目次
はじめに
概要
本記事は、日本の職場で長く使われてきた「報連相」と、近年注目される「確連報」という考え方の違いと使い分けを分かりやすく解説します。日常の業務やチームでのやり取りに使える実践的なポイントもお伝えします。
本記事の目的
- 報連相と確連報の意味を理解していただくこと
- 両者の違いを具体例で示し、使い分けの基準を示すこと
- 現場ですぐ使えるコミュニケーションのコツを紹介すること
読者対象
- 新入社員や若手社員、チームリーダー
- 職場のコミュニケーションを改善したい方
本記事の構成(全7章)
- 第2章:報連相とは(基礎と具体例)
- 第3章:確連報との違い
- 第4章:使い分けの実践法
- 第5章:報告・連絡・相談の違い
- 第6章:その他のコミュニケーション手法
- 第7章:現場での活用ポイント
注意点
職場や業種によって最適なやり方は異なります。ここで紹介する考え方を土台に、実際の業務に合わせて調整してください。
報連相(ほうれんそう)とは
概要
「報連相」とは「報告」「連絡」「相談」の頭文字を取った、日本で広く使われるビジネスコミュニケーションの基本です。業務を円滑に進めるためのルールとして定着しています。
報告(ほうこく)
業務の進捗や結果を伝える行為です。例えば、会議の結果や作業の完了、数値の変化などを上司や関係者に伝えます。事実を簡潔に伝えることを重視します。
連絡(れんらく)
関係者に必要な情報を共有し、業務の停滞を防ぎます。納期変更や欠勤、会議の日程調整などが該当します。誰がいつ何をするかを明確にすると効果的です。
相談(そうだん)
判断に迷ったときやリスクがある場合に、他者の意見や助言を求めます。対策案を複数用意して相談すると決定が早まります。
誰が使うか・メリット
新入社員だけでなく、経験者やチーム全体が使います。早めに共有すると問題対応がスムーズになり、誤解や手戻りを減らせます。具体例としては、納期トラブルの早期発見や顧客対応の統一があります。
確連報(かくれんぼう)との違い
定義と出発点
確連報は「確認(確認)」「連絡」「報告」の順に行うコミュニケーション手法です。業務に着手する前にまず確認を行い、関係者と認識を合わせてから連絡や報告へ進みます。報連相は多くの場合、発生後の情報共有や途中経過の報告から始まります。
タイミングの違い
- 確連報:業務前の“確認”がスタート地点です。事前に条件や目的をすり合わせます。
- 報連相:作業中や終了後に報告・連絡・相談が発生します。事後対応が中心です。
具体例
- 資料作成前に、目的・対象・納期を確認してから作業を始める(確連報)。
- 作成後に完成報告をして修正指示を受ける(報連相)。
主なメリット
- 認識ズレを減らし手戻りを防止します。
- 自主的に判断する力が育ち、効率が上がります。
注意点(使い方のコツ)
- 確認は簡潔に要点を伝えます。冗長な確認は逆に時間を失います。
- 重要な確認は書面やチャットで記録し、後で振り返れるようにします。
次章では、報連相と確連報をどのように使い分けるかを説明します。
報連相と確連報の使い分け
要点
新入社員や経験の浅い社員は報連相を徹底し、指示を正確に理解・実行します。一方で自律的に動ける社員は業務開始前に認識合わせを行う確連報を活用し、効率よく進めます。
新入社員・経験の浅い社員向け(報連相を優先)
・指示を受けたらまず「報告」で受領と理解を伝えます。
・進捗は定期的に「連絡」し、迷ったらすぐ「相談」します。
・例:朝一で今日のタスクと優先度を上司に共有する。
自律的に動く社員向け(確連報を活用)
・業務開始前に要件や成果物のイメージを簡潔に確認します。
・確認が済めば自分で判断し業務を進め、異常時だけ報連相します。
・例:仕様が曖昧な場合は着手前に要点だけメールで確認する。
両者を組み合わせる方法
- 着手前に確連報で認識合わせ。2. 実行中は必要最小限の報連相で進捗共有。3. 完了時に報告して振り返る。
実践のコツ
・目的(認識合わせか指示の確認か)を明確にする。短いテンプレートやチェックリストを用意するとズレが減ります。
報連相の各要素の違い(報告・連絡・相談)
報連相は「報告」「連絡」「相談」の三つで成り立ちます。それぞれ目的と伝え方が異なります。ここでは分かりやすく違いと実践のポイントを示します。
