目次
はじめに
「プロジェクトマネジメントの計画プロセスって、何を決めればいいの?」
「計画は立てているつもりでも、どこまで決めれば十分なのか分からない…」
そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
プロジェクトは、計画が曖昧なまま進めると、担当者の役割が不明確になったり、無理なスケジュールで手戻りが発生したりしやすくなります。こうしたズレを防ぐために必要なのが、作業内容、進め方、担当範囲、期限、予算を事前に決める計画プロセスです。
この記事では、計画プロセスで何を決めるのか、どんな役割があるのか、プロジェクト全体の流れの中でどこに位置するのかを順番に整理していきます。
プロジェクトマネジメントの計画プロセスとは

プロジェクトマネジメントの計画プロセスは、作業を始める前に「何を・いつまでに・誰が・どの手順で進めるか」を具体的な数値と担当単位で決める工程です。
ここでは、計画プロセスがどのような役割を持ち、なぜ全体の成否を左右する重要な工程とされているのかを順に整理していきます。
計画プロセスの役割
計画プロセスの役割は、プロジェクト開始後すぐに実行へ進むのではなく、作業内容・担当者・期限・必要コストを事前に数値と担当単位で確定し、実行時の迷いと手戻りを防ぐことです。
具体的には、最終納期を2024年6月30日と決めた場合、各タスクを1日単位で分解し、担当者を1人単位で割り当て、開始日と終了日を日付で固定します。これにより、誰が何をいつまでに完了させるかが曖昧な状態を排除できます。また、想定工数を1タスクあたり8時間、総工数を120時間といった形で事前に見積もることで、実行中に発生する遅延を「予定との差分」として即座に把握できる状態を作ります。
このように、作業・人・時間・コストを具体的な数値で固定することで、実行プロセスでは計画との差を確認しながら進められるため、途中での方向修正やリカバリー判断をその場で行えるようになります。
計画プロセスが重要とされる理由
計画プロセスが重要とされる理由は、開始前に作業内容・担当者・期限・工数を数値で確定しておかないと、実行段階で進捗の遅れや担当の抜け漏れをその場で判断できなくなるためです。
たとえば、納期を6月30日、総タスク数を15件、各タスクの所要時間を8時間と設定していない状態では、進行中に1日遅れが発生しても、それが全体にどれだけ影響するかを即時に判断できません。
一方で、開始時点で日付単位のスケジュールと担当者を1人単位で固定していれば、1タスクの遅れが発生した時点で、後続タスクに何日影響するかをその場で計算できます。
このように、事前に数値と責任範囲を確定しておくことで、実行中の遅延や問題をその場で特定し、対応の優先順位を即座に決められる状態を作れるため、計画プロセスは重要とされています。
プロジェクトマネジメントの5つのプロセス群

プロジェクトマネジメントは、作業を思いつきで進めるのではなく、「開始から終了まで」を5つの工程に分けて順番に進めていきます。それぞれのプロセスでやるべき作業内容と判断基準が決まっているため、進行のズレや手戻りを防ぎやすくなります。
ここでは、立ち上げから終結までの5つのプロセス群を具体的に見ていきます。
立ち上げプロセス
立ち上げプロセスでは、プロジェクトを開始する前に、目的・成果物・期間・責任者を文書として確定し、関係者全員が同じ条件で開始できる状態を作ります。
具体的には、開始日を4月1日、終了日を6月30日、成果物を「Webサイト公開」、責任者を1名といった形で明確に定義し、プロジェクト憲章として1つの文書にまとめます。この段階で承認者を1名以上設定し、承認日を日付で記録することで、正式に開始してよい状態かどうかを判断できる基準を固定します。
これにより、誰の判断で始まったのか、何を完了すれば終了なのかが曖昧なまま進行する状態を防ぎ、計画プロセスへ移行するための前提条件を揃える役割を果たします。
