目次
はじめに
本書の目的
本資料は、会社で行うプレゼンテーションを体系的に学び、実務で使える形にすることを目的としています。会社紹介や提案、社内報告など、場面に応じた作り方と進め方を分かりやすく解説します。
想定する読者
- 初めて会社プレゼンを作る方
- プレゼンはするが効果に不安がある方
- 資料作成を効率化したい方
具体例を交え、専門用語は最小限にして説明します。
本書の構成と読み方
第2章では基本の構成と作り方を、第3章で伝わる資料作成のコツを紹介します。第4章は実践テクニック、第5章はAIツールの活用例、第6章でお手本となる事例を示します。必要な章だけを参照しても使えるように構成しました。
この章で押さえてほしいこと
- プレゼンは伝える「道具」ではなく、相手の行動を促す「手段」です。
- 準備と構成が成果に直結します。
- 本書を通じて、実務で使える技能を身につけられます。
以降の章では、具体的なテンプレートや実践例を丁寧に紹介します。
会社プレゼンの基本構成と作り方
プレゼンの種類と目的
会社プレゼンは主に「会社紹介(対外)」と「社内提案(対内)」に分かれます。対外は企業理解と信頼獲得、対内は意思決定と業務推進が目的です。目的を最初に定めると構成がぶれません。
会社紹介プレゼンの基本構成(例)
- 表紙:社名、タイトル、日付、発表者名
- 会社概要:創業年、従業員数、拠点、主要指標(売上等)
- ミッション・ビジョン・バリュー:短く要点を示す
- 事業概要:事業ごとの説明と図表
- 強み・実績:数値や導入事例で裏付け
- 会社の想い:代表メッセージやカルチャー
- 問い合わせ先:連絡先と担当者
スライド数は8〜12枚、発表時間は10〜20分を目安にします。図表と実績を必ず入れて信頼性を高めます。
社内プレゼンの基本構成(例)
- 表紙
- サマリー(結論):最初に結論を示す
- 現状・課題:事実を簡潔に提示
- 対策案・提案:複数案と利点・留意点
- 実行スケジュール:担当と期限を明示
- 詳細データ・補足:裏付け資料は別スライド
社内は意思決定が目的なので、結論→根拠→実行計画の流れを重視します。
使えるフレームワーク
- PREP法:Point(結論)→Reason(理由)→Example(事例)→Point(再提示)。短時間で説得力を出せます。例:結論「Aを導入します」、理由「コスト削減になる」、事例「B社で20%削減」、結論を繰り返す。
- SDS法(Summary→Detail→Summary):要点→詳細→要点で理解を定着させます。
実際の作り方のコツ
- 目的を一文にする(判断基準になる)
- 重要メッセージは3つ以内に絞る
- 数字や図で裏付ける(事実優先)
- 最後にアクションを明確にする(次の一手)
上記を意識すると、受け手に伝わる会社プレゼンを効率よく作れます。
伝わるプレゼン資料作成のコツ
概要
聞き手の心に残る資料は、構成・物語・デザイン・根拠の四つを意識して作ります。ここでは実践しやすいコツを具体例とともに紹介します。
Describe‑Express‑Suggest‑Choose(DESC)法
- Describe(現状): 問題や状況を簡潔に示します。例:「市場シェアが3年で5%下がった」
- Express(影響): そのままにすると何が起きるかを伝えます。例:「売上に直結し、採用にも影響します」
- Suggest(提案): 解決策を具体的に提示します。例:「新商品投入と販売チャネル強化」
- Choose(選択): 複数案がある場合は推奨案と理由を示します。例:「短期はプロモ、長期は商品開発を優先」
ストーリーテリングの使い方
会社の歴史や成功事例は、起→承→転→結の流れで語ると印象に残ります。数字や顧客の声を入れると信頼感が増します。短いエピソードを1〜2件入れるだけで効果的です。
聞き手に合わせる
聞き手の立場(経営層・現場・技術者)でスライドを作り分けます。経営層向けは結論重視、技術者向けは詳細データを別資料で用意します。
デザインの基本
- 1スライド1メッセージ
- 見出しを太くし、フォントは読みやすく(最低24pt推奨)
- 色は2〜3色に絞る
- 図表は要点に注釈を加える
根拠を明示する
主張にはデータや出典を必ず付けます。仮説と事実を分けて示すと説得力が高まります。
最終チェックリスト
- 目的と主要メッセージが明確か
- スライドを声に出して読み、時間を測ったか
- 想定質問と答えを用意したか
- 配布資料や補足説明は別ファイルに整理したか
この章のコツを一つずつ取り入れると、伝わる資料が作りやすくなります。
会社プレゼンを成功させる実践テクニック
準備段階:目的と時間配分を決める
プレゼンの目的を一文で書き、各パートにかける時間を決めます。導入→本題→事例→結論→質疑の順で区切り、目安をスライド横に記してリハーサルで確認します。
聞き手を惹きつける話し方
原稿やスライドを読み上げ過ぎないでください。要点を箇条で覚え、聞き手の目を見て話します。相手の反応(表情や視線)を見て、説明を短くしたり補足を加えたりします。
声のトーンとジェスチャー
声は抑揚を付けて、重要な部分でややゆっくり話します。短い間(ポーズ)を入れると伝わりやすくなります。ジェスチャーは手のひらを開くなど自然に使い、立ち位置を時々変えて動きをつけます。
