目次
はじめに
心理的安全性という言葉を聞いたことはあっても、「実際に職場の心理的安全性はどうやって確認すればいいのだろう」「自分のチームは心理的安全性が高いのか、それとも低いのか」と疑問に感じる方は多いのではないでしょうか。
例えば、会議で発言しようとしたときに「こんなことを言ったら否定されるかもしれない」と感じて言葉を飲み込んでしまう人が多い職場なのか、それとも新人や若手でも遠慮せず意見を出せる職場なのかによって、チームの雰囲気や成果は大きく変わります。
こうした状態を感覚だけで判断するのではなく、実際の職場の様子やメンバーの感じ方を質問項目で確認し、チームの状況を具体的に把握する方法が「心理的安全性の尺度」です。
この記事では、「心理的安全性はどのような質問で確認できるのか」「どのような観点で職場の状態を見ていけばよいのか」といった疑問に答えるために、心理的安全性の尺度の考え方と、実際に使われている代表的なチェック項目を順を追ってわかりやすく説明していきます。
心理的安全性の「尺度」とは?

心理的安全性の尺度とは、「このチームでは意見を言っても問題ない」とメンバーが感じている度合いを、質問項目への回答で数値化して測定する方法です。
一般的には5〜7個程度の質問に対して
1(まったくそう思わない)〜5(非常にそう思う)
の5段階で回答してもらい、全メンバーの平均値を算出してチームの状態を判断します。
平均値が4.0に近いほど、会議で発言しやすい、ミスを報告しやすいと感じているメンバーが多い状態と判断できます。
逆に平均値が3.0以下の場合は、発言すると否定される可能性を感じているメンバーが一定数いる状態と判断され、チーム内の心理的安全性が低いと評価されます。
よく使われる代表的な『心理的安全性尺度』

よく使われている心理的安全性の尺度として知られているのは、ハーバード大学の教授であるエイミー・エドモンドソンが作成した7項目の質問票です。
この尺度では、チームのメンバーに対して7つの質問に回答してもらい、それぞれを1(まったくそう思わない)〜5(非常にそう思う)の5段階で評価します。
回答結果は各質問の数値を合計または平均して算出し、チーム全体の平均値で心理的安全性の状態を判断します。
例えば7項目の平均値が4.0以上であれば、会議で意見を出すことやミスを報告することに対して心理的な抵抗を感じていないメンバーが多い状態と判断されます。
一方で平均値が3.0以下の場合は、発言や報告をためらうメンバーが一定数いる状態と判断され、心理的安全性が十分に確保されていないチームと評価されます。
エドモンドソンの心理的安全性尺度の具体的な7項目

エドモンドソンの心理的安全性尺度では、チームのメンバーに対して7つの質問を提示し
それぞれの項目について1(まったくそう思わない)から5(非常にそう思う)までの5段階で回答してもらいます。
質問内容は
①「このチームではミスをすると非難される」
②「このチームのメンバーは問題や難しい課題を率直に指摘できる」
③「このチームでは自分と違う意見を出しても拒絶されない」
④「このチームではリスクのある発言をしても安全である」
⑤「このチームのメンバーに助けを求めることは難しい」
⑥「このチームのメンバーは他人の努力を意図的に邪魔しない」
⑦「このチームでは自分のスキルや能力を発揮して仕事ができる」
という7項目です。
回答は各項目ごとに数値化され、7項目の平均値を算出することでチームの心理的安全性の水準を数値で判断できます。
簡単に使える心理的安全性チェック項目

心理的安全性を簡単に確認する方法として、チームのメンバーに対して5〜7個程度の質問に答えてもらい
1(まったくそう思わない)から5(非常にそう思う)までの5段階で評価するチェック方法がよく使われます。
例えば
「会議で自分の意見を発言できる」
「ミスをしたときに事実をそのまま報告できる」
「上司や同僚に質問しても否定されない」
「自分と違う意見を出しても人間関係が悪くならない」
「困ったときにチームメンバーに助けを求められる」
といった項目に回答してもらい、それぞれの数値を集計して平均値を算出します。平均値が4.0に近い場合は、発言や報告をためらわないメンバーが多い状態と判断されます。
一方で平均値が3.0以下の場合は、発言や相談を控えるメンバーが一定数いる状態と判断され、チーム内の心理的安全性が低い可能性が高いと評価されます。
心理的安全性を測定するときの考え方と注意点