計画プロセス
計画プロセスでは、立ち上げで確定した目的と期間をもとに、作業内容・順序・担当者・期限・工数を日付と数値で具体的に設定し、実行時にそのまま使える計画書として固定します。
具体的には、開始日4月1日から終了日6月30日までの期間を1日単位で分解し、全タスクを20件に整理し、それぞれに担当者1名、所要時間8時間、開始日と終了日を日付で設定します。
さらに、総工数を160時間、予算を50万円といった形で数値を確定し、遅延が発生した場合にどのタスクが何時間ずれているかを即時に判断できる状態にします。
このように、実行前に作業・人・時間・コストを具体的な数値で固定することで、実行プロセスでは計画との差分を基準に進捗と遅延を判断できるようになります。
実行プロセス
実行プロセスでは、計画プロセスで確定したタスク・担当者・期限・工数に従って、実際の作業を日単位で進め、進捗を計画値と照合しながら完了させていきます。
具体的には、4月1日に開始したタスクを担当者1名が8時間で完了させる前提で作業を進め、終了時点で実績時間と完了有無を記録し、計画との差を数値で確認します。予定より2時間遅れている場合は、その時点で後続タスクの開始日を1日単位で調整し、担当者の再割り当てや作業順序の変更を行います。
このように、事前に確定した計画を基準として実績を日々記録し、差分をもとにその場で修正を行うことで、納期に対して進行を維持する役割を担います。
監視・コントロールプロセス
監視・コントロールプロセスでは、計画で設定した日付・工数・コストと、実行中に記録された実績値を日単位で比較し、差分を数値で把握して修正判断を行います。
具体的には、各タスクの予定工数8時間に対して実績が10時間となった場合、差分2時間をその日の時点で記録し、残りタスクへの影響を合計時間で算出します。その結果、総工数160時間に対して5時間の超過が見込まれると判断した場合、担当者を1名追加する、または後続タスクの開始日を1日単位で後ろにずらすといった調整をその場で決定します。
このように、計画値と実績値の差分を数値で継続的に確認し、遅延やコスト超過を早い段階で修正することで、プロジェクト全体の進行を維持する役割を担います。
終結プロセス
終結プロセスでは、計画で定めた成果物がすべて完了しているかを項目単位で確認し、承認者1名以上から完了の承認を日付付きで取得したうえで、プロジェクトを正式に終了させます。
具体的には、成果物一覧に記載された全タスク20件について、完了チェックを1件ずつ実施し、未完了が0件であることを確認した時点で、6月30日付で完了承認を記録します。その後、実績工数160時間、実績コスト50万円といった最終数値を確定し、計画値との差分を数値で整理して記録に残します。
このように、成果物の完了確認と承認、最終数値の確定と記録を行うことで、未処理の作業や責任の曖昧な状態を残さずにプロジェクトを終了させる役割を担います。
計画プロセスで行う主な計画内容

計画プロセスでは、プロジェクトを予定通りに進めるために「何をやるのか」「いつまでに終わらせるのか」「いくらかけるのか」「どんな問題が起きる可能性があるのか」を具体的な数値と条件で決めていきます。
ここでは、実際に計画として整理する主要な内容と、その結果として作成される計画書について順に見ていきます。
スコープ計画
スコープ計画では、プロジェクトで実施する作業と実施しない作業を項目単位で明確に区分し、成果物の範囲を具体的に定義します。
具体的には、成果物を「Webサイト公開」と定めた場合、ページ数を10ページ、各ページの内容を仕様書1枚にまとめ、作業項目を合計20件に分解して一覧化します。同時に、「保守運用は含めない」「追加ページ制作は対象外」といった非対象項目も明記し、含まれる作業と含まれない作業を文書上で固定します。
このように、作業範囲と非対象範囲を数値と項目で確定することで、実行中に追加依頼や作業の拡大が発生した際に、当初計画との差を基準に対応可否を判断できる状態を作ります。
