目次
はじめに
本書の目的
本調査は、説得力のあるプレゼン資料を短時間で作るための見本と指針を提供します。実際の企業事例をもとに、構成・デザイン・ストーリーの組み立て方を整理しました。
何を学べるか
- 有名企業の資料から学べるポイント
- 実例のお手本とその理由
- 基本構成と問題解決型のパターン
- ストーリー構成の使い方
- デザインや最後のスライドの工夫
- 参考資料の探し方とツールの使い方
読み方のコツ
まずは事例を眺め、良い点を真似しながら自分の目的に合わせて削ることをお勧めします。スライドは一枚一メッセージを心がけ、見やすさを優先してください。
対象読者
企画担当、営業、経営者、学生など、資料を作る全ての人に役立ちます。初心者でも実践しやすい内容にしました。
次章から具体的な事例と作り方を丁寧に解説します。
有名企業の資料事例から学べること
はじめに
有名企業のプレゼン資料は、見た目の良さだけでなく、伝え方の工夫や構成の洗練が学べます。センス頼りではなく、知識と経験で質を高めるための「教科書」として活用できます。
なぜ参考にするか
- 実践で磨かれた表現が多い。実際の場面で使える工夫が詰まっています。
- 多様な場面に対応したテンプレートが揃う。営業、企画、決算など応用が利きます。
見るべき具体ポイント
- 構成：導入→課題→解決策→効果の流れが明確か確認します。1スライド1メッセージを意識します。
- 見出しと言葉遣い：短く要点を示す見出し、読み手に寄り添う言葉を使っているか見ます。
- データの見せ方：グラフは簡潔に、注釈や単位を明記して解釈しやすくしています。
- ビジュアル：余白や配色で情報の優先度をはっきりさせています。
- 時間配分：スライド数と発表時間のバランスを想定して作られています。
事例別の学び
- 営業資料：提案の価値を短時間で伝える工夫が多いです。導入の問いかけやベネフィット提示が参考になります。
- 会社・製品紹介：ブランドの一貫性を保つ表現や事例紹介の見せ方が学べます。
- 企画書：論理の飛躍を避ける構成と根拠の示し方が秀逸です。
- 決算資料：数字の読み替えと要点化の技術が参考になります。
- マニュアル：手順の見せ方や図解の作り方がわかりやすいです。
実践の進め方
- まず目的を明確にします。誰に何を伝えたいか決めます。
- 参考となる企業資料を数点選び、良い点をメモします。
- そのまま模写してから、自社向けに改善します。
- テンプレート化して反復し、フィードバックで磨きます。
お手本となる企業の資料事例
企業の実例は、説得力ある資料作りの宝庫です。ここでは五社の特徴と、すぐに真似できるポイントを分かりやすく紹介します。
SmartHR
- 社内情報をオープンにし、ストーリー性を重視した資料を公開しています。
- ポイント：経緯→課題→解決→結果を時系列で並べ、読者が状況を追いやすくしています。図や社内データを用いて信頼感を出すのも参考になります。
株式会社LayerX
- 認知度向上を目的とした活動報告が分かりやすいです。
- ポイント：活動の目的を最初に明示し、成果や次のアクションを簡潔に示すことで、読み手の理解と関心を引きます。
株式会社ベイジ
- 伝わるストーリーとデザインの法則を活用した提案書が高評価です。
- ポイント：視線の流れを意識し、重要箇所を強調することで伝達力を高めます。余白と配色にも注意します。
株式会社才流
- ロジカルな独自メソッドを解説し、説得力を高めています。
- ポイント：根拠を明確にし、ステップごとに示すことで納得感を作ります。図解を多用すると理解が早まります。
freee株式会社
- ブランドの見せ方が秀逸で、重要メッセージに集中できるデザインを採用しています。
- ポイント：一貫したビジュアルと余計な情報を削ることで、伝えたいことが際立ちます。
各社の良い点を取り入れつつ、自分の目的に合わせて要素を選ぶと実務で使える資料が作れます。
プレゼン資料の基本的な構成方法
序論：関心を引き、目的を示す
はじめに主題と目的を明確にします。短い問いかけ、印象的な一文、具体的な数字やエピソードで関心を引いてください。例：売上改善の提案なら「先月の件数が10%減っています」と始めます。序論は1〜2スライドが目安です。
本論：サブポイントで分かりやすく提示する
