目次
はじめに
「Macの管理者アカウントやパスワードが分からない」と戸惑っていませんか?本ガイドは、そうした疑問に答えるために作りました。管理者アカウントの基本から、システム設定やターミナルでの確認方法、パスワードのリセットや管理者権限の復旧まで、段階を追って分かりやすく解説します。
このガイドの目的
- 誰が管理者なのかを確認できるようにする
- パスワードが分からない場合の安全な対処法を示す
- 管理者権限が誰にもない状況での復旧手順を紹介する
対象読者
- Mac初心者から中級者までを想定しています。専門用語はできるだけ抑え、具体例や手順を示しますので、初めて操作する方でも安心して読み進められます。
注意事項と準備
- 作業前に重要なデータは必ずバックアップしてください。操作によってはデータ損失や設定の変更が起きる可能性があります。
- セキュリティの観点から、他人のMacで無断で操作しないでください。
読み進め方
各章は実際の画面やターミナル操作を想定して書いています。まずは第2章で「管理者とは何か」を確認し、その後に該当する確認・対処章へ進んでください。
Macの「管理者」とは何か?
概要
管理者アカウントとは、Macの設定変更やアプリのインストール、他のユーザーの追加・削除など、システムに対して強い権限を持つアカウントのことです。Macの初期設定時に必ず一つ作成されます。
管理者でできる主なこと(具体例)
- アプリやシステム拡張をインストール・削除する
- 新しいユーザーアカウントを作成・削除する
- システム環境設定の一部(セキュリティ、ネットワークなど)を変更する
- ファイルやフォルダのアクセス権を変更する
管理者と標準ユーザの違い
標準ユーザは自分の環境をカスタマイズできますが、システム全体に影響する変更はできません。管理者はその制限がなく、Mac全体の設定に影響を与えます。たとえばソフトのインストール時に管理者の承認(パスワード入力)を求められるのはそのためです。
なぜ重要か
家庭や職場で誰が管理者か明確にしておくと、誤操作や不要な設定変更を防げます。管理者権限を持つ人が少ないほど、システムの安定性と安全性が高まります。
注意点
管理者パスワードは厳重に管理してください。不要なときは標準ユーザアカウントを使い、管理者アクセスは必要な時だけ使うと安全です。
管理者アカウントの確認方法
macOS Ventura以降(システム設定から確認)
- 画面左上のAppleメニュー(リンゴマーク)をクリックします。
- 「システム設定」を開きます。
- 左側のサイドバーで「ユーザとグループ」を選択します。
- 左側に現在作成されているユーザー一覧が表示されます。各アカウントに「管理者」とラベルのあるものが管理者アカウントです。
ポイント:現在ログイン中のユーザーはハイライト表示されるので、自分のアカウントが管理者かすぐ分かります。設定を変更する際に鍵(ロック)アイコンがあり、解除には管理者パスワードが必要です。
macOS Monterey以前(システム環境設定から確認)
- Appleメニューから「システム環境設定」を選びます。
- 「ユーザとグループ」をクリックします。
- 左側のリストにユーザーアカウントが並び、管理者には「管理者」と表示されます。
補足と注意点:表示がない場合やラベルが見当たらないときは、ログイン中のアカウント情報や鍵の有無を確認してください。複数の管理者がいる環境では、必要な操作前にどのアカウントが管理者か確認しておくと安心です。
ターミナルで管理者アカウントを確認する方法
前提
ターミナルを使うと、GUIよりも簡単に管理者(admin)グループのメンバーを確認できます。初めてでも迷わないよう手順を丁寧に説明します。
手順
- ターミナルを起動します(Finderの「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「ターミナル」、またはSpotlightで「ターミナル」と入力)。
- 次のコマンドをそのまま入力してEnterキーを押します。
dscl . -read /Groups/admin GroupMembership
- 数秒で結果が表示されます。表示されるのは管理者権限を持つユーザーの短いユーザー名(例:alice、bob)です。
表示結果の読み方
- 例: "GroupMembership: alice bob" のように表示されます。この場合、aliceとbobが管理者です。複数名がスペースで区切られて表示されます。
- 自分が管理者か確認したい場合は、表示された名前に自分のユーザー名が含まれているかを確認してください。
注意点とよくあるトラブル
- ユーザー名はアカウントのフルネームではなく、ログイン時の短い名前(short name)です。フルネームを表示するわけではありません。
- コマンドがエラーを出す場合は、エラーメッセージを控えてください。状況により対処法が変わりますので、そのメッセージを教えていただければ具体的に案内します。
ワンポイント
- 現在のアカウント名をすぐに知りたいときは、ターミナルで whoami と入力すると自分のユーザー名が表示されます。表示された名前が先ほどの結果に含まれていれば、そのアカウントは管理者です。
ご不明点があれば、表示された出力をそのまま教えてください。具体的にお手伝いします。
管理者パスワードが分からない場合の対処法
概要
システム環境設定ではパスワードは表示されません。忘れたときはリセットが必要です。ここでは準備と代表的な方法をわかりやすく説明します。
準備
- 重要なデータは可能ならバックアップしてください(Time Machineや外付けドライブ)。
- Apple IDやFileVaultの回復キーがわかると復旧が速くなります。
パスワードリセットの手順(基本)
- Macを再起動します。
