複作業を削減することで、1件あたりのリードタイムを日単位で短縮できます。
このため、同じ種類の作業を継続的に処理し、1件あたりの処理時間を短くすることで全体の処理件数を増やす必要があるプロジェクトに向いています。

CPM・PERT(特徴+向いているプロジェクト)

CPM・PERTは、各タスクの所要日数と前後関係を設定し、全体の作業をネットワーク図でつないで最長経路を算出し、その経路上のタスクを基準にスケジュールを管理する進め方です。

各タスクには「最短日数・最長日数・最も可能性の高い日数」を設定し、PERTではこれら3つの値から期待日数を算出し、CPMでは最長経路上のタスクに遅延が発生した時点でプロジェクト全体の納期が同じ日数だけ遅れると判断します。

このため、全体の納期が6か月以上の中長期プロジェクトで、タスク数が50件以上に分かれており、どの工程が遅れると全体に影響するかを事前に日単位で把握する必要がある案件に向いています。

プロジェクトマネジメントにおける「手法」の使い分け

プロジェクトマネジメントにおける「手法」は、どれが優れているかではなく、「どの条件のプロジェクトに当てはめるか」で選び方が決まります。

実際には、要件がどの程度固まっているか、関係者が何人いるか、納期までの期間が何週間・何か月かといった前提条件によって、適した進め方は大きく変わります。

例えば、仕様変更が週単位で発生する案件と、契約時点で内容が確定している案件では、同じ手法を使うと進行効率や品質に差が出ます。そのため、判断軸を明確にしたうえで手法を選ぶ必要があります。

ここでは、不確実性、規模、スピードと品質という3つの観点から、具体的な使い分けの基準を整理していきます。

不確実性で選ぶ

要件が開始時点で何%確定しているかで手法を選びます。要件が90%以上固まっている場合は、最初に全工程と日程を確定し、工程ごとに完了判定を行う進め方を選ぶことで、手戻りを最小限に抑えられます。

一方で、開始時点で要件が50%〜70%程度しか確定していない場合は、1週間〜2週間単位で作業と確認を繰り返し、その都度優先順位を見直す進め方を選ばないと、途中で仕様変更が発生した際に修正範囲が広がり、全体の作業量が当初見積の1.5倍以上に増えます。

このように、要件確定度の数値によって最適な進め方が変わるため、不確実性の高さで手法を選びます。

規模で選ぶ

関係者の人数とタスク数で手法を選びます。

関係者が30人以上、タスクが100件以上に分かれる場合は、工程ごとに成果物と完了条件を固定し、進捗を週単位で管理する進め方にしないと、担当者間の認識ズレが発生しやすくなります。

一方で、関係者が3人〜10人、タスクが20件〜50件程度の規模であれば、1週間〜2週間単位で作業と確認を繰り返し、状況に応じてタスクの優先順位を入れ替える進め方の方が調整コストを抑えられます。

このように、人数とタスク数が増えるほど進め方を固定し、小規模になるほど柔軟に変更できる手法を選びます。

スピード・品質で選ぶ

納期までの日数と品質基準の厳しさで手法を選びます。納期までが1か月〜3か月と短く、途中で機能追加や修正が発生する前提の場合は、1週間〜2週間単位で成果物を出しながら優先順位を入れ替える進め方を選ぶことで、リリースまでのスピードを維持できます。

一方で、納期が6か月以上で、テスト工程で不具合発生率を1%未満に抑えるなど品質基準が明確に定められている場合は、設計からテストまでの工程を順番に進め、各工程でレビューと承認を行う進め方を選ばないと、後工程での修正工数が増えます。

このように、納期の短さを優先するか、品質基準の達成を優先するかによって、適した進め方が変わります。

まとめ

プロジェクトマネジメントにおける「手法」は、「どの順番で進めるか」「どの単位で確認するか」「どのタイミングで判断するか」を決める進め方の違いです。

そして、その手法は1つではなく、要件の確定度、関係者の人数、納期や品質基準によって最適な形が変わるため、複数存在しています。代表的な手法として、要件が100%固まっている場合に適したウォーターフォール、1〜2週間単位で調整するアジャイルやスクラム、タスクの流れを可視化するカンバン、処理時間を短縮するリーン、全体の遅延影響を把握するCPM・PERTがあります。

これらはどれが優れているかではなく、条件に応じて使い分けることが重要です。

要件が90%以上固まっているか、50%程度なのか、関係者が10人未満か30人以上か、納期が1〜3か月か6か月以上かといった数値条件によって、選ぶべき手法は変わります。

最適な手法を選ぶことで、手戻りの発生を抑え、遅延を日単位で管理できるようになり、プロジェクト全体の成功確率を高めることができます。

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