本論は通常3つ前後のサブポイントで構成します。各ポイントは「主張→根拠（データや図表）→具体例または効果予測」の順で示すと説得力が増します。図や表は1スライド1メッセージに絞り、要点は箇条書きで示します。例：原因分析、対策案、コストと効果の比較。
結論：要点の再提示と行動呼びかけ
最後に主要メッセージを1文でまとめ、次のアクション（承認、試験導入、次回会議の設定など）を明確に示します。結論は短く、聴衆が覚えやすい表現にします。
スライドと時間配分の目安
10分なら6〜8スライド、30分なら15〜20スライドが目安です。序論：5〜10%、本論：70〜80%、結論：10%程度で時間配分します。
実践チェックリスト（発表前）
- 主要メッセージは1文で言えるか
- 各スライドに1つの伝えたいことがあるか
- 図表は簡潔で読み取りやすいか
- 次のアクションが明確か
- 練習で時間内に収まるか
問題解決型の構成パターン
概要
「問題→原因→解決策」の順で示す構成は、聴き手にとって一番わかりやすい流れです。問題点を明確に示し、原因を掘り下げてから実行可能な解決策を提示します。解決策の効果や具体的な行動を示すことで、聞き手の納得と行動を促します。
スライドの流れ（推奨）
- タイトル：問題を一文で示す（例：「月次売上が10%減少」）
- 問題の可視化：データやグラフで現状を示す
- 影響範囲：誰に、どれだけ影響するかを説明する
- 原因分析：根本原因を絞り込む（下記参照）
- 解決策の候補：複数案を並べ、メリットとコストを比較
- 推奨案と実行計画：担当、期限、KPIを明記
- 期待される変化：定量・定性で表す
原因の掘り下げ手法
- 5回のなぜ（5 Whys）：順に「なぜ？」と問うことで根本原因に到達します
- フィッシュボーン図：要因をカテゴリ別に整理します
- データドリブン：定量データで裏付けを取ることが重要です
解決策の提示と評価
- 各案に対して効果予測、実行コスト、リスクを示します
- 小さく始めて検証する（POC）案を用意すると説得力が増します
- ベネフィットは短期・中期・長期で分けて示すとわかりやすいです
実行計画で説得力を出す
- 具体的なステップ、担当者、期限を必ず入れます
- KPIと評価タイミングを提示し、改善ループを設計します
よくある落とし穴と対処法
- 問題が曖昧：事実と感想を分け、データで示す
- 解決策が多すぎる：優先順位を付けて段階的に実行する
- 実行責任が不明確：担当と期限を明確にする
簡単な事例
問題：月次のWeb経由購入数が減少
原因：広告流入は維持だが、購入率が低下（フォームの離脱増）
解決策：フォーム改善→A/Bテスト→成果が出れば全体展開
実行計画：2週間で改善案作成、1ヶ月でA/B検証、翌月に本展開
この構成を使うと、聞き手が現状理解から納得、そして行動に移りやすくなります。
ストーリー構成の活用
はじめに
プレゼンに物語性を持たせると、聞き手の関心を長く保てます。数字や事実だけでなく、流れでつかむと記憶に残りやすくなります。
なぜストーリーが有効か
人は因果や感情で情報を理解します。状況→問題→解決と順に示すと、聞き手が自然に論理をたどれます。短い例を交えると理解が深まります。
基本の3幕構成（スライド設計の視点）
- 状況設定（導入）: 背景、現状のインパクト、キー数値を1枚で示します。最初の10秒で関心を引きます。
- 展開（対立）: 問題点、原因、影響を明確にします。具体例や顧客の声を入れると説得力が増します。
- クライマックス（解決）: 解決策とその理由、期待される効果を提示します。最重要ポイントを太字（スライド上は強調）で示します。
スライドごとの具体アクション
- 見出しは問い形や結論形で。短く力強く。
- キー数値はグラフか箇条で。視覚で即理解できる工夫を。
- エピソードは1つに絞る。余計な情報は削る。
よくある落とし穴と回避法
- 情報過多にならない：1スライド1メッセージを守る。
- 抽象論に陥らない：必ず具体例や数字を添える。
- 解決策が不十分：行動につながる次の一手まで示す。
簡単テンプレート（5枚構成の例）
- タイトル＋状況（短い衝撃）
- 詳細な課題
- 原因分析（要点）
- 提案と効果（重要ポイント）
- 次のアクション（問い合わせ先・期限）
最後に：聞き手の立場で“なぜ関心を持つか”を常に問い、簡潔に伝えてください。
デザインと視覚的要素の工夫
キーワードを一つに決める