インタラクティブな要素を取り入れる
最初に簡単な質問や挙手で参加を促します。途中でワンクリック投票やクイズを挟むと集中が戻ります。質疑は時間を区切り、事前に想定問答を準備します。
緊張対策と当日のチェックリスト
深呼吸や軽いストレッチで落ち着きを作ります。会場の機材確認、スライドのバックアップ、配布資料の有無、水を用意することをチェックしてください。短めのリハーサルを直前に一度行うと安心感が増します。
AIツールを活用したプレゼン資料作成の最新動向
最新の潮流
AIはテーマやキーワードを入力するだけで、構成案やスライド原稿を自動生成できます。デザインテンプレートや自動レイアウト、校正機能を組み合わせて短時間で見映えの良い資料を作成できる点が広がっています。特に反復作業の自動化で効率が大きく向上しています。
主な機能と活用例
- 構成案自動生成:目的に合わせた章立てや流れを提案します。例えば「新製品説明」「採用説明会」などテーマ別に出力可能です。
- スライド原稿作成:箇条書きやナレーション原稿まで自動で作成できます。
- デザインテンプレート:配色やレイアウトを自動適用し、統一感を出せます。
- 校正・表現改善:文章の読みやすさや敬語の修正を支援します。
日本語対応と国内ツールの特徴
日本語対応が進み、自然な表現や敬語対応が得意なツールが増えています。国内企業向けに社内テンプレートや業界用語対応を備えた製品もあります。ローカライズされた機能が使いやすさに直結します。
ツール選定のチェックポイント
- 無料プランの有無:試して使い勝手を確認できます。
- 価格:利用頻度に応じた料金体系を比較しましょう。
- 日本語対応:敬語や業界用語の扱いを確認します。
- 対応資料タイプ:スライド、提案書、パンフレットなど作成可能か確認します。
実践的な使い方のコツ
短い具体的な指示(目的、対象、時間)を入れると精度が上がります。出力をそのまま使わず、必ず自分で手直しして社内ルールや事実確認を行ってください。
注意点
自動生成は効率化に役立ちますが、誤情報や表現のずれが混入する可能性があります。著作権や社内の機密情報の取り扱いに注意し、最終チェックを徹底してください。
有名企業のプレゼン資料・お手本例
プレゼン作成で参考にしたいのは、実際に多くの人を動かした有名企業のスライドです。構成やデザイン、メッセージの見せ方に学ぶ点が多く、特に海外企業は「シンプルでインパクト重視」の手法が分かりやすいお手本になります。
参考になる企業と学び
- Apple:視覚を優先し、短いフレーズで製品の魅力を伝えます。スライドごとに一つのメッセージに絞る点が参考になります。
- Airbnb(初期のピッチデッキ):問題→解決→市場→実績の順で簡潔に示しています。投資家向けでも構成が明快です。
- Dropbox:プロダクトの動作をわかりやすく図で示し、言葉を最小限にします。デモやスクリーンショットの活用が効果的です。
- Google/Tesla:データを見やすく図表化し、数字で信頼感を出しています。配色と余白の使い方が学べます。
デザインと構成の共通点
1スライド1メッセージ、強いビジュアル、読みやすいフォント、重要情報は大きく表示。色数を絞り、視線の流れを意識します。
実践ポイント
公開スライドをダウンロードして、構成を模写してみてください。自社の内容に置き換えながら、見せ方の良い点を一つずつ取り入れると実力が上がります。
まとめ:会社プレゼンで押さえるべき3つのポイント
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ターゲット・目的・時間配分を明確にする
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何のために話すか(意思決定を促す、情報共有するなど)を最初に定めます。誰が聞き手かを想定し、期待される行動を逆算して内容を組み立てます。時間配分はスライドごとに目安を決め、リハーサルで実測することが大切です。
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ストーリー性と根拠を持った資料で差別化する
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主張を一つに絞り、それを支える根拠(データ・事例・顧客の声)を用意します。導入で興味を引き、本論で根拠を示し、結論で次の一手を提示する流れが有効です。図や箇条書きで視覚化すると伝わりやすくなります。
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AIツールを活用して効率的かつ高品質な資料作成を実現する
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AIはアイデア出し、文章の整形、図表のレイアウト作成などで役立ちます。ただし出力は必ず人が確認して、企業のトーンや事実と齟齬がないかを整えてください。時間短縮と品質向上の両立が可能です。
最後に
- 上記の3点を意識して準備と練習を重ねると、ビジネスの場で成果を出せるプレゼンになります。短く明確に伝える習慣をつけてください。