目次
はじめに
「プロジェクトマネジメント協会って何をしている団体なのか分からない」「PMIやPMAJの違いがよく分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
プロジェクトマネジメントを調べると、複数の協会名が出てきて、どれを基準に理解すればいいのか迷いやすくなります。
そこでこの記事では、プロジェクトマネジメント協会の役割と、代表的な団体であるPMIとPMAJの違いを、実務で判断できるレベルまで整理して解説します。
プロジェクトマネジメント協会とは

プロジェクトマネジメント協会とは、プロジェクトを円滑に進めるための知識や手法を体系化し、個人や企業が実務で活用できる形で普及させている専門組織です。
単なる情報提供にとどまらず、資格制度の運営や研修プログラムの提供、最新のマネジメント手法の標準化などを通じて、現場で再現性のあるスキルとして定着させる役割を担っています。
ここでは、こうした協会の基本的な位置づけと、実際にどのような活動を行っているのかを具体的に整理していきます。
プロジェクトマネジメント協会の概要
プロジェクトマネジメント協会とは、プロジェクトの進め方を体系化し、共通ルールとして定義した知識体系を整備し、その内容を教育・資格制度として提供している団体です。
具体的には、プロジェクトの開始から完了までを5つのプロセス群(立ち上げ・計画・実行・監視コントロール・終結)に分け、さらに10前後の知識エリアに分類して、各工程で実施すべき作業手順や判断基準を文書として定義しています。この定義された手順に基づき、協会は資格試験を実施し、試験は選択式問題で200問前後、試験時間は約4時間といった形式で実施されます。
受験者は、スケジュール遅延が発生した場合にどの管理プロセスでどの対応を取るか、コスト超過が見込まれる場合にどの手順で是正するかといった具体的な判断基準を問われ、合格者は一定の基準に基づいてプロジェクトを管理できる人材として認定されます。
このように、プロジェクトマネジメント協会は、現場ごとにばらつきやすい進め方を標準化し、同じ条件であれば同じ判断と行動が取れる状態を作るために設立された組織です。
協会が行っている主な役割
プロジェクトマネジメント協会が行っている主な役割は、プロジェクトの進め方を具体的な手順として定義し、その内容を教育と資格制度として運用することです。
まず、プロジェクトを5つのプロセス群に分け、それぞれの工程で実施する作業を100項目以上のタスク単位で整理し、各タスクに対して実行順序、必要な入力情報、成果物の形式を文書として定義します。次に、その定義内容を教材として整理し、研修プログラムとして提供します。研修は1日8時間×3日間やオンライン講座20時間前後といった形式で実施され、受講者は各プロセスで行う判断基準と作業手順を順番に学習します。
さらに、習得した内容を測定するために資格試験を実施し、試験では200問前後の選択問題を約4時間で解答させ、正答率60〜70%以上を合格基準として設定します。これにより、定義された手順を理解し、状況ごとに適切な対応ができるかを判定します。
この一連の定義・教育・評価の仕組みを運用することで、現場ごとに異なる進め方を減らし、同じ条件であれば同じ手順で判断と実行ができる状態を維持する役割を担っています。
代表的なプロジェクトマネジメント協会

