目次
はじめに
概要
本調査は、日本におけるリーダーシップの現状、課題、育成方法を複数の視点から整理したものです。主に次の三点に焦点を当てます:グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2025の日本特集、介護分野のリーダー育成イベント(KAIGO LEADERS 2025)、そして実践的なリーダーシップ定義の提示(石毛博行事務総長の視点)。
本書の目的
読者が現場で使える知見を得られることを目的にしています。調査結果は、アンケートやインタビュー、事例分析を組み合わせて導出しました。具体例を挙げながら、政策立案者、現場リーダー、人材育成担当者それぞれに役立つ示唆を提供します。
読み方のポイント
- 各章は独立して読めます。時間のない方は関心ある章からお読みください。
- 専門用語は最小限にとどめ、必要な場合は具体例で補足します。
- 実務に移しやすい提言を優先しました。例えば、リーダー育成プログラムの小さな改善案や、職場内のコミュニケーション方法の具体例などです。
この後の章では、調査結果の詳細と現場の声、事例紹介を順に示していきます。
グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2025 日本特集
調査の概要
MSC/DDIが実施した世界規模の調査で、日本ではリーダー1,885人と人事担当者113人の回答を分析しました。パンデミックや技術革新が進む中で、日本のリーダーが直面する現実を可視化しています。
主な発見
- リーダー志望者の減少と現職リーダーの疲弊が著しい。多忙とストレスで次世代が育ちにくい状況です。
- リーダーへの信頼が低下しており、組織内での意思決定や方向性に不安が広がっています。
- AI導入に対して懐疑的な姿勢が強く、組織変革の阻害要因になっています。
- 結果として『静かな崩壊』と呼べる状態が生じ、業績や士気の低下につながっています。
- リーダー供給体制は依然として弱く、2024年のリーダーの質はわずか7%と報告されました。
人材育成の課題
育成体制の脆弱さ、ハイポテンシャル人材の離脱、育成機会の不足が重なっています。例えば現場での挑戦機会が限られるため、若手が能力を試す場を失いがちです。
改善に向けた示唆
- リーダー志望者を増やすために、キャリアパスを明確に示す。
- メンター制度やローテーションで実務経験を積ませる。
- AIは怖いものではなく道具であることを示す実践的な研修を行う。
- リーダーの働き方やメンタルを支える仕組みを整備する。
これらを組み合わせることで、供給体制の回復とリーダーの質向上が期待できます。
KAIGO LEADERS 2025年アンサーイベント「2025年、介護のリーダーは日本のリーダーになれたのか?」
KAIGO LEADERSは、12年の歩みで介護分野のリーダーを育ててきたプロジェクトです。2025年8月31日に開催されたアンサーイベントは、その蓄積を振り返り、これからの役割を問い直す場になりました。
対象:介護の未来に関心がある方、現場の課題を共有したい方、リーダーシップを見つめ直したい方。参加者の立場を問わず、対話と実践を重視します。
プログラム構成(抜粋)
- オープニングトーク:取り組みの背景と今後のビジョンを提示します。実例を交えて、変化の過程を分かりやすく紹介します。
- 卒業生ピッチ:実際に現場で成果を出した卒業生が短時間で取り組みを紹介します。具体的な工夫や成果が共有され、参加者の行動につながるヒントが得られます。
- クロストーク:多様な立場の登壇者が現状と課題を語り合います。現場の声を直接聞ける機会です。
- ワークショップ:参加者同士で課題を持ち寄り、解決策を模索します。小さな実行計画を持ち帰れるように設計しています。
- 先輩の実践紹介:継続的な取り組みの工夫や失敗からの学びを詳しく紹介します。
このイベントは、知識を得るだけでなく、自分のリーダーシップを再確認し行動に移すきっかけを提供します。参加者は具体的な事例と仲間との対話を通じて、現場で使える視点を受け取れます。
「ザ・リーダー」2025年日本国際博覧会協会 石毛博行事務総長のリーダーシップ定義
リーダーシップの核
石毛事務総長は、リーダーシップを肩書きや権限ではなく「現場で示す姿勢」として定義します。与えられた場所で一生懸命取り組み、その姿を同僚に示すこと。困難から逃げず、目標に向かって努力し続ける姿勢がリーダーシップだと述べています。
具体的な行動例
- 朝から最後まで責任を全うする姿勢を見せる。例:準備や確認を率先して行う。
- 困難な課題に自ら手を挙げる。例:トラブル時に最初に対応に入る。
- 失敗を隠さず共有し、改善につなげる。例:振り返りで自分の判断を説明する。
組織への示唆
この定義は、誰もがリーダーになれることを示します。役職に頼らず、日々の行動の積み重ねで周囲に影響を与えることが大切です。また、実践を重ねることで信頼と責任が育ち、自然とリーダーシップが発揮されます。
実践のための心構え
まず自分ができることを丁寧に行い、困難に直面したときに一歩前に出る習慣を持ちましょう。小さな行動の連続が周囲の模範となり、組織全体の力を引き上げます。