目次
はじめに
「クリティカルパスって結局どの経路のこと?」
「ネットワーク図の問題で求め方が分からず、どこを見ればよいのか迷ってしまう……」と感じていませんか。
プロジェクトマネジメントや基本情報技術者試験、応用情報技術者試験の学習を進めていると、ネットワーク図やPERT図の中でクリティカルパスを求める問題によく出会います。
この記事では、クリティカルパスの意味や重要性、ネットワーク図を使った求め方、問題を解くときの確認ポイントまで順を追って説明していきます。
クリティカルパスとは?

クリティカルパスは、プロジェクト全体のスケジュール管理で最も重要な考え方の一つです。
まずはクリティカルパスの基本的な意味を確認したうえで、プロジェクト全体の納期との関係について見ていきます。
プロジェクト全体の納期を左右する最長経路のこと
クリティカルパスとは、開始から完了までの複数の経路のうち、合計の所要時間が最も長い経路のことです。
例えば、経路Aが12日、経路Bが15日、経路Cが10日なら、15日かかる経路Bがクリティカルパスになります。
この経路上の作業が遅れると、プロジェクト全体の完了日も遅れるため、納期を管理するうえで特に重要な経路とされています。
クリティカルパス上の作業が遅れると全体の遅れにつながる
クリティカルパス上の作業には余裕時間がないため、1日遅れると後続作業も順番に遅れていきます。
その結果、最終的な完了日も後ろにずれ、プロジェクト全体の納期に影響します。そのため、クリティカルパス上の作業は特に進捗管理が重要とされています。
プロジェクトマネジメントでクリティカルパスが重要な理由

クリティカルパスを把握すると、単に最長経路が分かるだけではありません。
ここでは、プロジェクトマネジメントにおいてクリティカルパスが重要とされる理由を具体的に見ていきましょう。
優先すべきタスクが明確になる
クリティカルパスを特定すると、納期に直接影響する重要な作業が分かります。
クリティカルパス上の作業は遅れが全体の遅延につながるため、進捗確認や人員配置を優先して行うべき対象が明確になります。
その結果、限られた時間や人員を重要な作業に集中させやすくなります。
納期遅れの原因を事前に見つけやすくなる
クリティカルパスを把握すると、納期に直結する作業を事前に確認できます。
クリティカルパス上の作業で進捗の遅れや作業時間の超過が発生すると、そのまま最終納期の遅れにつながるためです。
そのため、遅延の可能性がある作業を早い段階で見つけやすくなり、事前に対策を検討しやすくなります。
余裕のある作業と遅らせられない作業を分けられる
クリティカルパスを確認すると、余裕時間がない作業と、数日分の余裕がある作業を区別できます。
余裕時間がない作業は遅れるとプロジェクト全体の納期に影響しますが、余裕がある作業は一定の範囲内で調整できます。
そのため、遅らせられない作業と調整可能な作業を分けて管理しやすくなります。
クリティカルパスを使うメリット

クリティカルパスはプロジェクト管理に役立つ手法ですが、具体的にどのような効果が得られるのかを理解しておくことも重要です。
ここでは、クリティカルパスを使うことで得られる主なメリットを確認していきましょう。
スケジュール全体を管理しやすくなる
クリティカルパスを把握すると、どの作業が全体の完了日に影響するのかを工程全体の中で確認できます。
作業の順序や所要日数、依存関係を整理したうえで進捗を確認できるため、優先して管理すべき作業を判断しやすくなります。
その結果、スケジュール全体を計画どおりに管理しやすくなります。
人員や時間を重要な作業に集中させやすくなる
クリティカルパスを特定すると、納期に直接影響する重要な作業が明確になります。
クリティカルパス上の作業は遅れると全体の完了日にも影響するため、人員の追加や作業時間の確保を優先して判断しやすくなります。
その結果、限られた人員や時間を重要な作業に集中させやすくなります。
遅延リスクやボトルネックに早めに対応しやすくなる
クリティカルパスを把握すると、納期に影響する作業の進捗を重点的に確認できます。
予定日数を超える兆候や作業の遅れが見つかった場合は、人員追加や工程調整を早めに検討できます。
その結果、遅延リスクやボトルネックにも迅速に対応しやすくなります。
クリティカルパスの求め方

