プロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメントにおける準委任契約とは?請負契約との違い

はじめに

「プロジェクトマネジメントでよく聞く準委任契約とは、どのような契約なの?」
「請負契約とは何が違うのか分からず、自分のプロジェクトではどちらが使われているのか判断できない」と感じていませんか。

PMやPMOとしてプロジェクトに関わったり、契約書の内容を確認したりする中で、「成果物に責任を負うのか」「進捗管理や報告はどこまで求められるのか」が曖昧なままでは、責任範囲を正しく理解できず、不安を感じることもあるでしょう。

この記事では、プロジェクトマネジメントにおける準委任契約の基本的な考え方や請負契約との違い、PMが契約内容を確認するときに押さえておきたいポイントを順を追って説明していきます。

プロジェクトマネジメントにおける準委任契約とは?

準委任契約を理解するには、「何を約束する契約なのか」を最初に整理することが大切です。

ここでは、準委任契約の基本的な考え方と報酬の仕組み、プロジェクトマネジメントにおいてPMが管理すべきポイントを順番に解説します。

準委任契約と請負契約以外にも契約形態の違いを整理したい場合は、こちらの記事も参考になります。
▶プロジェクトマネジメントで使われる契約形態の種類と違いとは? 

準委任契約は成果物完成義務がない契約

準委任契約では、契約で定めた業務を適切に遂行することが求められますが、成果物を完成させる義務はありません。

そのため、プロジェクトが予定どおり完了しなかった場合でも、進捗管理や課題管理、関係者との調整などを契約内容に沿って適切に行っていれば、成果物が完成していないことだけを理由に契約上の義務を果たしていないとは判断されません。

労務や業務遂行に対して報酬が発生する

準委任契約では、成果物の完成ではなく、契約で定められた業務を遂行したことに対して報酬が支払われます。

プロジェクトマネジメントでは、進捗管理や課題管理、会議運営、関係者との調整などが報酬の対象です。

そのため、成果物の完成状況ではなく、契約内容に沿って業務を適切に遂行したかどうかが報酬発生の基準になります。

PMが管理するのは成果物ではなく工数と進め方

準委任契約におけるPMは、成果物そのものではなく、契約で定められた業務が計画どおり進むように工数や進め方を管理します。

進捗を確認し、課題が発生した場合は対応方針を調整しながら、契約範囲内で業務を進めることが役割です。

成果物の完成を保証するのではなく、契約内容に沿って業務を適切に管理することが求められます。

PMが契約形態ごとに何を管理するのか、役割そのものを整理したい方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ プロジェクトマネージャー(PM)の仕事内容とは?役割・必要なスキルを解説 

【比較表】準委任契約と請負契約の違い

比較項目準委任契約請負契約
成果物責任成果物の完成義務はない。契約で定めた業務を適切に遂行することが求められる。成果物を完成させて引き渡す義務がある。
報酬が発生する条件業務を遂行したことに対して報酬が支払われる。成果物を完成・納品し、検収されることで報酬が発生する。
仕様変更・追加要望への対応契約範囲内であれば業務として対応する。契約範囲を超える場合は契約変更が必要。成果物の仕様変更は納期や費用に影響するため、契約内容の見直しが必要になることが多い。
PMの管理方法工数や進捗、課題、業務の進め方を管理する。成果物の品質・納期・完成までの工程を管理する。

準委任契約と請負契約は、どちらもプロジェクトで利用される契約ですが、成果に対する責任や報酬が発生する条件、仕様変更時の考え方などに違いがあります。

ここでは、成果物責任や報酬条件、仕様変更への対応、PMの管理方法という4つの観点から、両者の違いを比較して解説します。

成果物責任

請負契約では、契約で定めた成果物を完成させる責任があります。

一方、準委任契約では、契約で定めた業務を適切に遂行することが求められ、成果物を完成させる義務はありません。

そのため、両者の大きな違いは「成果物の完成責任があるかどうか」にあります。

報酬が発生する条件

請負契約では、成果物を完成させて引き渡すことが報酬発生の条件になります。

一方、準委任契約では、契約内容に沿って業務を遂行したことに対して報酬が支払われます。

そのため、請負契約は成果物、準委任契約は業務の遂行が報酬の基準になります。

仕様変更・追加要望への対応

請負契約では、仕様変更や追加要望が発生すると、契約内容や作業範囲の見直しが必要になることがあります。

一方、準委任契約では、契約範囲内であれば進め方を調整しながら対応します。

ただし、契約範囲を超える追加要望は、契約内容や工数を見直したうえで契約変更が必要です。

PMの管理方法

請負契約では、PMは成果物を完成させるために、品質や納期を中心に管理します。

一方、準委任契約では、契約内容に沿って業務を進めるために、進捗や工数、課題への対応を管理します。

契約形態によって、PMが重視する管理対象も異なります。

準委任契約ではPMの役割がどう変わる?

