目次
- はじめに
- 代表的なプロジェクトマネジメント手法の種類
- プロジェクトマネジメント手法の全体像
- PMBOK(Project Management Body of Knowledge)
- WBS(Work Breakdown Structure)
- PERT(Program Evaluation and Review Technique)
- ガントチャート(Gantt Chart)
- CCPM(Critical Chain Project Management)
- PPM(Project Portfolio Management)
- P2M(Project & Program Management)
- カンバン(Kanban)
- アジャイル・スクラム
- ICB(Individual Competence Baseline)
- 手法選択のポイントと使い分け
- まとめ
はじめに
プロジェクトマネジメントという言葉を耳にしたことがある方は多いかもしれませんが、実際にどのようなことを指すのか、また、なぜ多くの企業が重視しているのか気になる方もいるでしょう。プロジェクトマネジメントとは、決められた目的やゴールを達成するために、チームの人員や期限、予算といった資源をうまく管理し、最適な結果を出す工夫や取り組みのことです。身近な例としては、新しいサービスや商品の開発、大型イベントの運営、システムの導入など、多くの場面で必要とされています。
現代のビジネス環境は変化が激しく、プロジェクトがますます複雑化しています。こうした中、プロジェクトを効率よく進めるためには、状況や目的に合った管理手法を使うことが大切です。プロジェクトマネジメントには、代表的なやり方やフレームワークがいくつかあり、それぞれに特徴と強みがあります。
この記事では、プロジェクトマネジメントでよく使われる手法の種類や、それぞれの特徴、選び方のコツまでをわかりやすくご紹介します。
次の章では、代表的なプロジェクトマネジメント手法の種類についてご紹介します。
代表的なプロジェクトマネジメント手法の種類
プロジェクトマネジメント手法の全体像
前章では、プロジェクト運営の大切さと、その成功には適切な管理方法が不可欠であるとお伝えしました。本章では、実際に多くの現場で使われている代表的なプロジェクトマネジメント手法についてご紹介します。それぞれの手法の特徴や活用場面を具体例も交えて説明します。
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)
PMBOKは、世界的に広く使われているプロジェクト管理のガイドラインです。例えば、製造業やIT業界など、どの分野でも共通して使えます。プロジェクトを「準備・計画・実行・監視・完了」に分けて管理し、予算やスケジュール、品質など10の視点からプロジェクトを進めます。大きな組織や複雑なプロジェクトで力を発揮します。
WBS(Work Breakdown Structure)
WBSは「大きな作業を細かく分けて整理する手法」です。例えば、引っ越しの場合、「荷造り」「運搬」「荷解き」といった工程を更に小さな作業単位に分割します。抜け漏れを防ぎ、進捗の見える化ができるため、どのプロジェクトにも役立ちます。
PERT(Program Evaluation and Review Technique)
PERTは、作業の順序や関係性を線や矢印で図解します。家のリフォームの場合、「壁紙貼り」は「下地処理後」でないとできない、という順番を図で分かりやすく示せます。計画通り進んでいるか、どこが遅れているかを早く発見しやすいのが魅力です。
ガントチャート(Gantt Chart)
ガントチャートは、カレンダーのような図で仕事の進み具合を棒グラフで表現します。例えば、学校の文化祭の準備スケジュールなど、誰が何をいつまでにやるのか一目で分かります。進行中や遅れも視覚的にチェックできます。
CCPM(Critical Chain Project Management)
CCPMは「人手や道具が足りない場合の管理」に向いています。例えば、複数の工事現場を1台のクレーンで動かす場合、どこでクレーンを使うかを工夫して全体スケジュールを短縮します。「バッファ」と呼ばれる余裕をまとめて調整することで、納期遅延のリスクに備えます。
PPM(Project Portfolio Management)
PPMは「組織全体で複数のプロジェクトをまとめて管理」する考え方です。例えば、IT企業がいくつものアプリ開発を並行して進める場合、各プロジェクトにどれだけ人やお金を振り分けるか全体最適を検討します。
P2M(Project & Program Management)
P2Mは、日本で生まれた手法で、複数のプロジェクトを一体として戦略的に進めます。例えば、大企業が新製品開発と市場拡大を同時に進める場合、一つの目的に向かって各プロジェクトを連携させます。組織の戦略に直結したマネジメントが得意です。
カンバン(Kanban)
カンバンは、「仕事の見える化」が目的です。ボードに「未着手」「進行中」「完了」といった枠を作り、付箋やカードを動かしながら管理します。簡単な道具だけでスタートでき、飲食店の注文管理やソフトウェア開発現場でもよく使われています。
アジャイル・スクラム
アジャイルやスクラムは、「変化への柔軟さ」が特長です。例えば、スマートフォンアプリの開発で、使いながら徐々に機能を追加していくような場合に活躍します。2週間ごとに成果を出す小さなサイクルを回し、お客様の意見をこまめに取り入れます。
ICB(Individual Competence Baseline)
ICBは、プロジェクトを進める人自身のスキルや行動を見える化します。チームリーダーの適切な判断力やコミュニケーション力を評価・育成するための指針です。「どんな手順で進めるか」よりも「どんな人物が進めるか」を重視する考え方です。
これらの手法にはそれぞれ強みや得意な場面があります。次章では、どのように手法を選び、使い分ければよいかを解説します。
手法選択のポイントと使い分け
プロジェクトの規模や複雑さを考えましょう
プロジェクトの大きさや難しさによって、合う手法が変わります。例えば、何十人ものメンバーがいて、長期にわたる大規模なプロジェクトでは、「PMBOK」や「PERT」など計画や管理を重視する手法が適しています。逆に、少人数で進める短期間のプロジェクトや、やるべきことがはっきりしている場合は、もっとシンプルな方法でも十分です。
業種や目的に合わせた選び方
ソフトウェア開発のように、やることが途中でどんどん変わる場合は「アジャイル」や「スクラム」が向いています。これらは、小さな単位で仕事を区切り、短い期間ごとに成果を出していく方法です。一方で、製造業など決まった作業が繰り返される現場では「カンバン方式」もオススメです。ホワイトボードやポストイットを使って、進み具合を分かりやすく見せることもできます。
組織の戦略や管理レベルを意識する
会社全体で複数のプロジェクトを進める場合、「PPM」や「P2M」といった全体を管理しやすい手法を選ぶと良いでしょう。逆に、ひとつのタスクや小分けした工程の進み具合を細かく管理したいなら、「WBS」や「ガントチャート」のような図や表が役立ちます。これにより、どの作業が遅れているか一目で分かります。
ツールを上手に活用する
最近は、専門知識がなくても使いやすい便利なツールが増えています。例えば、「WBS」や「ガントチャート」、「カンバン方式」をネット上で簡単に管理できる「Jira」や「Miro」などのツールがあります。導入しやすく、情報共有もしやすいため、手法選びと一緒にツールの活用も考えてみましょう。
次の章では、今回の内容を簡単にまとめます。
まとめ
本記事では、プロジェクトマネジメントの代表的な手法と選び方についてご紹介しました。プロジェクトマネジメントにはさまざまなやり方があり、たとえば計画をきっちり立てて進める方法や、状況に応じて柔軟に対応する方法などがあります。どの手法も一長一短があり、プロジェクトの目的や規模、チームの体制によって向き不向きがあるため、自分たちの状況に合わせて選ぶことが大切です。
それぞれの手法の特徴を知り、具体的な運用例を意識することで、現場でも活かしやすくなります。また、手法をうまく使い分けることでプロジェクトの成功率をぐっと高めることができます。ぜひ今回の記事を参考に、ご自身のプロジェクト運営に役立ててみてください。