プロジェクトマネジメントの知識や手法は、特定の企業だけでなく、国際的・国内的な専門団体によって体系的に整備されています。
その中でも実務や資格取得の場面で頻繁に参照されるのが、世界規模で標準を提示している団体と、日本国内で普及・教育を担っている団体です。ここでは、実際に多くの企業やプロジェクト現場で基準として使われている代表的な協会について、具体的に整理していきます。
PMI(Project Management Institute)
PMI(Project Management Institute)は、1969年にアメリカで設立されたプロジェクトマネジメントの標準を定義する団体であり、世界200以上の国と地域で会員数70万人以上が登録している組織です。この団体は、プロジェクトの進め方を体系化したガイドラインとして「PMBOKガイド」を発行し、立ち上げから終結までを5つのプロセス群に分け、さらに10前後の知識エリアごとに、実行手順・入力情報・成果物の形式を細かく定義しています。
また、PMIは資格制度を運用しており、代表的な資格であるPMP(Project Management Professional)は、試験問題が180問、試験時間は約230分で実施され、実務経験として36か月または60か月のプロジェクト参画期間と35時間の公式研修受講が受験条件として設定されています。
このようにPMIは、プロジェクトの進め方を文書として標準化し、その内容を資格試験によって測定する仕組みを提供することで、同じ条件であれば同じ手順と判断でプロジェクトを進められる状態を作る役割を担っています。
PMAJ(日本プロジェクトマネジメント協会)
PMAJ(日本プロジェクトマネジメント協会)は、2005年に設立された日本国内のプロジェクトマネジメント標準を普及させる団体であり、日本企業の実務環境に合わせた知識体系と資格制度を運用している組織です。この団体は、日本語で整理されたガイドラインとして「P2M(Project & Program Management)」を発行し、プロジェクトだけでなく複数プロジェクトを束ねたプログラム単位まで含めて、計画策定から成果創出までの手順を段階ごとに定義しています。
また、資格制度としてPMC(Project Management Coordinator)、PMS(Project Management Specialist)、PMR(Project Manager Registered)の3段階を設定し、筆記試験や論述試験、面接評価を通じて、知識理解だけでなく実務での判断力や対応力を段階的に評価します。
このようにPMAJは、日本企業の組織構造や意思決定プロセスに合わせた形で手順と評価基準を定義し、その内容を教育と資格認定として運用することで、現場で再現可能なプロジェクト運営の基準を整備する役割を担っています。
日本のプロジェクトマネジメント協会

日本におけるプロジェクトマネジメントの普及や人材育成は、国内団体と国際団体の日本拠点がそれぞれ役割を分担しながら進めています。実務で活用される研修や資格制度、ガイドラインの提供は、日本企業の働き方やプロジェクト環境に合わせて運用されている点が特徴です。
ここでは、日本国内で中心的な役割を担っている団体について、それぞれの特徴や位置づけを具体的に整理していきます。
PMAJの特徴
PMAJの特徴は、日本企業の意思決定や業務進行の流れに合わせて、プロジェクトだけでなくプログラム単位まで含めた管理手順を具体的に定義している点です。
具体的には、「P2Mガイドライン」において、構想策定・計画・実行・評価の各段階ごとに実施する作業を工程単位で整理し、各工程で必要となる判断内容や成果物の形を文章として定義しています。また、資格制度ではPMC・PMS・PMRの3段階に分け、最初のPMCでは基礎知識の筆記試験を実施し、次のPMSでは記述式問題によって状況判断の妥当性を評価し、最上位のPMRでは面接によって実務経験と意思決定プロセスを直接確認します。
このように段階ごとに評価方法を変えることで、知識理解だけでなく、実際の業務でどの順番で判断し、どの基準で意思決定しているかまで確認できる仕組みを持っている点が特徴です。
PMI日本支部の概要
PMI日本支部は、アメリカに本部を置くPMIの日本国内における拠点として、PMBOKガイドに基づいた知識体系の普及と資格制度の運用支援を行っている組織です。
日本支部では、PMP資格取得に必要な35時間の公式研修に対応したセミナーを年間複数回実施し、1回あたり2日〜5日間、合計20時間〜40時間程度の講義で、プロセス群ごとの手順や判断基準を解説します。また、会員向けに月1回前後の勉強会やイベントを開催し、スケジュール遅延やコスト超過といった状況に対して、どのプロセスでどの是正処置を取るかをテーマにしたケーススタディを扱い、実務での判断手順を確認できる機会を提供しています。
このようにPMI日本支部は、国際標準として定義された手順を日本国内で再現できるように、教育機会と学習環境を継続的に提供する役割を担っています。
まとめ
プロジェクトマネジメント協会は、作業手順や判断基準を統一し、誰が担当しても同じ進め方ができる状態を作るための組織です。
代表的な団体には、国際標準を定義するPMIと、日本企業向けに最適化された基準を扱うPMAJがあります。
それぞれが知識体系・教育・資格認定を一体で提供することで、プロジェクトの進め方のばらつきを抑え、再現性のあるマネジメントを実現しています。