はじめに
「直結フィードバック伝達関数はどうやって求めるの?」
「公式の『G(s)/(1+G(s))』は覚えていても、導出の途中で式変形が分からなくなってしまう」と悩んだことはありませんか。
制御工学の授業や試験勉強でブロック線図を見ながら計算していると、どの信号を使って式を立てればよいのか迷ったり、なぜ分母に「1+G(s)」が現れるのか理解できず、途中で迷ってしまうこともありますよね。
この記事では、直結フィードバック伝達関数の公式や導出の手順、実際の計算例までを順を追って説明していきます。
直結フィードバックの伝達関数とは?

直結フィードバックの伝達関数を理解するには、まず「直結フィードバックとはどのような制御方式なのか」を押さえたうえで、開ループ伝達関数と閉ループ伝達関数の違いを整理することが大切です。
ここでは、直結フィードバックの基本的な意味と、それぞれの伝達関数がどのような役割を持つのかを順を追って説明していきます。
直結フィードバックの意味
直結フィードバックとは、出力信号を途中の要素に通さず、そのまま入力側へ戻すフィードバック方式です。
ブロック線図では、フィードバック経路の伝達関数を1として扱い、出力が加算点または減算点へ直接戻されます。
そのため、フィードバック要素を含む式を立てる必要がなく、開ループ伝達関数G(s)を使って閉ループ伝達関数を求められるのが特徴です。
開ループ伝達関数と閉ループ伝達関数の違い
開ループ伝達関数は、フィードバックを考慮せず、入力から出力までの順方向の経路だけを表した伝達関数です。
一方、閉ループ伝達関数は、出力を入力へ戻すフィードバックを含めた入力と出力の関係を表します。直結フィードバックでは、開ループ伝達関数G(s)をもとに、フィードバックの影響を反映した閉ループ伝達関数を求めます。
計算を始める前に、どちらの伝達関数を求める問題なのかを確認しておくことが大切です。
負帰還の直結フィードバック伝達関数の求め方
負帰還の直結フィードバック伝達関数は、公式をそのまま覚えるだけでは式の意味を理解しにくく、応用問題で手が止まる原因になります。
ここでは、閉ループ伝達関数の基本公式を確認したうえで、なぜ (G(s)/(1+G(s))) という式になるのか、ブロック線図を使った導出手順を順を追って説明していきます。
閉ループ伝達関数の基本公式
負帰還の直結フィードバックでは、開ループ伝達関数をG(s)とすると、閉ループ伝達関数は G(s)/{1+G(s)} で求めます。
直結フィードバックではフィードバック経路の伝達関数を1として扱うため、一般式 G(s)/{1+G(s)H(s)} のH(s)に1を代入すると、この式になります。
問題で負帰還と指定されている場合は、この公式を使って計算します。
G(s)/(1+G(s))になる理由
負帰還では、入力信号から出力信号を差し引いた偏差信号が制御対象へ入力されます。
この関係を式にして入力と出力の関係だけが残るように整理すると、閉ループ伝達関数は G(s)/{1+G(s)} になります。
分母に 1+G(s) が現れるのは、出力を入力へ戻す負帰還の影響を反映しているためです。
ブロック線図から導出する手順
ブロック線図から導出する場合は、入力を R(s)、出力を C(s) と置きます。
負帰還なので偏差信号は R(s)-C(s) となり、順方向の伝達関数 G(s) を用いて C(s)=G(s){R(s)-C(s)} の式を立てます。
その後、C(s) を左辺にまとめ、最後に C(s)/R(s) の形へ整理すると、閉ループ伝達関数 G(s)/{1+G(s)} を求められます。
直結フィードバック伝達関数の計算例
直結フィードバック伝達関数は、具体的な伝達関数を基本公式に代入し、分母と分子を整理することで求められます。
ここでは、(G(s)=1/[s(s+1)]) の場合を例に、式を変形する手順と計算時によくあるミスを順を追って説明していきます。
G(s)=1/[s(s+1)]の場合の求め方
開ループ伝達関数が G(s)=1/[s(s+1)] の場合は、閉ループ伝達関数の公式 G(s)/{1+G(s)} に代入します。
G(s)/{1+G(s)}
= {1/[s(s+1)]} ÷ {1+1/[s(s+1)]}