- Intel Mac:起動音の直後に command + R を押し続け、リカバリーモードで起動します。Apple Silicon:電源ボタンを長押しして「オプション」を選びます。
- メニューから「ユーティリティ」→「ターミナル」を選びます。
- ターミナルで resetpassword と入力し、画面の指示に従ってアカウントを選び新しいパスワードを設定します。
補足と注意点
- ログイン画面で「パスワードをリセット」をApple IDで行える場合があります。設定していると簡単です。
- FileVault(ディスク暗号化)を使っている場合は、古いパスワードか回復キーがないとディスクを解除できず、単にユーザーのログインパスワードを変えても起動に支障が出ることがあります。必ず回復キーの有無を確認してください。
- うまくいかない場合や不安があるときは、Apple公式サポートか正規サービスプロバイダに相談してください。
管理者権限が誰にもない場合の復旧方法
「すべての管理者権限がなくなった」場合、通常はリカバリーモードから新しい管理者アカウントを作り直すことで復旧できます。ここでは安全で比較的簡単な方法と、やや上級向けの代替手順を紹介します。
準備
- まず重要データのバックアップがあるか確認してください。操作ミスでユーザーデータに影響する可能性があります。
手順1:リカバリーモードで起動
- Intel Mac:電源オン直後に Command (⌘) + R を押し続けます。
- Apple Silicon:電源ボタンを長押しし「オプション」を選んでから「オプション」→「続ける」を選びます。
手順2:ターミナルを開く
- リカバリのメニューから「ユーティリティ」→「ターミナル」を選びます。
手順3:セットアップアシスタントを再表示して新規管理者を作る(推奨)
- ボリュームを読み書き可能にします(必要な場合):
mount -uw /
(場合によっては起動ディスク名を指定します)- セットアップ完了フラグを削除します:
rm /var/db/.AppleSetupDone
reboot
で再起動します。再起動後、セットアップアシスタントが表示されるので新しい管理者アカウントを作成してください。
この方法は既存のユーザーをそのまま残しつつ新しい管理者を作れます。ファイルや設定は通常そのままです。
代替:ターミナルで直接管理者を作る(上級者向け)
dscl
を使ってユーザーを作成し、管理者グループに追加する方法があります。例:dscl . -create /Users/newadmin
dscl . -create /Users/newadmin UserShell /bin/bash
dscl . -create /Users/newadmin RealName "New Admin"
dscl . -create /Users/newadmin UniqueID 550
(既存と重複しないIDにする)dscl . -passwd /Users/newadmin パスワード
dscl . -append /Groups/admin GroupMembership newadmin
- IDや権限の扱いを誤ると問題が起きやすいので慣れている方のみ実行してください。
注意点
- FileVaultを有効にしている場合は、ディスクのロック解除(回復キーや既存管理者の資格情報)が必要になることがあります。解除できない場合はAppleサポートに相談してください。
- 操作前にバックアップを推奨します。
よくあるQ&A
Q1: 管理者アカウントが複数ある場合はどれを使えばいいですか?
どの管理者でもシステムの変更はできます。とはいえ、普段使っているアカウントで作業するのが一番分かりやすいです。たとえば、ご自分の名前のアカウントで普段作業し、別の管理者はインストールや大きな設定変更のときだけ使うと混乱が減ります。
Q2: 管理者権限がなくてもMacは使えますか?
はい。Web閲覧や文書作成など日常的な作業は問題なくできます。ただしアプリのインストールや重要なシステム設定の変更はできません。新しいソフトを入れたい場合は管理者に依頼してください。
Q3: 管理者パスワードが分からないときは?
無理に推測したりしないでください。まずは管理者本人に確認してください。自分がMacの所有者でパスワードが分からない場合は、前章で説明した復旧手順を試すか、Appleサポートに相談してください。
Q4: 誰かに管理者権限を渡しても大丈夫ですか?
信頼できる相手にだけ渡してください。管理者はシステム全体を変更できるため、不注意や悪意があると問題になります。普段は標準アカウントを使い、必要な時だけ管理者を利用する運用がおすすめです。
まとめ
ここまで解説した主なポイントを簡潔にまとめます。
-
管理者アカウントは「システム設定(またはシステム環境設定)>ユーザとグループ」で確認できます。アカウント名の下に「管理者」と表示されます。
-
パスワードが分からない場合はリセットが必要です。Apple IDでリセットできる場合と、リカバリーモード(電源オン時にCommand+R)からの手続きが代表例です。例:リカバリーモードの「ターミナル」や「パスワードをリセット」機能を使います。
-
すべてのアカウントが管理者権限を持たないときは、リカバリーモードで起動して新しい管理者を作成するなど復旧します。手順は慎重に行ってください。
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ターミナルでも管理者を確認できます。例:
- グループを表示: dscl . -read /Groups/admin GroupMembership
- 自分の所属グループ確認: id -Gn
これらの方法を知っていれば、管理者情報が不明でも落ち着いて対処できます。分からない点があれば、使っているmacOSのバージョンを教えてください。より具体的にお手伝いします。