目次
はじめに
目的
本記事は、伝える力を楽しみながら鍛えるためのトレーニングゲームを紹介します。堅苦しい講義ではなく、ゲームを通して練習することで、実務や教育の場で使える実践力を身につけられます。
なぜゲームか
ゲームは緊張をやわらげ、失敗を試行と捉えやすくします。短時間で繰り返し取り組めるため、説明力や聴く力、フィードバックの受け取り方が自然と向上します。
本記事で得られること
- ビジネスや教育に使える具体的なゲーム例
- 図形伝達や伝言ゲームの実践方法
- リモート環境での応用法
- 子どもから大人まで使える工夫と、効果的なトレーニングのポイント
読み方のコツ
まずは気軽にひとつ試してください。参加者の人数や目的に合わせてルールを簡単に変え、実施後は必ず振り返りを行いましょう。短時間の繰り返しで確実に力がつきます。
伝える力とは?なぜ重要なのか
はじめに
この章では「伝える力」が何か、その重要性を具体的に説明します。仕事や日常で起きる誤解やミスを減らすために、誰でも意識して鍛えられる力です。
伝える力の定義
伝える力とは、自分の考えや情報を相手に正確で分かりやすく伝える能力です。言葉だけでなく、順序・目的・背景を整理して伝えることも含みます。具体例として、報告書を簡潔にまとめる、口頭でポイントを絞って説明する、が挙げられます。
ビジネスでの重要性
職場では報連相、会議、プレゼン、顧客対応など、多くの場面で使います。伝達が明確だと意思決定が早くなり、業務の重複や手戻りを減らせます。チームの信頼関係も築きやすくなります。
伝わらないと起きる問題
情報が不十分だと誤解が生まれ、ミスや納期遅延、コスト増につながります。例えば指示が曖昧で作業がやり直しになると、時間と人手を無駄にします。
トレーニングの必要性
伝える力は先天的なものだけでなく、練習で改善できます。ゲームやワークを通して、説明の順序や要点の絞り方を学べば、実務での効果をすぐに感じられます。
次に向けて
以降の章では、具体的なビジネスゲームやワークを紹介し、実践的に鍛える方法を示します。
伝える力を鍛えるビジネスゲーム3選
概要
伝える力を高めるには、ゲーム形式での訓練が効果的です。遊びながら失敗しやすく、改善点が見つかりやすいため実務にもつながります。ここでは代表的な3つのゲームを紹介します。
1. 図形伝達ゲーム「グラコミ」
- 2人1組で行います。片方が図形を見て言葉だけで説明し、もう片方が積み木や図形ブロックで再現します。
- ポイント:具体的な言い換えや順序立てた説明を練習できます。たとえば「左下に長方形」ではなく「手前の角から時計回りで…」と説明します。
2. 地図作成ゲーム「ジグソータウン」
- 複数人で情報を分担し、口頭のみで地図を作ります。1人がランドマークを説明、別の人が道路や距離を伝えます。
- ポイント:聞き手が補足質問を適切に使えるか、情報の粒度を揃えられるかを確認できます。
3. 野球のポジション当てゲーム
- 言葉だけでポジションや役割を説明して他のメンバーが当てます。専門用語を使わずに伝えられるかが試されます。
- ポイント:相手の知識レベルを想定して言葉を選ぶ練習になります。
実践の進め方と注意点
1回は短時間(10〜15分)で実施し、振り返りで良かった点と改善点を共有します。フィードバックは具体的に行い、言い換えや補助質問の活用を促してください。
図形伝達ワークの実践方法
準備
4〜5人のグループを作ります。用意するものは紙、鉛筆、消しゴム、タイマーです。発信者は紙に隠した正解の図形(複数の線や円、角度があるもの)を見ます。受信者はその図形を見ずに描きます。
役割とルール
- 発信者:口頭で図形を説明します。図を見せたり描いたりしてはいけません。具体的な長さや角度の数字は使わず、比喩や順序で伝える練習が効果的です。
- 受信者:聞いた内容だけで描きます。分からない点は質問できますが、発信者はその場で答えます。質問回数に制限を設けると難易度が上がります。
- タイムリミット:1ラウンドは通常3〜7分程度がおすすめです。
進行手順
- 発信者を決め、図形を見せます(30秒程度)。
- 発信者が説明を開始。受信者は聞きながら描きます(タイマー開始)。
- 説明後に質問タイム(30〜60秒)。質問は要点を確認する目的で行います。
- 完成後、正解の図形を公開して比較します。得点をつけてチーム対抗にします。
難易度と制限時間の調整
図形の複雑さや質問回数、制限時間を変えて調整します。初心者は円や正方形中心、上級者は斜め線や重なりを含む図形にします。
評価と振り返り
出来上がりの近さだけでなく、説明の分かりやすさ、質問の質、聞き手の描き直し回数も評価します。ラウンド後に互いの説明で良かった点と改善点を具体的に共有し、次回に生かします。
応用例