資料全体で覚えてほしい「核」となる言葉を一つ決めます。例えば「簡潔さ」や「信頼」です。各スライドはそのキーワードを伝えるために作ります。
色使いの基本
色は3色以内に抑えると調和します。ベース、アクセント、強調の順で使い分けます。インターネットのカラーパレットやスポイト機能で既存の配色を取り入れると統一しやすいです。
視覚素材の活用
写真・アイコン・図は要点を補強するために使います。写真は高解像度で、アイコンは同じテイストに揃えると見やすくなります。グラフは軸や色を簡潔にし、重要な数値のみ強調します。
レイアウトと余白
余白を意図的に残すことで情報が読みやすくなります。見出し→図→補足の順で視線を誘導すると効果的です。フォントは見出しと本文で2種までに抑え、サイズ差で階層を示します。
実践チェックリスト
・核となるキーワードは明確か
・配色は3色以内か
・画像とアイコンが統一されているか
・重要点が視覚的に強調されているか
これらを確認し、必要ならテンプレートで一貫性を保ってください。
最後のスライドの重要性
1. 重要性
最後のスライドは聴衆に残る最後の印象を作ります。ここで伝えたい「次の一歩」や感謝の気持ちをはっきり示すと、プレゼン全体の効果が高まります。短くて強いメッセージを心がけてください。
2. 目的を明確にする
- 行動を促す（問い合わせ、申し込み、会議のフォローなど）
- 要点を再確認する
- 感謝を伝える
目的を1つに絞るとメッセージが伝わりやすくなります。
3. 構成要素（例）
- キャッチコピー：一行で要点をまとめる
- 次のアクション（CTA）：具体的な指示を示す（例：資料請求はこちら）
- 連絡先情報：メール、電話、SNS
- 視覚要素：ロゴや写真で印象付け
4. 作り方のステップ
- 伝えたい行動を決める
- 短いキャッチを作る（10〜15語以内が目安）
- 目立つボタン風の要素や色でCTAを強調する
- 連絡先は見やすく配置する
5. よくあるミスと対策
- 情報を詰め込み過ぎる→最低限に絞る
- CTAが曖昧→具体的な動詞を使う（例：今すぐ登録）
- 文字が小さい→離れた席でも読める大きさにする
6. チェックリスト
- 目的は一つか
- CTAは具体的か
- 連絡先は正しいか
- 視覚的に目立っているか
最後のスライドを工夫すると、プレゼンの印象がぐっと良くなります。丁寧に作り込みましょう。
参考資料の探し方とツール活用
プレゼンや資料作成で参考になるデザインやテンプレートは、適切なキーワードとツールを使うと短時間で見つかります。ここでは実践的な探し方と便利なツールをやさしく説明します。
よく使うキーワード例
- 「資料 デザイン」「パワポ 表紙」「資料 テンプレート」
- 「プレゼン おしゃれ」「資料 シンプル」「スライド レイアウト」
- 業界名や目的を付け加えると絞り込みしやすい（例：営業 資料 テンプレート）
おすすめツールと使い方
- Pinterest：ビジュアル検索に優れ、気に入ったデザインをボードで保存できます。
- Behance / Dribbble：プロの作品が多く、トレンド把握に役立ちます。
- SlidesCarnival / Slidesgo：すぐ使える無料テンプレートが豊富です。
- Canva / Googleスライド：テンプレートを編集して自社風にカスタマイズできます。
- Unsplash / Pexels：高品質な無料画像が手に入ります。
探すときの手順（簡単3ステップ）
- キーワードで広く検索して気に入る例を5〜10件ピックアップします。
- 配色・見出しのサイズ・余白の取り方など、使える要素をメモします。
- テンプレートをダウンロードして、自分の内容に置き換えます。
保存と管理のコツ
- Pinterestやブラウザのブックマークでカテゴリ別に分けると後で探しやすいです。
- テンプレートはファイル名に用途や日付を入れて管理します。
著作権と利用上の注意
- 無料素材でも商用利用可か確認してください。
- 改変禁止のものは注意し、出典表示が必要なら明記します。
実践で使える小技
- まず1枚だけ完成させてテンプレート化すると効率が上がります。
- 配色は3色以内に抑え、フォントは2種類までにすると見やすくなります。
- 気に入った要素をスクリーンショットで保存して、組み合わせて使うとオリジナルが作れます。