目次
はじめに
「プロジェクト管理には、どんな手法があるの?」
「ウォーターフォールやアジャイルといった言葉は聞くけれど、自分のプロジェクトにはどれを選べばいい?」と迷っていませんか。
新しいシステムの開発や社内プロジェクトを任されたとき、進め方を決めようとしても、それぞれの手法の違いや向いているケースが分からず、判断に困ることもありますよね。
この記事では、代表的なプロジェクト管理手法の特徴と違い、目的に合った手法を選ぶポイントを解説します。
プロジェクト管理の手法は4つの種類に分けて考える
プロジェクト管理の手法には多くの種類がありますが、それぞれ目的や使う場面が異なります。
ここでは、プロジェクト管理の手法を「進め方」「計画・工程管理」「進捗の可視化」「管理体系・複数案件管理」の4つに分け、それぞれに当てはまる代表的な手法を説明します。
プロジェクトの進め方を決める手法
ウォーターフォールは、要件定義や設計、開発、テストなどの工程を順番に進める手法です。
アジャイルは、計画から改善までを短い期間で繰り返し、要望や仕様変更を次の開発に反映します。
ハイブリッドは、全体の計画はウォーターフォール、変更が多い部分はアジャイルにするなど、両方の特徴を取り入れる手法です。
計画や工程管理に使う手法
WBSは、プロジェクトに必要な作業を細かく分け、担当するタスクを整理する手法です。
PERTは、作業の前後関係や所要時間を整理し、遅れが全体のスケジュールに与える影響を確認します。
CCPMは、人員や設備などの制約も考慮しながらバッファを設け、納期の遅れを管理する手法です。
進捗を可視化する手法
ガントチャートは、タスクごとの開始日や終了日、進捗状況を横棒で表示し、スケジュールを確認する方法です。
予定と現在の進み具合を比べられるため、遅れているタスクにも気づきやすくなります。
カンバンは、「未着手」「作業中」「完了」などの列にタスクを配置し、現在の進捗を分かりやすく確認する方法です。
管理の体系や複数案件に活用する手法
PMBOKは、プロジェクト管理の原則や考え方などを体系的にまとめたガイドです。
個別のタスクを管理するものではなく、プロジェクトを進めるうえで必要な判断や管理の考え方を整理する際に役立ちます。
PPMは、複数のプロジェクトを比較し、予算や人員、優先順位を踏まえて、どの案件に経営資源を配分するかを判断する管理方法です。
プロジェクト管理の代表的な手法を比較
プロジェクト管理に使われる手法は、タスクの分解、スケジュール管理、工程の分析、進捗の可視化など、それぞれ得意とする役割が異なります。
ここでは、代表的な7つの手法について、何を管理するためのものなのかを比較しながら説明します。
WBS|タスクを分解して作業範囲を明確にする
WBSは、プロジェクトに必要な作業を成果物や工程ごとに分解し、タスクを整理する手法です。
大きな作業を実行できる単位まで分けることで、作業の抜けや重複を確認しやすくなります。
また、タスクごとの担当範囲が明確になり、誰が何を担当するのかも決めやすくなります。
ガントチャート|スケジュールと進捗を可視化する
ガントチャートは、縦軸にタスク、横軸に日付や期間を配置し、それぞれの予定を横棒で表示する方法です。
予定と現在の進捗を見比べることで、順調に進んでいるタスクや遅れているタスクを把握できます。
複数の作業が重なる期間も確認しやすく、全体のスケジュール管理に役立ちます。
PERT|タスクの依存関係と所要期間を把握する
PERTは、タスクを前後関係に沿ってつなぎ、それぞれの所要時間からプロジェクトの完了までにかかる期間を把握する手法です。
どのタスクが終わらなければ次へ進めないのかを整理できるため、作業の順序が分かりやすくなります。
また、全体の完了時期に影響する重要な工程を把握する際にも役立ちます。
CCPM|重要な工程とバッファを管理する
CCPMは、タスクの依存関係に加えて、人員や設備などの制約も考慮しながら工程を管理する手法です。
各タスクに余裕を持たせるのではなく、工程の途中や最後にバッファを設け、その消費状況を確認します。
これにより、納期に影響する遅れを早めに把握しやすくなります。