社内のコミュニケーション研修やワークショップ、学校の授業でも実施しやすいです。リモートでは画面共有やホワイトボード機能を使って同様に行えます。
伝言ゲームの応用と効果
ゲームの基本と流れ
伝言ゲームはチームが一列になり、最初の人が口頭で短い情報を伝えます。順に一人ずつ次の人へ伝え、最後の人が聞き取った内容を再現します。時間は短めに設定すると集中力が高まります。
応用例:図形を言葉で伝える
図形や配置を見せる人がいて、図を見ない人に言葉だけで説明します。描く側は詳細を省き要点を伝える練習になり、聞く側は要約力と想像力を鍛えられます。
得られる効果
- 情報共有の正確さが体感できます。
- 要約力と情報の優先順位付けが身につきます。
- 認識のズレを可視化でき、どこで誤解が起きやすいか分かります。
振り返りの進め方
最後に差異を比較し、どの伝達で変化が生じたかを指摘します。原因を全員で考え、改善策(言い換えの練習や確認の習慣)を決めます。
実務での活かし方
会議の議事録作成、引き継ぎ、顧客対応などで活用できます。伝える側は要点を絞り、聞く側は確認質問を習慣にすると効果が続きます。
リモート環境でもできる伝える力ゲーム
概要
リモート研修でも伝える力は十分に鍛えられます。オンライン会議ツール(Zoom、Teamsなど)とチャットを活用すると、図形伝達や伝言ゲーム、書き取り系ゲームを音声・文字で実施できます。
準備(ツールと役割)
- 画面共有とブレイクアウトルームが使えると便利です。
- 役割は「送信者」「受信者」「観察者」に分け、観察者がフィードバックを記録します。
図形伝達のオンライン実施
送信者は自分だけ見える図を画面共有せずに説明します。受信者は描画ツール(白板や紙をカメラで映す)で再現します。時間制限を設けると集中力が上がります。
伝言ゲームのオンライン実施
グループを順に回して一文を音声で伝え、最後の人の結果を原文と比較します。ノイズを想定した条件(マイク遠隔、意図的に省略語)を入れると実践的です。
チャット形式のコミュニケーションゲーム
音声が使えない場面を想定し、チャットだけで指示を出すゲームを行います。絵文字や改行を工夫して、分かりやすさを評価します。
評価とフィードバック
観察者は「何が伝わったか」「どこで誤解が生じたか」を具体的に記録します。短い振り返り時間を設け、改善策を全員で共有します。
注意点
通信状況やマイク品質で結果が左右されます。事前に回線や機材チェックを行い、録画やチャットログを残して検証に使ってください。
子どもから大人まで活用できるゲーム例
ゲーム一覧
- 伝言ゲーム(レベル別)
- 子ども: ひらがな短文やイラスト付き。文字が苦手な子は絵で伝える。時間は3分以内。
- 大人: 業務シーンの短い指示や要件。曖昧さを意識する課題を入れる。
- ジェスチャーゲーム
- 感情や職業をジェスチャーで表現。表現力と読み取り力を鍛える。
- 図形伝達ゲーム
- 観察→説明→再現の順で進行。難易度は図形の複雑さで調整。
- ロールプレイ
- 子ども: 学校でのやり取り。大人: クレーム対応やプレゼン練習。
実施のコツ
- グループは3〜8人、1回5〜15分。
- 目的を明確に: 傾聴力・表現力・協調性どれを重視するか決める。
- フィードバックは具体的に: 何が伝わらなかったか、どう改善するかを示す。
お題例(すぐ使える)
- 子ども: 「海の生き物」「好きな食べ物を紹介」
- 大人: 「会議の報告を30秒で要約」「顧客からの要望を正確に伝える」
これらは年齢や目的に合わせて工夫すれば、教育現場から職場研修まで幅広く活用できます。
ゲームを活用した効果的なトレーニングのポイント
目的に合わせたゲーム選び
まず目的を明確にします。短時間で場を和ませたいなら伝言ゲーム、説明力や観察力を伸ばしたいなら図形伝達ワーク、説得力や交渉力を高めたいならロールプレイを選びます。目的がぶれないと効果が落ちます。
ルール説明と振り返りを重視する
ルールは簡潔に、実演を交えて説明します。行動例を見せると理解が早まります。ゲーム後は必ず振り返りの時間を設け、次の問いを投げかけます:何がうまくいったか、どこで誤解が生まれたか、次回どう改善するか。具体例を挙げてフィードバックすると学びが深まります。
参加者の年齢や特性に応じて調整
子どもは短く分かりやすい指示、大人は難易度や制約を増やして応用力を鍛えます。視覚や聴覚の違いがある参加者には道具や説明方法を工夫して平等に参加できるようにします。
実施の流れと時間配分(目安)
1) 目的の共有(3分) 2) ルール説明と実演(5分) 3) ゲーム実施(10〜20分) 4) 振り返り(10〜15分)。時間は参加人数や目的で調整します。
注意点と改善例
役割を固定せず回す、勝敗より学びを優先する、否定的な指摘は避け具体的な改善案を出す。失敗を学びに変える雰囲気を作ると参加者が積極的に取り組みます。