スケジュール計画
スケジュール計画では、スコープ計画で確定した作業項目を日付単位で並べ替え、開始日と終了日を具体的な日付で設定し、全体の完了日までの流れを固定します。
具体的には、開始日を4月1日、終了日を6月30日と設定し、全タスク20件を1日単位で配置し、各タスクに開始日と終了日を割り当てます。
さらに、各タスクの所要時間を8時間として順序を決め、前のタスクが完了しないと次のタスクに進めない関係を日付で連結させます。
このように、作業順序と日付を具体的に固定することで、実行中に1日単位の遅れが発生した場合でも、どのタスクに何日影響するかを即時に把握できる状態を作ります。
コスト計画
コスト計画では、スコープとスケジュールで確定した作業ごとに必要な人件費や外注費を数値で積み上げ、プロジェクト全体の予算を金額単位で確定します。
具体的には、1人あたりの作業単価を1時間5,000円と設定し、各タスクの所要時間8時間を掛け合わせて1タスクあたり40,000円と算出し、全20タスク分で合計800,000円といった形で総額を計算します。さらに、外注費が発生する作業については1件あたり100,000円など金額を固定し、人件費と合算して最終予算を確定します。
このように、作業単位で費用を数値化して合計額を事前に決めることで、実行中に発生するコストの増減を計画値との差分として把握し、予算内に収まっているかを判断できる状態を作ります。
リスク計画
リスク計画では、プロジェクト実行中に発生する可能性がある問題を事前に項目単位で洗い出し、それぞれの発生確率と影響度を数値で設定し、対応方法をあらかじめ決めておきます。
具体的には、タスク遅延の発生確率を30%、遅延日数を2日と設定し、発生した場合は担当者を1名追加する、または後続タスクを1日単位で再調整するといった対応手順を事前に定義します。さらに、外注作業の納期遅延についても、発生確率20%、影響日数3日と数値で見積もり、代替業者の手配や作業順序の変更といった対応をあらかじめ決めておきます。
このように、発生確率と影響を数値で設定し、対応手順を事前に固定することで、問題が発生した時点で判断に迷わず、即座に対応を実行できる状態を作ります。
計画プロセスの成果物(計画書)
計画プロセスの成果物である計画書は、スコープ・スケジュール・コスト・リスクで確定した内容を、日付・数値・担当者単位で一つの文書にまとめ、実行時の基準としてそのまま使用できる状態にしたものです。
具体的には、開始日4月1日、終了日6月30日、全タスク20件、各タスクの担当者1名、所要時間8時間、総工数160時間、総予算80万円といった情報をすべて記載し、変更があった場合は日付付きで更新履歴を残します。さらに、各タスクの開始日と終了日、担当者名、費用を一覧で確認できる形式に整理することで、実行中に計画との差分をその場で確認できる状態にします。
このように、計画で確定した数値と条件を一つの文書に集約することで、実行・監視・コントロールの各プロセスで共通の判断基準として使用できる役割を持ちます。
まとめ
プロジェクトマネジメントは、「立ち上げ・計画・実行・監視・コントロール・終結」という5つのプロセスに分けて進めることで、作業の抜け漏れや判断の遅れを防ぐ仕組みになっています。
その中でも計画プロセスは、作業内容・担当者・日付・工数・コスト・リスクを数値と単位で事前に確定し、実行時の判断基準を作る重要な工程です。
スコープでは作業範囲を項目単位で固定し、スケジュールでは日付単位で順序を決め、コストでは金額を具体的に算出し、リスクでは発生確率と対応方法を事前に定義します。
これらをまとめた計画書があることで、実行中は計画との差分を数値で把握し、その場で調整や修正ができる状態になります。
つまり、プロジェクト全体を遅れなく進めるためには、事前に数値と条件を固める計画プロセスが土台となり、すべての進行と判断を支える役割を果たします。