クリティカルパスを見つけるには、単に作業期間を比較するだけではなく、タスクの順序や依存関係を整理しながら順番に確認していく必要があります。
ここでは、クリティカルパスを求める基本的な流れを順を追って見ていきましょう。
クリティカルパスを求める前に、まずタスクを漏れなく整理したい方は、タスクの洗い出し方法を先に確認しておくと理解しやすくなります。
タスクの洗い出しを漏れなく進める方法|プロジェクトマネジメントで失敗しない整理手順とは
タスクをすべて洗い出す
クリティカルパスを求める最初の手順は、プロジェクト完了までに必要な作業を漏れなく洗い出すことです。
設計、開発、テスト、納品などの作業を個別のタスクとして整理し、一覧化します。
必要なタスクが抜けていると正しいスケジュールを作れないため、最初に全体の作業を明確にしておくことが大切です。
タスク同士の依存関係を整理する
タスクを洗い出した後は、どの作業が終われば次の作業を開始できるのかを整理します。
例えば、設計が終わってから開発を行い、開発後にテストを進めるといった流れです。
前後関係が正しく整理されていないと所要時間を正確に計算できないため、依存関係を先に明確にしておくことが大切です。
各タスクに必要な期間を見積もる
依存関係を整理した後は、各タスクに必要な作業期間を日数や時間で見積もります。
すべてのタスクの所要期間が分からないと、経路ごとの合計日数を計算できないためです。
期間の見積もりによってクリティカルパスの結果も変わるため、できるだけ実態に近い日数を設定することが大切です。
開始から完了までの最長経路を確認する
タスクの依存関係と所要期間を設定した後は、開始から完了までの各経路の合計日数を計算します。
複数の経路がある場合は、それぞれの所要日数を比較し、最も長い経路を確認します。
この最長経路がクリティカルパスとなり、プロジェクト全体の完了日を左右します。
クリティカルパスと似た管理方法との違い

クリティカルパスはスケジュール管理でよく使われる考え方ですが、工程表やガントチャート、PERTなどの管理手法と混同されることがあります。
ここでは、クリティカルパスと関連する管理手法の特徴を比較しながら整理していきましょう。
「PERTとクリティカルパスの違いがまだ分かりにくい」「ネットワーク図の読み方をもう少し詳しく知りたい」と感じる場合は、PERT図の基本から確認すると理解を深めやすくなります。
▶PERT図とは?見方や書き方、クリティカルパスとの関係をわかりやすく解説
工程表は作業全体の流れを整理するもの
工程表は、各作業の開始日や終了日、実施順序を一覧で示し、プロジェクト全体の流れを整理するために使います。
どの作業をいつ実施するのかを確認できるため、進捗管理や日程調整に役立ちます。作業の流れを見える化し、全体を把握しやすくするための管理手法といえるでしょう。
ガントチャートはスケジュールを見える化するもの
ガントチャートは、各作業の開始日から終了日までを横棒で表示し、スケジュールを時系列で確認できる管理手法です。
どの作業が進行中なのか、予定より遅れているのかを視覚的に把握しやすいため、進捗状況の確認に役立ちます。
スケジュールを見える化し、全体の進み具合を把握しやすくするための方法です。
PERTは作業の順序や関係性を整理するもの
PERTは、各作業の前後関係や依存関係を矢印と結合点で表し、どの順番で作業を進める必要があるのかを整理する手法です。
どの作業が終われば次の作業を開始できるのかを明確にできるため、作業の流れを把握しやすくなります。
作業の順序や関係性を見える化するための管理手法といえるでしょう。
クリティカルチェーンはリソース制約まで考えるもの
クリティカルチェーンは、作業の順序や所要時間だけでなく、人員や設備などの利用可能なリソースも考慮して工程を管理する手法です。
例えば、同じ担当者が複数の作業を同時に進められない場合は、その条件を反映してスケジュールを作成します。
リソースの制約まで含めて、現実的な工程を管理するための方法といえるでしょう。
クリティカルパスを使うときの注意点

