はじめに
「コーチングでは、どんな質問をすれば相手の考えを引き出せるの?」
「質問しているのに、相手の答えが広がらず会話が止まってしまうのはなぜ?」と感じていませんか。
1on1や面談で相手の話を聞いていても、何を聞けばよいのか分からず、思いついた質問を順番に投げかけるだけになってしまうことがあります。
この記事では、コーチングの質問の目的や基本的な考え方、場面別の質問例、効果的な使い方について分かりやすく整理します。
コーチングの質問とは?

コーチングで使う質問は、単に情報を聞き出すためではなく、相手が自分の考えを整理し、新しい気づきを得るためのきっかけになります。
ここでは、コーチングの質問と普通の会話で使う質問の違いに加えて、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い分けについて説明します。
普通の会話で使う質問との違い
普通の会話で使う質問は、必要な情報を聞いたり、会話を進めたりするために使われます。
一方、コーチングの質問は、相手が答えを考えることで、自分の考えや判断基準を整理できるようにすることが目的です。
質問する側が答えへ誘導するのではなく、相手自身が考えを言葉にできるような聞き方をする点に違いがあります。
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い分け
オープンクエスチョンは「どうしたいですか」「何が必要ですか」のように、相手が自由に考えて答えられる質問です。
一方、クローズドクエスチョンは「できましたか」「AとBのどちらですか」のように、事実や選択を確認するときに使います。
考えを広げたいときはオープンクエスチョン、確認や判断をしたいときはクローズドクエスチョンというように、目的に合わせて使い分けます。
コーチングで使える質問例【目的・場面別】
コーチングでは、相手が考えたい内容や現在の状況に合わせて質問を使い分けます。
ここでは、目的や場面ごとに使いやすい質問例を紹介します。
目標や理想の状態を明確にしたいときの質問
目標を考えるときは、相手がどのような状態を目指しているのかを具体的にしていきます。
「どのような状態になれば理想ですか?」
「半年後、どのようになっていたいですか?」
「何を達成できたら満足できますか?」
現在の状況を整理したいときの質問
現在地を整理するときは、できていることや課題に目を向けてもらう質問が役立ちます。
「今はどのような状況ですか?」
「できていることは何ですか?」
「今、一番課題に感じていることは何ですか?」
考えがまとまらないときに思考を深掘りする質問
考えがまとまらない場合は、理由や背景を一つずつ整理できるように質問します。
「なぜそう感じていますか?」
「特に気になっていることは何ですか?」
「そう考えるようになったきっかけは何ですか?」
新しい視点や選択肢を広げたいときの質問
選択肢を増やしたいときは、今とは違う立場や条件から考えてもらう質問を使います。
「ほかにできそうなことはありますか?」
「制約がなければ、どうしたいですか?」
「別の立場から考えると、どのように見えますか?」
具体的な行動を決めたいときの質問
考えを行動につなげるときは、何をいつ行うのかまで具体的にしていきます。
「まず何から始めますか?」
「いつまでに取り組みますか?」
「今日からできることは何ですか?」
振り返りから気づきを引き出したいときの質問
経験を振り返るときは、できたことや改善したいことを整理できる質問が役立ちます。
「今回うまくできたことは何ですか?」
「そこから何を学びましたか?」
「次に同じ場面があったら、何を変えたいですか?」
コーチングで効果的な質問をするポイント
コーチングで質問をするときは、質問の内容だけでなく、相手の話をどのように受け止めてから問いかけるかが重要です。
ここでは、傾聴の仕方や質問の組み立て方、相手自身の考えを引き出すためのポイントを順に説明します。
相手の話を傾聴してから質問する
相手が話している途中で質問を挟まず、まずは最後まで話を聞くことが大切です。
話を聞いたうえで「今、一番気になっていることは何ですか」と尋ねると、相手の話に沿った質問ができます。
十分に話を聞くことで、すでに話した内容を繰り返し質問することも避けやすくなります。
一度に一つのことをシンプルに質問する
