目次
はじめに
目的
本資料は「管理職 プレーヤー」に関する調査結果を分かりやすくまとめたものです。管理職とプレーヤーの役割の違い、プレイングマネージャーの定義・役割・必要スキル、管理職とプレイヤーの適性の違いを整理しています。
対象読者
現場でプレイングマネージャーを務める方、人事や上司として育成を考える方、昇進を控えたプレイヤーの方に役立つ内容です。
本資料の構成と使い方
第2章でプレイングマネージャーの全体像を説明し、第3章で営業分野に特化した実務を解説します。第4章では、プレイヤーとして優れていても管理職に向かない人の特徴を挙げます。各章は事例やチェックリストを用いて、現場で使える形でまとめています。
まとめ方針
理論だけでなく具体例を重視し、読み手が自分の状況に当てはめて考えられるよう配慮しました。気になる点は章ごとのチェックリストで確認してください。
プレイングマネージャーとは|役割や必要なスキル、課題への対策を解説
概要
プレイングマネージャーは、自ら業務で成果を上げる「プレイヤー」と、部下を率いる「マネージャー」の両方を担う役割です。現場で手を動かしつつ、進捗管理や育成も行います。一般的な管理職がマネジメントに専念するのと対照的です。
主な役割と業務
- 現場業務の遂行:自ら顧客対応や案件処理を行い、成果を出します(例:営業での商談や提案書作成)。
- 仕事の割り振りと進捗管理:メンバーに適切に仕事を配分し、期限や品質を管理します。
- 人材育成と指導:OJTやフィードバックでスキルを伸ばします。具体的にはロールプレイや週次の振り返りを行います。
必要なスキル
- 業務の専門力:現場で即戦力となる知識と技術。
- コミュニケーション力:指示だけでなく傾聴やモチベーション管理ができること。
- 優先順位づけ:自分の仕事とメンバーの仕事を両立させる判断力。
よくある課題と対策
- 時間が足りない:日次のタスクを見える化し、定型業務は部下へ委任します。短時間で結果を出すためにテンプレート化も有効です。
- 指導が忙しく後回しになる:週に固定した1時間を育成時間として確保します。小さな目標設定で進捗を把握しやすくします。
- 部下の成長と現場成果の両立が難しい:成長に直結する仕事を与えつつ、自分は戦略的な重要案件に集中します。
最後に
プレイングマネージャーは負担が大きい反面、現場感覚を持ちながらチームを育てられる強みがあります。役割を明確にし、適切に仕事を割り振ることが成功の鍵です。
営業のプレイングマネージャーとは?部長兼プレイヤーの仕事
役割
営業のプレイングマネージャーは「自ら売る人」と「チームを動かす人」を兼ねます。部長クラスで戦略を描きつつ、自らも主要顧客を担当して売上を作ります。デキる営業が管理職になることで売上が落ちるリスクを避ける目的で置かれます。
主な業務(具体例)
- 個人の目標達成:大口顧客の提案、契約交渉
- チーム目標達成:月間KPIの設定、戦略立案
- 業務振り分け:案件の優先順位付け、担当割り当て
- スケジュール管理・進捗確認:週次ミーティング、報告確認
- 指示出し・育成:商談同行、フィードバック
1日の流れ(例)
午前に重要顧客訪問、午後にチームミーティングや部下のフォロー、夕方に週次報告や翌日の計画作成。
必要なスキルと行動
- 時間配分力:売上活動と管理業務をバランスよく行う
- 優先判断:高インパクト案件を見極める
- 標準化思考:ナレッジ共有やテンプレ整備
- コーチング力:部下の自走を促す
よくある課題と対策
- 売上と管理の両立が難しい → 週単位で時間ブロックを作り、訪問日と管理日を分ける
- 部下に仕事が集中する → 仕事内容を明確に分解し、権限移譲を進める
- 評価の難しさ → 個人KPIとチームKPIを分け、報酬設計に反映する
プレイヤーとしては一流、でも管理職には向かない人の特徴
概要
プレイヤーは目の前の業務で高い成果を上げる人です。一方で管理職は、チーム全体の雰囲気やメンバーの変化に気づき、仕事の割り振りや育成を行います。ここでは、個人で優れた成果を出すけれど管理職では力を発揮しにくい人の典型的な特徴と、本人・組織が取れる対応を分かりやすく解説します。
主な特徴(具体例つき)
- タスク指向が強い
明確な目標があると集中力を発揮します。細かな改善や数字には強いですが、会議での雑談や関係構築を軽視しがちです。 - 自分でやったほうが速いと思う
他人に任せると手戻りが増えると感じ、つい自分で作業してしまいます。結果として部下の育成機会が減ります。 - フィードバックを受けにくい
自分の仕事基準が高く、異なるやり方を受け入れにくい傾向があります。部下の意見を傾聴する場面で反発を招くことがあります。 - 感情や空気の変化に気づきにくい
成果や数字に注意を向けるため、表情や巧妙なサインを見落としやすいです。部下のモチベーション低下を早期に察知できません。 - 規律やプロセスを重視する
自分の方法が最適と信じ、柔軟な対応や人への配慮を後回しにします。個別対応が必要な場面で対処が遅れます。
なぜ管理職では課題になるのか
管理職は目に見えない情報(気持ち・関係性・信頼)を扱います。個別の数字だけでなく、チームの成長や心理的安全を作る必要があります。プレイヤー気質が強いと、見えない信号を取りこぼしやすく、結果として離職や不協和音が生まれます。
本人が取れる対応
- 任せる練習をする:小さなタスクから権限移譲して成功体験を積みます。
- 傾聴の習慣をつくる:部下の話を短時間でまとめてフィードバックを返す訓練が有効です。
- 観察リストを持つ:会議で見るべきサイン(沈黙、表情、質問の減少)をチェックします。
- 他者評価を受け入れる:定期的な360度評価やコーチングで視点を広げます。
組織ができる支援
- プレイング優先の人には管理以外のキャリアパスを用意します(個人貢献のスペシャリストなど)。
- マネジメント研修よりも「育成の仕方」「権限移譲」の実践研修を提供します。
- ペアマネジメントやアシスタントの配置で補完します。
このタイプは貴重な戦力です。無理に管理職に据えるのではなく、本人の強みを生かす配置と段階的な支援が大切です。