準委任契約では、PMに求められる管理の考え方も請負契約とは異なります。

成果物の完成だけを目標にするのではなく、業務の進め方や稼働状況を適切に管理しながら、発注者との認識を継続的に合わせることが重要です。

ここでは、準委任契約でPMが特に意識すべき管理ポイントを順番に解説します。

稼働状況と進捗を見える化する

準委任契約では、PMは誰がどの業務に何時間対応しているかや、作業が予定どおり進んでいるかを継続的に確認します。

遅れや工数の増加があれば早めに共有し、対応方針を調整することで、契約内容に沿った業務を進めやすくなります。

顧客の期待値を調整し続ける

準委任契約では、PMは契約範囲や対応内容を継続的に説明し、顧客との認識を合わせることが重要です。

追加要望や仕様変更があった場合は、契約範囲で対応できる内容を整理し、必要に応じて契約変更や工数の見直しを提案します。

追加作業の範囲を明確にする

準委任契約では、追加作業の依頼があった際に、契約範囲内か範囲外かを確認し、対応範囲を明確にします。

契約範囲を超える場合は、追加工数や対応内容を整理し、契約変更や追加見積もりを行ってから作業を進めることが大切です。

責任範囲を共有して認識のズレを防ぐ

準委任契約では、契約開始時だけでなく、プロジェクトの進行に合わせて責任範囲を共有することが重要です。

対応する業務や顧客が担当する事項を定例会議や進捗報告で確認することで、認識のズレによるトラブルを防ぎやすくなります。

準委任契約ではPMは何を管理する?

準委任契約では、PMが管理すべき対象は請負契約とは異なります。

成果物の完成だけを追うのではなく、工数や業務の進め方を管理しながら、顧客との認識のずれや追加作業の発生を防ぐことが重要です。

ここでは、準委任契約でPMが重点的に管理すべきポイントを解説します。

成果物ではなく工数

準委任契約では、PMは成果物の完成状況ではなく、契約で定められた業務にどれだけの工数を使い、予定どおりに進んでいるかを管理します。

工数が想定より増えた場合は原因を確認し、対応内容や優先順位を調整しながら契約範囲内で業務を進めます。

顧客との認識合わせを継続する

準委任契約では、PMは契約内容や業務範囲、進捗状況を定期的に共有し、顧客との認識を合わせることが大切です。

定例会議や進捗報告を通じて現在の対応状況や今後の予定を確認することで、認識のズレによるトラブルを防ぎやすくなります。

変更要求の範囲を明確にする

準委任契約では、PMは変更要求が契約範囲内で対応できる内容か、追加契約が必要な内容かを確認し、対応範囲を明確にします。

契約範囲を超える場合は、追加工数や対応内容を整理したうえで契約変更を行い、想定外の作業が発生しないよう管理します。

準委任契約のプロジェクトで起こりやすいトラブル

準委任契約では、契約内容を正しく理解していても、発注者と受託者の認識にずれが生じることでトラブルにつながることがあります。

ここでは、準委任契約で起こりやすい代表的なトラブルを解説します。

顧客が成果物完成を期待してしまう

準委任契約では成果物の完成義務がないため、顧客が請負契約と同じように成果物の完成を期待すると、契約内容との認識にズレが生じることがあります。

その結果、契約範囲を超えた対応や責任を求められ、トラブルにつながることがあります。

追加要望が増えて工数管理が難しくなる

準委任契約では、契約期間中に追加要望が増えると、当初予定していた工数では対応できなくなることがあります。

契約範囲を確認せずに対応を続けると、工数や進捗の管理が難しくなり、予定どおりに業務を進めにくくなります。

責任範囲が曖昧になりトラブルになる

準委任契約では、対応する業務や責任範囲が明確でないと、顧客と受託者の認識にズレが生じることがあります。

その結果、「誰が対応するのか」「どこまでが契約範囲なのか」が曖昧になり、トラブルにつながることがあります。

準委任契約のトラブルを防ぐためにPMが意識したいこと

準委任契約のトラブルは、契約内容や運用ルールを事前に整理し、関係者の認識を継続的に合わせることで防ぎやすくなります。

ここでは、準委任契約でPMが意識したいポイントを解説します。

契約開始時に責任範囲を明文化する

準委任契約では、対応する業務、対応しない業務、顧客が担当する業務を契約書や業務範囲に明記しておくことが重要です。

責任範囲を最初に明確にすることで、「誰が対応するのか」という認識のズレを防ぎやすくなります。

定例会議で進捗と課題を共有する

準委任契約では、PMは定例会議で進捗状況や課題、今後の対応内容を継続的に共有することが大切です。

状況を定期的に確認することで認識のズレを防ぎ、問題が大きくなる前に対応しやすくなります。

変更管理のルールを事前に決めておく

準委任契約では、変更要求があった場合の確認方法や承認手順、契約変更が必要となる条件を事前に決めておくことが重要です。

ルールを明確にしておくことで、契約範囲を判断しやすくなり、工数や責任範囲を巡るトラブルを防ぎやすくなります。

まとめ

準委任契約は、成果物の完成ではなく、契約で定められた業務を適切に遂行することを目的とした契約です。

そのため、請負契約とは責任の範囲や報酬が発生する条件が異なり、契約内容を正しく理解したうえでプロジェクトを進めることが大切です。

また、準委任契約では、工数や進捗、契約範囲を継続的に管理し、顧客との認識を合わせながら進めることが欠かせません。

追加要望や仕様変更があった場合も、契約範囲を確認しながら適切に対応することで、認識のズレやトラブルを防ぎやすくなります。

準委任契約の特徴を理解し、契約内容に沿ったプロジェクトマネジメントを実践することで、顧客との信頼関係を築きながら、より円滑にプロジェクトを進められるでしょう。

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