分母と分子に s(s+1) を掛けて整理すると、1/{s(s+1)+1} になります。さらに s(s+1)=s²+s と展開するため、閉ループ伝達関数は 1/(s²+s+1) です。
分母と分子を整理する方法
分数が重なっている場合は、分母と分子に開ループ伝達関数の分母を掛けると整理しやすくなります。
今回の式では、両方に s(s+1) を掛けることで、分子は1、分母は s(s+1)+1 になります。
最後に s(s+1) を s²+s へ展開すると、1/(s²+s+1) と求められます。
計算時によくあるミス
計算では、負帰還なのに分母を 1−G(s) としたり、分母と分子に同じ式を掛けずに整理したりするミスに注意が必要です。
また、s(s+1) を s²+s に展開する際の計算間違いも、答えが変わる原因になります。
途中式を省略せず、一つずつ確認しながら計算すると、ミスを防ぎやすくなります。
正帰還の場合の伝達関数
正帰還では、負帰還と基本的な導出手順は同じですが、伝達関数の式や制御系の挙動が異なります。
ここでは、正帰還の伝達関数の基本公式を確認したうえで、負帰還との違いを順を追って説明していきます。
G(s)/(1-G(s))の公式
正帰還の直結フィードバックでは、開ループ伝達関数を G(s) とすると、閉ループ伝達関数は G(s)/{1−G(s)} で求めます。
直結フィードバックではフィードバック経路の伝達関数を1として扱うため、一般式 G(s)/{1−G(s)H(s)} の H(s) に1を代入すると、この式になります。
問題で正帰還と指定されている場合は、この公式を使って計算します。
負帰還との違い
負帰還では、出力信号を入力信号から差し引くため、閉ループ伝達関数の分母は 1+G(s) になります。
一方、正帰還では出力信号を入力信号へ加えるため、分母は 1−G(s) になります。
違いは分母の符号だけですが、求める式が変わるため、計算前にブロック線図で正帰還か負帰還かを確認することが大切です。
直結フィードバック伝達関数を求める手順まとめ
直結フィードバック伝達関数は、決まった手順に沿って計算すれば、複雑に見える問題でも落ち着いて求められます。
ここでは、開ループ伝達関数の確認からフィードバックの符号の判断、公式への代入、閉ループ伝達関数を導くまでの流れを順を追って説明していきます。
①開ループ伝達関数G(s)を確認する
まず、順方向経路の開ループ伝達関数 G(s) を確認します。
ブロック線図で複数の要素が直列に接続されている場合は、それぞれの伝達関数を掛け合わせて G(s) を求めます。
閉ループ伝達関数は、この G(s) を公式へ代入して計算します。
②フィードバックの符号を確認する
次に、ブロック線図の加算点を見て、負帰還と正帰還のどちらかを確認します。
負帰還なら G(s)/{1+G(s)}、正帰還なら G(s)/{1−G(s)} を使います。
符号を間違えると答えが変わるため、公式へ代入する前に確認しておきましょう。
③公式に代入する
確認した G(s) を、フィードバックの種類に合った公式へ代入します。
負帰還では G(s)/{1+G(s)}、正帰還では G(s)/{1−G(s)} を使用します。G(s) が分数の場合も、そのまま代入して式を立てます。
④式を整理して閉ループ伝達関数を求める
公式へ代入したら、式を整理して C(s)/R(s) の形に変形します。
分数が重なっている場合は、分母と分子に同じ式を掛けて整理します。
最後に分母を展開・整理すると、閉ループ伝達関数を求められます。
まとめ
直結フィードバック伝達関数は、開ループ伝達関数 G(s) とフィードバックの種類を確認し、公式へ代入することで求められます。
負帰還では G(s)/{1+G(s)}、正帰還では G(s)/{1−G(s)} を使うため、まずはブロック線図で符号を確認することが大切です。
また、公式を覚えるだけでなく、入力・出力・偏差信号の関係を理解しておくと、応用問題にも対応しやすくなります。
計算では途中式を確認しながら、「G(s)を確認する」「フィードバックの種類を判断する」「公式へ代入する」「式を整理する」の流れで進めると、ミスを防ぎながら解きやすくなります。