報告(ほうこく)
定義:事実や結果を上司や関係者に伝え、必要なら判断を仰ぐ行為です。目的は状況を共有し、次の指示を受けることです。
伝え方のポイント:事実を時系列で簡潔に伝え、結論や影響を明示します。数字や期限を示すと分かりやすくなります。
具体例:顧客対応の結果、納期が3日遅れる見込みになったため上司に報告し、対応方針を仰ぐ。
連絡(れんらく)
定義:関係者に情報を共有して業務を円滑にする行為です。判断を求める必要は必ずしもありません。
伝え方のポイント:誰が、何を、いつまでに知っておくべきかを明記します。誤解を避けるために要点を箇条書きにすると伝わりやすいです。
具体例:会議時間の変更や資料配布の通知をチーム全員に送る。
相談(そうだん)
定義:自分だけで判断できないときや複数案があるときに意見を求める行為です。目的はより良い判断やリスク回避です。
伝え方のポイント:現状、自分の考え、検討した他の案、期待する支援をセットで示します。選択肢を提示すると意思決定が早くなります。
具体例:プロジェクトの進め方で選択肢AとBがあり、それぞれのメリット・デメリットを示して上司に相談する。
報連相・確連報以外のコミュニケーション手法
はじめに
報連相や確連報以外にも、現場で役立つ伝え方や関わり方がたくさんあります。ここでは「おひたし」「ちんげんさい」を中心に、具体的な手法と実践ポイントをやさしく説明します。
「おひたし」——上司の関わり方の合言葉
意味:上司が怒らない・否定しない・助ける・指示することを心がけるフレーズです。
実践法:部下の話をまず受け止め、否定語を避けて共感を示します。そのうえで具体的な支援や次の一手を提示します。
例:部下「進捗が遅れています」 上司「まずは状況を教えてください。一緒に優先度を整理しましょう」
「ちんげんさい」——部下の回避・沈黙を防ぐ声がけ
意味:部下が沈黙したり、途中でやめてしまわないよう早めに声をかける合言葉です。
実践法:小さな確認を頻繁に入れ、完了までの次のステップを明確にします。放置せずタイミングよく介入します。
例:上司「ここまでで何か困りごとはありますか?次に何をすればいいか一緒に決めましょう」
他の有効な手法
- 1on1ミーティング:定期的に個別で話す時間を作り、背景や悩みを聞きます。短時間でも継続が大事です。
- Iメッセージ(感情を主体に伝える):相手を責めずに「私はこう感じる」と伝え、建設的な改善につなげます。
- チャットと口頭の使い分け:簡単な報告はチャット、判断が必要な話は対面や電話に切り替えます。
- 見える化ツール:進捗ボードやチェックリストで誰が何をしているかを明確にします。
実践のポイント
- 小さな習慣から始める:毎回の終わりに「次の一手」を確認するだけでも変わります。
- トーンを意識する:言葉よりも先に声の調子で安心感を与えます。
- ルールを決める:連絡手段やタイミングをチームで合意しておくと摩擦が減ります。
これらは報連相や確連報を補う手法です。場面や相手に合わせて使い分けると、よりスムーズなコミュニケーションが実現します。
まとめと現場での活用ポイント
報連相は日本の職場で長く使われてきた基本的なコミュニケーション手法です。伝える順序と事実の正確さを守ることで、誤解や手戻りを減らせます。確連報は「確認」を先に置く発想で、認識ズレを早期に防げる点が特徴です。
現場での使い分けポイント
- 目的を明確にする:意思決定が必要なら報連相、認識共有が目的なら確連報を優先します。
- 伝える順序を決める:事実→影響→対応案の順で伝えると理解が早まります。
- 根拠を添える:数字やログ、画面キャプチャなど具体的な証拠を付けて伝えます。
- 形式を統一する:短いテンプレート(件名/現状/影響/提案/期限)を作ると安定します。
実践例
- 顧客対応:重要事項は先に確認(確連報)し、対応方針は報告(報連相)で共有します。
- 引き継ぎ:手順と注意点を文書化し、相手に確認させて認識を合わせます。
習慣化のコツ
- 週次の振り返りで成功例と失敗例を共有する。
- まずはテンプレートを試し、現場に合わせて改善する。
最後に、どちらが正解ということはありません。現場の状況や相手の経験に応じて、両者の長所を取り入れて運用してください。より良い伝え方が、業務の安心と効率を高めます。