コミュニケーションスキル

心理的安全性の尺度とは?簡単なチェック項目と測定の考え方

はじめに(結論)

心理的安全性は「雰囲気」や「感覚」ではなく、質問項目(尺度)を使って一定程度“測る”ことができます。代表的な尺度をベースに、簡単なチェック項目で現状を把握し、数値や傾向として捉えることが改善の第一歩です。

心理的安全性の「尺度」とは何か

心理的安全性の尺度とは、チームや職場で「意見を言いやすいか」「失敗を共有できるか」などを質問形式で確認し、その回答傾向から状態を判断する指標のことです。主観的になりやすい心理状態を、共通の物差しで捉えるために使われます。

よく使われる代表的な心理的安全性尺度

最も広く知られているのが、エイミー・エドモンドソン教授が提唱した7項目の心理的安全性尺度です。研究や実務でも多く引用されています。

エドモンドソンの心理的安全性尺度(代表例)

以下は考え方をそのまま活かした、日本語で使いやすい形の例です。
・このチームでは、間違いを指摘されることを恐れずに発言できる
・問題が起きたとき、責められるよりも改善に意識が向く
・自分の意見やアイデアを安心して共有できる
・分からないことを質問しやすい雰囲気がある
・他のメンバーは自分の話を尊重して聞いてくれる
・意見の違いがあっても、人間関係が悪くならない
・失敗を学びとして扱う文化がある
「そう思う〜そう思わない」など、5段階程度で回答すると傾向が見えやすくなります。

簡単に使える心理的安全性チェック項目(実践向け)

現場ですぐ使いたい場合は、項目数を絞った簡易チェックでも十分効果があります。

簡易チェック例(5問)

・会議で反対意見を言いやすい
・分からないまま仕事を進めることが少ない
・ミスを報告しても過度に責められない
・立場に関係なく意見が扱われている
・困ったときに助けを求めやすい
「はい/どちらとも言えない/いいえ」でも構いません。否定的な回答が多い項目が、改善のヒントになります。

測定するときの考え方と注意点

数値は「比較」より「変化」を見る

他チームとの比較よりも、同じチーム内での変化を見ることが重要です。定期的に測定すると改善の効果が分かります。

匿名性を確保する

正直な回答を得るためには、個人が特定されない形で行うことが前提です。記名式だと実態が歪みやすくなります。

結果は評価ではなく対話に使う

スコアが低い=悪いチーム、ではありません。あくまで「話し合う材料」として使うことで、心理的安全性の向上につながります。

心理的安全性の尺度を活かすポイント

心理的安全性は一度測って終わりではなく、行動改善とセットで活かすものです。
・なぜその項目が低かったのかを話す
・改善行動を1つ決める
・一定期間後に再チェックする
この流れを回すことで、数値が実感のある変化につながります。

チェックの結果、「少し不安があるかも」と感じた場合は、日々の関わり方を見直すことが大切です。

▶ 心理的安全性を高める方法とは?職場で今日からできる具体的な行動例
発言しやすい雰囲気をつくるために、リーダー・メンバーそれぞれが意識したい行動を、現場目線で解説しています。

まとめ

心理的安全性は、尺度やチェック項目を使うことで「見えない状態」を言語化・可視化できます。完璧な測定よりも、継続して状況を把握し、対話と改善につなげることが最も重要です。チームの空気を変える第一歩として、シンプルなチェックから始めてみてください。

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