一度の質問で複数のことを聞くのではなく、一つの内容に絞って質問します。
「何が問題で、どうしたいですか」とまとめて聞くより、「何が問題だと感じていますか」と一つずつ尋ねたほうが、相手も考えを整理しやすくなります。
回答を聞いてから次の質問に進むことで、落ち着いて対話を深められます。
相手の言葉を使って質問を組み立てる
相手が話した言葉を取り入れて質問すると、話の流れに沿って考えを深めてもらいやすくなります。
たとえば「仕事を任せてもらえない」と話した場合は、「仕事を任せてもらえる状態とは、どのような状態ですか」と尋ねます。
相手の言葉をもとに質問することで、認識のずれを抑えながら本人の考えを具体化できます。
答えを誘導せず相手自身に考えてもらう
質問するときは、自分が考える答えへ相手を誘導しないようにします。
「こうしたほうがいいのではありませんか」と聞くのではなく、「あなたはどうしたいですか」と尋ねることで、相手自身が答えを考えられます。
質問する側の考えを押しつけず、相手の考えを引き出すことを意識するのがポイントです。
コーチングで避けたい質問と注意点
コーチングでは、質問によって相手の考えを引き出す一方で、聞き方によっては相手に負担を与えてしまうことがあります。
ここでは、相手が安心して考えを話せる対話にするために、避けたい質問の仕方と注意点を説明します。
「なぜ?」を繰り返して相手を追い詰めない
「なぜ?」を何度も繰り返すと、相手は責められているように感じることがあります。
一度理由を聞いた後は、「そのとき何を考えていましたか」など、少し聞き方を変えてみましょう。
質問の角度を変えることで、相手も自分の考えを整理しながら話しやすくなります。
自分の答えや価値観を質問に含めない
「この方法が一番いいと思いませんか」のような質問は、相手の答えを誘導してしまうことがあります。
「どの方法がよいと思いますか」と尋ねることで、相手自身の考えを引き出しやすくなります。
自分の判断を入れず、相手が自分の基準で考えられる質問を意識することが大切です。
質問を続けすぎて質問攻めにしない
質問を続けすぎると、相手が考えを整理する時間を十分に取れなくなります。
質問した後はすぐに次の質問をせず、相手が考えて答えるまで待つことも大切です。
回答を聞きながら必要な質問を一つずつ重ねることで、落ち着いて対話を進められます。
コーチングの質問に迷ったときの選び方
コーチングでどの質問をすればよいか迷ったときは、相手が今どの段階で考えに困っているのかを整理すると、質問を選びやすくなります。
ここでは、相手の状態に合わせて質問を選ぶ方法を、目標・現状・行動の3つの段階に分けて説明します。
目標が曖昧なら「どうなりたいか」を聞く
目標が「仕事を頑張りたい」のように曖昧な場合は、「どうなりたいですか」と質問して、目指す状態を具体的にしてもらいます。
さらに「どのような状態なら達成したと言えますか」と聞くと、目標の判断基準も明確になります。
目指す状態が見えてくることで、必要な行動も考えやすくなります。
考えが整理できていないなら現状を具体化する
考えがまとまっていない場合は、「今はどのような状況ですか」と質問し、現在起きていることを整理してもらいます。
さらに「何に困っていますか」と聞くことで、抱えている問題が見えやすくなります。
現状を一つずつ整理することで、何から考えるべきかも明確になります。
次に進めないときは選択肢と行動を引き出す
次に何をすればよいか迷っている場合は、「ほかにどのような方法がありますか」と質問し、選択肢を広げてもらいます。
そのうえで「まず何をしますか」「いつまでに行いますか」と聞くと、具体的な行動に落とし込めます。
自分で選択肢を考えて行動を決めることで、次の一歩を踏み出しやすくなります。
まとめ
コーチングの質問は、相手に答えを教えるためではなく、相手自身が考えを整理し、気づきや次の行動を見つけるために使います。
目標を明確にしたいときは理想の状態を聞き、現状を整理したいときは起きていることを具体化し、次に進みたいときは選択肢や行動を引き出す質問が役立ちます。
また、質問するときは相手の話を傾聴し、一度に一つの内容をシンプルに聞くことが大切です。
「なぜ?」を繰り返したり、自分の価値観を質問に含めたりせず、相手が自分の考えを自由に話せるように質問を使い分けましょう。