カンバン|作業状況を見える化して進捗を管理する
カンバンは、タスクをカードにして「未着手」「作業中」「完了」などの列に分け、現在の作業状況を見える化する方法です。
作業が進むたびにカードを移動することで、それぞれのタスクがどの段階にあるのかを確認できます。
特定の列にカードが集中していれば、作業が滞っている工程にも気づきやすくなります。
PMBOK|プロジェクト管理の知識や原則を体系的に整理する
PMBOKは、プロジェクト管理に必要な原則や考え方を体系的にまとめたガイドです。
個別のタスクや日程を直接管理する手法ではなく、プロジェクトを進めるうえで何を確認し、どのような観点で判断するかを整理する際に活用します。
PMBOKを実際のプロジェクト管理に活かしたい場合は、最新版で考え方がどのように変わったのかも確認しておくと理解しやすくなります。
▶PMBOK第6版と第7版の違い|どっちから学ぶべきかを解説
PPM|複数のプロジェクトをまとめて管理する
PPMは、複数のプロジェクトをまとめて管理し、予算や人員、優先順位などを比較する方法です。
各案件の状況を見比べながら、どのプロジェクトに経営資源を配分するかを判断できます。
限られた予算や人員を有効に活用し、案件の継続や縮小、停止を検討する際にも役立ちます。
プロジェクトの進め方を決める代表的な開発・管理手法
プロジェクトを進める際は、作業の順序や変更への対応方法をどのように決めるかによって、適した手法が異なります。
ここでは、代表的なウォーターフォール・アジャイル・ハイブリッドの3つについて、それぞれの進め方の違いを説明します。
ウォーターフォール|計画に沿って工程を順番に進める
ウォーターフォールは、要件定義、設計、開発、テストなどの工程を決め、前の工程を完了してから次へ進む手法です。
最初に作業内容や期限を決めるため、計画と照らし合わせながら進捗を確認しやすくなります。
途中の変更は後続工程にも影響するため、開始前に要件や作業範囲を固めて進めることが基本です。
アジャイル|短いサイクルで実行と改善を繰り返す
アジャイルは、必要な機能や作業を小さく分け、計画、実行、確認、改善を短いサイクルで繰り返す手法です。
完成した内容を確認しながら、修正点や新しい要望を次のサイクルへ反映します。
すべての仕様を最初から固定せず、状況に合わせて調整しながら進められる点が特徴です。
アジャイルで具体的にどのようにプロジェクトを進めるのか迷う場合は、代表的な手法であるスクラムの進め方も確認しておきましょう。
▶スクラム開発とは?アジャイルとの違いや進め方をわかりやすく解説
ハイブリッド|ウォーターフォールとアジャイルを組み合わせる
ハイブリッドは、ウォーターフォールとアジャイルを一つのプロジェクト内で組み合わせる手法です。
全体の工程や納期はウォーターフォールで決め、変更が多い部分はアジャイルで進めるなど、それぞれの特徴を活かします。
全体の計画を維持しながら、必要な部分を柔軟に調整できる点が特徴です。
目的からプロジェクト管理手法を選ぶ
プロジェクト管理の手法を選ぶときは、知名度や使われている頻度だけでなく、何を管理したいのかを明確にすることが大切です。
ここでは、プロジェクト管理で解決したい目的ごとに、WBS・ガントチャート・PERT・CCPM・カンバン・PMBOK・PPMの選び方を説明します。
タスクや作業範囲を整理したい場合
タスクや作業範囲を整理したい場合は、WBSが適しています。
必要な作業を実行できる単位まで分解することで、作業の抜けや重複を確認しやすくなり、プロジェクトで対応する範囲も明確にできます。
スケジュールと進捗を把握したい場合
スケジュールと進捗を把握したい場合は、ガントチャートが適しています。
タスクごとの予定期間と現在の進み具合を見比べられるため、予定どおり進んでいる作業や遅れが発生している作業を確認できます。
工程の依存関係を把握したい場合
工程の依存関係を把握したい場合は、PERTが適しています。
タスクの前後関係や所要時間を整理することで、作業の順序やプロジェクト全体の完了時期に影響する工程を把握できます。
納期遅延のリスクを抑えたい場合
納期遅延のリスクを抑えたい場合は、CCPMが適しています。