心理的安全性を測定するときは、単に数値を集めることが目的ではありません。測定の方法や扱い方を誤ると、本来知りたい職場の状態を正しく把握できなくなることがあります。そのため、数値の見方や調査の実施方法、結果の使い方にはいくつかの基本的な考え方と注意点があります。ここでは、心理的安全性を測定するときに押さえておくべきポイントを確認します。
数値は「比較」より「変化」を見る
心理的安全性のアンケート結果は、部署同士の点数を並べて優劣を判断するためではなく、同じチームの数値が前回からどの程度変化したかを見るために使います。
例えば7項目の質問を5段階で回答して平均点を出した場合、前回3.1だったチームが3か月後に3.6になったのか、2.9に下がったのかを確認します。同じ組織でも人数や業務内容が違えば平均点は変わるため、他チームとの点数差を比べても改善状況は判断できません。
一定期間ごとに同じ質問と同じ回答尺度で測定し、前回との差を確認することで、発言しやすさやミスの共有のしやすさが実際に改善しているかを判断できます。
匿名性を確保する
心理的安全性のアンケートでは、回答者の名前や社員番号を記入させず、個人が特定できない形で回答を集めます。
例えば10人のチームで7項目の質問を5段階評価で回答してもらう場合でも、回答結果は個人単位では表示せず、チーム全体の平均点や分布だけを確認します。
回答者が特定される可能性があると、実際の考えと違う評価を選ぶ人が増え、数値が実態を反映しなくなります。
名前を記録しない形式で回答を回収することで、メンバーは発言しにくさやミスの共有に関する本音をそのまま回答でき、測定結果の信頼性が保たれます。
結果は評価ではなく対話に使う
心理的安全性のアンケート結果は、人事評価や査定の点数として使わず、チームで状況を確認するための対話の材料として使います。
例えば7項目を5段階で回答して平均点が3.2だった場合、その数値を根拠に特定の上司やメンバーを評価するのではなく、「発言しやすさの質問が2.9だった理由は何か」「ミスの共有に関する質問が前回より0.4上がった理由は何か」といった点を会議で話し合います。
評価に直結すると回答者が実際より高い点数を選ぶ傾向が強まり、数値が実態を示さなくなります。
結果を議論の材料として共有することで、回答内容に基づいた具体的な改善点をチーム内で確認できます。
心理的安全性の尺度を活かすポイント

心理的安全性の尺度を活かすためには、チームメンバー全員に同じ質問項目を定期的に回答してもらい、平均値の変化を数値で確認することが重要です。
例えば7項目の質問に対して1〜5の5段階で回答してもらい、全員の平均値を算出します。
その結果を1回だけ確認するのではなく、3か月や6か月など一定の間隔で同じ質問を実施し、平均値が3.2から3.8へ上がったのか、3.8から3.1へ下がったのかを比較します。
数値を同じ方法で継続的に測定することで、会議で発言しやすくなっているのか、ミスの報告がしにくくなっているのかといったチームの状態の変化を判断できます。
▶ 心理的安全性を高める方法とは?職場で今日からできる具体的な行動例
発言しやすい雰囲気をつくるために、リーダー・メンバーそれぞれが意識したい行動を、現場目線で解説しています。
まとめ
心理的安全性を測定するときは、数値の高さだけを見て判断するのではなく、測定方法と結果の使い方に注意することが重要です。
アンケート結果はチーム同士で点数を比較するのではなく、同じチームの数値が前回からどの程度変化したかを確認することで、職場の状態が改善しているかを判断できます。
また、回答では名前や社員番号を記録せず、個人が特定されない形でデータを集めることが必要です。回答者が特定される可能性があると、本音ではない回答が増え、結果が実態を反映しなくなります。
さらに、得られた数値は人事評価や査定の材料にするのではなく、チーム内で状況を確認し、課題を話し合うための対話の材料として使うことが大切です。こうした考え方を守ることで、心理的安全性の測定結果を職場改善に役立てることができます。