クリティカルパスはスケジュール管理に有効な手法ですが、計算結果だけを信頼すると実際の進行状況とずれが生じることがあります。
ここでは、クリティカルパスを使う際に確認しておきたいポイントを見ていきましょう。
タスクの抜け漏れがあると正しく判断できない
クリティカルパスは、洗い出したタスクと所要期間を基に計算するため、必要な作業が抜けていると正しい経路を特定できません。
作業が不足した状態で計算すると、合計日数や依存関係が変わり、本来とは異なる結果になるためです。
そのため、最初にタスクを漏れなく整理しておくことが大切です。
作業期間の見積もりが甘いと計画が崩れやすい
クリティカルパスの計算結果は、各作業の所要期間を基に決まります。
そのため、見積もりが実際より短いと予定どおりに進まなくなり、特にクリティカルパス上の作業で遅れが出ると、全体の完了日にも影響します。
無理のない作業期間を設定することが大切です。
複雑なプロジェクトでは管理しにくくなる場合がある
作業数が多く、依存関係が複雑なプロジェクトでは、クリティカルパスの管理が難しくなることがあります。
作業の追加や日数変更があるたびに見直しが必要になり、前後関係の確認にも時間がかかるためです。
そのため、プロジェクトが大規模になるほど管理の負担が大きくなる場合があります。
変更が出たらクリティカルパスも見直す必要がある
作業期間の変更やタスクの追加・削除が発生すると、経路ごとの合計日数も変わります。
そのため、これまでクリティカルパスだった経路以外が最長経路になることもあります。
変更前の状態で管理を続けると重要な作業を見落とす可能性があるため、変更が出た際はクリティカルパスも見直すことが大切です。
クリティカルパスはどんなプロジェクトで使うべきか

クリティカルパスはすべてのプロジェクトで同じように必要になるわけではありません。
ここでは、クリティカルパスの活用が有効なプロジェクトの特徴について確認していきましょう。
納期が決まっているプロジェクト
納期が契約日や公開日などで決まっているプロジェクトでは、どの作業の遅れが完了日に影響するのかを把握することが重要です。
クリティカルパスを確認すれば、納期に直結する作業を特定できるため、遅延が起きやすい工程を重点的に管理できます。
期限を守る必要があるプロジェクトで特に役立つ手法です。
作業の順番や依存関係が多いプロジェクト
複数の作業が連続し、それぞれに前後関係があるプロジェクトでは、どの作業が全体工程に影響するのか把握しにくくなります。
作業同士の依存関係が多いほど、1つの遅れが後続工程に影響するためです。
そのため、作業の順番や依存関係が多いプロジェクトでは、クリティカルパスの活用が役立ちます。
遅れが全体に影響しやすいプロジェクト
一部の作業が遅れるだけで、後続作業や最終納期に影響するプロジェクトでは、遅延の管理が重要になります。
クリティカルパスを確認すれば、どの作業の遅れが全体工程に影響するのかを把握できます。
そのため、遅れが全体に波及しやすいプロジェクトで特に役立つ手法です。
クリティカルパスを作るときにまず始めること

クリティカルパスを正しく作成するためには、いきなり経路を探すのではなく、事前準備を順番に進めることが大切です。
ここでは、クリティカルパス作成の前に取り組むべき基本的な準備について見ていきましょう。
最初はタスクの洗い出しから始める
クリティカルパスを作成する際は、まずプロジェクト完了までに必要な作業をすべて洗い出します。
設計、開発、テスト、納品などの作業を個別のタスクとして整理し、一覧化します。
必要なタスクが抜けていると正しいスケジュールを作れないため、最初にタスクを漏れなく整理しておくことが大切です。
依存関係がある作業を優先して整理する
タスクを洗い出した後は、前の作業が完了しなければ開始できない作業を優先して整理します。
どの作業がどの作業に依存しているのかを明確にしなければ、正しい経路を作成できないためです。
依存関係を先に整理しておくことで、クリティカルパスを正確に計算しやすくなります。
複雑な場合は表やツールで見える化する
作業数や依存関係が多い場合は、一覧表やプロジェクト管理ツールを使って見える化します。
作業の前後関係や所要期間を図や表で整理することで、経路の確認や計算ミスを防ぎやすくなるためです。
複雑なプロジェクトほど、情報を整理して全体を見渡せる状態にしておくことが大切です。
まとめ
クリティカルパスとは、プロジェクト全体の納期を決める最長経路のことです。
クリティカルパス上の作業が遅れると、その影響がそのまま全体の完了日に及ぶため、優先して管理する必要があります。
クリティカルパスを把握しておくと、納期に影響する重要な作業を見つけやすくなり、人員配置や進捗確認の優先順位も決めやすくなります。
一方で、タスクの抜け漏れや作業期間の見積もりが不正確だと、正しい経路を判断できないため注意が必要です。
まずは必要なタスクを洗い出し、依存関係と所要期間を整理することが大切です。
クリティカルパスを正しく把握できれば、納期を意識したスケジュール管理を進めやすくなるでしょう。