タスクの依存関係や人員などの制約を考慮してバッファを設け、その消費状況を確認することで、納期に影響する遅れに早めに対応できます。
日々の作業状況を把握したい場合
日々の作業状況を把握したい場合は、カンバンが適しています。
「未着手」「作業中」「完了」などにタスクを分けて表示することで、現在の作業状況や、作業が滞っている工程をひと目で確認できます。
管理方法を体系的に整理したい場合
プロジェクトの管理方法を体系的に整理したい場合は、PMBOKを活用できます。
プロジェクト管理の原則や考え方が体系的にまとめられているため、何を確認し、どのような観点で判断するかを整理する際に役立ちます。
複数プロジェクトの優先順位を決めたい場合
複数プロジェクトの優先順位を決めたい場合は、PPMが適しています。
予算や人員、重要度などを比較することで、どの案件を優先し、限られた経営資源をどのように配分するかを判断しやすくなります。
プロジェクト管理手法を選ぶときの判断基準
プロジェクト管理手法は、目的に合うものを選ぶだけでなく、実際のプロジェクトの条件に合わせて判断する必要があります。
ここでは、解決したい課題や管理対象、プロジェクトの規模・複雑さ、計画変更の多さ、チームの人数や管理体制という4つの基準から選び方を説明します。
解決したい課題と管理する対象から選ぶ
まずは、プロジェクトで何に困っていて、何を管理したいのかを明確にします。
作業の抜けを防ぎたいならタスク、遅れを確認したいなら日程や進捗など、管理する対象を整理すると目的に合った手法を選びやすくなります。
プロジェクトの規模と複雑さから選ぶ
プロジェクトの規模や複雑さは、タスクや工程、関係する部署の数などから判断します。
規模が大きく、複数の作業が関係し合う場合は、作業範囲だけでなく依存関係まで整理できる手法を選ぶと管理しやすくなります。
計画変更の多さや不確実性から選ぶ
要件や工程を事前に固めやすい場合は、決めた計画に沿って管理できる手法が向いています
。一方、要件や優先順位が変わりやすい場合は、短い期間ごとに計画を見直し、変更を取り入れながら進められる手法が適しています。
チームの人数や管理体制から選ぶ
チームの人数や関係部署が増えるほど、担当範囲や進捗を全員で共有できる管理方法が必要になります。
少人数ならシンプルな方法でも管理できますが、人数が多い場合は、担当者や期限、進捗などを複数人で確認しやすい手法を選びましょう。
プロジェクト管理の手法は組み合わせて使える
プロジェクト管理の手法は、必ずしも一つだけを選んで使う必要はありません。
ここでは、WBS・ガントチャート・PERT・CCPM・カンバンを組み合わせる代表的な使い方を説明します。
WBSとガントチャートでタスクとスケジュールを管理する
WBSで必要な作業をタスク単位まで分解し、それぞれの開始日と終了日を決めてガントチャートに配置します。
作業内容とスケジュールを対応させることで、タスクの抜けを防ぎながら、予定どおり進んでいるかを確認しやすくなります。
PERTとCCPMで工程と遅延リスクを管理する
PERTでタスクの前後関係や所要時間を整理し、プロジェクトの完了時期に影響する工程を確認します。
さらにCCPMで人員や設備などの制約を考慮してバッファを設けることで、納期に影響する遅れを早めに把握しやすくなります。
WBSとカンバンで計画と日々の進捗を管理する
WBSで必要な作業をタスク単位まで整理し、それぞれをカンバンのカードとして登録します。
「未着手」「作業中」「完了」などにカードを分けることで、計画したタスクが現在どの段階にあるのかを確認しやすくなります。
まとめ
プロジェクト管理の手法は、それぞれ得意とする管理対象や使い方が異なるため、一つの方法ですべてを管理しようとする必要はありません。
まずは「タスクを整理したい」「進捗を把握したい」「納期の遅れを防ぎたい」など、プロジェクトで解決したい課題を明確にすることが大切です。
そのうえで、プロジェクトの規模や変更の多さ、チームの体制なども考えながら、目的に合った手法を選んでみましょう。
必要に応じて複数の手法を組み合わせると、無理なく管理しやすい形を整えられます。